日銀金融政策決定会合~第1四半期GDP速報値発表後初

昨日からの日銀の会合は金利は据置きでしたし何か追加対策を打ち出したわけでもなかったのですが、一昨日発表された1─3月期のGDP速報が出た直後ということもあって採り上げてみました。

第1四半期実質GDPは前期比 -4.0%、年率換算で -15.2%。

市場予想よりは良い数値でしたが、それでも第1次オイルショック後の頃よりも悪い数字なのだそうで、この点に関して白川総裁は
「したがって実質GDP成長率という数字についてみると、4─6月期は1─3月期に比べて大幅に改善するとみられる。もっとも景気の先行き見通しについては、在庫調整が終了した後の最終需要の強さがポイントになってくると思う。この点については不確実性が高いということで、私どもとしては下振れのリスクに注意しながら、状況を見ていく必要があると考えている。」
と会見で触れています。

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まぁ、ともかく、白川総裁も麻生首相・与謝野財務相共々今の危機を乗り越えるべく頑張ってください。

少なくとも、影の財務相とやら(=中川正春)が
「民主党が総選挙で勝利し政権を担えば、ドル建て米国債の購入を控える」
とのたまった政党には期待してませんので(まだまだドン底の状況下にFRBが批判を承知で綱渡りをしてる最中に、なんで正面からケンカ売るような韓国と同じ真似するかなぁ・・・)。


下振れリスクに注意して状況みる必要=日銀総裁
【ロイター 2009年5月22日】

[東京 22日 ロイター] 白川方明日銀総裁は22日、決定会合後の記者会見で、日本経済について「崖から落ちるとか、フリーフォールといった状態はとりあえず過ぎ去りつつある」との認識を示した。

 ただ、在庫調整終了後の姿は最終需要の動向次第で不確実性が高いとして、下振れのリスクに注意しながら状況を見る必要がある、と警戒姿勢も崩さなかった。

 日銀はこの日の会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.1%前後に据え置いたほか、米国債・英国債・独国債・仏国債を適格担保に追加することを決めた。 

 <上方修正も「予想通りの展開」強調>  

 日銀は景気の現状判断について、4月の「大幅に悪化している」から「悪化を続けている」に上方修正。先行きについても「当面、悪化を続ける可能性が高い」から「悪化のテンポは徐々に和らぎ、次第に下げ止まっていく可能性が高い」に判断を引き上げた。現状判断の上方修正は、ゼロ金利を解除した2006年7月以来、2年10カ月ぶり。 

 白川総裁はこの理由について「国内民間需要は引き続き弱まっていくとみられるが、輸出・生産は下げ止まりから持ち直しに転じていき、公共投資も増加していくと予想される」と説明したが、同時に「国際的な金融経済情勢、中長期的な成長期待の動向、日本の金融環境など、下振れリスクが高い状況が続いていることに注意する必要がある」とも指摘。「当面、景気・物価の下振れリスクを意識しつつ、日本経済が物価安定のもとでの持続的成長経路へ復帰していくため、中央銀行として最大限の貢献を行っていく」との方針をあらためて確認した。 

 報道が上方修正としていることについても「上方ではあるが、修正と言うのかどうか。予想通りに展開している」と述べ、あくまで「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で示したシナリオ通りに経済が推移していることを強調した。 

 <4─6月期GDPは大幅改善へ> 

 1―3月期実質国内総生産(GDP)が過去最大の年率15.2%のマイナスとなったことについては「4月末に公表した展望リポートではこうした厳しい姿について予想しており、数字自体はおおむね予想に沿った結果だった」と冷静に受け止める一方で、4─6月期については「1─3月期に比べて、大幅に改善する」との見通しを示した。

 もっとも、先行きについては「在庫調整が終了した後の最終需要の強さがポイントになってくる。この点については、不確実性が高いので、下振れのリスクに注意しながら状況をみていく必要がある」と慎重姿勢を崩さなかった。 

 国内で新型インフルエンザの感染者が急増していることに関しては「これまでのところ、日本の経済活動全体としては大きな影響は出ていない」としながらも、「感染のさらなる拡大やこれに伴う対応次第では物流や生産、消費にも影響が及ぶ可能性に注意が必要だ」と先行き懸念を示した。

 白川総裁は「不確実性の度合いがこの(展望リポート公表後の)20日間で大きく変わったとは受け止めていない」と述べ、引き続き慎重に政策運営していく姿勢を示した。 

 (ロイターニュース 志田義寧記者)

