アウェーのマスカットで勝ち点3ゲット!・・・2014年W杯アジア最終予選:オマーン 1−2 日本

つい数日前にU-19代表が準々決勝で敗れてワールドユースへの切符をまたも逃すという大変残念な報があり、今日は今日で某国国会で繰り広げられた民自公の三文芝居に呆気にとらされ、暗い気持ちを拭えずに試合を観ることになったのですが、ドローでいいやと思ってたら見事な逆転勝ち、おかげで心が晴れました。ザックジャパン、ありがとう!(笑)

 

2014年ワールドカップ アジア最終予選

オマーン 1−2 日本

 

前半の入り方を見て現地の日中の暑さが堪えてるのかなと心配になったものでしたが、どうにかピンチを凌いだ後に清武が代表初ゴールとなる先制弾。後半に入って1度は追いつかれてしまったものの、勝利へのこだわりを捨てずに前を向く姿勢を諦めなかった日本がロスタイム直前に岡崎のゴールで見事に逆転勝ちした展開。香川や内田を欠いたりフィジカルにばらつきがあったりで内容はお世辞にも褒められたものではなかったと思いますが、メンタルのコントロールとチームの一体感・良き戦術の浸透があるからこそ運を手繰り寄せられたのでしょうね。ザックのチームマネジメントが功を奏している証左でもあるでしょう。

ともあれ、懸案だった中東アウェーでまずは勝ち点3ゲット、よかったですね。

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※11/15追記:試合後の会見等がアップされてたので転載します。それから、裏の試合はイラクがホームでヨルダンを辛うじて下したことで日本と勝ち点差8で豪州(1試合少ない)・イラク・オマーンが並び、すぐ下に勝ち点4のヨルダンという、グループBは日本が飛び抜けて2位以下が団子レースという様相(混戦模様のグループAとは大違いw)。次の来年3月26日のアウェーでのヨルダン戦に勝てばW杯出場が決まるという比較的楽な展開になってきただけに、兜の緒を締め直して次の試合に臨んでほしいと思います。

ザッケローニ監督「最後まで勝利できると信じていた」
W杯アジア最終予選 オマーン戦後会見

【スポーツナビ 2012年11月15日】

 サッカー日本代表は14日、ワールドカップ(W杯)・ブラジル大会アジア最終予選のオマーン戦に2-1で勝利し、4勝1分けの勝ち点13としてW杯出場に王手をかけた。日本は清武弘嗣の代表初ゴールで先制すると、同点とされた終盤、岡崎慎司が勝ち越し点を挙げた。

 試合後、日本のアルベルト・ザッケローニ監督は「普段よりも動きが足りなかった」と苦しい戦いを強いられた理由を説明。それでも「最後まで勝利できると信じていた」と選手たちへの信頼を強調した。

■普段よりも動きが足りなかった

――清武がゴールを決めてから何度もベンチを出て指示していたが、何がうまくいっていなかったのか?

 暑かったので、リズムアップできる展開が少なかった。それと同時に、オマーンが前から来るようなやり方ではなく、20番(アルホスニ)が引いてくるようなやり方をしていた。その中で、うちは4~5人で、中盤の選手も下げて、低い位置でボールを回すようなビルドアップの形を採ったが、そうではなく吉田(麻也)と今野(泰幸)のところでビルドアップするようにという指示をした。なかなか(相手が)中央を通してくれなかったということもあったが、サイドのところでチャンスができていた。

――今日の日本のプレーは、いつもより弱い印象を受けたが、何が原因だったのか(オマーン記者)

 普段の日本よりも動きが足りなかった。その理由として大きく挙げられるのが、気候。この暑さがうちの動きを制限させていたと思う。それがひとつ目の理由で、もうひとつが、オマーンがいいバランスでピッチに(選手を)配置していたことも挙げられる。つまりオマーンがいい戦い方をしていたということだ。

――厳しい試合だったが、勝てた最大の要因は?(大住良之/フリーランス)

 やはり最後まで勝利できると信じていたところだと思う。前半開始直後に苦労させられた。その後は徐々に日本が機能し始めたが、オマーンもかなりスペースを消してきて、そこが難しかった。そのスペースをどう打開するか、オフ(ザ・ボール)の動きで仕掛けていくのが通常のやり方だが、暑さのために力が残っていなかった。後半は涼しくなり、そのあたりの動きも改善されてきたと思うが、FKから失点してしまったということで、それがなければ試合は終わっていた内容だったと思う。実際、オマーンにも前半の最初のほうにビッグチャンスがあったが、(あの場面では)われわれは完全にマークを見失っていた。

――後半に切ったカードの意図は?

