強豪オランダ相手に2点のビハインドから追いつく好ゲーム・・・国際親善試合:オランダ 2-2 日本

スタメンに香川・遠藤・川島の名前がなく代わりに大迫・山口蛍・西川が入るという、ここ数試合では珍しく思い切ったメンバーチェンジをしてきたザッケローニ。

・・・しかしボールロストのミスから先制されて2点リードされた時はさすがに (ノ∀`) アチャー でしたけど、前半のうちに1点取返したのが大きかったですね。大迫GJ!!

 

国際親善試合

オランダ 2−2 日本

 

JFAの公式サイト内にある『ザッケローニ監督手記』。それの直近のコラムで監督は「テストマッチ」と題したものを寄稿していて、

9月、10月、11月と3カ月連続で組まれたダブルデートの国際マッチデーを日本代表は最高の相手と締めくくることができます。ベルギーに飛んで16日にゲンクでオランダ代表と、19日にはブリュッセルでベルギー代表と戦うのです。FIFAランキングでベルギーは5位、オランダは8位。掛け値なしの強豪です。10月の東欧遠征に続いて今回もアウェイでの試合を日本協会にお願いして組んでもらいました。最初に戦うオランダにはパスをよくつないで常にイニシアチブを取ってくるという印象があります。GKも含めて全員が連動して攻守に参加し、ピッチのどこからでもしっかりプレーし、相手ゴールに迫る方法もよく知るチームです。技術力もあってフィジカルも強い。それだけの要素がそろっているからこそルーマニアやハンガリー、トルコといった難敵と同居したワールドカップ欧州予選を勝点28(9勝1分け)という成績で勝ち抜けたのだと思います。得失点差+29は、+27のイングランドや+26のドイツを抑えて堂々の欧州トップです。 そんなオランダに比べるとベルギーはよりフィジカルなチームといえるでしょう。先発メンバー11人中7人が身長190センチオーバーというサイズには目を見張りますし、技術で打開できなくても最後はフィジカルにモノを言わせて解決してしまう強さがあります。オランダほどパスをつないではきませんが、相手ゴールに迫る方法を知っているという点では遜色ないと思います。

「よくもまあ、こんな強い相手と、それもアウェイで。無謀じゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。監督に就任してからのこの3年を振り返った時、成長を促すプログラムの中にどうしてもアウェイの試合が少ないことがずっと気になっていました。日本の外に出て厳しい条件下で戦うことには様々なリスクがつきまといますが、それを嫌って国内で何となく勝ちを重ねることの方が真のリスクだと私は思います。そういう状態が続けば続くほど不利な環境で強い相手とやると自分たちがどんな状況に追い込まれ、どんなウイークポイントをさらすのか、気づくのが遅れてしまうからです。それに、どうせ来年のワールドカップ本番でもフィジカル、技術、経験など各方面で日本より格上というチームとの対戦は避けて通れません。であるならば、事前にそういうクラスの相手と実力がフルに発揮される相手のホームで一戦交えておくことはとても大切なことでしょう。6月のコンフェデレーションズカップのブラジル戦のように肝心の本番で力が出せないという失敗を繰り返さないためにも。

では、そんなトップクラスの相手に日本はどんな戦いをすべきでしょうか。10月にセルビア、ベラルーシに連敗したことで「まず勝つことが大事」「勝たないと監督のクビも危うくなる」と心配してくれる人がいます。結果を重視するのであれば、セルビアやベラルーシがやったように自陣に守備ブロックを築いて1本のシュートで1点、2本のシュートで2点というサッカーを目指すべきなのかもしれません。しかし、私はそういうサッカーを選手にさせる気は毛頭ありません。試合が始まって流れの中で押し込まれる状況に至るのは仕方ないとしても、相手がオランダであれベルギーであれ、自分たちで最初から主導権を握ることを放棄するのはまったくポジティブではないと思うのです。そういう考えの根底には「日本は美しいゲームをした時にこそ勝つ確率が高まるチームだ」という私の確信があります。

サッカーの世界には試合をつまらなくすることで勝とうとするチームがあります。反則や反則まがいのプレーを乱発して試合の流れをぶつぶつと断線させ、相手をイライラさせながら一瞬の隙をカウンターで突く。結果を最重視し、試合を壊せば壊すほど勝つ確率が高まるチーム…。日本は逆です。我々が勝つのは大抵、試合が面白くなった時です。裏返せば勝ちたければ試合を面白くしないといけない。そういう特質があるのだから相手がオランダであれ、ベルギーであれ、受けて立ってはいけない。試合をほとんど自陣だけで行うのではなく、ピッチの全面を使って、いたるところでイニシアチブを持って戦う。少なくとも私の体制下では日本代表の進むべき道はそこにあると信じていますし、来年のワールドカップでもそういうアグレッシブな戦いをさせるつもりでいます。そういうところに目標を置いている以上、今は結果より内容を高めることに主眼を置くのも当然でしょう。選手に求めるのもトライする姿勢です。トライすることで初めて自分たちの力がどんなものかが突きつけられる。本当の力量も見えてきます。

