2014年W杯アジア最終予選:ヨルダン 2-1 日本・・・W杯出場決定は次選へ持ち越し

裏の試合で豪州とオマーンが引き分けに終わったので、これで引き分け以上なら本戦出場が決まるところでしたけど・・・世の中そうはウマいこといきまへんなぁ〜(苦笑)。

 

2014年ワールドカップ アジア最終予選

ヨルダン 2−1 日本

 

主審が優秀さで名高いウズベクのイルマトフ氏じゃなかった(イランの人?)ので“中東の笛”を懸念していましたが、そちらの心配はなかった模様。ただ、選手たちのコンディションが上がっていないことに加えて、見ていた側からは想像もつかないプレッシャーが、選手だけでなくザッケローニ監督にもあったのかな・・・と見えました。今後の強化プランにも影響するので、できたらここでサッサと決めておきたかったところでしたでしょうけど、負けは負け、仕方ないですね。セットプレイで先制されたのはいただけませんでしたし、他にもある修正点を6月までに改善してほしいと思います。

・・・まぁよほどのことがなければW杯の切符は手中にしているも同然ですし(最初の2試合で得失点差9ポイントつけたのが何気に効いている)。

それよりも、ヨルダン川からのレーザー照射には怒りを隠せません。はっきり写真に写った中の1つは遠藤がPKを蹴ろうとしていた時ですしね。これ、制裁とかないんですかね?AFCの対応に期待できないとはいえ、これはさすがに・・・(怒)。中東諸国には前回の予選でバーレーンが日本に対して同様の事件を犯した前科があるので、強気で抗議してしかるべきだと思います。
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ザック監督「結果には落胆している」
W杯アジア最終予選 ヨルダン戦後会見
【スポーツナビ 2013年3月27日】

 サッカー日本代表は26日、5大会連続のワールドカップ(W杯)出場を懸け、敵地でアジア最終予選のヨルダン戦に臨み、1−2で敗れた。日本は0−2とリードされた後半に香川真司がゴールを決めたものの、あと1点及ばず。W杯出場は持ち越しとなった。

 試合後、日本のアルベルト・ザッケローニ監督は「リスタートがこのチームの唯一の課題だと思っている」と、22日のカナダ戦に続き、セットプレーから失点したことを悔やんだ。それでも、「ゴール前での精度以外に関しては満足している」と、多くのチャンスを作り出した試合内容には及第点を与えていた。

もう少し運が味方してくれても良かった

――結果を残さなければならない試合で敗れたことについて、今の心境は?

 率直に、ヨルダンが2ゴールを奪って、日本が1ゴールしか取れなかった、という言葉しか浮かんでこない。とはいえ、わたしは結果を元に試合を分析するのではなく、いかにピッチの中でこうした現象が起こったのかを分析するタイプなので、今回も結果にとらわれすぎず、具体的な内容を見ながら敗因について分析していきたい。

 当然、今日のような内容でアウエーのわれわれが10回チャンスを作り、相手が3回チャンスを作るという戦いであれば、われわれが勝たなければならない試合だった。今日のように、アウエーチームが、8回、9回、10回のチャスをつくるのはまれだと思う。チャンスに至るまでも簡単にはできないことだが、カナダ戦のあとにも言ったように、最後のところでの決定力を高めなければならない。結局、今日の試合もカナダ戦も、CKからの失点ということで、相手にCKすらも与えてはならないのかという思いだ。

 リスタート(での失点)がこのチームの唯一の課題だと思っている。今日の試合内容については、チームコンセプトであったり、ポイントといったものは選手たちはしっかり出してくれたと思う。また、中央からもサイドのスペースからも、積極的にチャンスを作ることができたのではないかと思う。今日のようなピッチコンディションが悪い中でも、これだけのチャンスを作ることができた。対戦相手のヨルダンが、メンタル、走力、団結力といったもので、われわれに向かってくるのは想定内だった。