日銀は下振れリスク重視の姿勢、最終需要に不透明感
【ロイター 2009年5月22日】

[東京 22日 ロイター] 日銀は景気判断を「当面、悪化を続ける可能性が高い」から「悪化のテンポは徐々に和らぎ、次第に下げ止まっていく可能性が高い」に上方修正したが、白川方明総裁は慎重姿勢を崩さなかった。

 総裁は「不確実性が高いので、下振れのリスクに注意しながら状況をみていく必要がある」とした。

 日銀は、生産・輸出の下げ止まりは在庫調整が進展した結果に過ぎず、その後の姿を決める「最終需要」がどうなるかまだ不透明なことから、先行きについて自信を深めているわけではないようだ。

 国際的な金融経済情勢や中長期的な成長期待の動向、日本の金融環境など景気の下振れリスクは、依然として無視できない存在として居座っている。

 とりわけ、金融と実体経済の負のスパイラルに陥りつつある米欧経済の先行きは、不透明なままだ。21日の米国市場では、スタンダード&プアーズ(S&P)が英国債の格付け見通しを引き下げたことをきっかけに、くすぶり続けていた米国の財政赤字に対する懸念が表面化。NY市場では、ドル安・株安・債券安というドル資産のトリプル安となった。

 こうした金融市場の動きは日本に飛び火する可能性もあり、日銀も警戒を強めている。白川総裁は「当面、景気・物価の下振れリスクを意識しつつ、日本経済が物価安定のもとでの持続的成長経路へ復帰していくため、中央銀行として最大限の貢献を行っていく」と、下振れリスクを念頭に置いた政策運営方針をあらためて示した。

 金融市場が不安定化すれば、長期国債の買い入れ増額が再び議題に上る可能性も否定できない。

 不確実性が高い状況を受け、白川総裁は慎重な言い回しに終始。景気判断を引き上げたにもかかわらず、このまま回復基調を順調にたどると楽観的にみているとは感じられなかった。

 いわゆる超緩和政策の「出口戦略」を語るまでには、まだ相当の距離があるとにおわせる白川総裁の会見だった。

 (ロイターニュース 志田 義寧記者 編集:田巻 一彦)

白川日銀総裁記者会見の一問一答【ロイター 2009年5月22日】

[東京 22日 ロイター] 日銀の白川方明総裁は22日、金融政策決定会合後の記者会見で「崖から落ちるとか、あるいはフリーフォールと、そういった状態はとりあえず過ぎ去りつつある」としたうえで、4─6月期GDPについても大幅改善を予想した。しかし、景気の先行き見通しについては、在庫調整が終了した後の最終需要の強さに不確実性が高いと指摘し、引き続き下振れリスクに注意を促した。今回の景気表現の変化については、上方修正と言い切ることには疑問を呈した。

 会見の詳細は以下の通り。 

 ──今回の決定に至った経緯を説明してほしい。景気判断も上方修正したようだが。 

 (「当面の金融政策運営について」を読み上げ)「(今回の景気の表現について質問者が)上方修正したと言っていたが、上方修正という言葉の定義によると思うが、色々な表現があるが、崖から落ちるとか、あるいはフリーフォールと、そういった状態はとりあえず過ぎ去りつつあると思っている。展望リポートでは、わが国経済は悪化テンポが徐々に和らいで、次第に下げ止りに向かうとみられるという表現をしている。ほぼ、そうした予想通りに足元の状況が変化をしているということだ。そういう意味で、上方ではあるが、これを修正と言うのかどうか、われわれの予想通り展開しているので、上方修正という言葉になじむのかなという感じはするが、とりあえず、今日の決定会合での決定の内容は以上の通り」

 ──1─3月期GDPの大幅下落で景気は底を打ったとの見方あるが。

 「景気が底を打ったという言葉自体が文学的表現なので、文学の定義をしないと中々難しい。確かに1─3月GDPは、内外需の不振から前期比年率でマイナス15.2%と過去最大の減少率となった。4月末に公表した展望リポートにおいては、こうした厳しい姿については予想しており、その数字自体は概ね予想に沿った結果だったと受け止めている。足元では、内外の在庫調整の進捗を背景に輸出や生産は下げ止まりつつあり、先行きは経済全体としても、悪化テンポが徐々に和らぎ、次第に下げ止まっていく可能性が高いと判断している。したがって実質GDP成長率という数字についてみると、4─6月期は1─3月期に比べて大幅に改善するとみられる。もっとも景気の先行き見通しについては、在庫調整が終了した後の最終需要の強さがポイントになってくると思う。この点については不確実性が高いということで、私どもとしては下振れのリスクに注意しながら、状況を見ていく必要があると考えている。底入れ、底打ちということについては、今の回答で答えにかえたい」