振り返ると、セルビア、ベラルーシに2連敗した10月の東欧遠征はゲームへのアプローチに問題があったように思います。自分たちがやりたいプレー、やるべきコンセプトは明確にあるのに、進むべき方向を間違えていました。プレーの精度も鋭いアクションも乏しかった。欧州や南米のインターナショナルな相手と戦う際にはプレーに精度とスピードが伴わない限り、ほぼノーチャンスです。10月の試合はそのどちらもありませんでした。守備に関しては大きなトラブルはありませんでしたが、攻撃は止められて当然でした。セルビア、ベラルーシが良かったということではなく、こちらが相手を楽にさせてしまいました。その原因を探ると、もしかしたら私が試合の意味を選手にうまく伝えきれていなかったせいかもしれません。

私はこの3カ月間の6試合を「フレンドリーマッチ」と思ったことはありませんでした。すべて「テストマッチ」のつもりでした。ホーム、アウェイの別なく、その時に持っている力をすべて出し切る。アウェイなら、ホームで普段やっていることがアウェイでもできるか、真剣にトライする。そうしてこそ返ってくる答案用紙についた点数が自分たちの実力を正確に反映したものと納得もできる。この点数をさらにどうやったら伸ばせるか、真摯に向き合うこともできる。手抜きやカンニングをして答えを書いたのでは「テスト」にはなりません。東欧遠征がいつもの精度、スピードを欠いたのは、そんなテスト本来の目的を達成する集中力、気持ちを欠いていたからでしょう。ベラルーシ戦が終わった時には無駄に2試合を消費したな、という悔しさしかありませんでしたし、チームにテストの意味を十分に落とし込めなかった自分の至らなさを反省もしました。その教訓を今回は何としても生かすつもりです。

オランダもベルギーも日本のよりランキング上位。自分たちのプレーがどこまで通じるか、すべての力をぶつけてテストするのにはうってつけの相手ですから。わざわざ自信を失わせるために、私は選手をベルギーに連れていくわけではありませんが、思い切って真正面からぶつかることで自分たちの姿が丸裸になることもあるでしょう。深手を負うこともあるかもしれません。でも、負ったら負ったで、傷口に合わせてどんなサイズの絆創膏を貼ればいいか、決めればいいだけのことです。大切なことは試合が終わった後の姿勢です。どんな結果が出ても課題を課題としてしっかり受けとめる強さがあれば、現実を直視する精神があれば、きっとそうやってあぶり出された課題を乗り越えられるはずです。その強さも精神も今の代表選手たちは持ち合わせていると私は確信を持って言い切ることができます。

と述べていました。そして迎えたベネルクスの2強との現地対戦。遠藤を外して山口の起用、個人的に待ち望んでいたとはいえ、オランダ相手にいきなり彼をフル出場させるとは思いませんで、これは大きなサプライズ。結果としてはプラス面とマイナス面の両方を勘案しても“吉”と判定してよいのではないかと思います。

あとは1トップを務めた大迫が反撃の狼煙となる値千金のゴールをナイスなタイミングでゲットしただけでなくポストプレイでも奮闘していたこと、ミスから失点を招いても恐れることなく果敢に高いラインを維持して、後半では特にオランダにプレッシャーを与え続けていたDF陣の頑張りも評価すべきでしょう。

ファン・ペルシ不在とはいえ久々に「らしい」戦いぶりでオランダ相手にドローまで持ち込んだザックジャパン。次のベルギー戦、相手はルカクなど個々にフィジカルと戦闘能力に秀でた選手を揃えているだけに、どこまで高いラインとプレッシングを貫けるか注目したいですね。

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ザック監督「結果より内容のほうが大切」 国際親善試合 オランダ戦後会見
【スポーツナビ 2013年11月17日】

 サッカー日本代表は現地時間16日、ベルギー・ゲンクでオランダ代表との国際親善試合に臨み、2点を先制されながらも大迫勇也と本田圭佑のゴールで追いつき、2−2のドローに持ち込んだ。13分と39分に失点した日本は、前半終了間際に大迫のゴールで1点差に迫ると、60分には見事なパスワークから最後は本田がネットを揺らした。その後も攻勢を仕掛けたが、柿谷曜一朗が決定機を逃すなど、逆転までには至らなかった。

 試合後、日本のアルベルト・ザッケローニ監督は「自分たちの狙っていたプレーが高い精度とスピードを持って出せたと思う」と、満足感を示した。また19日に行われるベルギー戦に向けては、「オランダよりもフィジカルが強く、手数をかけずにゴールに迫る相手。切り替えて準備を進めたい」と、気を引き締めていた。

アグレッシブにボールを奪いに行けた

――後半はかなり日本の良さが出たが、どこが良かったか?

 監督としてはまず後半だけではなく、90分を通してどこまで自分たちの狙いができたかを話したい。前後半を通じて、自分たちの狙っていたプレーが高い精度とスピードを持って出せたと思う。選手たちには、監督としてやってほしいプレーのリクエストや指示を出すが、選手の状態もあるので素晴らしい時もあれば、そうでない時もある。チームには守備だけに偏らず、守備と攻撃の両方をやってほしいと言った。特に前半は、ピッチの中央やサイドで積極的に攻撃が仕掛けられたと思うし、アグレッシブにボールを奪いに行けた。後半はスペースができていくなか、中盤を制圧してこちらのペースで試合を進めることができた。オランダという力があるチームに対してここまでできたのは、そう簡単なことではないと思う。

――今日のボランチだが、山口(螢)をフルで、長谷部(誠)と遠藤(保仁)を半分ずつ使ったのは考えがあってのことか、あるいはコンディションの問題か?(大住良之/フリーランス)

