京都市交響楽団 第497回定期演奏会

2007年2月18日(日)14時30分開演
@京都コンサートホール(大ホール)

◆J.シベリウス 組曲『カレリア』 Op.11
◆J.シベリウス 交響曲第7番ハ長調 Op.105
(休憩)
◆J.シベリウス ヴァイオリン協奏曲ニ短調 Op.47
 ※ヴァイオリン・ソロ アンコール
 ◇J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番ハ長調BWV1005~第3楽章「ラルゴ」
◆J.シベリウス 交響詩『フィンランディア』

指揮:井上道義
ヴァイオリン:諏訪内晶子
コンサートマスター:渡邊穣

 今年で没後50周年のシベリウス。それもあってのオール・シベリウス・プロなのでしょうが、チケット完売でほぼ満席(3階に若干空席が目立ってましたけど)の今日の聴衆の中で、7番を最も楽しみにしてきた人というのは果たして何%でしょう・・・?!ちなみに、私はその数少ない人間の1人(笑)。7番を生で聴く機会なんてそうそうないですしね。

 今日はチェロのトップに上村昇さんの姿があった他、1stVnのエキストラの中に大阪シンフォニカー・コンミスの田村安祐美さんもいました。それから、コントラバスの配置がステージ中央最後方で、その代わりTpとTbが客席から見て右手後方という、いつもとは違う配置でした。

 組曲『カレリア』はシベリウスの初期の中では私が最も好きな曲です。「間奏曲」のはじめの方でホルンがやや不安定なところがありましたが、「バラード」「行進曲風に」は程よく抑制の効いた好演奏で、特に「行進曲風に」の小気味よい曲想(Tp等の旋律)につい体でリズムをとろうとしたり(笑)。

 次に前半のメインは7番交響曲。出だしのチェロの旋律の音に「今日は上村さんがいてよかった!」と幸せを感じて(誤解のないように言っておくと大フィルほどのパワーがない以外は京響のチェロもいいんですよ)、はじめは厳かな雰囲気を漂わせて、その中で心の内面の世界にゆっくりと歩を進めるような感じでしたが、アレグロ・モデラートのあたり?(楽譜を持ってないのでよくわからないのですが)でしょうか、グッとアクセルを踏みこんだようで、そこからは終始速めのテンポだったように思います。少なくとも私の持っているベルグルンド&ヨーロッパ室内管盤よりは明らかに速いテンポでした。それで得た効果は、この曲が内心の奥底に秘めているパッションというかドラマティックな‘熱い’部分を曲の雰囲気が壊れないギリギリまで表にさらけ出した、というところでしょうか。「この曲ってこれほどドラマティックでエネルギッシュで‘熱い’と感じるような曲だったっけ?」と思いましたが、イメージとバランスを崩す一歩手前でこの曲が持つ別の側面を浮き彫りにしたという意味で素晴らしい演奏でした。
 コントラバスを中央に配したのとチェロを上村さんがしっかりリードしていたせいか、今日の京響の低弦はいつもよりずっと音を響かせていたように思いました。そして後半で何度か出てくる弦のトゥッティでの、透き通っていて暖かいとすら思えるほど心地好い冷たさのVnの音色が絶品でした。大フィルとは違う京響の弦の魅力が充分に出ていたように思います。
 また、金管を中央でなく両外側(Hn左にTpとTbが右)に配したことで、強奏時にもストレートに音が耳に入ることがなく包み込むように聴こえてきて、変なドぎつさを感じずにすんだのはシベリウスの特に7番ではよかったと思います。首席が揃い踏みだった木管はもう言わずもがな。『カレリア』もそうでしたが、ソロええわぁ~(笑)。

 後半はシベコン。おそらくほとんどの人は諏訪内さん目当てでこの曲を聴きに来たのでしょうが、ソリストの出だしの音に・・・「?」・・・力みのない軽い、と言えば聞こえがいいのですが、それよりもむしろ芯の抜けた冴えない音に聴こえて・・・ハイ、そこのあなた。「早野乙!!!」とツッコミ入れないように(爆)。

 それはともかく、3年近く前に大フィル定期でストラヴィンスキーのコンチェルトを聴いた時には、音の線が細いながらももっと鋭く研ぎ澄まされたものを感じたのですが、今日は技術の高さ以上のものは私には感じられませんでした。3階席だったからですかねぇ~???5年前に諏訪内さんが録音したシベコンは名盤の誉れが高いですし(残念ながら私は未聴)、彼女のスタイル的にもこの曲に合ってそうに思ってましたので、他の聴衆ほどには期待してなかったとはいえちょっと残念でした。バックのオケは前半同様に質の高い演奏でよかったと思います。ソリストとのバランスで押さえ気味なところが多かったようですが・・・。
 アンコール無いだろうと思ったら、熱烈なカーテンコールの後に・・・ありました(笑)。バッハの無伴奏から「ラルゴ」でしたが、赤ちゃんに子守唄代わりに聴かせるかのように軽くやわらかく、そして暖かみを感じる美しい演奏で、シベコンよりもこっちの方が私は良いと思いました。3年前の大フィルとのストラヴィンスキーからはちょっと想像しづらい演奏でしたが・・・。

 さて、ラストの(実質アンコールとも言える)『フィンランディア』の前にミッチーのスピーチがありました。マイク無しだったので3階席では全部は聞き取れなかったのですが、アンコールの曲の紹介、彼と諏訪内さんとは今日が初共演だったということの他、シベリウス・プロということだからでしょう、今日は雪が降ってほしかったけど・・・とおっしゃってましたが(この後「努力が足りなかった」と言葉が続いたらしいです・笑)、昨年ならいざ知らず今年はあいにく記録的な暖冬なんですよね~、いくら京都の、しかも北山でも(爆)。

 そんな挨拶の後の『フィンランディア』でしたが、流すどころかフルパワーでバリバリ・イケイケの熱のこもった演奏(爆)。みんなよっぽどシベコンで鬱憤が溜まってたとしか・・・(以下略)。

 というわけで全体的には京響の持ち味が如何なく発揮された満足の行く演奏会でした。満員に近いお客さんが入ったわりにはフライング拍手もフライングブラボーもなく、聴く方もまあまあのマナーでしたし。

 来月もまたヴァイオリン・コンチェルト(今度はベートーヴェン)があり、メインがラフマニノフの2番交響曲。指揮は大友さんです。大友さんのラフマニノフは何年か前に交響的舞曲を聴いてて良い印象を持っているので、2番交響曲にも期待したいと思います。
 ちなみに、今年度恒例となっている開演前のロビーコンサートは次回が最後らしいので、ちゃんと早めに行こうと思います。「次で最後」ということは、やはり来年度からはやらないということなのでしょうか・・・?いい企画なのにモッタイナイナァ・・・。