先週12日でしたか、IntelとAMDは独占禁止法違反や特許クロスライセンス問題を含む両者間で生じていた全ての係争において和解することで合意したとの発表がされましたね。両社が新たに5年間のクロスライセンス契約を締結、これまでのライセンスに関するすべての訴訟を取り下げて、IntelはAMDに12億5000万ドルを支払うとか。またIntelが業界の商慣行に従うことを認めた(リベートとかやらないってこと?)ため、AMDは米国と日本で係争中の独禁法訴訟を取り下げる、だそうです。
・Intel News Release|AMD and Intel Announce Settlement of All Antitrust and IP Disputes
・AMD Press Release|AMD and Intel Announce Settlement of All Antitrust and IP Disputes
長いこと続いているこれらの法廷論争、お互いが共にそれなりに実を取ることができるのなら、まあいいんじゃないかな、という気がしてます。この和解について論じた最近のコラムを読んで、そんな印象を持ちました。
しとらすはずっとAMD使いなので、AMDの経営が安定する方向でそのように判断したのなら、和解でも徹底的な法廷闘争でもどっちでもいいんですが、先月発表された第3四半期決算も予想以下の小幅ながら赤字でしたしね。12億5000万ドルもらえたりとかできたんなら、よかったのかな?
とりあえず、参考になりそうなコラムを置いときます。
◆元麻布春男の週刊PCホットライン~IntelとAMDの和解に見るAMDの今後
【PC Watch 2009年11月16日】
日本時間の11月13日、AMDとIntelの2社は、両社間で係争中であった独占禁止法に関する訴訟と、特許のクロスライセンス紛争を含む、「すべての未解決の法的紛争」を終了させる包括的な合意を締結したと発表した。これにより、我が国で争われていた独禁法違反訴訟2件も取り下げられることになる。
両社が共同で出したプレスリリースによると、合意の要点は次の4点だ。
・AMDとIntelは今後5年間を期間とするクロスライセンス契約を締結する
・相互にライセンスに関する契約違反の主張をすべて取り下げる
・IntelはAMDに対し12億5,000万ドルを支払う
・Intelは「一連の営業上の活動に関する取り決めに従う(AMDのプレスリリース)」、「商行為に関する規定を遵守する(インテルのプレスリリースの表現)」この4点を受けて、AMDはすべての係属中の訴えを取り下げ、世界中の規制当局に対する申告も取り下げるという。
今回の合意でAMDが手にしたのは、5年間のクロスライセンスと12億5,000万ドルの現金であり、Intelが得たものは、5年間のクロスライセンスとAMDとの係争による潜在的なリスクからの解放ということになる。AMDは、Intelが違法行為を行なったと認めさせることができなかった代わりに、商行為に関する規定の遵守に関する言質と、12億5,000万ドルを受け取った、と見ることも可能だ。
もっとも、EUのように、係争がAMDの手を離れてしまったものについては、今後も係争は続くのだろうが、Intelが法的リスクを大幅に軽減させたことは間違いない。さらにIntelは、ワシントンDCの法律事務所WilmerHaleに所属していた弁護士であるDouglas Melamed氏を副社長として招聘し、同社の法務担当責任者に任命した。氏は反トラスト法の専門家であり、Intelの本社があるカリフォルニア州サンタクララにオフィスを持つほか、ワシントンDCにもオフィスを構えるという。独禁法対策を強化したことは間違いないだろう。
一方、AMDが受け取った12億5,000万ドルは、AMDにとって決して小さなものではない。アブダビ資本の注入と製造部門の分離および売却により、手元の流動資金は確保できたものの、2012年に償還期日がくる社債と転換社債、2015年に償還期日がくる転換社債による負債の合計は36億7,100万ドルに達する(図1)。上記の手元流動資金を差し引いても21億3,500万ドルに上る負債から、受け取る12億5,000万ドルを差し引けば、残る負債は8億8,500万ドルにまで減少する。要するに純負債額の6割近くを賄える計算だ。もし今回の和解がなく、係争が長期化すれば、AMDは償還のための原資をあと2年あまりで、どこかからひねり出さねばならなかった。