 理由は2つある。まず山口をテストしたかったこと。このような試合で新しい戦力を試すのは当然のことだろう。2つめは3日後にベルギー戦があり、中盤のポジションの負担があるので、ローテーションを考えた。

――後半、日本が主導権を握れたのは(ナイジェル・)デ・ヨングが外れたからだと思うが、実際にやりやすかったのか?(オランダ人記者)

 理由としては、前半はゲームの流れを読みながらの戦いになったので、相手がどう出てくるのかを探りながらやっていた。後半になって、そういったものがなくなり、よりダイナミックかつ攻撃的にスペースを生かす戦い方をした。デ・ヨングがいなくなった影響だったのかは分からないが、より日本がダイナミックに前に出るようなったことが大きかったと思う。チームには、ボールポゼッションを高めて主導権を握ろうと指示したが、オランダも自分たちが主導権を握ろうとしていたので簡単ではなかった。そんななか、それに負けることなく自分たちで試合を進めようと指示して、選手たちは実行してくれた。

切り替えて準備を進めたい

――(ルイス・)ファン・ハール監督が、後半になってオランダが日本のプレッシャーに対抗できなかったと言っていたことについての意見は?(オランダ人記者)

 このようなインターナショナルマッチでは、結果よりも内容のほうが大切だと思っていた。なぜなら、内容が伴うことで、自分たちの自信がより深まるからだ。その意味で、ファン・ハール監督がそういうコメントを残したのであれば、それは喜ばしいことだ。

――オランダ相手に非常に良い内容のサッカーができたが、課題を挙げるなら何か。またベルギー戦に向けた修正点は?

 火曜日のゲーム(ベルギー戦)だが、日数が少ないのでどこまで(選手のコンディションが)回復できるかをまず考えたい。今日のようなゲームをするには、選手全体のフィジカルコンディションが最良でないといけないので、まずは各選手のコンディションをチェックすることにしたい。当然チームには、集中力を緩めることなく向かってほしいが、ベルギーはオランダよりもフィジカルが強く、手数をかけずにゴールに迫る相手だと思っている。今日は(ホテルに)戻って、切り替えて火曜日に向け準備を進めたい。

――後半から出場した香川(真司)と遠藤もローテーションだったのか。またハーフタイムでの指示は?

 ハーフタイムに、前半同様にチームの狙いを出し続けようと指示を出した。狙いははまっていたので、それを継続してより高い精度とスピードを出すようにとリクエストした。後半だけではなく、前半のパフォーマンスも良かったと思う。ローテーションについてだが、今日の試合でもオフ・ザ・ボールで積極的に仕掛けて、疲労した選手も多い。火曜日の試合に向けて、何人かメンバーをいじらなければならないと思う。

オランダと対戦して良い経験ができた

――今日の試合を見て、オランダは世界のトップチームだと思ったか?(オランダ人)

 これまでの常連とされてきた国々に加えて、コロンビアやベルギーも世界のトップに入ってきていると思う。オランダは歴史的に見ても、これまで世界の主役を演じてきた国のひとつだし、独自のサッカー文化を持って、独自の哲学を前に進めているサッカー大国だと思う。

 ただ、常に結果が出ないというか、最後の最後で2位に甘んじてしまうところもある。メンバーや戦力を見ればワールドカップ(W杯)で上位に行けるだけの力は備わっていると思う。今日は(ロビン・)ファン・ペルシがいなかったが、チームワークも優れているし、これほど経験のある監督が率いているチームなので、W杯でも上位を狙える戦力を持っていると思う。我々としては、そんなオランダと対戦して良い経験ができた。本大会でも、これくらいの実力のチームがグループリーグで2つ入ってくる可能性も十分にあるからだ。

――10月の遠征では、怖がって長いボールに頼ることが多かったが、今日はアグレッシブにボールをつないでプレーができた。選手の間、あるいは監督との間に何かしらの話し合いがあったのか(後藤健生/フリーランス)

 まず、選手が常にトップフォームでいられるものでないことを話さないといけない。監督としては、違ったチームでやっている選手たちにいかにチームのやり方を浸透させて、どれだけ合わせられるかが重要になる。チームとしては積極的にボールに関わり、仕掛けて主導権を握り、オフ・ザ・ボールでのプレーを多く出すことで、勇気を持ったプレーをするべきだと考えている。ただし、それが常に出るわけではない。フレンドリーマッチで集中を欠いたり、コンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)のブラジルのように相手をリスペクトしすぎたりして、自分たちの良さが出せないこともある。自分たちが目指すべきサッカーのモデルは、W杯予選のホームのヨルダン戦とオマーン戦、札幌での韓国戦、そしてコンフェデ杯のイタリア戦だ。この4つのゲームの特に前半は、日本の目指すべき道であり、それがチームスタイルのモデルとなるところだ。いかにそれを目指してパフォーマンスを出せるかが、今後の課題となる。

<了>

 

ファン・ハール「日本は素晴らしかった」 試合後、オランダ代表監督会見
【スポーツナビ 2013年11月17日】

 サッカー日本代表は現地時間16日、ベルギー・ゲンクでオランダ代表との国際親善試合に臨み、2点を先制されながらも大迫勇也と本田圭佑のゴールで追いつき、2−2のドローに持ち込んだ。13分と39分に失点した日本は、前半終了間際に大迫のゴールで1点差に迫ると、60分には見事なパスワークから最後は本田がネットを揺らした。その後も攻勢を仕掛けたが、柿谷曜一朗が決定機を逃すなど、逆転までには至らなかった。