 ──米当局の大手行に対するストレステスト(健全性審査)の評価と日本のメガバンクの増資に対する見方は。

 「日本の経験を踏まえると、不良債権問題の解決に向けて、金融機関の資産評価を厳格に行うとともに、不良資産を迅速に処理し、バランスシートの不確実性を除いていくことが必要。その過程で自己資本が毀損(きそん)した場合には、速やかに回復し、十分な自己資本基盤を維持していくことが重要。そうした意味で、米当局によって行われたストレステストは、先行き2年間の共通のより悲観的な景気シナリオを前提に、2010年末までを見通して現時点で必要な自己資本の額を示したもの。これは日本の経験に照らしても必要なステップであり、米国の金融システムが安定化に向かうことを期待している。こうした結果を受けて米国の金融機関は自己資本の調達を行っている。自己資本の充実を行うこと、あるいはその中で、中核的なコアとなる自己資本を充実させていくことは望ましい」

 「日本の金融機関についての評価だが、円滑な金融仲介機能を発揮する上で、自己資本基盤の強化を図ることが重要。この点は、昨今の厳しい経済・金融環境の下であらためて認識が高まっている。その意味で、大手金融機関を中心に打ち出されている増資などによる自己資本基盤の強化策が実現していくと、日本の金融システムの一層の安定確保を図る上で、重要なステップになると思っている」

 ──これまでの金融危機対策では期限を設けていたのに、外国債の適格担保化で期限を設けなったのは、市場が利上げの時期を探るときなどに悪影響がでることに配慮したためか。

 「近年、国際金融市場の混乱や機能不全を契機にして、金融安定化理事会においてクロスボーダー担保の受け入れによる流動性供給の実現が各国中央銀行の検討課題とされてきた。こうした中で、主要国の中央銀行では外国国債を適格担保化について検討を進めてきたということがある。昨年9月の決定会合後の会見でもこうした質問を受けており、ずっとクロスボーダー担保の検討を進めてきて、ようやく今日ここまで至ったということ」

 「国内外の金融市場は改善の方向にはあるが、なお不安定であることを踏まえて外国国債を臨時に適格担保とすることにした。今回の措置は金融市場の情勢に応じて適格担保を拡大することにより、金融調節の一層の円滑化をはかり、これを通じて金融市場の安定確保に資することを狙いとしている。今回適格担保とする外国国債は日本銀行の決済に伴う与信、日中当座貸し越しなど、調節以外の担保としても利用できるようにすることから、資金決済の円滑さの確保として金融市場の安定にも貢献すると考えている」

 「この担保がどの程度使われるのかということもみていきながら、実務的なこともふまえながら、考えていきたい。今回の措置は臨時のものといったが、先ほどのご質問のような配慮で期限を定めていないということはまったくない」

 「諸外国をみてみると、FRBが恒常措置として主要国の国債を受け入れているが、イングランド銀行は臨時の措置として受け入れており、対応はまちまち。いずれにしても主要国の中央銀行はクロスボーダーの国債担保を受け入れる方向で検討しているか、あるいは必要な措置をとってきている」

 ──国際金融市場の不安要因についてどうみているか。 

 「ポイントは金融システムと実体経済の負の相乗作用をどういうふうに評価するか、あるいは経済全体に残っている不均衡の調整がどの程度進んでいくのかということ。現在金融市場は少しずつ安定化しているが、これは昨年秋以降のリーマン破たん以降の極端な信任の崩壊や信用収縮が徐々に収まってきて少しずつ安定してきているということ。が、先ほど申し上げたような不均衡の調整というのは時間のかかるプロセスだと思う。金融と実体経済は双方に影響を及ぼしあうわけだが、昨年秋以降は特に金融から実体面に大きく影響を与えたと思う」

 「とりあえず金融システムが少しずつ安定してくると、今度は実体経済が金融機関の資産内容にどのように影響を与えてくるのかがポイントになってくると思う。不安材料をあげると、たとえば商業用不動産の価格がまだ下がっている、これが資産内容にどういうふうに影響を与えていくかということが言われているが、先行きいろいろなシナリオが考えられるが、実体経済の動きを注意深くみながら金融機関の状況をみていくということだろうと思う」

