中国の人権活動家のGmailアカウントに対して攻撃が行われたことを12日にGoogleが明らかにし、同時に中国からの撤退も視野に入れていることも公にしました。

Official Google Blog:A new approach to China

事業優先で中国政府にはあまり強い態度を取ってなかったように見えたGoogleが今回こういった声明を出したこともちょっとした驚きなのですが、ここで注目なのはクリントン国務長官のスタッフからも強硬姿勢も辞さないというメッセージが発せられたことで、先日も米国防総省から迎撃ミサイルPAC3を台湾に売却することがニュースになってましたし、さすがに調子こきすぎて中華思想を露にしたような態度が危険視されてるのかな?という気がします。Google一企業のみならず外交問題化してる感じですね(そもそもGoogleのCEOがオバマ政権に近くはあるんですが)。

日本も対中国では東シナ海のガス田開発とかありますし、甘い顔ばかりしてないでココという時には毅然とした対応を示してほしいものです。>岡田外相


Googleが中国からの撤退示唆、「検閲をこれ以上容認できない」
【INTERNET Watch 2010年1月13日】

 米Googleは12日、中国の人権活動家のGmailアカウントに対して攻撃が行われたことを明らかにした。この問題などを受け、場合によっては中国事業からの全面的な撤退も辞さないとの見解を公にした。

 米Google公式ブログにて、同社最高法務責任者でコーポレートデベロップメント担当シニアバイスプレジデントであるDavid Drummond氏がコメントした。

 Drummond氏によると、Googleは2009年12月中旬、中国を発生源とする「高度に洗練され、Googleの企業インフラをターゲットにした攻撃」を探知したという。調査の結果、これは通常の攻撃とは異なり、Googleだけに対するものではなく、インターネット、金融、テクノロジー、メディア、化学など、最低でも20社の大企業に対するものであることも判明した。Googleは現在、これらの企業に事実を通知するとともに米司法機関とも連携しつつ対処している。

 さらに、この攻撃の主要な目的が、中国の人権活動家のGmailアカウントにアクセスすることにあったことも判明した。しかし調査の結果、Gmailアカウントの限定的な情報(アカウント作成日付、件名等)が盗まれただけで、メール本文は読まれていないとしている。

 これに加えて、Googleに対する攻撃とは別に、米国、中国、欧州の中国人権活動支援者のGmailユーザーのアカウントが、フィッシングやマルウェアなどの手法により定期的にアクセスされていたことも判明した。

 Googleがこのような攻撃の具体的内容について公表するのは異例だ。それでも公表に踏み切った理由として、「この情報が言論の自由に関するより大きな地球的議論の核心に迫るものだからだ」と説明している。

 Googleでは今回の調査結果と、これまでの「インターネット上の言論の自由を制限しようとする数年にわたる試み」を合わせて考慮した結果、中国における事業撤退も視野に入れていることを明らかにした。

 Googleでは「Google.cn」における検閲をこれ以上容認する意思はないとし、今後数週間をかけて中国政府と話合いを持ち、フィルタリングを行わないサーチエンジンを合法的に提供できるかどうか検討する。ただし、最終的に「Google.cn」および中国支社の閉鎖も辞さないとしている。

 なお、Drummond氏はコメントの中で、一連の調査や決断はすべて米国在住の幹部により行われており、「中国支社の従業員のいかなる情報や関与も受けていない」と明記している。

 また、このコメントの中でGoogleは、一連の「洗練された攻撃」の源について、中国政府の名前を言及することを注意深く避けている。

米政府とグーグル、中国のネット検閲・サイバー攻撃に強硬姿勢を表明
【ロイター 2010年1月13日】

[サンフランシスコ/ワシントン 12日 ロイター] 米政府とインターネット検索大手の米グーグルは12日、中国でのインターネット検閲や同国を拠点とするサイバー攻撃に対策を講じる方針をそれぞれ表明した。オバマ政権は対中国でより強硬な路線を取る意向を示し、グーグルは中国から事業撤退する可能性を示唆した。