 試合後、オランダのルイス・ファン・ハール監督は「日本のプレーは素晴らしく、スコアが2−3になってもおかしくなかった」と、その戦いぶりを称賛。また「後半から出場した2人の選手が良かった」と、香川真司と遠藤保仁を評価した。

前半終了直前の失点がダメージとなった

――前半と後半がまったく違った試合になった原因は?(田村修一/フリーランス)

 前半はオランダのほうがボールキープもできたし、より良いプレーもしていたので2点リードできたのも当然だった。しかしハーフタイム直前に(対応が)甘くなり、信じられないような失点をしてしまった。前半の終盤であのようなリスクをとるべきではなかった。日本にとっても、スコアが1−2になったのは精神的にアドバンテージを与えることになった。

 そして日本は後半から出場した2人の選手(香川真司と遠藤保仁)が良かった。日本はプレッシャーを上げて、さらに前に出て行くことができた。我々は自陣から(ラファエル・)ファン・デル・ファールトやシーム・デ・ヨングにボールを送ることができなくなった。そしてGKの(ヤスパー・)シレセンが長いボールを入れるようになったが、味方にきちんと渡らなくなってしまった。日本のプレーは素晴らしく、スコアが2−3になってもおかしくなかった。前半と後半の違いは、日本が控えの2選手を入れたことだと思う。

――イタリア戦でもポルトガル戦でも、試合終了間際やハーフタイム直前に失点することがあった。原因は?(オランダ記者)

 それは関係があると思う。今回もハーフタイムの直前になって(アリエン・)ロッベンが「あと2分だ」と声をかけた。その時点で、あまりリスクをかけないようにするという共通認識があったのに、このような結果になってしまった。オランダのくせでもあるが、こうなったのは相手のチームの質についても配慮しないといけない。ただし、こういうことが起こるのは多すぎると思う。

――若いディフェンスラインについての評価は?

 ディフェンスについての評価は昨日と変わらない。今日の問題は、ボールをうまくキープできなかったことだ。ひとつのプロセスとして、ボールをキープして、相手がそれを奪って、という繰り返しになる。今日のディフェンスは悪くなかったが、最も問題なのは前半終了直前の失点だった。それがメンタル面でのダメージとなった。

――ナイジェル・デ・ヨングの役割が大きかったと思うが、ハーフタイムで変えるのは最初から考えていたのか?

 そうではない。彼はけがだった。ファン・デル・ファールトを変えたのは、彼のところまでボールが届かなくなってしまったからだ。

――こういうことになるのが予想できたということだが、もう少し説明をしてほしい(オランダ人記者)

 このチームのプレーヤーは、よく知っているので(結果はある程度)予想できた。ディフェンスには本当は左利きの選手が良かったのだが、2人の選手がけがで出られなかったので右利きの(ロン・)フラールを入れた。こういう失点になったのは予想どおり。日本がゴールを決めてプレッシャーを強めてきたので、フラールにはより難しい状況になった。

<了>

 

国際親善試合 オランダ戦後選手コメント【スポーツナビ 2013年11月17日】

 サッカー日本代表は現地時間16日、ベルギー・ゲンクでオランダ代表との国際親善試合に臨み、2点を先制されながらも大迫勇也と本田圭佑のゴールで追いつき、2−2のドローに持ち込んだ。13分と39分に失点した日本は、前半終了間際に大迫のゴールで1点差に迫ると、60分には見事なパスワークから最後は本田がネットを揺らした。その後も攻勢を仕掛けたが、柿谷曜一朗が決定機を逃すなど、逆転までには至らなかった。

 試合後、1ゴール1アシストを記録した大迫は「得点は狙い通りだったし、あの時間帯から2−0で1点取ることができて、良い流れで後半に臨めたと思う」と振り返った。また途中出場し、幾度となくチャンスを演出した香川真司は「次のベルギー戦に向けて継続してやらなきゃいけないし、今度は勝ち切りたい」と次戦に向けて気合いを入れた。

 以下は、試合後の選手コメント。

大迫勇也(鹿島アントラーズ)

「得点は狙い通りだった」

 得点は狙い通りだったし、あの時間帯から2−0で1点取ることができて、良い流れで後半に臨めたと思います。(先発はいつ言われた?)昨日の練習の時からそんな感じかなと思っていたんですけど、試合前のミーティングで言われました。

 緊張はしなかったですけど、本当にチャンスは数少ない。そのなかでどれだけ結果を出せるかが大事だと思うし、それをずっと狙おうとは思っていました。2−2に追いついたからには、チャンスがあったし、やっぱり勝ち切るために何か足りないのかなと思う。個人的にももう1点取るチャンスはあったので、そういうところをしっかり決め切れるようにしたいです。選手として一回り、二回りも成長しないと代表で戦っていけないと思うので、成長するために1つひとつやっていくことが大事だと思っています。

香川真司(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)

