大友&京響のエルガー・プロ(京響504回定期)

今年はエルガー・イヤー(エルガー生誕150周年)ということもあるのでしょう、日本人屈指のエルガー指揮者として評判の高い大友さんが今年の京響の定期で交響曲を2回にわたって採りあげます。今日が言わばその第1弾ですが・・・。

京都市交響楽団 第504回定期演奏会
2007年9月30日(日)14時30分開演@京都コンサートホール(大ホール)

◆E.エルガー チェロ協奏曲ホ短調op.85
(休憩)
◆E.エルガー 交響曲第1番変イ長調op.55

指揮:大友直人
チェロ:横坂 源
コンサートマスター:グレブ・ニキティン

 せっかくの日曜開催、それなりにお客さんが埋まってるかなぁ・・・と思ったら・・・7割いるかいないか。すっくなぁ~(苦笑)。雨の影響かもしれませんが、それでも京都の現実を見た思いでガッカリ。しかも老人比率が高いようで嫌な予感がしてたのですが、案の定、近頃のお年寄りは行儀が悪いので、演奏中に(主に1階席から)客席ノイズがひどいこと。飴の包み紙を開ける音、杖やらパンフやら手荷物を落とす音、鈴(ケータイに付けてるの?)を鳴らす音、咳・クシャミは口を手で押さえず大きな音で・・・エルガー聴く気がないなら来なきゃいいのにねぇ。しかも‘京響定期恒例’で演奏終了直後にカーテンコールの最中でこれ見よがしに席を立つ人多し(日曜のまっ昼間でっせ?慌てて席を立つ必要がどこにある?)。前後半通してとてもクオリティの高い演奏だったのに、大友さんや横坂さん・楽員さんたちが気の毒でした。

グチはこれくらいにして、閑話休題・・・。

 今日は開演に先立ってロビーコンサートがあったようでした。私は遅く行ったので残念ながら聴き逃してしまいましたが・・・orz
 プログラムのメンバー表を見ると、今日はトラが数名程度しかいないのにObに2名も・・・?と思ったら、高山さんがお休みでした。前後半通じて今日はシャレールさんが1番。あと、チェロ首席に上村昇さんが入っていました。

 前半のソリストの横坂さんは、まだ20歳そこそこでシュトゥットガルトの音大に在学中の方だそうですが、技術や音量・音色がしっかりしていただけではなく、エルガーにキチンと正対して作品に忠実に音の世界を描こうとしていたのにはとても好感が持てました。表現に変な偏りもなく、エルガー晩年の作品なのでオニィチャンにはどうだろう、と要らぬ心配をして損しました(爆)。
 ただ、ややぎこちない感じでカーテンコールを受ける姿はやはり年相応(笑)。楽員からも暖かい拍手が送られていましたが、弦のセクションではニキティンさんとともに上村‘教授’が率先して拍手を送っていた姿が印象的でした。横坂さんは来年7月にシンフォニカーの定期でショスタコのチェロコンをやりますので(大友さんの指揮)、こちらが俄然楽しみになってきた、今日の演奏でした。

 さて、オケは前半でもとてもいい伴奏をつけていましたが、後半も期待に違わぬ素晴らしい演奏でした。紡ぎ出される音がどれもエルガーの音楽に相応しい美しさと品格。弦・木管のソロも文句なし、菊本&ナエスで1・2番コンビだったTpもいかにもイギリスぅ~な音もグッド(やはりナエスさんの加入は大きい)。上村さん効果か中低音がいつも以上に芯のしっかりした印象の弦のカラフルできれいな響きもまた良し。終始格調の高さと深みのある表現で全体の造形もしっかりとバランスよくなされた印象で、さすが伊達にエルガー指揮者として名高い大友さんと彼と付き合いの長い京響のコンビだけはあるんだよね、と思いました。
 演奏終了後のカーテンコールでは、
“指揮者は楽員たちを立たせようとするけどコンマスを筆頭にみんな立とうとしないで指揮者に拍手を送ったり足をドンドン踏み鳴らしたりする”
という、大植&大フィルでは毎度お馴染みで先日の児玉&シンフォニカーでも見かけた光景を、なんと!ここでも見ることができました。だよね、これほどの充実した音楽を聴かせてくれたんだもん、そうだよね・・・。