 ──日本のメガバンクの増資について資本効率が落ちているとの指摘もあるが。

 「特定の金融機関の増資の計画についてコメントすることは控えたい。一般論として、どの国の企業あるいは金融機関であっても、普通株を発行し、増資が成功するかどうかは、将来、どの程度、収益を稼ぐ能力があるかということに関する市場の評価にかかっている。静態的な利益を前提として株数が増えることだけを考えると、株価収益率、株価は下がっていくが、金融機関のバランスシートに残る不確実性を小さくし、その上で将来のビジネスモデルを提示できれば、普通株増資はできる」

 ──金融機関の貸し出し態度の現状と先行きをどう見ているか。

 「金融機関の貸し出しは昨年末以降、伸び率が高まり、現行統計開始以来、最も高い領域で推移している。一方、景気が悪化して信用コストが高まってきていることや、少し前までの株価下落で自己資本の基盤が圧迫されるかも知れないという懸念が、金融機関の貸し出し姿勢の積極度をその分、押し下げる要因としてはある。しかし、現実には、金融機関はかなり貸し出しを増やしていった。その背後には、政府の緊急保証制度があり、日銀を含めた政策当局による各種の支援措置があると思う。景気の動きが信用コストの動きを規定する、金融市場の動きが株価の動きを規定する。今後は、こうしたものによって金融機関の貸し出し姿勢が影響を受けると感じている」

 ──総裁の金融政策についての考え方だが、FRBビューよりBISビューに近くなっていると思える。 

 「便宜的に私自身もFRBビューとか、BISビューとかの言葉を使ったが、明確にBIS自身が、これがわれわれのビューだ──と言っているわけではない。ただ私の気持ちとしては、当時も今もあまり変っていないという気がする。いろいろな国際会議に出て感じるのは、この一年間で随分と政策当局者あるいは学会の議論は変ったなという感じがする。問題は、どのようにして対応すべきかということで、一言で言うとマクロプルーデンスというような言葉で金融政策の面でも、金融システム政策の面でも、いろいろな議論が進みつつあるが、まだ議論を行っている段階だ。問題の所在は指摘できるが、どう具体的に改善を図っていくのかということが、これから数年間の最も大きな課題だと思う。ご質問の点については、私は中間で変っていないということだ」

 ──クロスボーダー担保の決定は、米国債の格下げ懸念など国際的な債券市場の動向が影響したのか。

 「最近の海外の国債の格下げが、今回の決定の要因としてあったのかとのお尋ねだが、それは全くない。ずっと検討してきた。検討が済み次第、早く実行したいとの気持ちを持っている。それが、たまたまこのタイミングであったということだけだ。大きな流れとして、金融市場のグローバル化が進んでいるということがある。それから、特にここ1─2年、国際金融市場が動揺しており、その中で中央銀行が流動性を円滑に供給できる体制をつくっておいた方がいい、という大きな流れの中で出てきたということに尽きる」

 「国際的な債券市場の動きが、日本銀行の政策判断に影響を与えているのか、ということだが、債券市場の範囲にもよるが、社債市場や証券化商品市場などの動きについては、一昨年のサブプライムローン問題が起きてから、問題の核心だった。そういう意味で、政策判断をかたちづくる一つの金融市場の大きな要素だったと思う。お尋ねの趣旨が主要国の国債金利自体が対象なのか、ということであれば、それだけを除くことはないが、それが主たる要素であったわけではない」

 「この数カ月間の欧米の長期国債金利の動きを見ると、若干、上がってきており、景気について大幅な落ち込みが終わってきて、少しずつ明るい材料が出てきている結果、先行きの経済の見通しが少しずつ明るくなってきていることを反映していると思う。この間、FRB、イングランド銀行の長期国債の買い入れがあったが、少し期間を均して考えると、長期国債金利は、経済成長率やインフレ率の先行きに対する市場参加者の見方が決めるとあらためて物語っていると思う。一般的な話として、長期金利が語っているシグナルを受け止めていく姿勢が大事だと思っている」 

 ──4月の決定会合で、一部の委員がCPの金利が国債金利を下回っている点を指摘しており、さらにトリプルBの社債発行も再開される見通しだが、(CP・社債)買い入れの基本的な考え方で定められている著しい市場機能の低下とは合わなくなってきているようにみえる。 