 クリントン米国務長官のロス上級顧問は12日、ロイターに対し、中国を含む外国での検閲されていないインターネットへのアクセスを可能にすることを目的に、長官が技術政策「インターネット・フリーダム」を来週21日に発表することを明らかにした。

 その上で、「コーカサス、中国、イラン、キューバなどでは、人々は検閲されていないインターネットに自由にアクセスできない。われわれのインターネット政策は、国民の情報へのアクセスを組織的に抑圧している国が存在することへの対応でもある」と語った。

 また、長官が先週、グーグル、マイクロソフト、ツイッター、シスコシステムズなどハイテク企業の幹部と会談したとも語った。

 一方、グーグルは12日、中国での検閲に加え、同社の無料電子メールサービス「Gmail(ジーメール)」を通じた人権運動家への中国拠点のサイバー攻撃が相次いでいることを理由に、同国での事業および中国語版ウェブサイト(Google.cn)の閉鎖を検討していることを明らかにした。

 最近の米中関係は気候変動、貿易などの問題で悪化している。

 今回、グーグルと米政府がそれぞれ発表した中国のネット検閲対策が、互いに協調した動きかどうかは不明だ。

 米国務省のクロウリー報道官は、グーグルの発表を受け、各国がコンピューター・ネットワークへの悪意ある行為を犯罪とみなすべき、との見解を示した。

 報道官は「グーグルの決定の詳細を尊重するつもりだ。グーグルは発表前からわれわれと連絡を取っていた。悪意のあるサイバー行為の拠点がどこであれ、各国は自国のインターネットの安全を維持する責務を負っている。これには中国も含まれる」と述べた。

 グーグルによると、同社以外にも約20社が中国を拠点としたサイバー攻撃を受けているという。

 同社の説明では、ハッカーは「Gmail(ジーメール)」内の中国人人権運動家のアカウントにアクセスを試みたが、不特定のアカウント2件にアクセスしただけで、そのアカウントがいつ作成されたのかなどの情報にしかアクセスできなかった。

 グーグルは、ハッカーが他企業のどのような情報に不法にアクセスしようとしていたのか、またその当該企業の社名などについては、明らかにしていない。同社は、この問題に関して米当局と連携して取り組んでいる、としている。

 グーグルは声明で「弊社は、Google.cnの検索結果に対する検閲を続けない方針を決定した。これに伴い向こう数週間に中国政府と、法の範囲内で、たとえ合法的であったとしても、検閲をかけない形でのウェブ検索事業の運営を可能にするための基準について、協議する予定だ」と明らかにした上で、「われわれは、これにより、弊社の中国ウェブサイトの閉鎖、ひいては中国事業からの撤退につながる可能性があることを十分に認識している」とした。

米グーグルが中国撤退を検討、マイクロソフトとヤフーも追随か
【ロイター 2010年1月13日】

[香港 13日 ロイター] 米グーグルは、中国でのインターネット検閲に加え、同社の無料電子メールサービス「Gmail(ジーメール)」を通じた人権運動家へのサイバー攻撃が相次いでいることを理由に、同国での事業および中国語版サイト(Google.cn)の閉鎖を検討していることを明らかにした。

 インターネット検索世界最大手のグーグルは、中国内外のほかの検索サイトや電子メールサービス大手も、今回の同社の動きに追随することを望んでいるのかもしれない。

 ただ、グーグルの中国事業が検索サービスと電子メールに集中しており、収益貢献度も限定的と言える一方、米マイクロソフトや米ヤフー、中国の百度公司や新浪公司、捜狐などは状況が異なり、グーグルと同様の動きに踏み切る前にさまざまな要因を考慮する必要がある。

 マイクロソフトとヤフー、両社の今後予想される対応は以下の通り。

 ◎マイクロソフト

 マイクロソフトは中国で莫大な既得権利を所有しており、一段の経営資源の投入も進めている。中国のコンピューター販売台数は年間4000万台を超えており、その多くが同社の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を搭載している。

