G8財務相会合、「レッチェ・フレームワーク」で合意

レッチェと聞いてサッカーネタを想像した人は残念でした(苦笑)。

今回のG8はイタリア南部のレッチェ(イタリアの地形を長靴に見立てたら踵にあたる位置)だったんですね。ちなみに、地元のサッカークラブのレッチェは残念ながら今季セリエA最下位に沈んで来季はB降格が決まってしまいましたが・・・。

内に鳩山邦夫総務相の辞任、外に北朝鮮の核実験に対する国連安保理の制裁決議採択、というビッグニュースに挟まれて日本ではあまり採り上げられませんでしたが、しとらすは天邪鬼なので(笑)、主要な記事を置いておこうかと思います(鳩山辞任はもう少し状況を注視してみないとわからないし、安保理の決議は当然のことを決めたまででしょうから)。海外関連ではイランの大統領選もありましたね。接戦の予想を覆して現職のアフマディネジャド候補が圧勝したそうですが、強硬保守派の大勝は不気味な感はあります。

さて、外に伝わってきた報道内容からすると景気や出口政策について慎重姿勢を示したあたりは予想通りで、特にサプライズはなかったみたいですが、原油を筆頭とする商品価格の最近の急上昇には今回の議長を務めたイタリアのトレモンティ経済財務相をはじめ英国のダーリング財務相フランスのラガルド経済財務雇用相らが懸念するコメントを出してますね。原油先物は先週末終値で72.04ドルと5月初旬から20ドル近く急上昇していて、もっとはっきりと声明で言ってもよかった気もしますが、ロシアが反対でもしたか?ガイトナー米財務長官も表向きコメントでは触れてないっぽいし・・・。

ようやく株価が戻り始めたものの長期金利も上昇中、といった現状下での今回のG8。声明自体にはバランスをとったサプライズのないものでしたが、週明けのマーケットはどんな反応を示すでしょうか?日本では明日・明後日と日銀の金融政策決定会合がありますが、永田町の騒動の陰に隠れるんだろうな、きっと(苦笑)。

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G8が出口戦略に一歩、経済に「安定化の兆候」
【ロイター 2009年6月14日】

[レッチェ(イタリア) 13日 ロイター] イタリア南部のレッチェで開かれていた主要8カ国(G8)財務相会合は13日、世界経済について「安定化を示す兆候がある」と認識を前進させながらも、先行きは依然として不確実性が高いと警戒を維持する共同声明を採択して閉幕した。

 こうした認識の下に、経済の安定と持続的成長に向けた対応の継続でも一致した。一方、景気回復に向けて各国が実施している「例外的な政策」に対し、景気が回復した段階で円滑な「出口戦略」を実行できるよう議論を開始、出口に向けた一歩を踏み出した。

 <世界的に景気に「底打ち感」、先行きリスク存在で景気刺激継続>

 声明では、現下の世界的な経済・金融危機の克服に向けて各国が協調行動を継続していることを指摘した上で、世界経済について「株式市場の回復、金利スプレッドの縮小、企業・消費者の信認の改善など安定化を示す兆候がある」とし、景気の現状認識を前進させた。

 一方で「状況は依然として不確実であり、経済・金融の安定化に対する大きなリスクが引き続き存在する」と楽観視できないことも強調。特に「生産が増加し始めた後も、失業は増え続ける可能性がある」と雇用情勢に警戒感を示し、「世界経済を強固で安定した持続可能な成長軌道にのせるために必要な方策を講じる上での、他の国々との協働を継続する」と景気回復に向けた政策継続の重要性を訴えた。

 ガイトナー米財務長官は会合後、世界経済について「経済の嵐は勢力が後退している。多くの国の経済において、安定化に向けた勇気づけられる兆候がある」と景気悪化に歯止めがかかりつつある現状を歓迎。主要国の国内総生産(GDP)の落ち込みはペースが鈍化していくとの見通しを示すとともに、中国など一部の新興国では成長が加速しており、貿易に上向く兆しがみられると述べた。

 与謝野馨財務・金融・経済財政担当相も、会合での議論を踏まえ、「世界的には、いわば底打ち感をそれぞれの国が持っているとの強い印象を受けた」とし、主要国間で経済は最悪期を脱したとの認識を共有したことを明らかにした。

 <「出口戦略」を議論、実行は時期尚早>

 こうした「世界経済は移行期にある」(ガイトナー長官)との認識を受け、会合では、各国が景気回復に向けて採用している大規模な財政措置など「例外的な政策」の出口についても議論が行われた。