 「CP・社債市場で二極化と言うべき現象が起きているように思う。上位格付けについては、条件も良くなって、発行量も増えている。下位格付けについては、まだ発行が基本的にはできない状況だろうと思う。われわれとしては、例えば社債について、今トリプルB格の話があったが、発行の裾野が広がっていくことを期待している。ただ現状、トリプルBの社債発行についても、確かにトリプルBが出ることはプラスだが、業種という面で広がりがあるわけではない。そういう意味で、かつてのような状況に社債市場が戻っているとは判断していない」

 ──今回の景気判断は、リスク要因として不確実性があると指摘している。4月の展望リポートで指摘した程度の不確実性が続いてるのか。 

 「私自身の受け止め方としては、不確実性の度合いがこの20日間で変わっているとはみていない。従来と同じように不確実性が大きいということ」

 「この1カ月弱の間に主要中央銀行が出した見通しをみると驚くほど似ている。数字が似ているということではなく、先行きの成長率の経路とか、そもそも成長率というような特定の数字に焦点をあてずに全体のメカニズムを言うときに不確実性がこれほど大きいということなど似ている。全体として不確実性が大きいと今受け止めて見通しを語ることが適切だと思う」

1─3月実質GDPは年率‐15.2%、過去最大の減少率
【ロイター 2009年5月20日】

[東京 20日 ロイター] 内閣府が20日発表した1―3月期国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス4.0%、年率換算マイナス15.2%となった。

 下落率としては第1次オイルショックの影響が及んだ1974年1─3月期(前期比マイナス3.4%、年率マイナス13.1%)を上回り、公表値が存在する1955年以降で最大となった。

 <内外需とも大幅減、雇用・所得環境の悪化が消費に波及>

 マイナス成長は4四半期連続で過去最長となる。ロイターの事前調査では、1―3月期の実質GDPの予測中央値は前期比マイナス4.2%、年率マイナス15.7%だった。

 1─3月期の名目成長率は前期比マイナス2.9%、年率マイナス10.7%と実質成長率を上回った。名実逆転の解消は2四半期連続となる。

 GDPが大幅にマイナスになった主因は、世界的な景気の減速による輸出の減少だ。財貨・サービスの輸出は前期比マイナス26.0%となり、過去最大を減少率を更新した。輸出を押し下げた品目は、自動車、電機通信機器、特殊産業機械など、輸出先としては、対米、対アジア、対EU向けで揃って大きく減少したが、特に対米、対EUで減少が更に加速したという。外需のGDP押し下げ寄与度(マイナス1.4%)は過去2番目の大きさとなった。

 内需の押し下げ寄与度もマイナス2.6%となり、1974年1─3月期(マイナス3.8%)に次ぐ過去2番目の低さとなった。引き続き設備投資の落ち込みが厳しく、前期比マイナス10.4%と過去最大の下落率を記録した。

 GDPの最大項目である消費も前期比マイナス1.1%と直近では消費税引き上げに伴い消費が落ち込んだ1997年4─6月期(同マイナス3.6%)以来の減少率を記録し、過去5番目の落ち込みとなった。消費を押し下げた項目は、自動車や外食、パソコン、旅行関係、航空旅客輸送など。内閣府幹部は「所得環境が悪く、影響が出ている」との認識を示した。

 GDPデフレーターは前年同期比プラス1.1%と、前四半期からプラス幅が拡大した。控除項目である輸入デフレーターが輸入価格の下落に伴って前年同期比マイナスと23.2%とマイナス幅が拡大したことが主因。ただ、国内需要デフレーターは前年同期比マイナス0.9%と6四半期ぶりにマイナスに転じた。

 <08年度は過去最大のマイナス成長>

 同時に発表された08年度実質GDPは前年度比マイナス3.5%となった。2007年度のプラス1.8%から一転マイナス成長に落ち込んだ。マイナス成長は2001年以来。また、名目成長率は前年度比マイナス3.7%となり、02年以来のマイナス成長。実質・名目ともに過去最大の減少率となった。

 GDPデフレーターは前年度比マイナス0.3%、国内需要デフレーターは同プラス0.5%だった。

 09年度が各四半期ともゼロ成長だった場合の09年度の成長率は、マイナス4.9%でこれは過去最大の減少率となる。政府経済見通しの2009年度実質成長率(マイナス3.3%程度)の達成には、今後各四半期プラス0.7%程度の成長が必要となる。

