京都市交響楽団 第487回定期演奏会

2006年4月22日(土)18時開演
@京都コンサートホール(大ホール)

◆L.v.ベートーヴェン 『レオノーレ』序曲第3番 Op.72b
◆L.v.ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番ハ長調 Op.15
(休憩)
◆R.シュトラウス 交響詩『英雄の生涯』Op.40

指揮:大友直人
ピアノ:スティーヴン・コヴァセヴィッチ
コンサートマスター:グレブ・ニキティン

 9日に50周年記念演奏会がありましたが、定期としては本日が今年度初めての京響。会場に来る前に京都府立植物園をゆっくり散策して花見と洒落こんでいたのですが、それでも(いつもは開演時間ギリギリに行くのに)随分早くに京都コンサートホールに着いてしまい、でもそのおかげでロビーコンサートを楽しむことができました。
 京響創立50周年の記念の一環ということで、 定期の開演前に大ホールのホワイエで団員さんたちによるアンサンブルのロビーコンサートをすることになっているそうで、今日の担当は第2ヴァイオリンの三瀬由起子さんとハープの松村衣里さん。曲目を控えるのを忘れてしまいましたが、いい演奏でした。わたしは1つ上のフロアから見ていたのですが、私のすぐ隣に2ndヴァイオリンの方がご覧になってました。先輩団員から見てどうだったのでしょう・・・?

 そういえば、大ホールに入って受付のすぐ後ろに3月まで首席ファゴット奏者だった仙崎さんのお姿が。9日の時も同じようにいたよなァ~、と思い切って声を掛けてみると、
「今はこういう仕事なので・・・」
と名刺を頂きました。拝見すると、京都市音楽芸術文化振興財団(京都コンサートホール・京都会館・円山公園音楽堂等、京都市の9つの文化施設の管理運営を市から受託している財団)の企画事業課長の文字・・・そうですよね、あれだけ現場で貢献された方をただ定年させたんじゃぁ、もったいないですものね。市民税払ってる者からしてもありがたい人事です(笑)。

 さて、今日の定期、メインは大フィルと同じ『英雄の生涯』ですが、前半のプログラムも1曲目が曲は違えどベートーヴェンの序曲、コンチェルトも大フィルはR.シュトラウス最晩年の曲で古典的な趣のする端整な曲、京響はベートーヴェンの若い頃の曲(つまりはバリバリの古典派)、なんかプログラムの組み方が大植さんと大友さんで似通っているように思えて、御二方の狙いのベクトルも同じ方向なのかなァ~と想像してみたり。芸風の異なるこの2人、年は1つ違い(大植さんの方が1つ年上)で大学も同じ桐朋ですけど。
 チェロのトップには上村昇さんがいました。あとで知ったのですが、大阪シンフォニカーのコンマスの1人、田村安祐美さんも1stVnの真ん中辺りにいました。

 1曲目。同じベートーヴェンでも大フィルと京響では響きとか違いますけど、キチッと整ったアンサンブルで、颯爽とした感じのとても充実した好演奏。タイプは違えど昨日の大フィルに負けてなくて、後に続く曲にも期待を持たせてくれます。

 2曲目。スティーヴン・コヴァセヴィッチ、私は初めてでしたが、EMIにソナタ全集を録音するなど、ベートーヴェンには定評のあるピアニストだとか。ドイツものが得意という先入観とは異なり、思ったよりも明るく粒のくっきりした音色で、繊細さを感じる反面、テンポ感・リズム感がとてもよく、ダイナミックレンジもしっかり感じとれて良い印象を持ちました。第3楽章などタッタッタッと小気味よく前に進む様がリズミカルでスピード感に溢れてて、若々しさを感じる心地好い演奏でした。

 エキストラも多く参加しててステージは大人数の後半、お待ち兼ね?の『英雄の生涯』。上村さんがいるせいか、出だしの音の質感もナカナカのものです。昨日の大植&大フィルのように1人の男の人間模様を目の前に映し出されるような標題音楽的なものだったり、官能的雰囲気とダイナミックレンジ・絶妙なゲネラルパウゼで人の心を奥底から揺さぶりまくるような体験も、どちらもなく、かといって無味乾燥などということはなくて、色彩感豊かな響きとバランスよく整えられたアンサンブルを武器に、端麗で颯爽とした純音楽的表現の‘音’巻物を聴いているようでした。全体として堅実な運びですがここという見せ場というか聴かせどころ、例えば「戦い」の場面なんかもスリリングでスペクタクルな感じがよく出ていた素晴しい演奏だったと思います。2日続けて良い演奏に出会えるなんて、う~ん、なんて幸せだ(笑)。
 ニキティンさんのソロはvery good!で、弦もすっきりとよく通る響きで大フィルとは違った魅力を打ち出せていて良し。 Ob高山さんとCl小谷口さんのソロも素晴しかったです。木管だけでなくホルンのセクションなど金管も良かったし。最後の音、響きの余韻が静まるのを待って拍手するなんて、いつもの京響定期ではありえない聴衆のお行儀の良さ(苦笑)が出ましたが、いつも以上の盛大な拍手が今日の演奏の出来を物語っていたように思えます。団員さんたちもみなさん充実した満足げな表情でした。