現時点では締結されたクロスライセンスの内容が分からないが、この合意によりAMDがGLOBALFOUNDRIESに対する出資をさらに減らすことが可能になれば、AMDの実質的な負担は軽減されるし、現在も持つ出資分をATICに追加で売却できれば、それを原資に負債を償還することもできるだろう。クロスライセンスの期限が来る5年後までに、GLOBALFOUNDRIESが主体者となって、Intelとのライセンス契約ができれば、AMDの負担はさらに減るが、それをIntelが認めるかどうかは分からない。
負債の償還に向けてAMDがなすべきことは、優秀な製品を開発し、それを売ることであることは言うまでもない。それには優れたアーキテクチャと優れた製造技術の両方が欠かせないのがプロセッサビジネスだ。
この和解に先立つ11月12日、AMDは恒例のAnalyst Dayを開催し、同社の製品計画について明らかにした。そこでAMDは、新しいマイクロアーキテクチャに基づく2種類のコア、ハイエンド向けのBulldozerと、Atom対抗のBobcatについて明らかにした(図2)。が、いずれも登場は2011年になる見込みだ。しかも、前者は32nm SOI+High-Kメタルゲート、後者は28nmバルクシリコン+High-Kメタルゲートという、AMD/GLOBALFOUNDRIESにとって新しい製造技術を用いる。
マイクロアーキテクチャと製造技術の両方を同時に更新することはリスクをはらみ、スケジュールが遅延しがちだ。製造部門の分社というのっぴきならない事情もあり、製造技術側のスケジュールは昨年秋のAnalyst Day時点に比べ、SOIで半年、バルクは1年遅れている(図3)。AMDはマイクロアーキテクチャの設計については順調だとしているものの、製造技術の準備ができていなければ製品投入することはできない。
こうしたトラブルを最小限にするために、Intelは両者を交互に更新するTick-Tock戦略をとっているわけだが、今のAMDにその余裕はない。製造部門を分社することでR&Dや設備投資の負担を減らすことができても、マイクロプロセッサのようなハイエンドプロセス技術を必要とする製品を製造できる工場は限られる。ほかに作れる工場がない以上、AMDとGLOBALFOUNDRIESが一蓮托生の関係にあることに変わりはないのだ。
では、その運命共同体であるGLOBALFOUNDRIESはどうだろう。AMDは、2009年第3四半期において3,500万ドルの単期黒字を実現したと発表した。しかし、Analyst Dayで発表された数字を見ると、相変わらず製造部門(GLOBALFOUNDRIES)は赤字のままで、開発と製造を1社で行なっていた旧AMDの枠組みでは相変わらず赤字であったことが分かる(図4)。またAMDの36億7,100万ドルに及ぶ長期負債のほかに、GLOBALFOUNDRIESサイドに20億2,900万ドルの長期負債があることも読み取れる。GLOBALFOUNDRIESにはアブダビ資本がついており、この負債は織り込み済みだろうから、当面の間は危機に陥ることはないだろうが、どんな資本がついていようと延々と赤字の事業を続けていくことはできない。あらゆる意味で、2011年の新製品は絶対に失敗できないものになるだろう。
AMD/GLOBALFOUNDRIESに出資するアブダビ資本のATICは、AMDの製造パートナーでもあったファウンダリ大手のChartered Semiconductorをも傘下に収めた。AMDからの生産委託量が伸びなかったこと、折からの不況等で、Charteredの稼働率はかなり低下していたと思われるのに加え、GLOBALFOUNDRIESもドレスデンにあるFab 1のうち、旧Fab 38(以前のFab 30)部分の稼働、さらに米本土ニューヨーク州にFab 2(旧称Fab 4x)の開設を予定しており、相当なオーバーキャパシティであることは間違いない。一気に供給力を高め、トップグループの仲間入りを果たすという戦略だと思われるが、リスクも小さくない。どのくらいでGLOBALFOUNDRIESが独り立ちできる(単期黒字にこぎ着ける)のか、次の焦点はそこになるだろう。
◆和解成立で将来に目を向けるIntelとAMD
【ITmedia:eWEEK 2009年11月17日】
AMDとIntelが長期間にわたって繰り広げてきた係争を終わらせたことは結局、両社の利益に最もかなうことだ。
8年間に及ぶ法廷闘争および8カ月にわたる交渉の末、両ライバルチップメーカーは11月12日、双方を相手取って起こしていた一連の訴訟で和解することで合意に達した。AMDはIntelに対して独禁法訴訟を提起していた。一方Intelは、AMDが製造部門をスピンオフしてGLOBALFOUNDRIESを設立した際に、AMDとIntelとの間のクロスライセンス契約に違反したと訴えていた。