 エコノミストの間では「4─6月期はプラス転換の可能性が現状高いが、牽引役見当たらず。重要なのは中長期的視点。危機終息の有無にかかわらず日本経済の先行きは厳しい。内需『地盤沈下』とデフレが継続、輸出依存で不安定」(みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏)として、先行きに警戒感が強い。 

 ただ、GDP発表後の市場の反応は限定的。「為替がやや円高になっているが大きな動きではない。厳しい数字になるというのは株価には織り込まれており、ニュートラルな影響となりそうだ」(大和証券SMBC・グローバル・プロダクト企画部情報課次長の西村由美氏)との見方が出ていた。

   (ロイター日本語ニュース 武田晃子記者)

1─3月実質GDP:識者はこうみる【ロイター 2009年5月20日】

[東京 20日 ロイター] 内閣府が20日発表した1―3月期国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス4.0%、年率換算マイナス15.2%となり、減少率は公表値が存在する1955年以降で最大となった。市場関係者のコメントは以下の通り。

 ●ネガティブ・サプライズなし、株価には織り込み済み

 <大和証券SMBC グローバル・プロダクト企画部情報課次長 西村 由美氏>

 厳しい数字となったが、外需主導で4─6月期GDPは減少率の縮小、もしくはプラス転換というシナリオが崩れるようなネガティブ・サプライズはなかった。ただ、内需が予想よりも弱く、外需主導である程度景気が回復したとしても、内需の弱さが重しとなる可能性があり、懸念要因だ。

 為替がやや円高になっているが大きな動きではない。厳しい数字になるというのは株価には織り込まれており、ニュートラルな影響となりそうだ。

 ●予想の範囲内、円債市場への影響は限定的

 <BNPパリバ証券 シニア債券ストラテジスト 山脇貴史氏>

 全体の数字は、コンセンサスの範囲内の結果といえるだろう。指標発表後のマーケットの動きを見ても、織り込み済みということでインパクトは限定的だ。

 日本を含め、世界的にマクロ経済は落ち込んだ状態が続いているという認識は変わらないが、その中でも少しずつ良いものが出てきている。ただ、かなり悪い数字が出てきた銀行決算などを見ても、1─3月期の状況は相当に悪く、今のマーケットはそれに対して「織り込み済み」ということで割り切りすぎているという印象もある。冷静に考えれば、ここからの回復力は鈍い。今後、4─6月期にかけてどう改善していくかが最大のポイントだ。

 ●4‐6月期プラス転換の可能性に関心、為替はレンジ相場予想

 <バンク・オブ・アメリカ―メリルリンチ証券 シニア通貨ストラテジスト 藤井知子氏>

 1―3月期の国民総生産(GDP)統計のヘッドラインの数字は予想よりある程度は良かったものの、細部をみれば設備投資、輸出などが衝撃的に悪い。ただ、株価に大きな影響が見られないことや、この数字を受けて日銀が追加対策を講じるような必然性がないこと、エコノミストの関心が4―6月期のGDPのプラス転換の可能性に移っていることなどから判断して、1―3月期のGDPが為替相場に明確な方向感を与えることはないだろう。

 ドル/円相場は当面、94―98円のレンジ内を推移すると見ており、引き続き方向感を模索する展開となろう。

 ●為替への影響限定的、ドル/円方向感定まらず

 <みずほコーポレート銀行・国際為替部為替市場第1チーム参事役 田中義久氏>

 1─3月期GDPはもっと悪い数字を予想していた向きもあり、予想よりは多少よかった。ただ、日米欧とも景気は1─3月がボトムとみられ、市場の関心はその後の景気の回復に移っているため、為替への影響は限定的だ。

 方向としてはリスク選好でドルが売られるとみているが、豪ドルなどかなり水準を切り上げているものもあり、前週末のような調整は今後もありうるだろう。一方、ドル/円に関しては方向感が定まらない展開が続くとみている。

 ●公的需要が下支え、年後半は正念場に

 <大和住銀投信投資顧問・債券ストラテジスト 奥原健夫氏>

 1─3月期実質GDPは、ほぼ事前予想の範囲にとどまった。設備投資や住宅投資、個人消費など民間需要が弱い一方で、政府最終消費支出が実質で2期連続でプラスを維持するなど公的需要が下支えしている構図。政府による財政出動の影響が出ているのだろう。

