待ちに待った通信簿?米ストレステストの結果公表

欧州時間のイベントのあとのアメリカ、NY時間の午後に満を持して・・・なわけないでしょうけど発表された、金融機関19社を対象に実施したストレステストの結果ですが、子どもが通信簿をもらうのとどっちが gkbr かなぁ~なんて考えるのは不謹慎ですかね?(苦笑)

一部金融機関に関しては早めにニュースが出てたりして、株式市場がその報道に振られることもありましたが、結局、資本不足と判断されたのは19社中10社、不足額は計746億ドル、だそうでした。

あいにく詳しい分析能力なんてありませんし(をい)、市場の反応を注意深く見ていこうと思います。


米ストレステスト結果公表、資本不足は10社で7兆4000億円
【ロイター 2009年5月8日】

[ワシントン 7日 ロイター] 米政府は7日、国内金融機関19社を対象に実施したストレステスト(健全性審査)の結果を公表した。資本不足と判断されたのは19社中10社、不足額は計746億ドルとなった。

 ストレステストの公表直後、一部の金融機関は直ちに資本増強計画を発表。339億ドルの資本不足と判断されたバンク・オブ・アメリカは、普通株の発行で約170億ドル、資産・事業の売却で100億ドル、その他の手段で70億ドルの資本増強を図ると表明した。

 会見したバーナンキ連邦準備理事会(FRB)議長は「金融機関が信頼できる資本増強計画をまとめ、再び民間による所有が可能になるよう、慎重に見守っていく」と述べた。

 ストレステストでは150人以上の検査官を投入。財務基盤がぜい弱な銀行と健全な銀行を事実上区別し、貸出債権の劣化に悩む銀行に対し必要な増資の額を具体的に提示した。

 ストレステストの結果公表を受け、市場では、政府が公的資金の追加投入を迫られるとの懸念が和らいだ。米株価指数先物は小高く推移している。

 各行の資本不足額はバンク・オブ・アメリカが339億ドル、ウェルズ・ファーゴが137億ドル、GMACが115億ドル、シティグループが55億ドル。

 ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースは、資本水準が適切と判断され、早期に公的資金の返済を進める意向を示した。

 ノース・スター・インベストメント・マネジメントのエリック・クビー最高投資責任者(CIO)は「国有化や破たんの懸念は多かれ少なかれ消えた。これから明らかになるのは、銀行がどのようにして資本不足をカバーするかについての詳細だ」と指摘。

 アンドレス・キャピタル・マネジメントのロバート・アンドレス社長は「個人的には懐疑的だ。大統領、財務長官、連邦準備理事会(FRB)議長は、銀行への信頼を醸成しようと躍起になっており、本当の意味での監査とは言えないとみている」との見方を示した。

ストレステスト、金融監督改善の指針に=米FRB議長
【ロイター 2009年5月8日】

[ワシントン 7日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は7日、国内大手銀19行を対象したストレステスト(健全性審査)の結果は、金融監督や規制の改善に向けた有効な指針となり得る、との見解を示した。

 議長はシカゴ地区連銀主催の会合で講演し、銀行監督の効果を向上させることがFRBの「最優先事項」であり、金融システム全体を揺るがしかねない問題に一段と注視することは将来における安定性の強化につながる、と語った。

 「われわれの規制システムは金融システム内の潜在的なシステミックリスクを監視・評価し、必要に応じてこれに対応する権限を含まなければならない」と述べた。

 銀行法の一部が効果的な監督の妨げとなっているとの見方を示し、銀行・保険・証券で監督モデルが異なることを例に挙げた。その上で、議会に法改正を求めた。

 「ひとつの金融機関のあらゆる面についての安全性・健全性をめぐる懸念を監督機関が監視し対処する上で必要な手段・権限を確保するためにも、議会がグラム・リーチ・ブライリー法の改正を検討することを期待する」と語った。

 1999年に成立した同法は、米金融制度を大幅に改革し、銀行持ち株会社による銀行・証券・保険業務を可能とした。

 講演では経済や金融政策の見通しには言及しなかった。

 議長はまた、講演後の質疑応答でストレステストの対象19行について、いずれも債務超過のリスクはないとの認識を示すとともに、審査結果は銀行の貸し出し能力に関する信頼感を市場にもたらすだろうと述べた。

 さらに、政府が実施したストレステストは、銀行間の結果比較や損失の推定を行ったことで、通常の銀行監督の枠を超えたと指摘。前例のない一貫性と比較可能性を備えたテストだと述べた。