 またマイクロソフトは、数千人のソフト開発者を雇用する研究開発センターを開設するなど、中国で多額の投資を行っており、世界第2位のパソコン市場である同国に深くコミットしている。

 最近は検索エンジン「Bing」の中国語バージョンもリリースし、同国を最重要市場と位置づけている。

 こうしたことから、マイクロソフトの中国市場からの部分的もしくは完全な撤退は難しい面が多いとみられ、政府から敵対的とみなされる動きを取ることには消極的になるとも考えられる。

 ◎ヤフー

 マイクロソフトと同様、中国でのヤフーのポジションも単純ではない。同社は中国市場進出の一環として、アリババ・ドットコムの親会社アリババ・グループの株式40%を10億ドルで取得している。同持ち分の時価総額は数倍に膨らんでおり、バーツ最高経営責任者(CEO)も中国市場でのアリババの重要性を認めている。

 アリババへの出資額の規模や中国市場でのアリババへの依存度の大きさを考えると、ヤフーが中国政府に強硬的な姿勢を取るとは考えにくい。

中国政府に挑むグーグルは例外に非ず~行き過ぎた強硬姿勢に我慢の限界
【JBpress:Financial Times 2010年1月15日】

 中国からの撤退もあり得るというグーグルの脅し、鉄鉱石の価格交渉、米国による台湾への武器売却――。この3つの出来事の共通点は何か? いずれも、中国のハッタリに、やれるならやってみろと挑んだ例だ。

 中国からの撤退を検討しているというグーグルの突然の発表は、資本主義下における最も理想主義的な企業の1つである同社が権威主義的な圧力に屈した4年間に終止符を打つものだ。

 グーグルは4年前、中国進出を認めてもらう見返りに自らの信念を曲げ、検索結果を検閲することに同意した。この決断は大きな懸念を呼び、情報に自由にアクセスできるようにするという同社の哲学を歓迎していた熱心なファンからも失望の声が相次いだ。

 グーグルほど強大な会社までが中国政府の要求に屈した時、当局はこれを、自分たちが今やほぼ誰でもひざまずかせることができる証拠だと解釈したに違いない。もし中国でビジネスをしたいのなら、我々の言う通りの条件でやれ、というのが暗黙のメッセージだった。

▼グーグルでさえ屈したなら、すべて意のままになると思った中国政府

 経済力の中国シフトが鮮明になるにつれ、そして新たに富を得た数億人の消費者を顧客にしようと世界中から企業が群がってくるにつれ、中国政府は間違いなく、企業の行動も自分たちの思うように統制できると考えたのだろう。

撤退を検討することになった直接のきっかけは、サイバー攻撃だった〔AFPBB News〕

 しかし、グーグルはついに反旗を翻した。直接のきっかけは、同社のサービス「Gmail」のアカウントに、連携の取れたサイバー攻撃が何度も仕掛けられたことだった。

 同社によれば、セキュリティーを破られたことが最近発覚したため調査を進めたところ、中国での人権擁護運動の支援者数十人のメールアカウントが「フィッシング」をはじめとするオンライン詐欺のプログラムによって日常的にアクセスされていたことが分かったという。

 グーグルは「中国における事業の実行可能性を再検討する」と述べた声明文の中で、「ウェブ上での言論の自由をさらに制限しようとする過去1年間の試み」の存在をほのめかした。この物言いからは、インターネット監視の技術を高めた――そしてより攻撃的になった――中国当局に対する同社の幻滅が深まっていることが読み取れる。

 建国60周年など当局が神経質になる記念日の多かった昨年、中国ではユーチューブ、フェースブック、ツイッターなど数多くのインターネットサービスが利用できなくなった。グーグルでも、2006年1月に中国でのサービスを始める際に感じた「不快感」がついに限界に達したのだ。

 同社の決断が純粋に倫理的な観点からなされたものかどうかは分からない。商業的な観点から撤退を決め、それを倫理的な観点からの怒りでカムフラージュしている可能性もあるだろう。しかし理由はともあれ、グーグルは中国政府のハッタリに対し、やれるものならやってみろと挑んだのである。