京都市交響楽団創立50周年記念演奏会~ブラームス・ツィクルス~

 春は別れと出会いの季節。京響も定年とかでコンマスの工藤さんやファゴットの仙崎さんら3月で退団された団員が7名ほどいらっしゃったようですが、去る人あれば来る人あり、というが人員補充してもらわないと困るわけで、私の市民税はそのために払っているようなものですし(爆)。その来る人の1人が京都新聞の「車いすのオーボエ奏者が初練習 京響入団のシャレールさん」という記事でも紹介されていたフローラン・シャレールさん。あのパリ国立高等音楽院出身だそうで。契約期間が3年までと限定されている兵庫芸術文化センター管弦楽団から京響への移籍。
 それからコンマスのグレブ・ニキティンさん。札響と東響でコンマスだった方ですが、昨年の12月定期に出てたのは今思うとこれの布石だったんですかね?東響からということは大友さんが連れてきたのだと思いますが、東響さんに悪いなぁ・・・。

 あとでも触れますが今日の演奏会では途中で大友さんとミッチーの対談があり、その中で大友さんが「今年メンバーが大幅に入れ替わることで今は過渡期だと思う」と仰ってましたが、ニキティンさんやシャレールさんはじめ最近新しく入団された方々にはより一層頑張ってほしいと期待しています。

閑話休題

京都市交響楽団創立50周年記念演奏会~ブラームス・ツィクルス~
2006年4月9日(日)14時開演@京都コンサートホール(大ホール)

第1部(14:00~)
◆J.ブラームス 交響曲第1番ハ短調 Op.68
(休憩)
◆J.ブラームス 交響曲第2番ニ長調 Op.73

第2部(17:30~)
◆J.ブラームス 交響曲第3番ヘ長調 Op.90
(休憩)
◆J.ブラームス 交響曲第4番ホ短調 Op.98

指揮:大友直人【1・3番】、井上道義【2・4番】
コンサートマスター:渡邊穣【1・3番】、グレブ・ニキティン【2・4番】

 なにはともあれ、演奏者の皆さん、長時間お疲れさまでした m(_ _)m

 ベートーヴェンの交響曲を1日で全部やるイベントは最近見かけますが、ブラームスは曲が渋いから、この手の企画には縁がなさそうで・・・。かく言う私もブラームスは特に好んで聴きこんでいる方ではないので、逆に言うと、こういう企画は結構ありがたかったりしました。でも演奏する方は単純な時間以上にものすごくシンドいことだと思いますよ。並の40分前後の曲×4ではなくて、なんといってもブラームスのシンフォニーですからね。聴く方もある意味シンドいっちゃぁシンドくはあるのだけど(苦笑)。

 そして1部と2部の間には大友さんとミッチーのトークイベントもありましたが、敢えて汚れ役を引き受けるつもりなのか、憎まれ口の多いミッチーを、大友さんが懸命に宥めてポジティヴ発言を繰り返してるあたりの、大学(桐朋)の先輩後輩同士の掛け合いは面白かったです。ミッチーの
「本番だけでなく練習もここ(京都コンサートホール)でできるように」
とのご意見(市長と文化市民局長は聞いてますか?)には大友さんもさすがに
「練習と本番が同じ本拠地でできるのは、今の日本では新日本フィル(すみだトリフォニーホール)と東響(ミューザ川崎)しかなく、京都も・・・」
とやや遠慮がちに賛意を示されてたり。でもまあ、桝本市長も挨拶に来てましたし、おそらく他に市のお偉いさんも来ていたと思いますので、ミッチーみたいなタカ派発言は立場上しづらいですよね。
 ただ、オーケストラの響きはホールと一体になって作りあげるものですし、ゲネプロだけではなしに普段の練習も同じホールでできるというのは非常に大きいメリットですね。ゲネプロだけでいいので時々でも一般公開してくれると、京響の情報の公開・発信にもなりますし。
 それから、2人が声を大にして
「京都は日本の文化発信地としての役割を積極的に果たすべきで、(日本古来ではなく西洋から新しく入ってきた文化の代表として)オーケストラを発展させて京都の文化発信に貢献すべき」
との旨おっしゃっていたのも、とても良かったです。それ、ぜひ2人で京都市議会で言うてくださいな!