米ストレステスト:識者はこうみる【ロイター 2009年5月8日】

[ニューヨーク/東京 7日 ロイター] 米金融規制当局は7日、大手銀行19行を対象とする「ストレステスト(健全性審査)」の結果を公表し、10行に対し746億ドルの資本増強を要求した。市場関係者のコメントは以下の通り。

●疑問が残る、精査には時間必要

<アンドレス・キャピタル・マネジメントのロバート・アンドレス社長>

 個人的には懐疑的だ。大統領、財務長官、連邦準備理事会(FRB)議長は、銀行への信頼を醸成しようと躍起になっており、本当の意味での監査とは言えないとみている。

 市場がストレステストの結果をどれほど深刻に受け止めるかは分からない。もう1つの問題は、融資の需要が減少していることだ。消費者信用は落ち込んでいる。

 誰もが明るいニュースを聞きたがっている。それはよいことだが、市場はストレステストの結果を精査する必要があり、精査には時間がかかる。ストレステストは150人の検査官が2カ月かけて作成したものだ。

 個人的には、株価は高すぎると感じている。FRBの量的緩和を考えれば、投資先としては米国債が魅力的だ。

●銀行の速やかな増資計画に驚き

<BMOキャピタル・マーケッツのチーフ為替ストラテジスト、アンディ・ブッシュ氏>

 驚きだったのは資本不足の規模ではなく、不足分をカバーするため銀行が直ちに増資に動いていることだ。これは正しい選択かもしれない。このところの株価上昇を踏まえれば、いまが最適のタイミングかもしれない。

 市場の反応はまちまちとなるだろう。シティグループなど一部の銀行は、資本不足の規模が予想を下回ったが、ウェルズ・ファーゴやモルガン・スタンレーについてはそうは言えない。

●国有化や破たんの懸念が消失

<ノース・スター・インベストメント・マネジメントのエリック・クビー最高投資責任者(CIO)>

 ストレステスト(健全性審査)をめぐり漏れていた情報は非常に正確だったようだ。従って大きなサプライズはなかった。国有化や破たんの懸念は多かれ少なかれ消えた。これから明らかになるのは、銀行がどのようにして資本不足をカバーするかについての詳細だ。一部の銀行は既に普通株の発行を発表しており、今後さらに増資を発表する銀行が出てくるだろう。ただ、資本の問題は次第に薄れていくだろう。

 テストの結果により破たんや国有化の懸念は消え、1カ月前に聞かれたシティグループやバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が国有化されるなどといった話は聞かなくなる。

 しかし、銀行が破たんする懸念がなくなったからといって銀行株が保有するのに素晴らしい株だとは言えない。

●金融機関てこ入れ第一歩になるかがカギ

<アラン・B・ランツ&アソシエーツのアラン・ランツ社長>

 金融機関が最近かなり持ち直しておりタイミング的にも良い。そのため19行のうち10行にとっても増資はかなり容易な状況になるだろう。

 重要なのは、これが金融機関のてこ入れの最初のステップになり、問題の一段の解決になるかどうかだ。これが投資家にとってカギを握る。

●事前報道の範囲でサプライズなし

<RBS証券 シニアストラテジスト 市川達夫氏>

 おおむね事前に報道されていた内容におさまり、サプライズはない。米国株が反落する一方、米債も売られてはいるが、米債に関してはストレステストの反応というよりは30年債入札が不調に終わったことが背景にある。米金融機関を対象にしたストレステスト(健全性審査)の結果については円債市場が反応する材料でもなさそうだ。

 財務省が12日実施する10年利付国債(1兆9000億円、2019年3月20日償還)の入札を控えていることもあり、きょうの円債市場はやや上値の重い展開になりそう。一方で日銀国債買い切りオペ増額の効果もあり、当面、国内投資家からの現物債売りによって金利レンジが大幅に切り上がることも想定しづらい。

●市場の強い不安心理は解消、リスク志向回復にはなお距離

<みずほコーポレート銀行 国際為替部シニアマーケットエコノミスト 福井真樹氏>

 事前報道に沿った内容ではあるが、発表で一定の区切りをつけた感はある。ストレステストの前提となっている成長率や失業率見通しなどは足元水準と同程度に設定されており、これで金融システムが磐石になったとは言いがたい。ただ、市場の強い不安心理を招く状況は回避され得るだろう。大手行から資本増強が表明されており、今後は実際にこうした動きを確認しつつ、市場は落ち着きを得ていくことになるとみている。 

 市場が落ち着いた展開になっても、円安につながるようなリスク志向の動きが広がるかには懐疑的だ。世界景気は下げ止まりの兆しが散見されるものの、予断は許さない状況。投資家のリスク志向への姿勢を示唆するのは株価動向となる。

