今日付でNMLに登録された注目盤はまだあります。スウェーデンのBIS[http://www.bis.se/]レーベルからリリースされた、今年が没後50年となるパウル・ヒンデミットのヴァイオリン作品集で、ソリストを務めるのは、なんとフランク・ペーター・ツィンマーマン! EMIと契約してるはずでは・・・と思ったりもしたのですが、近年ではヴィオラ奏者のアントワーヌ・タムスティにチェロ奏者のクリスチャン・ポルテラと組んだ“トリオ・ツィンマーマン”としてBISレーベルにモーツァルトとシューベルトのカップリングベートーヴェンの弦楽三重奏曲集をリリースしたりとご縁ができたようですね。

それにしてもツィンマーマン自身がソリストとして表立ってBISからリリースしたのが同じドイツの作曲家で没後50周年のヒンデミットの作品集、しかもコンチェルトで共演するのが作曲者と縁の深い街フランクフルトのオケというのも、また粋な計らいといった感じがします。

 

ヒンデミット:ヴァイオリン作品集/フランク・ペーター・ツィンマーマン(ヴァイオリン)、他【BIS】[Hybrid SACD]

パウル・ヒンデミット
・ヴァイオリン協奏曲
・無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Op.31-2
・ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 Op.11-1
・ヴァイオリン・ソナタ ホ調
・ヴァイオリン・ソナタ ハ調

ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
管弦楽:hr交響楽団(hr=ヘッセン放送協会、旧フランクフルト交響楽団)
ピアノ:エンリコ・パーチェ

録音時期:2012年5月、2009年9月(ヴァイオリン協奏曲)
録音場所:イタリア、ドッビアーコ文化センター;フランクフルト、アルテ・オーパー(ヴァイオリン協奏曲)

http://ml.naxos.jp/album/BIS-2024

Bis2024

 

全5曲のうち、作品11-1のソナタが1918年、無伴奏ソナタが1924年、ホ調のソナタが1935年で残り2曲が1939年にそれぞれ書かれた作品です。ということは、あのヒンデミット事件の前に書かれた曲が2曲で事件直後からアメリカ亡命前に書かれた作品が3曲ということになります。ヒンデミットは1920年代から作風を新即物主義、新古典主義の方向に舵をきったとされていますが、ナチスと対立するようになってから作曲された3曲は前2曲に比べてドライに徹する中にもどこかしら黒き陰に抗うべく迸る激烈さを隠しきれなかったとでも主張したそうな印象を受けました。

5曲中最大規模となるヴァイオリン協奏曲ではパーフェクトなまでにクールビューティーな音色とテクニックが冴えわたるツィンマーマンのヴァイオリンに、パーヴォ・ヤルヴィとhr交響楽団がピッタリと息の合ったサポートをしていて見事な演奏となっています。

それぞれに個性の異なる他の4つのソナタも、ツィンマーマンは柔らかめの美しいヴァイオリンの響きで、やや控えめな表情付けながらもしっかりと弾き分けていて、とても素晴らしい演奏になっていると思います。これまでメジャーレーベルでの録音しかなくてNMLではなかなか聴くことの叶わなかった当代きっての名手の演奏が、こうして質の高い技術スタッフ陣を持つ(しかも音楽への良心をしっかりと保っている)レーベルで聴けるのは大いに喜ばしいことです。ディスクはハイブリッドSACDでリリースされていますので、ファンの方はぜひどうぞ。

 


 

ところで、BISからトリオ・ツィンマーマンとしてリリースされているディスクは下記の2枚になります。いずれも一聴してハイレベルの素晴らしい演奏だとわかる質の高いもので、録音もBISらしく良質なものですから、ネット上でザッと見ても評判の高いのがわかりますしオススメできるかと思います。

 

モーツァルト:ディヴェルティメント、シューベルト:弦楽三重奏曲/トリオ・ツィンマーマン【BIS】[Hybrid SACD]

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
・ディヴェルティメント 変ホ長調 K.563
フランツ・シューベルト
・弦楽三重奏曲 第1番 変ロ長調 D.471

演奏:トリオ・ツィンマーマン
 ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン
 ヴィオラ:アントワーヌ・タムスティ
 チェロ:クリスチャン・ポルテラ

録音時期:2009年7月(モーツァルト)、2010年7月(シューベルト)
録音場所:ストックホルム、旧音楽アカデミー大ホール

http://ml.naxos.jp/album/BIS-SACD-1817

Bissacd1817

 