「ベルギー戦は勝ち切りたい」

 勝ち切りたかったですね。決して入りは悪くなかったんですけど、こういう舞台でミスで失点してしまうと、相手に主導権を握られてしまう。でもそれ以外はそこまで悪くはなかったと思うので、チャンスはあるだろうなと思っていました。

(柿谷に出したスルーパスは良い形だった)ただあそこはやっぱり決めないといけないですし、2−2で終わるのと3−2で終わるのとでは違うと思うので、そこは悔しいですね。相手も決してすべて(メンバーが)そろっているわけじゃないですし、感覚的には僕らが勝たないといけない試合だったと思うので、悔しい気持ちはあります。点を取りたかったですし、相手もベストじゃないチームだったので、みんなもやれて当たり前だと思っている。次のベルギー戦に向けて継続してやらなきゃいけないし、今度は勝ち切りたいと思います。

 本当にみんなが思い切り自信を持ってプレーしてましたし、先月とは違っていまは点を取るためにプレッシャーをかける、ゴールを取るためにシュートを打ちに行く、飛び出しを増やしていくという、シンプルな考え方ができている。そういう気持ちの持ち方1つで試合は大きく左右されると思うんで、今日は試合に出たらまずはチームが勝つために自分がやるべきことをしっかりやること、自分を信じてやることをテーマにしていました。

長友佑都(インテル/イタリア)

「ロッベンに負けたくなかった」

 強豪オランダに2点を取られて、今日もダメなんじゃないかという雰囲気を皆さん感じていたと思うけど、僕たちの絶対に取り返すという気持ちを見せられたと思います。ただ、今日は絶対に勝ち切れた試合だったと思うから、すごく悔しいです。僕は2点を取られた後も今日はいけるなという感覚がありました。自分自身のコンディション、体の感覚も良かったし、チーム自体も気持ちがみんな入っていたので、それを僕は感じていました。

 チームが1つにまとまっていたのが今日は一番かなと思います。やっぱり1人ひとりがチームのために最後まで走って、地味なプレーでもつぶすところはつぶして、妥協しないというところを1人ひとりがやれたことが大きい。今日学んだことはたくさんあるし、次の試合で生かせなかったら意味がないので、次の試合が勝負だと思います。

(この試合は自分のなかで特別な思い入れがあった?)いまだから言えるけど、すごい集中していて、あまりしゃべりたくないという気持ちが強かった。それは本当に申し訳なかったけど、それくらい集中していました。オランダに対して、それから(アリエン・)ロッベンに対しても負けたくないという気持ちが強かったので、口数が少なかった。

内田篤人(シャルケ04/ドイツ)

「僕がミスしていなければ勝っていた」

(失点につながったミスは)トラップしたら相手も来ていたし、外にクリアしたらたぶん敵もいたので、自分のなかでかなり迷いがありました。(立て直していたが?)それは仲間に助けられた結果だから。DFとしては失点に絡んじゃいけないし、ああいうミスでオランダみたいに強いチームに先制点を与えると……。今日は追いつけたから良かったけど、ちゃんと反省しないといけない。後半は特にパスを回せていたし、自分も何回か絡めた。得点にも絡めたから悪くないと思うけど、どっちかというとオランダもうまくいっていないのかなという意識がありました。

(同点ゴールはみんなで崩したが)僕の中ではイメージ通り。オカちゃん(岡崎慎司)に当てて落としがきて、大迫が入ってきたのがちらっと見えたので出しました。あとは2人の技術だと思う。ああいう形が増えていけば。危ないところにいろいろな選手が顔を出していけるとシュートのチャンスが増えてくる。(2−2の結果は悪くない?)僕は何も言えない。僕がミスしていなければ2−1で勝っていたから。

柿谷曜一朗(セレッソ大阪)

「自分の実力不足。手ごたえはまったくない」

 2−2で良い流れやったんで、そのまま崩さず、もう1点取って逆転したかったですね。(香川からスルーパスが出たが)ナイスボールでした。シュートは見ての通りです。チームとしてはしっかり時間帯を考えたプレーができていたと思いますけど、結果がすべてだと思います。自分の実力不足です。(個人的には)手ごたえはまったくない。悔しいだけです。

山口螢(セレッソ大阪)

「もっと自分の良さは出せる」

 前半はわりとバランスを見ようかなと思っていました。後半はヤットさん(遠藤保仁)が入って、後ろでつなぐこともできるし、パスを散らせるので、より前に出て行ったほうがチャンスになるかなと。後半に関してはより前に出ていけたと思います。(違和感なくやれた?)ヨーロッパ組がいるなかでスタメンは初めてだったので、最初は緊張がありましたけど、徐々にそういうのにも慣れてきたので、あとは後半のように前に出て行くプレーを前半からもう少し出せたら良かったと思いす。

(先発は自分のなかで準備はできていた?)あまりできていなかったですね。急だったので。ミーティングの時に言われました。(自分の存在をアピールできた?)まず勝つことで精いっぱいだったので、そういうのは思っていなかったです。まだまだ出せていない部分のほうが多いんですけど、もっと自分の良さは出せると思います。

遠藤保仁(ガンバ大阪)