 あと、1部が終わってから桝本市長の挨拶がありましたが、『グレの歌』を‘グルの歌’と言ってしまったのはご愛嬌?大友さんがすぐにコッソリ耳打ちしてました(笑)。

 肝心の演奏の方ですが、4曲とも特に穴がなく、どれも2人の指揮者によって丁寧に磨き上げられた、高水準の素晴しい演奏でした。どれがいいかは聴き手の曲や指揮者の好みの違いで分かれると思いますが、私が特に印象に残ったのは1番と4番でしょうか。

 1番はObの高山さんとClの小谷口さんによる透明で美しい音色でのソロを筆頭に木管が特に良かったし、終楽章で一歩一歩力強く確かな歩みを見せるようにラストのクライマックスへ向かっていくさまもベリーグッドでした。大友さん、指揮棒を下ろして団員に向かって小さくサムアップ!

 2番はコンマスにニキティンさん、そしてObでいよいよシャレールさん登場。シャレールさんは御披露目でとても張り切っていたのか、それともいつも同じなのか、吹く時に上半身を人一倍揺らす揺らす(笑)。最初はちょっと硬さがあったかもしれませんが、調子が出てくると大フィルの若きコンマスさんみたいに‘エキサイティング・フローレント’と化したような(笑)。芯のしっかりした明るい音色で、音もよく鳴ってましたし、いいオーボエ奏者が入団してくれてメデタシメデタシ。演奏が終わってから、ミッチーが真っ先にシャレールさんに歩み寄って、握手して聴衆の拍手を集めさせていたのにもグッときました。
 ミッチーの指揮は糸を丹念に縒りあわせるような音の響きと演奏で、テンポもやや遅めだったでしょうか。終楽章は少しくらいハジケてくれるかと思ったらそうでもなく、ちょっと予想外でしたが(笑)、丁寧な造形に好感が持てました。大植さんが大フィル1年目の定期でやったのに比べると、今日の方が完成度も高く、素晴しい演奏だったように思います。

 3番は私にとって4つの中で最も縁の遠い曲ですが、4つの楽章とも最後は静かに終わるのに、実は全体はこんなにエネルギーに満ちたものだったのかと浅はかな認識を改めさせられるような好演奏でした。『のだめカンタービレ』の台詞じゃないけど、ブラームスをナメてかかったらアカンいうことですよね・・・。

 4番は生で聴くのは実に10数年前に朝比奈さんが新日フィルに客演した演奏会以来です。あの時は前半に園田高弘さんのピアノで2番コンチェルトを、後半に4番で、朝比奈&新日フィルのブラームス・ツィクルスの一環だった(録音と映像収録あり)わけですが、朝比奈さんも園田さんも今は天国で演奏活動している身。私にとってそんな想い出のある4番ですが、今日のミッチーもあの時の朝比奈さんに決して引けをとらず、とても熱く、かつ大変深みのある4番を聴かせてくれました。今日の中では最も充実した演奏だったように思います。スタンディング・オベーションする人もチラホラいた様子でした。

 熱心な拍手が続いた後のアンコールはハンガリー舞曲の1番を、指揮者が途中で入れ替わるという、ぶっつけ本番の曲芸?付きで。はじめは大友さんが指揮台に上がったのですが、入れ替わろうとする時のミッチーの思わせぶりな演技に思わず腹を抱えて笑いそうになったり、とても面白い趣向でした。

 対談の最初でミッチーが
「みんな前半で帰っちゃって、隣(桜が満開で見頃の府立植物園)に(お花見に)行っちゃうんじゃないかって心配してた」
みたいなことを仰ってましたが、日曜日のダダ混みの中で花見に行って疲れて帰ってくるよりは、今日の演奏会を聴いた方が絶対に精神的には幸福に浸れる、そんな一日でした。

春霞の京都・嵐山

今日は午後から大阪に所用があって出かけたのですが、阪急電車に乗るためには私の場合嫌でも渡月橋を渡らないといけないわけで・・・さすがにこの時期は案の定、観光客で一杯でした。

今日は午前中ちょっと雨が降ったりしてましたが、午後出かけた時も春霞みたいですが黄砂の影響のようで少しモヤがかったみたいでした。

嵐山の風景↓
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桜の花見:賀茂川→嵐電北野線“桜のトンネル”

賀茂川沿いの出町柳(賀茂川と高野川の合流点)から北大路まではソメイヨシノ、北大路から北山通(植物園の西)の間は紅枝垂の並木道になっています。

この付近は注意しないとソメイヨシノの枝で頭ぶつけたりしますので、あまり桜に目を奪われすぎませんように・・・。
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