 ああ、だから、だから・・・

 終楽章の最後のクライマックス、もっとホールを響かせる音量を出さしてエエのんとちゃうの?と思ったのは贅沢でしょうか?第1楽章であれだけ胸をはって浪々と語るような音楽を作っていたのですから、きっと終楽章のクライマックスは凄いんだろうなぁ・・・と曲が終わったら泣く準備してたんですが(爆)、ラストに向かってテンポと同時に音量も抑え気味に感じられて、ちょっと肩透かしを食らったような気分でした。たまにはハメを外してもっと弦を鳴らしてもよかったのに(「情熱は内に秘めるもの」と言われればそれまでですし、私のエルガーに対する理解がまだ浅いだけなんでしょうけど)・・・まぁここでハメを外さないのが大友さんらしくて京響らしくて。大友さんとは指揮者としてのタイプが異なるのでコリン・デイヴィス&LSOのライヴ盤のような熱い高揚感なんて望んでなかったけど・・・。
 ですがトータルで見たらとても素晴らしいエルガーの1番でした。生で聴いたのは初めてでしたが、その初めてが大友&京響のコンビで聴けたので幸せです(だってあとエルガーで期待できるとなれば日本のオケでは東響や札響くらいでしょう?6月の湯浅&関フィルの2番を聴いて思ったのですが、英国音楽があまり採りあげられない日本ではエルガーはある程度場数をこなさないと“いい演奏”以上の演奏はできないんだなぁと)。2ヵ月後の2番もとても楽しみです。今日のようなやり方は2番の方がヨリ合ってるかもしれませんね。ラフマニノフのピアコンの3番との組み合わせというのがちょっとあれですが、ソリストが小山実稚恵さんだからまあいいか、と。
 心配なのが客の入り・・・平日なんですよねぇ・・・。関西圏のクラシックファンの皆さん、ぜひおこしやす!

 帰り道に本屋さんで『音楽の友』の10月号を見てきました。「はじける! 日本のオーケストラ」と題した特集があって、その中で丸々2ページを使って広上さんへのインタビュー記事があったのですが、京響との今後については過去に新聞記事に載ってたのとほぼ同じ内容でした。登場回数が少ないのは来年だけじゃないのかぁ(年間の5分の1で理解をもらった、とありましたので)・・・とその点がとても残念でしたが、その代わり客演指揮には実力者(広上さんいわく「シェフが見劣りするほど」だったかな)を呼ぶと明言されてましたので、じゃあラトルとまでは言わないけど大野さんくらいは呼んでよね、と心の中でツッコミ入れましたが(爆)、広上さんの人脈で誰を連れてくるのか楽しみですね。
 あとはコロンバス響との交流や定期2日間公演への意欲も他の記事同様に語られてましたので、かなり本気なのでしょう。国際交流するならコロンバス響と同じオハイオ州のクリーヴランド管やシンシナティ響も連れて来て・・・というのはわがままでしょうか?(笑)ついでにオハイオ州立大のオハイオステート・バックアイズも京都に呼んで、京大ギャングスターズや立命大パンサーズの交流試合をする橋渡しもしてほしいな、と(爆)。

閑話休題

 広上さんはインタビューの中で、京響常任に就くことでコロンバス響と東京音大と併せて自分の中で3つの柱ができることになった、とおっしゃってましたが、他の言葉から見ても腰掛ではなく相当本腰を入れて京響との仕事にじっくり取り組んでくださるものと推測(というか私の希望)しています。
 ただ、活動再開後は仕事量を以前に比べて抑えているようなので、その中でコロンバス響に10週間と東京音大の教授職があって、大友さんのようには京響を振る回数が取れない、というのは仕方ないのかもしれません。無理をして体調不良で定期をドタキャンされたり以前のように長期休養なんかされたりしても困りますし。
 もっとも、再来年以降は極力日本での客演分を京響に回してほしいとは思いますし、「言ったことは実行してね」=「広上さん以上の実力レベルの指揮者(日本での知名度なんかなくて結構)をちゃんと連れてきてね」です。それから来年以降のプログラミングも名フィルやシンフォニカーに負けない、マニアが喜ぶ替わりに柔な老人連中が寄り付かなくなるほど斬新な(爆)内容にしてほしいな、と。
 気になったのが「アメリカのオケと比べて日本のオケは指揮者にすぐ飽きやすい」と話していることですが・・・う~ん、そうなんですか?

 さて、音友の特集、地方のオケもそれなりにきちんと採りあげてあったのはいいのですが、在阪オケの扱いが・・・。
 ティエリー・フィッシャーさんが来年からシェフに就く名フィルが、テーマ性を持たせた斬新なプログラムと相まって結構大きく採りあげられていましたので、この特集記事があと1ヶ月遅かったら児玉宏&シンフォニカーも大きく採りあげてもらえたかもしれないなぁ、と思いました。ちょっと就任発表のタイミングが音友の編集とズレてしまったのは残念でしたね。
 あと巻頭言で東条碩夫さんがN響の保守性を痛烈に批判していましたが、大フィルも来年しだいでは同じ批判を受けることになるのか・・・?!