 特にヨルダンについて言及するつもりはないが、どちらかというと自分たちのチャンスを決めきれなかったと思う。サッカーのゲームというのは、いくつかのエピソードで成り立っている。たとえば、われわれはPKを失敗してしまった。ヨルダンはチャンスをすべて決めてきた。当然、W杯への切符を勝ち取りたかったので、この結果は非常に残念だ。結果は後回しになってしまったが、気持ちとしては今日、何としても(出場権を)勝ち取りたかった。チーム全体もそうだが、この試合の結果には非常に落胆しているし、落ち込んでいる状態だ。試合内容を考えると、もう少しわれわれに運が味方してくれても良かったと思う。

ゴール前での精度以外は満足している

――今日先発で選んだシステムとメンバーは意図通りに動いてくれたか。それと試合後、監督とヨルダンの選手が言い争っているように見えたが?

 ゴール前での精度以外に関しては満足している。ボールをスピードをもって動かし、それを中央から、サイドからバリエーションを与えながら攻めていくことはよくできた。実際、前半の早い段階で相手チームが選手交代したのは、それが理由だったと思う。

 チームに出した指示は、幅をもってビルドアップを開始すること、ゴール前に入ったら積極的にゴールに向かっていく選手にボールを供給しようという指示を出した。そういう意味で、もう少しバイタルエリアに入ったあたりで、裏へのボールの供給がもう少しあっていいのかなと思った。それをサイドに散らすシーンが散見された。

 2つ目の質問だが、わたし自身、あまり挑発されるのが好きではないタイプなので、そういうことになった。

――ヨルダン代表について、6月に対戦して勝ったときと比較してどうだったか?(ヨルダンメディア)

 われわれが主導権を握ったのは変わりないし、ヨルダンがハートと団結力をもって戦ってくるのも変わりはなかった。では6月の試合と今日と何が違ったかといえば、埼玉ではゴール前でのチャンスを決めきったが、今日はそれがなかった。それと6月に比べると、ヨルダンのディフェンスラインがより集中していたのだと思う。

――この試合で唯一チャンスが少なかったのが後半最初の10分だったが、何かまずいことがあったのか、それとも相手が守備を固めてきたのか?(大住良之/フリーランス)

 おっしゃるとおり、10分間の休憩をそのタイミングで取ったのだと思う。皆さんも90分間試合を見たと思うが、日本は非常に運動量が多く、全員でサッカーをしていた。サイドバックの選手にしても、1人が上がれば1人が戻るということを連続して繰り返していた。90分間それはできないということで、10分間休憩を取ったのだと思う。

<了>

 

ヨルダン戦後 選手コメント【スポーツナビ 2013年3月27日】

 サッカー日本代表は26日、5大会連続のワールドカップ(W杯)出場を懸け、敵地でアジア最終予選のヨルダン戦に臨み、1−2で敗れた。日本は0−2とリードされた後半に香川真司がゴールを決めたものの、あと1点及ばず。W杯出場は持ち越しとなった。

 試合後、1ゴールを決めた香川真司は「僕らがもっと点を取っていれば勝てた試合だし、それに尽きると思います」とチャンスを生かしきれなかったことを悔やんだ。また、同点のチャンスとなるPKを外した遠藤保仁は「自信を持ってあそこに蹴りましたし、コースもそんな悪くはなかったです。読まれていたのかなと思います」と自身のキックについて分析した。

遠藤保仁(ガンバ大阪)
「PKは自信を持って蹴った」

 前半から良い形を作れていたので、先制したかったですね。自分たちのペースでできていたので、コーナーキックからの失点ももったいなかったですし、取られてはいけない時間帯に取られてしまいました。ハーフタイムには「慌てずに、まず同点に追い付いて」という話をしました。