 声明では、例外的な政策について「景気回復が確実となった際には、元に戻すための適切な戦略を用意する必要について議論した」と明記。いわゆる「出口戦略」を「国により異なるが、長期的に持続可能な回復を促進するために不可欠」と位置づけ、国際通貨基金(IMF)に対して必要な分析を行うことを要請した。

 もっとも、ダーリング英財務相が13日のロイターとのインタビューで「財政は中期的に、より持続可能な水準に戻す必要があるが、景気刺激策を解消し始めるのは早すぎる」と指摘したように、景気の現状は出口戦略を実行する段階にないことも事実。

 与謝野財務相も出口戦略について「今は考える時期であって、実行する時期ではない。こうした考えは各国で一致している」と出口論が独り歩きしないよう釘を刺した。

 ガイトナー長官はむしろ、「G8とG20の間では、成長が依然として政策の重点であるべき」とし、政府は需要を支えて「耐久性のある回復」への基礎をつくる必要があると景気刺激策の継続を表明した。

 G8がこうした段階で出口戦略に言及した背景には、景気刺激策で各国の財政支出が拡大し、経済に明るい兆しが見え始めるなか、あえて財政の持続可能性にコミットすることで、長期金利市場などに安心感を与える思惑もありそうだ。

 2010年の世界経済の成長見通しを上方修正したIMFのストロスカーン専務理事は「修正を過大評価すべきではない」とし、「引き続き注意深い姿勢が必要。回復は弱く、依然として多くの措置が必要だ」と先行きを楽観すべきではないと強調した。

 <ストレステストも議論、商品価格上昇に警戒感>

 声明には盛り込まれなかったが、会合では、米政府が国内金融機関19社を対象に実施したストレステスト(健全性審査)に関する議論も行われたようだ。ラガルド仏経済財務雇用相は、会合で銀行のストレステストや手法について議論があったと発言。一部では欧州の金融機関に対してストレステストを求める声が出ているが、トレモンティ伊経済財務相は「欧州ではストレステストについて、国レベルでも欧州レベルでも、公開するか非公開とするかなどについて、議論を開始していない」と指摘。シュタインブリュック独財務相も「個別行の結果は公表しない」と語った。

 また、トレモンティ経済財務相は、最近の商品価格などの上昇に対して「投機的な動きが活発化している。ある特定の金融取引が再び頭をもたげており、昨夏までの望ましくない状況が再現されようとしている」と警鐘を鳴らし、こうした懸念が他の参加国からも表明されたことを明らかにした。

G8財務相会合、「レッチェ・フレームワーク」の内容
【ロイター 2009年6月14日】

[レッチェ(イタリア) 13日 ロイター] イタリア南部のレッチェで12─13日に開かれた主要8カ国(G8)財務大臣会合は、国際的な経済・金融活動の適切性、健全性および透明性に関する共通の原則・基準を「レッチェ・フレームワーク」として公表した。

 われわれは、大恐慌以来最悪の危機の中にある。長引く景気後退の広範さと強さにより、適切性、健全性および透明性の基準に対するわれわれのコミットメントを強化することの重要性が露見した。過度のリスクテイクおよびこれらの基本的な原則への違背が、国際的な経済や金融の安定が損なわれる一因となった。この問題は、自己規制と市場規律に依拠する分野でも、公式のルールや監督を伴う分野でも、ともに生じたことから、市場機能が欠点を抱えていることが明らかになった。

 市場経済が持続的な繁栄を生むためには、経済活動における適切性、健全性および透明性に関する基本的な規範が尊重されなければならない。今回の危機の規模と広がりは、この観点から緊急に行動する必要があることを示した。改革のための努力は、国際的な経済・金融システムが抱えるこうした欠点に決意をもって取り組まなければならない。このためには、適切な水準の透明性を促進し、規制・監督システムを強化し、投資家をよりよく保護し、企業倫理を強化することが必要とされる。

 本日、われわれG8の財務大臣は、国際的な企業と金融機関の行動に関する適切性、健全性および透明性に関する共通原則の必要性について議論した。われわれは、既存のイニシアティブに立脚しつつ、規制上の隙間を検証・補充し、迅速な実施に必要とされる広範な国際的合意を促進するための包括的な枠組みを策定するとの戦略「レッチェ・フレームワーク」の目的について合意した。