 政府の追加景気対策が民需を刺激する面があるため、今後は民間最終消費支出の持ち直しが期待される。1─3月期にいったん景気のボトムを形成する可能性がある。もっとも、日米景気とも政府による政策依存の構図は変わらない。総需要が減退する中で7月以降の年後半は、景気回復が軌道に乗るかどうかが試されるのではないか。

 GDPの発表を受けて東京市場は、株式・債券との目立った反応薄。クレジット市場への影響はニュートラルとみている。

 ●需要弱いが3月が谷、4─6月期はプラス成長へ

 <三井住友アセットマネジメント・チーフエコノミスト 宅森昭吉氏>

 予想通りの結果となった。ただし、国内需要デフレーターはマイナスに転じており、需要の弱さやデフレ気味なことを表す結果となった。

 政府公的固定資本形成はマイナス0.0%で予想よりも弱かったが、これは季節調整のかけ方が背景にある。

 2009年度成長率へのいわゆるゲタはマイナス4.9%となり、発射台が落ち込んだことが分かるが、日本経済は3月が谷となり、4─6月期、7─9月期とプラス成長になるとみている。

 ●10‐12月期を下方修正、実質的には大幅マイナス

 <東海東京証券 チーフエコノミスト 斎藤 満氏>

 1─3月期は前期比マイナス4.0%だったが、内閣府は10─12月期を確報値のマイナス3.3%からマイナス3.8%に0.5%ポイントも下方修正した。速報値はマイナス3.2%だったから、10─12月期速報値はかなりかさ上げされた数字だったことになる。

 今回のデータを確報値ベースで示せば、マイナス4.5%程度となり、市場の事前予想を下回る。為替と株は、予想比で少しプラスと見て反応しているようだが、実際の水準はかなり低い。

 かなり低い水準から、景気回復を探ることになる。

 ●円安余力は限定的、中期的に円高リスクも

 <JPモルガン・チェース銀行 シニアFXストラテジスト 棚瀬順哉氏>

 為替市場では、前回10―12月期GDPが予想より悪化したことをきっかけに、円のロング・ポジションが巻き戻され、2月半ばから持続的な円安が進行したことが記憶に新しく、今回も円安警戒感があった。

 しかし、1―3月期GDP成長率のマイナス幅は市場予想より若干狭かったため、円安の流れは起きていない。また、前回に比べ、為替市場でのポジションの傾きが小さく、シカゴのIMM通貨先物ポジションでも円ロングの積み上がりは見られないため、巻き戻すべき円ロングも存在しない。

 GDPを消化した後の為替相場を中期的にみれば、リスクは円高方向にあるとみている。米国の超金融緩和政策に出口政策が示されていないことで、インフレ期待が醸成し、米国で悪い金利上昇が見られるからだ。米長期金利の上昇でドルが売られるというパターンになっており、6月末までのドル/円の下値は92円を予想している。

 ●景気下押し圧力大きく、4─6月は前期比‐0.4%を予想

 <カリヨン証券 チーフエコノミスト 加藤 進氏>

 外需の大幅な落ち込みに加えて内需が大きく落ち込み、1─3月期実質GDPは大きなマイナスを免れなかった。

 輸出を初めとして、民間の国内需要も総崩れとなり、なかでも、設備投資の大きな下落が目立ち、在庫の取り崩しも大きかった。家計部門の需要も崩れ始め、個人消費と住宅投資も同様に大きめのマイナスになった。また、政府の景気対策が効果を及ぼしていないことが明らかになっている。

 4─6月期は前期比マイナス0.4%になると予想しており、マイナスになる可能性が高い。なかでも、10─12月期に大きく積みあがった在庫の取り崩しが4─6月期まで継続することは確実で、この分からも景気の下押し圧力は大きい。設備投資は新年度を迎えてさらに大きく落ち込むことが予想される。輸出は4─6月期には下げ止まる可能性が高いが、同時に輸入も下げ止まり純輸出は大きくは改善しないだろう。

 ●内外需総崩れの様相

 <日本経済研究センター 研究統括部主任研究員 竹内淳一郎氏>

 1─3月期の実質国内総生産(GDP)の前期比減少率は、第1次オイルショックの影響が及んだ1974年1─3月期(前期比マイナス3.4%、年率マイナス13.1%)を上回り、過去最大となったが、予想通りでサプライズはない。米リーマンショック以降となる10―12月期と1―3月期との比較では、10―12月期は外需悪化が全体を押し下げたのに対し、1―3月期は内需の悪化が目立っており、さほどタイムラグを伴わず、内需に波及してきたことが特徴だ。