 

ベートーヴェン:弦楽三重奏曲集/トリオ・ツィンマーマン【BIS】[Hybrid SACD]

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
・弦楽三重奏曲 第2番 ト長調 Op.9-1
・弦楽三重奏曲 第3番 ニ長調 Op.9-2
・弦楽三重奏曲 第4番 ハ短調 Op.9-3

演奏:トリオ・ツィンマーマン
 ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン
 ヴィオラ:アントワーヌ・タムスティ
 チェロ:クリスチャン・ポルテラ

録音時期:2010年7-8月、2011年8月(第3番)
録音場所:ストックホルム、旧音楽アカデミー大ホール;ベルリン、ポツダム広場マイスターザール(第3番)

http://ml.naxos.jp/album/BIS-SACD-1857

Bissacd1857

 



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3 Comments

  • 自己レス・・・みたいなもの。
    追記がてらに。

    レコ芸の最新号(2013年8月号)にBISのロベルト・フォン・バール社長へのインタビューがあって、
    その中でツィンマーマンと契約を結んだことが明言されてましたね。
    EMIがユニヴァーサルに買収されて、そのユニヴァーサルの今の路線があの調子では、
    まともなミュージシャンなら見切りつけたくもなりますよね・・・。

    あとユニヴァーサルのEMI買収の影響で不安要素になることの1つが、
    ウェルザー=メストがチューリッヒ歌劇場GMDの時代にDVDでリリースしていた
    『ばらの騎士』や『タンホイザー』『マイスタージンガー』などの映像・音源が
    どういう扱いになるのかな?・・・と。
    BDでプレスしてリリースしてくれるのが一番ありがたいのですが、
    逆に死蔵化されてDVD再発すらないという最悪の事態も・・・?
    今年はワーグナーイヤーなのに『タンホイザー』と『マイスタージンガー』が
    今のところ出てきてませんし・・・なんか嫌な予感しかしない・・・。

  • 自己レス・・・というか訂正(苦笑)

    >EMIがユニヴァーサルに買収されて
    この際に欧州委員会が欧州での市場占有率を肥大化させないよう条件を出したらしく、
    EMI傘下のパーロフォンレーベル・グループを切り離してワーナーミュージックに
    売却することになったとかで、先月初めにその買収が完了したそうです。
    対象はパーロフォンと欧州圏のEMIミュージック、EMIクラシックス、Virginクラシックス
    (ただしEMIでもビートルズは対象外でユニヴァーサルの手元に残るのだとか)。
    それでラトル&ベルリン・フィルの新譜、ラフマニノフのシンフォニックダンスと『鐘』の
    ディスクには赤のEMIでなくワーナーのロゴが付いているようです。
    なんかすごくややこしい・・・。
    ポピュラー系はともかく気になるのはクラシック部門の方で、フルトヴェングラーとか
    古いのから膨大な量になるはずですが、それがどういう扱いになるのか・・・?
    それとEMIジャパンはユニヴァーサルの日本法人にすでに統合されてますし、
    その中でクラシック部門がどうなるのか国内盤の扱いも疑問も出てきます。
    再販制の悪しき恩恵でお高い価格に固定されてる日本盤なんて知った事ではないですが(苦笑)。
    ですので、個人的に気になるのは欧州盤の元になってる録音・映像資産の行方ですね。
    再発もなく死蔵化されたらそれこそ目も当てられないんですが・・・。

  • 更に追記・・・というか、しとらすの個人的願望。
    映像はともかく録音の方は最悪CD再プレスはなくともストリーミング配信を
    やってくれるなら、いつかNMLで聴ける時が来るかも・・・なんですが、
    映像はなぁ・・・せめて比較的新しめのくらいはBDでリリースしてくれると
    助かるのですが、ワーナーがどう判断するか・・・?
    実は先日バレンボイム&クプファーのバイロイト『指輪』の欧州盤BDを
    5000円ほどで買いまして、もちろん日本語字幕なんて付いてませんから、
    時間があればドイツ語字幕を表示させて高辻訳『オペラ対訳ライブラリー』と
    睨めっこしながら観てるのですが、90年代初めの記録でも綺麗なものですね。
    ウェルザー=メストとチューリッヒ歌劇場のオペラ映像、BDで再プレスされれば
    ぜひとも買って観てみたいものですが・・・。

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