 レッチェ・フレームワークは、適切性、健全性および透明性に関連して共通の視点を有する既存の、あるいは作成中の広範なツールがあることを認識し、これらをコーポレート・ガバナンス、市場の健全性、金融規制・監督、税に関する協力、およびマクロ政策・データの透明性の5分野に分類する。包含される具体的な事項は、特に役員報酬、システム上重要な機関に対する規制、格付機関、会計基準、国境を越えた情報交換、贈賄、タックスヘイブン、非協力的国・地域、資金洗浄・テロ資金対策、経済・金融データの質と分析などがある。国際的な機関・フォーラムはすでにこれらの分野における多くの重要な問題について相当規模の作業を行っているが、多くの場合、それらのイニシアティブは参加国やコミットメントが不十分であるという問題がある。

 本日、われわれは、世界的な市場システムを強化するため、IMF、世銀、OECD、FSB、FATFその他の国際機関によってなされた作業に立脚するまとまった枠組みを設けることに合意した。実効性を確保するため、われわれはあらゆる努力を傾注して最大限の参加国と迅速で決然とした実施を追求する。われわれは、G20およびそれ以上のより広範なフォーラムに拡大することを視野に入れて、国際的なパートナーと協働してレッチェ・フレームワークを進展させていくことにコミットしている。

G8財務相会合での主な要人発言【ロイター 2009年6月14日】

[レッチェ(イタリア) 13日 ロイター] 12―13日に伊レッチェで主要8カ国(G8)財務相会合が開催された。以下は主な要人発言。

 ◎ガイトナー米財務長官:

 「主要国が景気刺激策を解消し始めるのは時期尚早だが、将来的な財政の持続可能性を確保するために、政府は計画立案を開始すべき」

 「G8とG20(主要20カ国)の間では、成長が依然、政策の重点であるべきだ。政府は引き続き、最近改善している需要を下支え、「耐久性のある回復」への基礎を作る必要がある」

 「政策シフトは早い」

 「経済の嵐が過ぎた際に、持続可能な財政にどのように戻るのか、今の段階で明確な計画を立てれば、経済と金融の回復はより力強く、持続的なものになる」

 「米国は2011年から、財政赤字を持続可能な水準に引き下げることにコミットしている。赤字拡大につながっている長期的な医療コストの縮小に向け、努力していく」

 「クレジット市場と金融システムの修復に向けた米国のプログラムは、一時的なものであり、早期に転換できる」

 「主要国の国内総生産(GDP)の落ち込みペースは鈍化している。中国など一部の新興国では成長が加速しており、貿易に上向く兆しがみられるなど、世界経済は移行期にある」

 「経済の嵐は勢力が後退している。多くの国の経済において、安定化に向けた勇気づけられる兆候がある」

 米国の債務水準拡大をめぐる警戒感がドル相場を圧迫し、債券利回りを押し上げている問題について、「詳細な議論は行われなかった」

 ◎米財務省当局者:

 「景気刺激策を解消するには、回復に向けた環境がよりしっかりと確立することが必要」

 「最善の出口戦略は経済を潜在成長率まで回復させ、雇用を拡大すること」

 「過去のリセッション(景気後退)をみると、景気刺激策の解消が早すぎて、回復が押しつぶされるケースが多くあった。米国はこうした過ちを繰り返すつもりはない」

 ◎ダーリング英財務相

 「英経済は今年末までに成長を回復し始める」

 「他国の弱さと原油価格上昇が慎重になる要因だ」

 「英国と他国が昨年以来とった大胆な景気刺激策は、効果が上がっているが、刺激策の効果が経済全体に波及するには時間がかかる」

 「私が予算で明言したこと、つまり、今年末にかけて英経済が成長を回復し始めるということを依然確信している」

 「今後の見通しは、他国がバランスシート正常化に向け前進するかどうか、にかかっている。また商品価格のボラティリティという問題もある。慎重になる理由がある、ということだ」

 「原油など商品価格のボラティリティは、望ましくない不透明感につながっている。原油価格が急激に上昇したことを懸念する。われわれは再び、産油国との協力を行う必要がある」

 「(出口戦略について)そこにまだ至っていないことは明白。出口については、今は誰も話していない。道のりはまだ残っている」

 「財政赤字を向こう4年間で半減する。財政は中期的により持続可能な水準に戻す必要があるが、景気刺激策を解消し始めるのは早すぎるとの見方で、G8のほかの財務相と一致している」