 個人消費は10―12月期が修正され、1―3月期はさらに悪化している。民間住宅投資は3期ぶりにマイナスに転じており、雇用不安を背景にした家計萎縮の構図を鮮明にしている。

 企業部門も弱かった。政府・日銀の企業金融対策で資金繰りは快方に向かっているが、「生き残り」のために支出を絞った影響だろう。

 新型インフルエンザと米景気のもたつきは懸念される。しかし、先行きに関しては、公共投資を支えに年度内いっぱいは前期比プラスになりそう。昨年の補正予算支出や09年度本予算の前倒し執行が寄与するとみられる。景気対策の息切れが確実視される来年度以降の失速が懸念材料だ。

 ●内需の不振目立つ、4─6月はプラス成長に戻るか関心

 <アール・ビー・エス証券・チーフエコノミスト 西岡純子氏>

 外需の落ち込み方は、ほぼ予想通りだったが、個人消費と設備投資の落ち込み幅が想定していたよりも大きかった。

  関心は今年4─6月にプラス成長に戻るか否かに移っている。3月の各種統計は輸出・生産の底打ちを示唆し始めているほか、在庫調整の一服を示す材料も散見され、4─6月のGDPは最悪でもマイナス幅が縮小することが想定される。企業の在庫復元のペース次第では、小幅なプラス成長も視野に入る。

 しかし、1─3月の内需の不振を踏まえると、大幅な回復やその持続性は期待できない。

 GDPギャップのマイナス幅はマイナス8%近傍まで拡大したと推察され、先行きの物価下落圧力につながりうる。2010年以降、安定的なプラス成長に回帰したとしても、マイナスのGDPギャップが解消されるのは2015年以降と考えている。

 ●ほぼ予想通り、デフレーターの下落幅拡大など期待はずれの面も

 <しんきんアセットマネジメント投信チーフエコノミスト 宮嵜浩氏>

 1─3月期は数字だけみると予想通りだが、内容はやや期待はずれだ。在庫の減り方が予想より遅く、政府支出の下支えがまだ確認されなかった。また、デフレーター、とくに個人消費デフレーターを中心に、大きくマイナスになっており、デフレ圧力が根強い。もっとも、これがデフレリスクを高めるということになれば、金融緩和の期待につながるかもしれない。

 4─6月期は政府支出の支えもあり、ぎりぎりのプラスを確保できそうだ。積極的な能力増強投資も期待できない状況で、企業は手元にキャッシュを持っておきたいこともあり、設備投資は4─6月期も下押し要因になる可能性がある。

 7─9月期は、追加政府対策の影響が出てくることもあり、4─6月期と同じような雰囲気が維持できるかもしれないが、外需は心配だ。これまで対アジア向け輸出の持ち直し期待が4─6月期にはあったが、中国で過剰生産の懸念もあり、再びアジア向け輸出が失速する懸念が夏以後あるかもしれない。

 09年度の政府見通しの達成は微妙だ。米国景気が回復して輸出が伸びることが前提だが、米国の回復のタイミングはまだはっきりみえてこない。

 在庫復元が寄与して生産活動は上向きだが、雇用環境・物流も動いていない。またアジア向け輸出にも懸念もあり、景気は二番底をつける可能性もある。

 ●景気悪化の主役に変化、国内需要に下振れリスク

 <みずほ証券・チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏>

 昨年10─12月期と比べると、内需のマイナス寄与が大きくなる一方、外需のマイナス寄与が小さくなった。「輸出急減ショック」から国内需要の急減へと、景気悪化の主役が変わりつつあることが示されている。

 鉱工業生産は4─6月期に前期比プラスに転じる見通しになっており、実質GDPもまた4─6月期に前期比プラスに転じる可能性が高くなっている。大幅な景気落ち込みが続いた後だけに、そうしたリバウンドを予想することに無理はない。しかし、需要項目別に考えてみると、輸出にせよ、設備投資や個人消費といった国内需要にせよ、景気回復の牽引役になるものがいっこうに見当たらないこともまた、厳然たる事実だ。

 国内需要についてはむしろ下振れのリスクが大きいものと警戒している。物価面では、需給ギャップの拡大を通じて、内外でデフレ圧力が強まることになるだろう。