片山九郎右衛門さんの記事

来月の片山九郎右衛門さんの公演に関する記事がありました。喜寿祝で『安宅』のシテを務めるそうですが、『安宅』のシテというのはそう、弁慶のことです。

記事中に
「筋力トレーニングに励みつつ」
とありますが、77歳の人間国宝がスポーツジムで筋トレなんて想像がつきませんけど、それができるだけまだまだお元気な証拠なのだとホッとしています。

九郎右衛門さんの舞台はしばらく拝見してないなぁ・・・と思いつつ、こうした特別の会ともなれば油断してるとすぐチケットが売り切れたりして、一昨年でしたか?『関寺小町』も結局逃したり・・・。オマエの情報収集が遅いからだ!と言われればそれまでですが・・・(苦笑)、見れる方が羨ましいです。

観世流・片山さん、喜寿で挑む弁慶 来月、京で大曲「安宅」上演へ
【京都新聞 2007年9月26日】

 観世流シテ方の人間国宝・片山九郎右衛門さん(77)が、10月13日に京都市で開く「喜寿を祝う会」で大曲「安宅(あたか)」を舞う。歌舞伎の「勧進帳」の元になった曲で、主役・弁慶のエネルギッシュな男舞が見せ場。上演が1時間半を超え、70代での挑戦は異例だ。九郎右衛門さんは「おそらく最後の安宅。気の抜けた舞台にはしない」と筋力トレーニングに励みつつ、本番に臨む。

 「安宅」は、幽玄の世界とは対極にある「力の能」の代表曲。劇的な起伏と緊迫感に富み、特に、変装した山伏8人を従え、関守の富樫と渡り合う弁慶は、能の中でも屈指の大仕事とされる。

 同じく観世流シテ方の長男清司さん(42)が「もう1度おやじの安宅を見たい」と話したのが挑戦のきっかけ。8年前の舞台が最後と感じていた九郎右衛門さんは「まさかこの年で無理」と思ったが、強く請われるうち「心身共に充実している今なら、気負いがあった昔とは違う安宅が舞えるかも」と決心した。

 今回はさらに小書(特殊演出)で「延年の舞」を付けた。関所の通過を許されてほっとした弁慶が、富樫に勧められた酒を飲み、豪快に舞う。力強く跳び上がる場面などにも耐えられる足腰を維持するため、普段から両足に各1・5-2キロのウエート(重し)を着け、毎週欠かさずスポーツジムで筋トレに励む。

 「筋力の衰えは仕方ないが、できれば少しでも先に延ばそうと。悪あがきですわ」と笑う。

 小柄で、品格のある女役を得意とする九郎右衛門さんは「弁慶はもともとニン(適役)でない」という。だが難曲の「安宅」を生涯で一、二度しか舞わないシテが多い中、30代の初演から7、8回も務めてきた。

 「最初のころは若いのに息が上がったが、だんだんと力の配分ができるようになった。でも昔の舞台をビデオで見れば、まだ下手やなあ」と話す。

 喜寿での挑戦に、周囲の反応は驚きと期待が混じり、約550の席券は完売した。

 「私の年齢でできる安宅を、それなりにやってみたいだけ」。謙虚な口ぶりの奥に並々ならぬ気迫を忍ばせている。

■安宅
 兄の頼朝に追われる身となった義経一行は山伏と強力に変装して奥州に落ち延びる途中、安宅の関にさしかかる。怪しむ関守の富樫に対し、弁慶は偽の勧進帳を即興で読み、主君の義経を打ち据えるなど命を懸けた機知で窮地を脱する。シテは、能面を着けない素顔の直面(ひためん)で演じることが多い。

※10/13追記:本日行われた公演の様子も記事になってました。
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京響の記事

ラ・ビッシュ・アンサンブル(京響団員が中心になっている管弦楽八重奏団)のブログで
「明日23日(日)、毎日新聞朝刊(京都府内版)に京都市交響楽団に関する記事が掲載される予定です。」
とありました
ので、どんな記事になるのか楽しみにしていましたが、なるほどなるほど、行政の対応にも踏み込んできましたか・・・。

サポート不足の行政への批判と京響への期待という内容ですね。関西ですとどうしてもハデな大植&大フィルにばかり注目が集まるのですが、これだけの字数を取って署名記事を書いてくれて、嬉しく有難い限りです。ホントは京都新聞が真っ先に書かなければいけないのでしょうけど(苦笑)。

先月の広上さんの常任就任の記事と併せて置いておきますので、ぜひご覧ください。

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茂山千作さんへのインタビュー記事

茂山千作さんへのインタビュー記事が毎日新聞にありました。今年で米寿の千作さん、お体の方がやや心配ではありますが、ひ孫さんとの「以呂波」もありますし、まだまだ元気に現役で頑張っていただきたいですね。

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