「勝たないといけない試合だった」

(勝ち切れないのが課題)今日も勝たないといけない試合でしたし、後半に関してはビッグチャンスはうちらのほうが多かった。勝ち切らないといけないと思いますけど、良い形もどんどん出ましたし、ゴールを決める、決めないは結局最後はシュートを打つ選手の精度の問題。ビッグチャンスは曜一朗にもありましたし、それは本人が一番よく分かっていると思うので、そこまで行く形をたくさん作れたのは、前向きに捉えていいと思います。前半のバックパスから失点した場面も、そこまではうちらのペースだった。ああいう何でもないミスをしてしまうと、0−2、0−3になる可能性もあるので、両ゴール前をより精度を高めてやっていかないといけないと思います。

(変わるきっかけになる試合か?)きっかけにしていきたいなと思いますし、次の対戦相手がどちらかというとフィジカル重視のチームになるので、日本にとっては一番嫌な相手。今日、ある程度良かったからといってすべてが劇的に変わるわけでもないですし、積み重ねていくしかないと思うので、次の試合もアグレッシブに後半みたいなゲームにしていかないといけないと思います。

岡崎慎司(マインツ05/ドイツ)

「チームとして揺るがない結束がある」

 日本の一番良いサッカーは臨機応変にどんなサッカーでもできること。ショートカウンターもあれば、足元でつなぐサッカーもあれば、裏を狙うサッカーもあると思う。僕は裏を狙う時に自分の得意なパターンが出るなと思っていたので、そういうのでリズムをつかめるようにと思っていました。

(コンフェデレーションズカップのイタリア戦とは逆の展開になったが?)自分たちが試合を良い方向に持っていくためには、イタリア戦がそうだったように自分たちが先制することがすごく大事。僕もチャンスは1回あったので、ああいうところで決める力があればチームをもっと楽にできたかなというのは1つの課題だと思っています。

(批判的な横断幕が出ていたが?)まったく気にならないといったら嘘になるけど、自分たちはチームとして揺るがない結束もあるし、それはサポーターも同じ気持ちだと僕は思っています。ああいうことを書かれてもみんなワールドカップ(W杯)で勝ちたいという思いは一緒だと思うので、その気持ちを自分たちがプレーで表現すればいいだけ。不安は感じなかったし、良い方向に行けばみんな賛同してくれるので、僕らはプレーで表現すればいいと思っていました。これからもそれは一緒。悪くてもチームが結束すること、チームが乱れることが一番ダメ。僕は前のW杯前にもこういうことは経験している。前回の時の結束は僕も参加していたし、目の前で見てきたので、そういうのをつないでいく人間になっていきたいです。

吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)

「内容と結果にこだわっていきたい」

 2失点はしたけど大きなチャンスはそんなに作らせなかったのは良かったと思います。次の試合も継続していきたいし、僕らはこういう試合にもっと慣れていかないといけない。こういうアウエーで、こういう強いチーム、ワンチャンスをものにしてくるような相手と対戦することに慣れていかないといけない。次はもっと相手のサポーターも来ると思うし、難しさは増えると思います。ベルギーはコロンビアに負けたので、さらにアグレッシブに来ると思うし、同じように続けていきたいです。内容と結果にこだわっていきたいし、1試合で満足せずに、自分たちの哲学を同じように持ってサッカーをしていきたいと思います。

今野泰幸(ガンバ大阪)

「引き分けで満足していたらダメ」

 後半は攻守の切り替えが早くて、前線からの守備も大迫がすごくやってくれた。出どころが抑えられたので、僕らも処理しやすかったですし、二次攻撃、三次攻撃につながったと思います。正直、勝っていればきっかけになる試合だったと思います。引き分けで満足していたらダメですね。

(先月と比べて)攻撃面でもすごく良くなったと思うし、今日みたいな流動的な攻撃ができれば、相手もつかみづらい。決定的チャンスを作れていたので、ああいう攻撃を僕は後ろから見たいなと思います。(守備面は)ハマっている時間がけっこう長くて、それは自信にしていいと思うけど、前半の2点目を取られたときは、オランダ特有の幅広くサイドを使いながらの完璧な崩しからの失点だったので、ああいうところはやられてはいけない。そういう時にも体で防げるようなことをやっていきたいなと思います。(ロッベンにやられたのは)仕方ないとは言えないです。仕方ないで終わらせたらダメだし、あそこは縦を切る人と中を切る人で、もっと声をかけてコミュニケーションを取れれば防げたと思います。

西川周作(サンフレッチェ広島)

「試合がもっと続けばいいと思っていた」

 いつも(チームメートが)感じているんだなというものを自分もピッチで感じられました。コンフェデレーションズカップは外から見ていたけど、前半で2点を入れられて、屈辱的な気持ちを試合で感じられたのは逆にうれしかった。後半、日本が追いついて、勝てたと言われてもおかしくない試合だったけど、負けなかったというのは自分としてもポジティブに考えています。(プレー面で気をつけていたことは?)ロングボールを蹴るよりは、極力、自分の持ち味であるつなぐ意識を出したかったし、DFとも話して今日はビルドアップでも自分を出せたと思います。こういうピッチ上でしっかりできたことは自信になります。

 こういうアウエーでA代表として試合をしたことがないので、やっと経験できたことが素直にうれしかった。今日は楽しもうと思っていました。こういう機会は自分になかなかなかったので、とにかく自分の持ち味を出すことだけを意識してやりました。勝てればベストだったけど、まずはこういう経験ができたことが良かったです。(先発を言われたのは)今日のミーティングです。予感はまったくなかったです。オランダと対戦できることはうれしかったし、U−20の時にやっているけど、あの時は負けて悔しい思いをしていたので、A代表としてオランダとアウエーでできたことは非常にうれしかったです。