▼最大顧客の中国を無視して日本企業と交渉を始めた鉱業大手

 同じようなことが、サイバースペース以外の場所でも起きている。泥臭い鉄鉱石の世界である。

 ブラジルのヴァーレ、英豪系のリオ・ティントとBHPビリトンの鉱業大手が最近、日本の顧客企業とベンチマーク(指標)価格の設定交渉に入った。幹部らによれば、ここで決まるベンチマーク価格が「これがお気に召さなければ他社にどうぞ」というスタイルで中国に提示されるという。

 海路で輸出される鉄鉱石の半分以上を宝鋼集団をはじめとする中国企業が買い付けていることを考えれば、中国に対するこの冷遇ぶりは尋常ではない。

 しかし、こうした事態を招く原因となったのは、どうやっても攻撃できないように見えた中国の強い立場だった。鉄鉱石の大手生産者は、昨年の価格交渉における中国側のやり方は強引すぎると強い怒りを覚えていた。中国は価格面で譲歩しなかったうえに、中国在勤のリオ・ティントの幹部、スターン・フー氏と社員3人の身柄を商業上の秘密を盗んだという容疑で拘束したからだ。

 グーグルと同様、鉱業大手もこれで堪忍袋の緒が切れた。そこで各社は事業の一部を(少なくとも、価格決定という重要な事業を)ほかの国に移した。その結果、中国の鉄鋼メーカーは鉄鉱石の調達に高い値段を払わされる羽目になるかもしれない。

 中国のハッタリに挑んだ3つ目の事例は、米国防総省が先週決めた台湾への武器売却である。中国は以前から、売却に反対する姿勢を強めてきていた。軍事交流も既に中断させていた。そして今週に入り、最新のミサイル迎撃システムの試験を予告なく実施し、成功したと高らかに謳い上げた。

▼中国の不快感をよそに台湾に武器を売る米国

 中国がこのタイミングで試験を行ったのは不快感を示すためだと見られるが、恐らく米国はそんなことは意に介さず台湾に武器を売却するだろう。ここでも、中国は自らの力を過大評価し、やり過ぎた可能性がある。

 中国にとって昨年は良い年だった。すっかりおとなしくなった欧米諸国と比べ、中国の銀行は資産内容が比較的健全であることを、消費者は消費マインドがさほど弱くないことを見せつけた。経済もはるかに回復力があることを示した。

 バラク・オバマ米大統領が初めての訪中で見せたボディランゲージは、時代が中国に有利な方向に傾いているという、既に明白だったことを改めて浮き彫りにした。しかし、こうした成功が中国政府を舞い上がらせ、慢心させたのかもしれない。

 コペンハーゲンで開催された気候変動サミットで、二酸化炭素(CO2)の排出量削減の対価として資金援助を求めた要求が米国に完全に拒否されたことが示すように、常に中国の思い通りに物事が運ぶわけではない。支援が必要な途上国の顔と、敬意を払うことを他国に求める新興大国の顔とを使い分けることは、ますます難しくなってきている。

 中国には百度(バイドゥ)という国産検索エンジンがある。いざとなれば、グーグルなしでもやっていけるだろう。

▼強硬姿勢が過ぎると・・・

 しかし、強硬すぎる姿勢を取らないように中国が注意すべき分野はほかにもある。その最たる例が為替レートの問題である。人民元が事実上ドルに再度ペッグされたために、ドル安に伴って元が安くなり、中国の輸出競争力が非常に強くなっている。実際、昨年12月には輸出額が前年比18%という高い伸びを示した。

 中国はこれまで、米国の議員から不満を聞かされたり、中国製タイヤへの関税上乗せなど象徴的な制裁を数件受けたりするだけで済んでいた。しかしグーグルの一件は、誰にでも我慢の限界があること、今年の米国が中間選挙を控えていることを考えれば特にそうであることを改めて教えてくれた。