 特に中盤のところで、フレッシュというか、エネルギーのある選手がほしかったので選手を入れ替えた。あとはうちの左サイド、オマーンの右サイドのところで、長友(佑都)と酒井高徳のコンビで、うまく打開できるのではないかと思ってカードを切った。

■オマーン代表・ルグエン監督のコメント

「世界有数のグッドチーム相手にいいプレーをした」

 日本にはおめでとうと言いたい。それはわれわれの選手にも言いたい。結果は決してよいものではなかったが、彼らは日本という世界でも有数のグッドチームを相手に、非常にいいプレーをしてくれたからだ。選手たちを誇りに思いたい。思い出してほしいことだが(同じグループの)日本もオーストラリアも、国内に大きなリーグを持っている。もっと現実的になるべきだ。そんな彼らといい試合ができたことを、もっと誇ってよいと思う。

<了>

 

岡崎慎司「大事なところで決めるのが自分の仕事」
W杯アジア最終予選 オマーン戦後選手コメント

【スポーツナビ 2012年11月15日】

 サッカー日本代表は14日、ワールドカップ(W杯)・ブラジル大会アジア最終予選のオマーン戦に2-1で勝利し、4勝1分けの勝ち点13としてW杯出場に王手をかけた。日本は清武弘嗣の代表初ゴールで先制すると、同点とされた終盤、岡崎慎司が勝ち越し点を挙げた。

 試合後、決勝点を挙げた岡崎は「こういう大事なところで決めるのが自分の仕事だと思っている」と語り、喜びを表した。また代表初得点を挙げた清武は「あともう1、2点決めるチャンスがあった」と課題を口にした。

■岡崎慎司(シュツットガルト/ドイツ)

「大事なところで決めるのが自分の仕事」

 自分たちのサッカーを貫いて勝てたのは収穫だと思います。サポーターも応援に来てくれたなかで勝てたのはうれしいです。ただ、自分たちが目指しているのはもっと上のところなので、まだまだやっていかないといけない。中東でアウエーの難しさはあったけど、そういうなかでゴールを決めて勝てたことは、自分としては次につながると思っているし、全員でもぎ取ったゴールだと思います。

(酒井)高徳のいい仕掛けからチャンスが生まれて、中でヤットさん(遠藤保仁)が触ると思っていたので、それを見て入っていきました。今まで行き切れていなかったところに入っていけたし、感覚が戻ってきたと思います。チャンスで決められたし、こういう大事なところで決めるのが自分の仕事だと思っているので、それができてよかったです。次の試合でW杯出場を決める気持ちでいます。

■清武弘嗣(ニュルンベルク/ドイツ)

「もう1、2点決めるチャンスがあった」

 本当にいい形で最後勝ててよかったし、そういう苦しい中で勝てたっていうのはよかったと思います。ゴールの場面は、(長友)佑都君が絶対見ててくれると思ったんで、あとは詰めるだけでしたし、流し込むだけでした。

(代表初ゴールだが)あともう1、2点決めるチャンスがあったんで、そこが今後の課題だと思いますし、これからチームに帰って頑張りたいなと思います。(1-1の状況で交代したが) 最後は絶対勝ってくれると思いましたし、ああいう形でゴールを決めてくれて、チーム全体で勝った試合だなと思います。

(途中からはトップ下に入ったが)ある程度フリーでボールが受けられましたし、もうちょっとチャンスを作って、ゴール前まで行ければよかったんですけど、そういうところも課題かなと思います。(今日で今年の代表戦は終わりだが)最後しっかり勝って締めくくれたのはよかったですし、またチームで頑張って代表に呼ばれるようにしたいなと思います。

■酒井宏樹(ハノーファー96/ドイツ)

「もっと挑戦していかないと」

 後半の時間くらいから試合を開始してくれればよかったんですけどね。ただ、みんな条件は同じなんで。暑くて、僕だけうまく入れてなかったんで、そういうところは課題ですし、逆に後半持ち返せたことが今回の収穫なんで、本当に日々成長です。

 前半終わった時は試合終了くらい疲れてましたからね。今日は本当に勝ててよかったです。勝ち点3は常に狙ってます。でも向こうのホームですし、圧倒される勢いがありました。それでも2点取れてよかったですし、高徳みたいに新しく入って流れを変えてくれる選手がいたらうれしいですね。

