紺谷典子/平成経済20年史

2009年8月1日 21:00
by しとらす

紺谷典子『平成経済20年史』【幻冬舎新書、2008年刊】

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《内容》
バブルの破裂から始まった平成は、世界金融の破綻で20年目の幕を下ろす。この20年間を振り返り、日本が墜落した最悪の歴史とそのただ1つの原因を解き明かし、復活へ一縷の望みをつなぐ稀有な書。



著者の紺谷典子さん、そういえばこの人TVに出てたっけー?くらいの認識しかなかったのですが、しとらすがよく拝見するサイトの方が褒めていたので、手にとってみることにしました。

所詮幻冬舎だし・・・とタカをくくってましたが、中にはいいのがちゃんとあるもんですね(笑)。

総選挙まであと30日となりましたが、これからあらゆる場面で採り上げられるであろうマニフェストを検討するのはもちろん、‘郵政’選挙以来4年ぶりの総選挙ですし、選挙が未来の選択と同時に過去の総括でもある以上は、これまでのことを1度きちんと振り返って検証してみることも必要なのではないでしょうか。

この紺谷さんの本、新書に20年分の総括を収めるということで、限られたページ数で仕方のないことなのでしょうが、自分の主張を収めるだけで字数的に精一杯のようでした。それもかなり歯に衣着せぬ物言いで小泉改革を筆頭に何が悪かったからこうなったと徹底して批判しているので(批判ばかりではないですが)、人によってはこの物言いだけで敬遠してしまうかもしれません。ですが、中身は至極真っ当なことを仰っているだけです(ちょっと小渕さんを褒めすぎてるような気もしますが・苦笑)。

“改革”すればするほど日本経済は悪化、“改革”をやっていなかったら日本人の所得は今の2倍を越えていたはず(この20年間で2倍以上の経済成長をしたという主要諸外国との比較で)、と主張する紺谷さんは、前書きにあたる「はじめに」で

 平成の20年は「改革」に明け暮れた20年でもあった。日米構造協議に始まった平成の改革は、「政治改革」、「財政構造改革」、「年金改革」、「医療保険改革」、「三位一体の改革」など、ほかにも数々の改革が進められた。
(中略)
 しかし、これだけ多くの改革を進めてきたにもかかわらず、国民生活は一向に改善せず、むしろ悪化してきたように思えるのは不思議なほどである。改革は本当に改革だったのだろうか。

と書かれ、最後の方でも

 この20年は、改革幻想にとらわれた20年でもあった。改革を裏で主導してきたのは、財務省である。「改革」と言われてきたものの多くが、財政支出の削減でしかなかったのを見ても、それは明らかだ。
 小泉内閣の「官から民へ」は行政責任の放棄であり、「中央から地方へ」移行されたのは財政負担だけだった。「郵政民営化」は、保険市場への参入をめざす米国政府の要望である。小泉内閣の持論と一致したのは、米国にとっては幸運でも、国民にとっては不運だった。
 改革のたびに日本人の生活が悪化してきたのは、不思議なほどである。本来、改革は、国民生活の改善をめざすものである。国民生活の悪化は、改革が国民のためのものではなかったことを示している。
 米国と財務省が主導する「改革」をやめれば、国民生活も日本経済も良くなるはずである。(p403)

と書かれています。

もう少し表なりグラフなりを使って説明してほしかったというのはありますが、改革が改革ではなく景気も(政府やマスコミが囃したてるほどには)回復していなかったというのは紛れもない事実です。この本には20年分が凝縮して書かれていますが、小泉政権の評価にわりと頁数が割かれていますので、この4年を手っ取り早く振り返るというだけでも読んでおいて損のない本でしょう。

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