両社はこれまでに数百万ドルの費用を訴訟費用に注ぎ込み、2億ページにも上る証拠資料を提出し、2200回の宣誓供述を行ったが、法廷で審理が始まるのはまだ5カ月も先のことだった。
10年間の効力を持つ和解合意に基づき、IntelはAMDに12億5000万ドルを支払う。今後禁じられる反競争的な商慣行に関しても両社は合意した。
この和解はAMDにとって、GLOBALFOUNDRIESを子会社として維持する義務から解放されることを意味する。またAMDは、GLOBALFOUNDRIESあるいはほかの製造企業を利用しても、Intelとの間で結ばれた新たな5年間のクロスライセンス契約に違反するという心配をしなくてもよい。
アナリストらによると、業界全体に目を向ければ、2社のキープレーヤーが法廷闘争に気を取られることなく、イノベーションと製品開発に専念できるようになることは、業界にとってプラスになるという。
米Endpoint Technologies Associatesのアナリスト、ロジャー・ケイ氏は「これは業界全体にとって実に良いことだ」と歓迎する。「両社の経営幹部は訴訟に多くの時間を取られてきた。これでは経営幹部は目の前の業務に専念できない」
両社の経営幹部は今回の和解を肯定的に評価しているが、その理由は大きく異なる。AMDのダーク・マイヤーCEOおよびトム・マッコイ法務・総務担当執行副社長によると、この合意は、AMDが製品を販売する市場がより自由で公正になることを意味するという。
「これは金銭の問題ではない」とマッコイ氏はメディアとアナリスト向けの電話会見で語った。「これは戦争から平和への転換なのだ。われわれは市場で公正かつ激しい競争を実現する道を切り開こうとしている」
この和解は、資金不足に苦しむAMDの救済にもなる。同社は負債を返済し、財政を立て直すための資金を必要としているのだ。
Intelにとっても、裁判官あるいは陪審員の審判に託すよりも、和解で係争を解決する方が得策だった。裁判で同社が有罪となった場合、損害が3倍になる恐れがあった。Intelのポール・オッテリーニCEOは「和解およびAMDへの支払いという結果になったが、これはIntelがAMDの主張を正当だと認めたということではない」と強調している。
「われわれはこのプロセス全体を通じて、Intelが法律の枠内で行動したという主張を放棄してはいない」とオッテリーニ氏は語り、米国では独禁法訴訟の98%は裁判になる前に和解していると指摘した。
「独禁法訴訟は極めて複雑であり、陪審員による裁判はどんな結果になるか予想がつかない。小切手を切るのはいつもつらいことだが、今回は現実的な和解をしたと思う」(同氏)
AMDはこれまで、Intelが条件付きリベートと強制力を不正に用いて、Dell、Hewlett-Packard(HP)、IBMなどのOEM各社がAMD製品を採用するのを制限したと主張してきた。両社の合意では、IntelがAMDに支払う金額のほか、条件付きリベートを含めIntelが今後行わないことに合意した幾つかの商慣行が規定された。
また、将来の紛争が訴訟になるのを避けるために、紛争解決ポリシーも定められた。これには、両社幹部が四半期ごとに会合を開くことや、調停や仲裁の手続きなどが含まれる。
米Sageza Groupのアナリスト、クレイ・ライダー氏は「彼らが校長室ではなく運動場で対立を解消できるのであれば、誰にとってもその方が良い」と例えを交えて説明する。「これは法廷で時間を費やすよりも、はるかに優れたアプローチだ」
オッテリーニ氏は、今後禁じられる商慣行のリストに関して、「Intelが合意したのは、当社がこれまで1度も違法行為をしたことがないからだ」と述べている。
「当社としては、そういった行為をしたことはないし、これからもするつもりはない。その意味では、これまでと何も変わらない」と同氏は語る。
しかしEndpointのケイ氏によると、Intelは何年もの間、その資金力と影響力に物を言わせてOEM各社の購入決定に影響を及ぼしてきたという。ニューヨーク州検事総長が提起した訴訟で公表されたIntelとOEM各社の幹部の最近の電子メールは、そのことを裏付けている。開示された電子メールの中には、Dellのマイケル・デルCEOがオッテリーニ氏に対して、Intelから支払いを受ける代わりにAMD製プロセッサを採用しなかったことが、Dellを競争で不利な立場に追い込んだと不満を漏らしているものもあった。
「メディアとアナリスト向けの電話会見でのオッテリーニ氏の説明にもかかわらず、マイケル・デル氏の電子メールは同社に手痛い打撃となった」とケイ氏は語り、「Intelではそういった行為を10年以上も行っていないそうだ」と皮肉交じりに付け加えた。