(ヨルダンは)2点を取って引いてきました。サイドから単純に上げても跳ね返される確率が高いので、崩しの工夫が足りなかったかなと思います。早いパス回しで崩しにくいピッチだったので、より大胆に攻める必要があったかな、というのが今日の反省です。そんなにプレッシャーもなかったので、(DFの)間に速いボールを入れたりすることはできたと思います。クロスを入れるときは相手の人数も多かったので、逆に後ろに下げてシュートという選択肢があっても良かったかなと思います。

(PKに関しては)自信を持ってあそこに蹴りましたし、コースもそんな悪くはなかったと思うので、読まれていたのかなと思います。(レーザーを当てられた影響は)PKの時もありましたが、その前からも受けていたので、プレー中には影響はなかったと思います。

香川真司(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
「点を取れていたら勝てた試合」

 悔しいです。僕らがもっと点を取っていれば勝てた試合だし、それに尽きると思います。(自分のプレーについて)チームが負けたので、それがすべてだと思います。今日もたくさんのサポーターが来てくれたのに負けたので、次はホームで頑張ります。

清武弘嗣(ニュルンベルク/ドイツ)
「最後のゴールを奪うところだけ」

(2失点後の右へポジションチェンジについては)監督に言われました。前半は左で相手があたふたしていて、結構チャンスがありました。途中で入ってきた5番が僕にマンマーク気味にきたので、なかなか後半の最初はチャンスがありませんでした。右にいって結構崩すことができました。でも、ホントに最後のところだけだなと思いますし、もう終わったことなんで、次しっかり頑張りたいと思います。

(アシストについて)あの場面は芝も悪かったし、何か起こってくれという感じでアウトに単純に当てて出したら、ああいう感じになりました。良かったです。

(0−2になって)全然追いつけると思っていましたし、逆転できると思っていました。チャンスもたくさんありましたし、本当に最後のゴールを奪うところだけだったなと思います。

 次の試合は本当に大事になると思いますし、ホームですから心強いサポーターもいます。絶対にホームで決めたいです。

長谷部誠(ボルフスブルク/ドイツ)
「W杯予選は簡単ではないと思い知らされた」

 今日勝って決めたかったが、W杯予選は簡単なものじゃないともう一度、思い知らされた気がします。これが予選のアウエーの雰囲気、非常に難しいゲームだったし、残念です。(6月に向けて)間は空きますが、今日1つよかったことと言えるのは、次、ホームで勝てば、ホームのみなさんの前で決められる。勝てなくて今日は申し訳なかったですけど、次のゲームで決める強い気持ちを持ってやりたいです。

内田篤人(シャルケ04/ドイツ)
「変に落ち込みすぎない方がいい」

(PKを取ったシーンについて)キヨ(清武)がこっちに来て、リズムができてたので、ちょっと高い位置に行こうかなと思った矢先のああいうプレーでした。足はかかっていないですけど、笛を吹いてくれればラッキーだなと思っていましたし、あのタイミングでエリア内でスライディングしてきた相手が悪いかなと思います。PKだったと思います。

(遠藤のPK失敗について)PKを取った時にみんな喜んでいましたが、まだ入っていないよと言いながら後ろに戻りました。監督もハーフタイムに『点を取れる時に取らないと』って結構怒っていましたが、その一言だと思います。何回かチャンスがあったので、そういうところを決めていかないといけないです。向こうのチャンスの割に僕らのチャンスは多かったけど、1〜2回のチャンスでサクッて取られましたから、そういう部分では前半でチャンスを決めたかったです。

(清武が右に来たのは?)分からないですけど、たまたま近くにいたので、こっちで一緒にやろうと言ってやってました。結構リズムも出てきましたし、オカちゃん(岡崎慎司)とタイプは違いますけど、彼がこっちに入れば2人で崩せると思いました。
 
(次のオーストラリア戦について)ここで負けてはいけないって決まっていたわけでもないですし、それからまだ終わりでもないです。変に落ち込みすぎない方がいいと思います。