(オランダのシュート精度はどう感じた?)やはりパンチ力があるなというのと、ロッベンのシュートなんかもワールドクラスだなと感じたし、ああいうシュートを止められるGKになっていきたいと思いました。本当に楽しかった。もっと続けばいいのになと思っていました。それはこれから自分が勝ち取ることだと思っているし、この経験を生かしていきたいです。

<了>

 

勇気と自信を取り戻したオランダ戦 新たな競争原理が生み出した躍動感
【スポーツナビ:宇都宮徹壱 2013年11月17日】

ゲンクに続々と集まる日本人サポーター

日本代表欧州遠征取材日記
(11月16日@ゲンク)

 ゲンク滞在3日目。オランダ戦当日の朝、朝食を摂ろうとホテルの食堂に向かうと、オランダ戦を観戦しに来たと思しき日本人が6人もいて、思わず眠気が吹き飛んだ。私が泊まっているホテルは、どちらかというと民宿といった風情のこぢんまりとした施設で、中心街から少し離れた不便な場所にある。そもそもゲンクという街の規模(人口およそ7万人弱)を考えると、日本人がこんなにいること自体が珍事といえよう。

 2人組の女性に声をかけたら、ひとりは日本から、もうひとりは勤務地のデュッセルドルフ(ドイツ)から車で2時間かけて来たという。ベルギーはEU圏のほぼ中央にあり、欧州在住の日本人も比較的アクセスしやすい。ただそれ以上に、このところなかなか勝ててないとはいえ、これだけ日本国民が代表チームに期待を寄せていることを、あらためて思い知った。その後、会場のクリスタル・アレナに到着すると、準ホームのオランダに負けないくらいの数の日本人サポーターが、早くから入場ゲートに詰めかけていた。

 この試合のキックオフは13時30分。何だか天皇杯かJFLのような時間設定である。海外での代表戦の場合、日本の放映時間に合わせてキックオフ時間を昼間に設定するケースが少なくない(前回のベラルーシ戦も15時15分キックオフだった)。とはいえ、さすがにこんなに早い時間帯での開催は、ちょっと記憶にない。選手もコンディション調整にいささか戸惑ったのではないだろうか。

 もっとも、来年のワールドカップ(W杯)ブラジル大会では、13時キックオフという試合がグループリーグ48試合中18試合も組まれている。これまたテレビ放映との兼ね合いによるものであり、時差12時間の日本では翌日の午前1時に観戦することが可能となる。キックオフ時間は他に、16時、17時、18時、19時、そして21時(マナウスでの1試合のみ)とあるが、日本代表を取り巻く諸事情を勘案すると、本番でも昼間のキックオフとなる可能性はそれなりに高いと思う。そうして考えると、今回のオランダ戦は本大会をリアルに想定したテストと捉えることも十分に可能だろう。

予想を大きく裏切ったスタメンが示すもの

 上空の霧がなかなか晴れない中、クリスタル・アレナのスタンドに、アルベルト・ザッケローニ体制を批判する長大な横断幕が掲出された。試合開始30分前のことである。読み取れる文字を拾い上げると、おおよそこんな内容であった。

「3月まで強化試合0(ゼロ)/強化プランの見直しを/アジア王者の誇りはどこに?/日本に伝わる必死さはあるか?」

「日の丸の重みは?/結果を出している国内組より結果・出場してない海外組の方が大事?/ZAC(ザック)さんは海外組がすべて?」

 試合前にこうした内容の横断幕を出すことの是非はあるだろうが、あえて海外で実行するくらい使命感と危機感が根底にあったことについては理解できる。ただし、この横断幕の訴えには、少なくとも3つの誤算があった。まず、ザッケローニ監督は日本語が読めないこと。たとえ通訳を介して内容が伝えられたとしても、本人はセリエAでのえげつない横断幕に慣れっこであったこと。そしてまさにこのオランダ戦で、いつもの海外組重視のスタメンから大きくメンバーを入れ替えたことである。

 この日の日本のスターティングイレブンは以下のとおり。GK西川周作。DFは右から、内田篤人、吉田麻也、今野泰幸、長友佑都。中盤は守備的な位置に山口螢と長谷部誠、右に岡崎慎司、左に清武弘嗣、トップ下に本田圭佑。そしてワントップに大迫勇也。何と、川島永嗣、遠藤保仁、香川真司、そして柿谷曜一朗がベンチスタートである。はっきり言って私は、このオランダ戦もいつものメンバー、いつものシステムだろうとたかをくくっていた。「試合前のミーティングで」先発を告げられたという大迫や山口ら選手本人も、大いに面食らったことだろう。

 確かにシステムはこれまでどおりの4−2−3−1だし、キャプテンも長谷部のままだ。システムもキャプテンもGKも一新された、3年前のW杯直前のイングランド戦と比べれば、それほど劇的な変化とは言い難い(ついでに言えば、ディフェンスラインはいつもの顔ぶれだ)。それでも、これまでとは違う何かが始まろうとしている兆しは、この予想外のリストからは十分に感じ取ることができた。それはすなわち、指揮官の采配に柔軟性が生まれたことであり、そしてよってチーム内に危機意識と競争意識が芽生えたことである。これらについては後述することにしたい。