●リスク選好で資源国・新興国通貨買いへ

<ステート・ストリート銀行 金融市場部長 富田公彦氏>

 米ストレステスト(健全性審査)結果については事前報道が相次いでいたため、発表前に市場はほぼ織り込んでいた。個別行ベースでみても優先株から普通株への転換などで資本不足の解消が可能なようで、政府が支援のために新たに議会に資金を要請して議会が紛糾する事態も避けられるとみている。事前に当局と銀行が十分に調整をつけていたのではないか。ストレステスト結果の発表は市場に安心感を与えることが目的だったとみられ、当局は状況をうまくコントロールしていると評価できる。

 ただ、ドルの位置づけは安全通貨のため、安心感によるリスク選好は為替市場ではむしろドル売り/資源国通貨買い、ドル売り/新興国通貨買いとして表れるだろう。

●観測報道で織り込み済み、株はいったん利益確定売り

<みずほ証券 エクイティストラテジスト 瀬川 剛氏>

 事前の観測報道に沿った結果となりマーケットへの影響は限定的だ。仮に市場から資金調達できなくても優先株を普通株に転換すれば必要な資本額はクリアできるとの見方が事前報道によって市場に織り込まれていたため、一部銀行は大きな資本増強を求められたがマーケットに動揺はない。

 日経平均は過去3営業日で約890円上昇しており短期的な過熱感が出ている。米雇用統計の発表や週末を前にいったん利益を確定させようという動きが出ているが、下値にはこれまでの株価上昇過程で買えていない国内機関投資家の買いが待っている。下値も限定的ではないか。

●イベント通過、株は強含み

<三井住友銀行市場営業推進部 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

 増資が必要な銀行数や増資額などは事前に報道などで伝えられていた数字よりも若干多かったが、サプライズはない。株式相場は足元、楽観相場のサイクルに入っており、短期的にはイベント通過感から堅調な展開が予想できる。日経平均は2008年11月以降、7000円─9500円のボックス圏で推移してきたので、9500円を抜ければ、一時的に1万円に到達することはありうるとみている。

 一方、今回のストレステストでは、2009年─2010年の損失が6000億ドルに達する可能性を示しており、規模としては大きい。ストレステストはターニングポイントと目される半面、長期的に損失額の大きさが市場に織り込まれていく過程が、現在の楽観相場から悲観相場に転換するタイミングと重なることも考えられる。

●焦点は金融仲介機能回復による景気浮揚効果に

<ドイツ証券 シニア為替ストラテジスト 深谷幸司氏>

 米ストレステスト(健全性審査)結果はほぼ事前報道の範囲内。最大の資本不足を指摘されたバンク・オブ・アメリカBACが自力で資本調達できるようで、追加的な公的資金は限定的なものにとどまるだろう。銀行の資本が拡充されることで米金融機関への警戒感はなくなり、ドルのダウンサイドリスクは後退した。ただ、アップサイドも限られる。問題は金融仲介機能が回復して景気浮揚につながるかどうかであり、市場は今後そこをみていくことになるだろう。

●各行の自己申告に不透明感残る

<大和証券SMBC 金融市場調査部 クレジットアナリスト 中川 隆氏>

 事前に報道されていた通りの内容になったことで、ストレステスト(健全性審査)の結果そのものに対するサプライズはない。ただ、ストレステストの前提条件となる成長率・失業率見通しなどは足もとですでに悪化しており、もはやストレステストの意味をなさないとの指摘もある。

 今回の結果は各行が自己申告した予想損失額をたたき台に米連邦準備理事会(FRB)が最終的に算定したものであり、当初から統一した審査基準による立ち入り検査によって算出されたものではない。自己申告の段階で各行ごとに温度差があってもおかしくない。いったん市場のセンチメントがネガティブな方向に振れれば、甘い資産結果を申告したところもあるのではないかという疑心暗鬼を招きかねない。

●米銀のクレジット評価に一定の安定感

<三菱UFJ証券 チーフ・クレジットアナリスト 三島拓哉氏>

 事前見通しとおおむね平そくが合った内容で、市場にとって大きなサプライズにならないのではないか。公的資金活用の選択肢を含めて、米銀の資本基盤強化についてその必要性が高まった。資本増強はリスクの緩衝材につながるため、米銀のクレジット評価に一定の安定感を与えることになるだろう。

 ストレステストには、前提条件として厳しい経営環境が織り込まれている。しかし、いったん多様化したビジネスモデルをどう再構築していくのか、今後の注目点といえる。