川島永嗣(スタンダール・リエージュ/ベルギー)
「勝って決めたい気持ちが裏目に出た」

 試合の環境は良くなかったですし、ピッチ条件ももちろん良くなかったですが、その中でも自分たちのサッカーをやりながら、勝って出場を決めたかったです。逆に勝って決めたい気持ちが多少、裏目に出たかもしれません。

 結果的にW杯に今回の試合で進むことができなかったですが、自分たちとしてもまず出場を決めることが第一だと思いますし、厳しい2試合になると思います。ただ次は日本でやるので、みんなで一致団結してやりたいと思います。

岡崎慎司(シュツットガルト/ドイツ)
「アジアでの負けは重い」

 試合の入り方は悪くなかったと思うし、最初に決定的なチャンスが何度もあったので、そこで決めていれば結果は違ったものになったと思います。アウエーでの戦い方が今までで一番うまくできたかなと思いましたが、その試合で負けてしまうのは、日本の課題だと思います。決めるところで決めないと、こういう結果になる。日本代表での負けは重い。特にアジアでの負けは重いな、と今回改めて感じました。

(1失点目については)マークについていて、少し目を離したすきにボールが来たので、ボールを見てしまったら相手に前に行かれてしまいました。単純に自分のミスですね。

(本田圭佑がいない影響は)そこまで感じませんでした。いれば良いなと思うだろうけど、やっている選手はいない影響を感じるものではないし、いない選手のことも考えません。今日はただ負けて悔しいし、これが自分たちの未熟な部分だと思います。

今野泰幸(ガンバ大阪)
「先制点でリズムを崩してしまった」

 力不足ですね。準備はしていたつもりですけど力が足りず、ゲームをコントロールし切れませんでした。セットプレーで先制点を与えてしまって、リズムを崩しましたね。

(セットプレーは)警戒もしていたし、マークの確認も試合前にしていました。でも、時間は分からなかったんですよ。時計がなくて。どのくらいなんだろうという感じで。前半に関しては、終わるまで分からなかったです。後半は負けていたから、サイドバックに聞いたり、ベンチにも聞いたりしていました。

(2失点を許したが)後半もそうだし、前半の立ち上がりも良い攻撃ができていて完全に崩していた。最後のシュートさえ決まれば、というシーンを後半に何回も作れていたので攻撃陣は悪くないと思います。ただ2失点が……。2点も与えてしまうとやはり難しくなりますね。

(2失点目は)酒井高徳が相手と競り合ったとき、そのカバーに走ったんです。そうしたら、その選手がスライディングして前にボールを送って、(吉田)麻也が相手と1対1になってしまった。そこにリスクがあった、あそこで僕が我慢して、バックステップを踏んでスペースを空けなければ、2対1の状況を作れていた。それを考えると、僕のポジショニングミスもあったかなと思います。

(遠藤がPKを外してしまったが)PKは(外すことは)誰でもありますよ。すごい選手だって外すでしょう。ヤットさん(遠藤)も切り替えていたはずだし、切り替えられる選手だと思っています。

酒井高徳(シュツットガルト/ドイツ)
「これが実力だと真摯に受け止めている」

 圧倒されるようなことはなかったし、自分でやるだけという感じがありました。ドイツでドルトムントとやった時はもっと人数が多いし、そんなに緊張はしなかったですね。(失点シーンだけが悔やまれる?)そうですね。ああいう形でのボールの取られ方というのは前半から何度もありました。ただ、何回かあったのに自分のところで取られた時に失点してしまったかという気持ちが強かったので、なおさら悔しかったのはありましたね。何も言うことはないです。本当に自分のミスだったということです。

(今野も自分のサポートが悪かったと言っていた)いや、かばって言ってくれてるんでしょう。ミスはミスなので。まあ、でもネガティブなミスじゃなかったので、それは前向きにとらえていきたいし、そこの精度を上げるだけです。