 欧州組の人たちが長年、こうやって過密日程でやってきたことが本当にすごいと思います。自分が体験できたことは次につながると思いますし、本当によかった。もっと挑戦していかないといけないと思います。

■川島永嗣(スタンダール・リエージュ/ベルギー)

「この自信を次のアウエーにつなげられれば」

 これからアウエーの試合が多くなるし、ああやって失点したあとに盛り返して、最後の最後で勝てるというというのは非常に大きなものだと思います。この自信を次のアウエーにつなげられればと思う。こういうアウエーで、アクシデントの中での失点というのはあるんですけど、ああいう失点をしているようではしょうがないし、どういう形であれ失点しないことが第一なので、今日はチームメート感謝したいです。

(失点シーンについて)GKにとって、前で選手がかぶったり、ちょっと(ボールに)触られたり、そういう難しいところはあるんですけど、それでも最後の最後のところで、自分自身が(失点しないための)壁になるというのは重要だし、アクシデントっぽく見えても修正できるところはあります。壁はシュートに対応するために作ったんですが、クリアできなかったときに自分がカバーするとか、そういうところははっきりさせないと。見づらい部分はありましたけど、それでも最後に壁になるのが自分の役割。味方も90分間、暑い中走ってくれたのに、ああいうところで守らないと意味がない。最後の1-0で勝っている終盤に、きちんと自分たちが防ぐことができれば、難しい試合をもっと楽にすることができました。

 アウエーでも、まずはピンチを作らせないことが大事ですけど、自分たちがそこでどう対応しなければならないかということも、もっと考えていかないといけないことだと思います。

■細貝萌(レバークーゼン/ドイツ)

「チームの守備を締めることしか考えていなかった」

 同点の状態で入ったので、監督には真ん中に残ってくれと言われていました。守備を締めてっていうイメージで入りましたけど、チームが勝ったことに関してはすごく大きいと思います。(まずは守備からと言われた?)どっちかというと、チームが押し込まれてましたから、しっかりとチームを締めることしか自分の中では考えてなかったですね。

 気温はもちろん下がりますし、ドイツでは2週間前のバイエルン戦の時、雪の中でやってたんで、それと比べたらだいぶ差があるのかなと思います。ただ、それは自分だけではないですし、日本もだいぶ寒くなってきていて、みんな最初から出てる選手は特にきつかったかなと思いました。

 今日の勝ち点3はすごく大事だと監督からも言われてましたし、選手も勝って各クラブに戻ろうという話をしてたので、そこでしっかり勝ち点3を取れたことは大きかったのかなと思います。

<了>

 

マスカットでの勝利が意味するもの〜宇都宮徹壱のマスカット通信
【スポーツナビ:宇都宮徹壱 2012年11月15日】

■4年ぶりとなるマスカットでのオマーン戦

 オマーン戦当日。先のコラムでも言及したとおり、イスラムの暦であるヒジュラ太陰暦では、この日は「大みそか」にあたる。もちろん大みそかといっても、いそいそと大掃除と正月の準備に明け暮れる、日本のりんとした空気感とはまるで異なり、こちらはとにかく暑い。日中の気温は37度まで上昇。冷房の効いたホテルから一歩でも外界に出ると、大げさでなくめまいがしそうになる。暑さのピークは過ぎているとはいえ、キックオフの15時30分は、それなりに体力の消耗が懸念される。まさに、アウエーの洗礼である。

 そういえば昨夜、ホテルでテレビをつけながら作業をしていると、2008年に行われたオマーン対日本のワールドカップ(W杯)3次予選の再放送をやっていて、思わず見入ってしまった。最初は「国内リーグの再放送かな?」と思って、ぼんやり見ていたのだが、そのうち看板の文字が日本語であることに気付いて目をむいた。不思議なもので、中東のテレビ映像は何を映し出しても土ぼこりのようなモヤがかかって、日本代表も中東のチームに見えてしまうのである。

 前回のオマーン戦は、岡田武史監督時代のW杯アジア3次予選にまでさかのぼる。08年6月2日に横浜で行われた試合は、3-0の完勝。そのわずか5日後に、敵地マスカットでアウエー戦に臨むこととなった。結果は1-1のドロー。うだるような暑さと、中東のアウエーという異様な空気に苦しめられ、日本は本来の力の6割くらいしか発揮できなかったと記憶する。この3次予選では、バーレーンとのアウエー戦でも0-1で敗れており、当時の日本は中東勢とのアウエー戦に、一定以上の苦手意識を抱き続けていた。