プリンシプルのあるグーグルだと嘲笑が賞賛に変わり
【gooニュース 2010年1月15日】

■本日の言葉「don’t be evil」(悪になるな、悪事はするな)■

肩の力を抜いたゆるい「暇ダネ」の英語をご紹介するこの金曜コラム、この話題が「ゆるい」かどうかは分かりませんが、Googleの中国撤退検討についてです。これまで図書電子化などをめぐる同社の行動が何かと批判され、「悪いことはしない」という社是もややもすれば嘲笑の対象となっていたのですが、創業者の強い思いに押されて決断した結果、「よくやった!」と賞賛される展開になっています。(gooニュース 加藤祐子)

○信念で立ち向かう行為

先週はこのコラムでGoogle社の携帯電話の名称をめぐり、「principle(原理原則、主義、道義、信義)」に問題があるのでは?——という意見をご紹介しました。その埋め合わせというわけではないですが、今週は「Googleのやったことは、プリンシプルある行為だった」と評価されていることについて書きます。

Google社は12日、中国事業の撤退を検討していると発表。人権活動家を標的にしたサイバー攻撃や利用者監視がひどい、これ以上「自主規制」という形で中国政府の検閲に協力できないという理由です。

これについて例えば、ワシントン・ポストが運営するオピニオンサイト「Slate」では、Googleの判断を「principled stand against censorship(検閲に信念をもって立ち向かった行為)」と呼んでいます。「principle」は名詞ですが、「principled」という形にすると形容詞になるのです。

そもそもGoogleが2006年に中国に進出した時から、中国政府がサイバー攻撃や監視や検閲を行っているのは分かっていたことだと記事は指摘します(私自身は全く中国事情に詳しくないのですが、天安門事件20年について昨年こちらのコラムを書いたり、フィナンシャル・タイムズのこちらを訳したりして、中国の若者が天安門事件のことをいかに知らされていないか、民主化運動に同情的だった元党幹部がいかに扱われているかを知って、愕然としたものです)。

なのでGoogleの判断は「principled」だったと評価しながらも、「なぜ今更?」と首をひねりたくなるのも事実(記事筆者は首をひねるのではなく「rubbing my chin(アゴを指で触って)」います。日本人が「ふーむ(Hmmmm)」と首をひねる時、英語圏の人たちは顎に触わるのです)。

話がずれました。この「なぜ今更」感についてGoogle自身は、「一部の検索結果を検閲することに抵抗を覚えながらも、情報が入手し易くし、開かれたインターネットを提供することの方が中国の人たちの利益になると信じて」2006年1月に「google.cn」をスタートさせたが、当局による攻撃や監視に加え、ウエブ上の自由な言論をさらに制限しようとする動きがひどすぎるため、中国事業を再考せざるを得なくなったと発表しています。

つまりは「北風と太陽」で、Googleの「対中太陽政策」はうまくいかなかったということでしょうか。

日本を追い抜いて世界第2位の経済大国になるのは時間の問題とされている国について、「言論弾圧」とか「検閲」とか「人権活動家の弾圧」といった事柄が未だに懸案事項として残る、その居心地の悪さを、Googleの決断は改めて浮き彫りにしました(サイバー盗聴に監視は、ブッシュ政権もお手の物だったよね——という指摘も、もちろんありますが)。

○創業者の意志で社是に立ち返る

ウォールストリート・ジャーナルによると、この判断は「intensely personal(個人の信条に深く関わるもの)」だったとのことです。Googleの創設者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン両氏が議論に深く関与。Googleが中国で事業をすれば、中国政府をもっと自由で開放的な体制にできるというエリック・シュミットCEOの主張に対して、ブリン氏が、中国政府の検閲にもうこれ以上協力するわけにはいかないと強硬に反対したそうです。旧ソ連生まれのブリン氏は、ユダヤ系の両親がいかに共産党の弾圧と差別に苦しんだか承知しているだけに、もう無理だという思いが強かったのかもしれません。