(最終予選アウエーの難しさを実感した?)そうですね。シュートが入らないですしね。前半から入ってほしかったなというのは確かにありましたけど、これがサッカーなので。これが自分の実力だと真摯に受け止めています。しっかり見つめ直して、もう1回やっていきたいなと思います。でも自分としての良さやアピールポイントというのは監督にも出せたと思うし、このチームで発揮できたと思います。

西川周作(サンフレッチェ広島)
「今日でW杯出場決めたかった」

(試合後のロッカールームは)特に変わらないです。みんなでハイタッチしたくらいです。ここはシャワーも浴びれないので、次に向けてみんなすぐに切り替えた感じです。

(このスタジアムではロンドン五輪予選でも負けているが)そうみたいですね。でもそういう雰囲気はありました。それがアウエーの難しさというか、みんな戦っていましたし、逆転してもおかしくない展開でした。次のホームでW杯出場を決めたいです。

(多くのチャンスを作ったが)チャンスをものにできなかったのが最後響いたかなと思います。チャンスで決められるかどうかというところです。出ていないですけど、良い経験はできました。みんな気合いが入ってたし。今日決めようという思いでした。入りも良かったので、いけるかなという雰囲気だったのですが。悔しいです。

(アウエーで気を付けたことについて)特にはないです。雰囲気も始まる前は思った以上にヤジも飛んでこなかったですし、それよりすごい雰囲気を今まで経験しました。

(本田と長友佑都の不在について)見方によって影響はあると思いますけど、やっている選手はそう言われたくないですね。だから今日で決めたかったです。

<了>

 

日本敗北の理由は「運」だけなのか?違いが表れた両チームのベンチワーク
【スポーツナビ:宇都宮徹壱 2013年3月27日】

歴史的勝利にタガが外れたヨルダンの人々

 両チームの監督会見の取材を終えて、プレスカンファレンスルームを出ると、スタンドからヨルダンの勝利を祝う太鼓の音が聞こえてきた。選手のミックスゾーン対応もすでに終わっていたので、急いでホテルに戻ろうとスタジアムを後にすると、すぐさま地元の少年たちに囲まれた。彼らは日本人の私を見つけると、いきなり何か叫びながら腕をむんずとつかみ、カメラのストラップを引っ張り始めた。最初は苦笑まじりにいなそうとしたが、次第に雰囲気が尋常でないことを悟ると、強引に振りきって早足でその場を立ち去った。海外のスタジアムで久しぶりに感じる、狂おしいまでの高揚感。日本に2−1で勝利したことで、普段は温和なヨルダンの人々は明らかにタガが外れてしまっていた。

 危なっかしい連中から逃れて、タクシーを拾うべく交通量の多い道路脇に立っていると、今度は運転中のヨルダン人から激しいクラクションを鳴らされたり、「ヘイ・ジャパン!」「ニイハオ!(日本語だと思ってるらしい)」などとさんざん野次(やじ)られる羽目に陥った。アウエーで日本が敗れる試合は、これまで何度か立ち会ってきたが、これほど屈辱的な気分を味わうのも、ずい分と久しぶりである。およそ15分ほど、そうした状況が続いただろうか。ようやくタクシーを捕まえてホテルにたどり着くまで、一時も緊張感が途切れることはなかった。今回は日本からも、500人以上のファンやサポーターがアンマンまで駆けつけたそうだが、あの混乱の中から無事に帰還できたのだろうか。

 さて、周知のとおり日本はヨルダンとのアウエー戦に敗れたため、世界最速での本大会出場を敵地で果たすことはかなわなかった。この試合に先立って行われたオーストラリア対オマーンの試合は2−2の引き分けに終わっている。勝ち点5で並ぶ両者が1ポイントを分け合ったため、日本はこのヨルダン戦に引き分けても予選突破が決まることになっていた。だが対するヨルダンにしても、この日本戦はグループ最下位から2位に浮上する絶好のチャンス。戦力差は歴然としていたものの、それでもヨルダンがアジア王者を相手に本気で勝ちに来ていたことは、この日の彼らの戦いぶりからも明らかである。では、両者の明暗を分けたものは、果たして何だったのだろうか?