価値あるドローであり、勝てる試合でもあり

 終わってみれば、FIFA(国際サッカー連盟)ランキング8位のオランダに2−2のドロー。しかも、過去2戦して一度もゴールを奪えなかった相手から、2点のビハインドをものともせず追いついたのだ。「もう、これ以上は負けられない」というプレッシャーも相まって、久々に胸のすくような試合となった。とはいえ、日本が勝てる試合であったという事実も、しっかり受け止めるべきであろう。前半13分の内田のバックパスのミスで失点しなければ、あるいは香川(後半22分)と柿谷(同33分)のシュートのどちらかが決まっていれば、われわれの喜びはさらに倍増していたはずだ。

 あらためて、なぜオランダ戦が「勝てた試合」となり得たのかについて、ポイントを絞りながら振り返ることにしたい。日本は前述のとおり、前半13分のバックパスをラファエル・ファン・デル・ファールトに奪われて失点すると、39分にはアリエン・ロッベンの卓越した個人技によるミドルをたたき込まれ、点差は拡がる。10月遠征の日本ならば、そのまま意気消沈してさらに失点を重ねていたかもしれない。だが、そうはならなかった。最初の失点をするまでは、日本は果敢に相手陣内に攻め入っていたし、失点の後も西川や吉田が「気にするな、取り返すぞ!」という感じでミスした内田をさりげなく鼓舞していた。そうしたメンタル面での積極性やたくましさが、この試合では随所に感じることができたのである。

 そしてハーフタイム突入直前の前半44分、日本はオランダから会心のゴールを奪う。吉田のインターセプトを起点に、長谷部がドリブルで右サイドを突進し、折り返したボールを中央で大迫が右足ワンタッチでゴール左隅に押し込んだ。当人は「狙い通りの得点」と語っていたが、久々のスタメンのチャンスでありながら、ここまでの結果を残すとは思わなかった。このゴールは、日本がオランダに挑んで3試合目で初めて記録した歴史的なゴールであったわけだが、それ以上にオランダに心理的なプレッシャーを与えることとなった。「信じられないような失点。スコアが1−2になったことで、日本に精神的にアドバンテージを与えてしまった」とは、試合後のルイス・ファン・ハール監督のコメントである。

 さらに後半、日本とオランダのベンチワークも明暗を分けた。日本は長谷部と清武を下げ、満を持して遠藤と香川を投入したのに対し、オランダは明らかな脅威となっていたナイジェル・デ・ヨングをベンチに下げてしまった(ファンハールによれば「けがのため」だそうだ)。それまで広いエリアをカバーしながら、定規で引いたようなパスを前線に繰り出していたデ・ヨングの不在は、相対的に日本の中盤でのポゼッションを高めることとなり、結果として後半15分の小気味良いパスワークからの本田の同点弾を引き出す。残念ながら3点目を挙げるには至らなかったものの、新調された新ユニフォームが素晴らしくカッコよく見えるくらい、この日の日本は見事なまでに躍動していた。

ザッケローニの変化を促したものは何か?

 歴史的勝利こそならなかったものの、指揮官がブレずに試合内容を追求した結果、日本は10月遠征以来(さらに言えばコンフェデレーションズカップ以来)続いていた停滞期を脱するきっかけをつかむことができた。まだ19日のベルギー戦を残しているが、この日の試合で取り戻した勇気と自信を忘れず、さらにコンディション調整さえ間違えなければ、それほど悲惨な結果になることはないだろう。

 そう、重要なのはやはり、メンタルとフィジカル、両面でのコンディショニングなのだと思う。次のベルギー戦に向けて、ザッケローニは「今日のようなゲームをするには、選手全体のフィジカルコンディションが最良でないとならないので、まずは各々のコンディションをチェックすることにしたい」と述べている。至極まっとうなことを言っているように聞こえるが、実のところ、これまでの彼の采配では、そうしたセオリーを度外視するような選手起用がたびたび見られたことは留意すべきである。

 明らかなオーバーワークの選手、逆に所属クラブで出番がない選手を、あえて起用することでメンバーを固定化し、それがチームの競争力や危機意識を低下させ、結果として負のサイクルの一端となっていたのである。その意味で、試合前の横断幕に書かれてあった批判は、あながち的外れではなかった。しかしこのオランダ戦では一転、ザッケローニはコンディションを第一にスタメンを組み、かつ能動的なベンチワークを見せていた。これにより、硬直していたチームに新たな競争原理が生まれ、ピッチ上での躍動感につながった。

 何はともあれ、ここにきてようやく代表をめぐる状況が少し落ち着いたのは、うれしい限り。また、大迫や山口(この日はフル出場)といった若い選手が存在感を示してくれたのも収穫であった。しかし一方で気になるのが、ザッケローニの変化が、果たして何によってもたらされたかである。単に「自分のクビが危うい」という危機感からではないだろう(それだけが理由なら、逆にもっと意固地になっていたと思う)。おそらくは指揮官が信頼して止まない、第三者による客観的なアドバイスがあったのではないか。ただ、それ以上の言及は想像の域になってしまうので、ここでは控える。真実が明らかになるのは、来年のW杯が終わって以降であろう。

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強豪オランダ相手に2点のビハインドから追いつく好ゲーム・・・国際親善試合:オランダ 2-2 日本」への6件のフィードバック

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