 ◎ラガルド仏経済財務雇用相

 「各国財務相は原油や石油製品市場のボラティリティを抑える対策が必要だとの考えを示した」

 「われわれは国際通貨基金(IMF)と証券監督者国際機構(IOSCO)に対し、国際エネルギー機関(IEA)と協力し、原油市場に関する少なくとも監視手法や、おそらく規制の方法を提案するよう要請した」

 ◎ストロスカーン国際通貨基金(IMF)専務理事:

 <米ドルの水準について>

 「米ドルが弱いとはみていない。米ドルは現在、市場で適切な水準に評価されていると思う」

 「米ドルは現在、1年前よりは強い。従って、現在の水準が弱いとは思わない。今後多くの変化があると予測しなければならないとは思わない」

 <経済について>

 「慎重姿勢を維持する必要がある。回復は弱い。多くの措置を講じる必要はまだある。社会的コストの増大はまだ続く」

 「実際に回復の芽が出ているとしても、平均した成長を取り戻すことは2010年初頭までなさそうだ。これは2011年初頭に失業率がピークをつけることを意味している」

 「IMFが(2010年の成長予測を)上方修正したのは、良いニュースだ。ただ、この修正を過大評価しないでほしい。リスクは依然として大きい」

 「危機が終息したとの考えを持つのは非常に時期尚早だ。だが同時に出口戦略も模索しなければならない」

 ◎クドリン露財務相:

 <国際的な準備通貨としての米ドルの役割について>

 「国際的な準備通貨としての米ドルの役割が、近い将来に変化する可能性は低い」

 「向こう数年で現在のシステムが著しく変化すると考えるのは難しい」

 <危機の現状認識について>

 「依然としてリスクは残っており、危機の終息について議論するのは時期尚早」

 「原油価格の安定化について議論するのもまだ早い」

 <ストレステストについて>

 「G8は、ストレステストは銀行システムの実態を解明するために必要な手段だとの意見で一致し、米国と欧州の例について検証した」

 ロシアもストレステストを実施しているが結果を「公表する予定はない」

 ◎フレアティ加財務相:

 「銀行の健全性審査(ストレステスト)への各国のコミットメントを評価。欧州の財務相はストレステスト実施に合意。結果の開示方法については、全体的な結果とともに、個別銀行の結果も開示すべきかについて、依然として見解に相違がある」

 「ストレステストは重要であり、実施される、との点については一致している。結果の開示方法をめぐっては、一部で見解の相違がある。ただストレステスト実施へのコミットメントはある」

 ◎トレモンティ伊経済財務相:

 <ストレステストについて>

 「欧州ではストレステストについて、国レベルでも欧州レベルでも、公開するか非公開とするかなどについて、議論を開始していない」

 「欧州ではこれまでイタリアで国レベルだが、標準化されたストレステストが実施されている。結果は良好だ」

 <投機的な動きについて>

 「投機的な動きが再発している。ある特定の金融取引が再び頭をもたげており、昨夏までのあまり望ましくない状況が再現されようとしている。デリバティブやコモディティ市場で投機的な動きが復活しているとの懸念はイタリアからだけでなく、他の参加国からも挙げられた」

 ◎グリッリ伊国庫総局長:

 「声明は非常に包括的だ。金融システムにとって重要な機関の健全性を保証することについて全会一致の合意があった。会合で、銀行に対するストレステスト(健全性審査)について言及があったかどうか確かなことは言えないが、この件に関して意見の不一致はなかった。

 ◎シュタインブリュック独財務相:

 <ユーロ高について>

 「ドイツ経済はユーロ高に対して、驚くほどにうまく対応している」

 <IMFの財源拡大について>

 「当初の拡大分2500億ドルに対し、ドイツは200億ドル拠出する」

 <景気刺激策からの「出口戦略」について>

 「出口戦略の模索を適切な時期に行うべきとの声が聞かれた」

 「今はまだ主に危機対策に追われている。しかし大切なことは、インフレが表舞台に出てくることを未然に防ぐために、適切な時期に措置を講じることだ。G8のすべての国が資本市場へのこうしたリスクを認識している」