なぜ日本のベンチワークは後手に回ったのか?

 まずは日本側から、その原因を探ってみることにしたい。この日の日本のスターティングメンバーは、以下のとおり。GK川島永嗣。DFは右から内田篤人、吉田麻也、今野泰幸、酒井高徳。中盤は守備的な位置に長谷部誠と遠藤保仁、右に岡崎慎司、左に清武弘嗣、トップ下に香川真司。そしてワントップは前田遼一。カナダ戦で及第点以上の働きを見せた中村憲剛ではなく、香川をトップ下でスタメン起用するアルベルト・ザッケローニ監督の判断には、ちょっと驚かされた。この攻撃のユニットは相当に前掛かりな印象を受ける。引き分けでもよい日本だが、あえて攻撃的な布陣でスタートし、早い段階で試合の流れを決めたいとする指揮官の意図が、このリストからも強く感じられる。

「試合の入り方は悪くなかったと思うし、最初に決定的なチャンスが何度もあったので、そこで決めていれば結果は違ったものになったはず」(岡崎)
「皆さんがどう感じていたかは分からないけど、全然悪くはなかったし、ゴールに迫るシーンもあった」(清武)

 実際、前半の日本は決して悪くはなかった。特に清武、酒井高、そして遠藤による左サイドでのトライアングルがよく機能していたし、香川もパスの起点や受け手になりながら何度もチャンスに顔を出していた。ただし仕掛けは作るものの、フィニッシュでの精度を欠いていたのはいただけない。特に、昨年9月11日の対イラク戦以来のゴールを期待されていた前田は、前半14分と23分に2度の決定機を迎えるものの、前者はGKに、後者はバーに阻まれて得点ならず。もちろん前田ひとりを責めるべきではないが、このチャンスをつぶしてしまったことが、のちのち日本を苦しめることとなったのも事実である。

 チャンスは作っている、けれども決め切れない。前半アディショナルタイムと後半早々に失点してからの日本ベンチは、このジレンマに逡巡(しゅんじゅん)を続けることになる。トップ下に中村を入れるという選択肢もあっただろうが、そうなると誰をベンチに下げるのか。香川も清武も岡崎も十分に機能している。変にいじりすぎてバランスが崩れることを、おそらくザッケローニ監督は何より恐れていたと思われる。4人のユニットのうち、最初のカードを切るなら前田であろう。しかしベンチが動いたのは後半19分。10分遅かったと思う。結果、乾貴士の投入も後半41分までずれ込んでしまった。

 香川を中心とした今回の攻撃のユニットは、それなりに機能していたために、かえって状況に応じたメンバーの入れ替えを難しくさせてしまった。前半途中から投入された5番のハサンのマークをかわすために、清武と岡崎のポジションを入れ替えた判断は良かったが(その結果、後半24分の香川のゴールが生まれた)、その後のさい配は後手後手に回った感は否めない。あくまで結果論ではあるが、スタートの時点で中村をトップ下に使っていたら、選手交代のバリエーションが増えることで違った展開もあり得たのではないか。

ヨルダンの勝因は的確なチームマネジメント

「この試合の結果には非常に落胆しているし、落ち込んでいる状態だ。試合内容を考えると、もう少しわれわれに運が味方してくれても良かったと思う」(ザッケローニ監督)

 確かにこの試合、日本にもう少し運があれば、と思うことが多々あった(遠藤のPK失敗などは、その最たるものであろう)。とはいえ、ヨルダンが「運」だけで日本に勝利したとは到底思えない。敵将のアドナン・ハマドは、2年前のアジアカップでも日本を存分に苦しめている(終了間際の吉田のゴールで何とか1−1のドローに持ち込んだ)。今回もハマドは、ドーハでのカナダ戦を視察するなど綿密に日本をスカウティングした上で、的確なチームマネジメントによってヨルダンの歴史的勝利を演出した。