 余談ながら、4年前のマスカットでの試合に出場していたメンバーのうち、今回も招集されているのは、駒野友一、今野泰幸、遠藤保仁、長谷部誠、川島永嗣、そして中村憲剛の6人。長友佑都、本田圭佑、岡崎慎司が代表チームに定着するのは、この年に開催された北京五輪の後のことである(今回招集されていない内田篤人は、すでに右サイドバックに定着していた)。4年ぶりとなる、マスカットでのオマーン戦。果たしてザッケローニ監督率いる今の日本代表は、当時との違いをどれだけピッチ上で表現できるだろうか。

■日本先制! しかし気の抜けない展開が続く

 この日のスターティングイレブンは、以下のとおり。GK川島。DFは右から酒井宏樹、吉田麻也、今野、長友。中盤は守備的な位置に遠藤と長谷部、右に清武弘嗣、左に岡崎、中央に本田。そして1トップに前田遼一。今回、けがのため招集が見送られた香川真司、そして集合前にけがでリタイアした内田がいないことを考えれば、手堅くも順当すぎる顔ぶれであると言えよう。MCがマイク片手にスタンドの応援を先導する、何とも異様な雰囲気の中でキックオフを迎えた。

 序盤はやや受け身の形になった日本は、11分にいきなりピンチを迎える。右からのスローインを受けたアルアジミが、ペナルティーエリア内まで一気に侵入し、中央へ折り返す。そこにフリーで走り込んできたのが、10番のドゥールビーン。思い切りシュートを放つも、幸いボールは枠を捉えることなく、はるか上空へと飛んでいった。ホームのオマーンは勢いこそあったものの、むしろ日本よりも堅さがあったのかもしれない。

 そして20分、日本に待望の先制ゴールが生まれる。今野からの長いパスを受けた長友が、左サイドを突破してグラウンダーのクロスを供給。中央で前田がマーカーをおびき出し、空いたスペースに走り込んできた清武が左足でゴールに押し込む。決まった瞬間、会場のスルタン・カブース・スポーツコンプレックスは静まり返り、日本サポーターの歓声がこだました。清武はAマッチ12試合目にして、これがうれしい初ゴールである。

 この貴重なゴールで、ようやく落ち着きを取り戻した日本だが、まだまだ安心はできない。パスミスから相手にボールを奪われ、一気に反撃をくらうシーンが頻発したからだ。36分、オマーンは左サイドからのクロスに、中央に走り込んだアルアジミがヘディングシュート。弾道はポスト左を直撃し、さらにセーブしようとした川島の体に当たってゴールラインに転がるも、これを長友がクリアして事なきを得た。オマーン相手のアウエー戦では、1点差が決して安全圏と言えないことを物語るシーンである。

 そのオマーン、数少ないチャンスから2つの決定機を作ったが、守備面でもクレバーな動きを見せていた。日本がボールを持つと、フィールドプレーヤー全員が連動してパスコースを消し、集団でボールを奪いにくる。試合前、オマーンの印象についてザッケローニは「ピッチ上でうまく選手を配置して、いい戦いをしてくる」と語っていたが、こと前半の守備に関しては、長友にサイドを破られた以外はしっかりと機能していた。対する日本にしてみれば、密集地帯に果敢に切り込んでいく香川が不在である以上、中央をしっかり固めてくるオマーンの守備網を正面から突破するのは難しい。前半は、このまま日本の1点リードで終了する。

■試合展開が変わっても信念を貫いたザックのさい配

 さて、今回のオマーン戦で最もスリリングに感じられたのは、日本ベンチが最初のカードを切った後半19分から、日本の2点目が決まった44分までの25分間である。その間、ザッケローニは中盤の構成を2度も変えている。あらためて、その過程と指揮官の意図について考察することにしたい。

 後半19分、ザッケローニは前田を下げて、酒井高徳を投入する。酒井高が呼ばれた時、酒井宏と交代するのではないかと予想した人は少なくなかったと思う。ところがベンチに下がったのは、1トップの前田。酒井高は左サイドバックに入り、長友は1つ前の左MFに、左MFの清武が中央へ、そして中央の本田が1トップにスライドする。長友が2列目でプレーするのは、代表では昨年のアジアカップ決勝以来のことだ。このさい配についてザッケローニは「長友(佑都)と酒井高のコンビで、うまく(左サイドを)打開できるのではないかと思った」と語っている。