 「いかなる安定化策も出口戦略と関連づけて考える必要があるというIMFの立場を共有する」

 「IMFに対して出口戦略の選択肢に関する検討を要請することを支持する」

 <金融システム改革について>

 「ロンドンで開催された20カ国・地域(G20)による金融サミットの金融市場規制に関するコミットメントが非常に前向きな形で強化された」

 <世界経済について>

 「安定化に向けた初期の兆候が出ているとの見方が広まっていた。しかしこれは楽観的な見方ではない」

 「非常に慎重にみているが、ある程度の安定化の可能性を示す指標が現れている」

 「しかし(経済回復の)時期と強さと持続性は非常に不確かなものだとのIMFの見方を共有する」

 「米国と中国などの新興国の回復は欧州よりも早くなる」

 「米国と新興国の景気回復は明らかにV字型となるだろう。欧州やドイツは、L字型とV字型をあわせたものとなりそうだ」と語った。

 <ストレステストについて>

 「欧州の立場は、賛成だ。ただ個別行の結果は公表しない」

G8財務相会合:識者はこうみる【ロイター 2009年6月14日】

[東京 14日 ロイター] 主要8カ国(G8)財務相会合は13日、世界経済について「安定化を示す兆候がある」としながらも、先行きは依然として不確実性が高いとする共同声明を採択して閉幕した。市場関係者のコメントは以下の通り。

 ●ドルと円の買い戻しを支援

 <JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長 佐々木融氏>

 主要8カ国(G8)財務相会合にサプライズはなく、ここでの議論自体が為替市場に影響することはなさそうだ。しかし、これまでの景気回復をにらんだ株価上昇や債券価格の下落(利回りの上昇)などにやや調整色が出てきており、為替市場でもドルと円の売りが一巡しそうな気配があった。G8財務相会合での(各国の景気テコ入れからの脱却を探る)出口戦略の議論は、こうしたトレンド転換を支援する材料にされるだろう。景気回復期待によるポジションの巻き戻しが起きるとみており、ドルと円が買い戻される見通しだ。

 ●株・債券に配慮したバランスの取れた共同声明

 <RBS証券 シニアストラテジスト 市川達夫氏>

 共同声明の第一印象は株と債券両方に配慮されたバランスの取れたかたちというものだ。株がやっと戻ってきたが、長期金利は上がり始めているため、声明が両市場に、どう表現すればうまく受け止められるかという点で苦労したのではないか。世界経済の安定化の兆しが見えてきたという点で株の回復が正当化され、金利が上昇したことへの懸念から財政再建、もしくは出口戦略の話をし始めている。

 景気認識については、サプライズはなかった。内外ともに回復傾向にある指標が出てきており、景気は最悪期を脱し、底を打ったというもので、マーケットの認識に沿った表明になった。財政出動による長期金利の上昇に関しては、十分懸念していることは伝わるが、その対策について、やはり具体性に欠ける。引き続き、グローバル的に長期金利の上昇懸念は残るとみている。ただ、国際通貨基金(IMF)に、各国の適切な財政再建策などを分析する方針で合意したことは、債券市場には多少なりとも支えになる。

 出口戦略に関しては、各国で事情が違うため温度差があるようで、最終的にはなかなか協調して同じ政策のもとで実施することは難しい。ただ、危機対応が終わって、方向性だけでも共有されたことは重要なポイントと受け止めている。出口戦略の中で、発行し過ぎた国債を、どうやって元に戻すかという中長期的な議論が出てこざるを得ないと思うが、市場にとっての注目は、これだけ不透明な要因が多いと、中長期的な要因というよりは、目先の材料をどう消化するかという方向で動いてしまう傾向がある。中長期的な話はグローバルに協調してやっていく意志が伝わったとしても、足元の相場は目先の材料を、しっかりと消化できるかというところで、動くとみている。

 ●景気や出口政策に予想通りの慎重姿勢示す

<東短リサーチ チーフエコノミスト 加藤出氏>

 今回の会合では主にドイツが中心となって財政赤字拡大への懸念を示しつつ、各国が実施している「例外的な政策」からの出口論を主張していようだ。一方、米国などは足元の景気の弱さを鑑みれば、積極的に出口政策の議論に乗れるようなフェーズではなかっただろう。景気刺激策による財政面のサポートが一巡したあと、完全に景気回復に対する自信を持つことができなければ具体的に「出口」に向かっていくのは難しい。日米ともに、財政支出の後、継続的な成長を維持できるかはまだか分からない。

 現時点でのG8の景気認識としては、先行きのダウンサイドリスクを意識しつつ当面は景気の成長を促していく局面なので、すぐに出口政策に向けて大きく舵取りすることはないようだ。

 声明を含め予想の範囲内の内容だったので、週明けの金融市場に大きく影響することはないと思う。より楽観的なコメントが出てきたのであればサプライズだっただろうが、予想通り景気や出口政策について慎重姿勢を示した、という印象だ。