米Technology Business Researchのアナリスト、ジョン・スプーナー氏によると、両社の和解でOEM各社は一安心できるという。
「今回の和解は基本的に恐怖要因を取り除くものだ。それが実際に存在したかどうかは別として」と指摘する。「OEMの間には、AMD製品をあまり使うと報復されるのではないかという恐怖があった。この和解により、HPなどの企業は好きなプロセッサを自社製品に採用できるようになる」
これはAMDにとって朗報だ。同社は明らかに、Intelの商慣行のせいで市場シェアを失ったと考えているようだ。しかしスプーナー氏によると、今回の和解は、少なくとも新興のノートPC分野で市場の細分化につながる可能性があるという。現時点では、IntelはノートPC市場でAMDに対して競争優位に立っており、システムメーカー各社はAMD製品を同市場のローエンド部分に押し込めてしまう可能性もある。一方、AMD製品がIntelに対して競争力を持っているサーバ分野では、そういった状況が起きる可能性は低い。
アナリストらによると、IntelにとってAMDとの和解は、伝統的なPCとサーバの市場以外で自社にとって最も成長の可能性が高いと思える分野に集中できることを意味するという。Intelは、Netbook、家電、携帯端末、グラフィックスなどの分野に事業を拡大したいという願望を隠してはいない。
「5年後には、サーバとPC用のプロセッサ以外の製品がIntelの売り上げの98%を占めるようになるだろう」とスプーナー氏は予想する。
J. Gold Associatesのアナリスト、ジャック・ゴールド氏によると、最近のIntelの最大の関心事はAMDではなく、モバイル分野を支配しているARMとそのライセンシー各社(Qualcomm、Texas Instruments、Freescale Semiconductorなど)だという。
「PCとサーバ用のチップは今日、Intelの稼ぎ頭だが、今後数年間で生産されるコンシューマー向けのインテリジェント型パーソナルコンピューティングデバイスの数が、従来のPC市場の製品の数をはるかに上回ることを同社は正しく理解している」とゴールド氏は報告書で述べている。「スマートフォン、Netbook、モバイルインターネットデバイス、ホームエンターテインメント、インテリジェント家電、パーソナルエンターテインメント、インテリジェント電源装置、インテリジェント自動車など無数のデバイスがインターネットに接続されているが、これらは現在、Intelと同社のx86アーキテクチャの領土ではない」
ゴールド氏によると、この状況はIntelにとってリスクであり、同社がAtomプラットフォームに莫大な資金と労力を投入しているのもそのためだという。
だがIntelが未来に深く足を踏み入れる前に、同社のビジネス手法をめぐるほかの法的問題に対処する必要がある。Intelは、欧州委員会が5月に同社に科した14億5000万ドルの制裁金に対して控訴しているのに加え、ニューヨーク州が起こした訴訟にも対応しなければならない。
アナリストらは、米連邦取引委員会もIntelを提訴すると予想していたが、AMDとの和解の結果、同社はこの訴訟を避けることができそうだ。
オッテリーニ氏は、AMDとの和解が「規制当局に安堵(あんど)感を与える」ことを期待しているという。Endpointのケイ氏によると、欧州での係争など既存のケースは最後まで行く公算が大きい。しかしニューヨーク州が起こした訴訟など最近のケースについては、AMDとの和解が成立したのに伴い、かなり早期に決着する可能性もあるという。
両社では、価格設定をめぐって未解決の問題がまだ残されているとしている。
今回の和解はAMDの経営健全化にも貢献し、Intelとしてはプロセッサ市場の独占という今後の批判をかわすためにも、AMDの経営が健全であることが必要なのだ。
Intelのビジネス手法を批判してきた米Computer and Communications Industry Association(CCIA)も和解を歓迎している。
CCIAのエド・ブラック会長兼CEOは「Intelが不正行為を明確に認めなかったのは残念だが、同社がほかにも継続中の訴訟を抱えているために仕方がなかったのだろう。しかし公表された事実と和解の規模を見れば、不正行為があったのは疑問の余地がない」と発表文で述べている。「この和解が、Intelが市場における自社のパワーではなく自社製品のメリットにフォーカスし、その部分で競争するという確約を意味するものであることを期待する」
























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インテルとAMDが全訴訟で和解