 確かに、中央突破が難しい現状を考えるなら、サイドを集中的に攻め立てるのは有効な策と言えよう。だが、この交代が奏功する前に、日本は手痛い失点を喫してしまう。後半32分、ペナルティーエリア左でのムバラクのFKが、吉田に当たってコースが変わり、オマーンが同点に追いつく。それまで沈滞ムードに包まれていたスタジアムは、このゴールでがぜん熱を帯び、周囲は異様な熱気に包まれてゆく。だが、この危機にもかかわらず、ピッチ上のベンチも、そしてザッケローニも、決して動じることはなかった。

 失点から7分後、今度は細貝萌がピッチに送り込まれる。退いたのは清武。一見、守備固めのようにも見えるが、ボランチの遠藤がトップ下に上がったことで、あくまでも勝ちにいくというメッセージが、この交代には込められていたと岡崎は語っている。

「(細貝の投入は)カウンター対策をしつつ、それでもヤットさん(遠藤)が前に行くということは、僕は裏を狙えるし、長友や高徳も仕掛けられる。ヤットさんがパサーになって、周りが流動的に動いてゴールを決めに行くという、そういうイメージでした」

 そのイメージの共有が、44分の勝ち越しゴールに結実する。左サイドをドリブル突破した酒井高がクロスを入れ、これに遠藤がニアで反応すると、さらにファーサイドから走り込んできた岡崎が詰めてネットを揺らす。確かに、酒井高の突破とクロスは素晴らしかった。だが、オマーンが同点ゴールで浮き足立っていたという事実も、看過すべきではないだろう。ここから追加点を奪うのか、それとも引き分けで終わらせるのか、チームとしての方向性がはっきりしないまま3ラインの間が空いてしまい、そこを日本に突かれた格好となってしまったのである。

 ザッケローニが最初のカードを切ってから、試合は目まぐるしい展開を見せた。それでも「左サイドを集中的に攻める」という基本路線は変えず、最小限の修正でピンチを切り抜け、選手も臨機応変に指揮官の期待に応えることができた。ここに、今の日本の強さを見る思いがする。そうして考えると、中東でのアウエー戦でありながら、2-1で勝ち切ることができたのも、実は当然の帰結であったのかもしれない。換言するなら、日本は中東勢とのアウエー戦に対する苦手意識を、ほぼ払しょくすることができたと言えよう。

■アジアでは図抜けた存在となっている日本だが

 かくして日本は、勝ち点を13にまで伸ばすことに成功した。直接対決で下したオマーン、そして予選の試合がなかったオーストラリアとの勝ち点差は8に広がり、早ければ次節(13年3月26日のヨルダン戦)で、われわれはブラジル行きの切符を手にすることができる。当初、オーストラリアとのデッドヒートが予想された最終予選だが、気が付けばグループBは1強4弱の様相がより鮮明になった印象だ。グループAは、ウズベキスタンがイランに勝利し、韓国を抜いて暫定首位に立ったようだが、こちらのグループは「日本がいつ予選突破を決めるか」と「どこが2位に滑り込むか」ぐらいしか、当面のトピックスは見当たらない。それくらい、今の日本はアジアでは図抜(ずぬ)けた存在となっているのである。

 試合後、スタジアムでの作業を終えてホテルに戻る。暗い夜道を歩いていると、あちこちで「ジャパン!」を声をかけられたり、車のクラクションを鳴らされたりした。振り返ると、地元の人々が笑顔で手を振っている。試合前は、日本代表とそのサポーターに猛烈なブーイングを発していたオマーンの人々だが、試合が終わればすっかり「いい人」になっている。アジアチャンピオンに善戦したからか、もともと親日家が多いのか、それとも大みそかだからか。日中の酷暑から一転、オマーンとのアウエー戦の余韻は、思っていた以上に心地よいものであった。

 このオマーン戦で、2012年の日本代表の年内の試合はすべてが終了。北朝鮮とのアウエー戦に敗れて悶々(もんもん)としていた、昨年のちょうど今頃のことを思えば、今年の代表戦の終わり方は格段に気分の良いものに感じられる。最終予選のヒリヒリした緊張感が、もはや過去のものとなってしまったことについては、いささかの寂しさを覚えてしまうのも事実。とはいえ、われわれは何も手にしていないのもまた、事実である。2013年に日本代表が、さらなる前進を続けることを願いつつ、今年最後の代表コラムを締めくくることとしたい。

 

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