Google社の有名な社是は「Don’t be evil(悪になるな、悪事はするな)」です。記事によると今やGoogle社内でブリン氏は「同社の非公式な良心となり、社是『Don’t be evil』を守護する存在」となっているそうです。

ニューヨーク・タイムズもこの「Don’t be evil」を引用し、中国事業に関するGoogleの判断を評価しています。世界中の作家・文筆家の著作権を一方的に無視しようとするGoogleはこのところ、色々な事業手法についてひどく批判されていたので、「シリコン・バレーの住人は、グーグルの『Don’t be evil』を口をゆがめて嘲笑していた」のだと。

記事いわく、会社の道議的評価が下がるという困った状態の中、Googleが中国の検閲やサイバー攻撃を表立って批判したのは「絶好のタイミングだった」。というのもGoogleは今回の判断で世間の「good will(好意、好感)」を獲得したので。検閲や弾圧をやめなければ「中国から撤退するぞと脅したことで、Googleへの嘲笑はなくなり、絶賛だらけとなった。特にかねてからGoogleを批判していた人たちが、今回の決断を絶賛している」のだと。

中国撤退による中国語圏での損失はもちろんあるけれども、少なくとも英語圏での評価は高まった。Googleの法務担当は「PRのためにしたことではない。正しいことをしようとしたのだ(It was a question of trying to do the right thing)」と同紙にコメントしています。「Do the right thing」はまさに「Don’t be evil」の反対語とも言える意味で、よく使う表現です。その昔、スパイク・リーの映画タイトルにもなりました。

同記事はさらに、「世間がGoogleを見る目がこれで変わったのは間違いない」と評価。様々な人権団体が(Googleを批判してきたところも)「ブラーヴォ」と賞賛しているし、北京のグーグル社事務所前には多くの若者が応援の花束を置いていると紹介しています。つまり「正しいことをする=優れたPR」なのだという、当たり前だけれども珍しい、ハリウッド映画のような「正しい」展開になっています。

○bad と evilは違うので

ちなみに少し英語うんちくをすると、「Don’t be evil」の「evil」ですが、これは単なる「bad=悪いこと」とは質的に異なります。「Don’t do anything bad」は「悪いことしちゃダメよ」程度の、幼児へのたしなめですが、子供に向かって「don’t do anything evil」とは言いません。子供が『オーメン』のダミアンだというなら別ですが。「bad」は単に「悪いこと、いけないこと」ですが、「evil」は「悪辣、邪悪、極悪」というようなニュアンスです。「『Devil(悪魔)』の中にあるのが『evil』だ」と言われたりします (語源的には違いますが)。

こういうニュアンスの違いは、かなり大事です。からかい半分に「You’re bad」と言うのは「悪い人ね」という意味になり、日本語でもそうですがちょっと色っぽい感じになります。しかし「You’re evil」と言うと「邪悪な人ね」となって、あまり色っぽくはありません(好みの問題もありましょうが)。

同じようなニュアンスの違いの話で、以前とある映画エッセイの筆者が苦手な俳優について英語で「I hate you」と書いているのを見て、びっくりしたことがあります。「大嫌い」と言いたいのだろうと解釈しましたが。英語の生活で他人に向かって「I hate you」と言うには、もうこれで縁切りだというほどの覚悟が必要です。同じ大嫌いでも、もう顔も見たくない、同じ空気も吸いたくないというほどの強い「大嫌い」です。「憎んでいる」という方が、語感としては近い。

そして強引にこじつけますと、Googleにこれまで批判的だった人たちも、別に「I hate Google」というほどではなく、「I don’t like Google」程度の嫌悪感だったからこそ、今回の発表で、皮肉な笑いが絶賛に変わったのだと思います。

★★★全力全開でポチッと♪ブログランキング・にほんブログ村へ応援よろしくお願いします!★★★

 

☆京都通、京都が好きなら→にほんブログ村 旅行ブログ 京都旅行へ ☆音楽好きなら→にほんブログ村 クラシックブログへ

 

 

4 Trackbacks / Pingbacks

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Trackback URL :