 最初に「おや?」と思ったのは、前半38分でのサフランOUT/ハサンINの交代。この意図について会見で尋ねてみると「サフランは若いがすぐに疲れる選手だったので」という、よく分からない答えが返ってきた。だがおそらくは、日本の左サイドのコンビネーションをケアするための起用だったのだろう。実際、後半に清武が岡崎とポジションを交代すると、すぐにハサンも逆サイドに移って再び清武のマークに付いている。もちろんハサンが清武のサイドを100パーセント封じていたわけではないが、それでも相手のストロングポイントに対して素早く対応するベンチワークには、敵ながら感心させられた。

 もうひとつ気になったのが、1点リードしてからのヨルダンのディフェンスラインである。セットプレーからのややラッキーな先制ゴールから、おそらく後半の彼らはドン引きしてくると予想していた。ところがヨルダンは、相手の攻撃に合わせた巧みなラインコントロールを見せ、チャンスがあればさらに追加点を狙ってきたのである。後半15分のハイルによるドリブルからの追加点も、比較的高い位置で日本ボールを奪ったことで生まれたゴールだった。前後に極力スペースを作らない、コンパクトかつ的確なラインコントロールによって、ヨルダンは相手に攻められながらも、虎視眈々(こしたんたん)とチャンスをうかがっていたのである。

 余談ながらハマド監督は、日本側のリクエストによってキックオフ時間が早まったこと(彼は1時間遅い18時からのキックオフを希望していた)、そして試合直前にスプリンクラーで水がまかれたことを会見で明かした(水をまくことでボールの滑りを良くするのは、日本のホームゲームではよく行われている)。「それでも、われわれは勝利することができた」と語る指揮官は、いかにも溜飲を下げたという表情をあらわにしていた。

ヨルダン戦の敗北によって失われたもの

「今日、ひとつよかったと言えることは、次にホームで勝てば、ホームのみなさんの前で(W杯出場を)決められる。勝てなくて今日は申し訳なかったですけど、次のゲームで決める強い気持ちを持ってやりたい」(長谷部)

 すこぶる前向きに考えるなら、キャプテンのコメントどおりだと思う。いろいろ課題の残る敗戦ではあったが、依然として日本のグループ首位に変わりはないし、2位に浮上したヨルダンとの勝ち点差も6ポイントある。現状では、日本がグループ突破の条件である2位以内から脱落する可能性は極めて低い。予選突破という意味においては、今回の敗戦をネガティブにとらえる必要はまったくないだろう。

 とはいえ、本大会に向けたチーム作りという点では、やはり早めにブラジル行きを決めておきたいところであった。たびたび指摘してきたことだが、来年の本大会でベスト16以上を目指すのであれば、バックアッパーと戦術的オプションの確保は不可欠であり、できれば消化試合となったW杯予選でそのミッションに着手しておきたかった。しかし今回の敗戦を受けて、その機会はしばらくお預けとなってしまった。6月の予選2試合も、さらにはコンフェデレーションズカップも、あまり変わり映えのしないメンバーで臨むことになるだろう。今日の敗戦以上に、その事実が残念でならない。

 もっとも、W杯予選の怖さというものを久々に味わえたという意味で、このヨルダン戦は右肩上がりを続けてきた日本代表にとって、よい教訓となったのかもしれない。日本代表の選手やスタッフはもちろん、われわれジャーナリストにとっても、そして現地で観戦したサポーターにとっても、2013年3月26日のアンマンでの戦いは、きっと忘れ得ぬ思い出となることだろう。そして来年の本大会では「あの敗戦があったから、今がある」と思えるようになりたい。次の予選は6月4日、ホームでのオーストラリア戦だ。

<了>

 

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