第16回 京都の秋 音楽祭 開会記念コンサート (広上淳一&京都市交響楽団)

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ターゲットがターゲットだからか初心者向けの名曲コンサート的なプログラムになることの多い「京都の秋 音楽祭 開会記念コンサート」ですが、今年は広上さんの指揮で『惑星』が聴けるとあってチケット発売開始から間もない頃に急いでチケットをゲット・・・したのはいいのですが、コンビニからだったのでピンポイントでの座席指定ができず、当たった席は1階席の前から4列目(苦笑)。おかげで音が頭の上を飛んでいくような感覚を味わうハメになりまして・・・(トホホ)。

見ての通り今夏のロンドン五輪を意識したプログラミングでしたが、会場でパンフを貰って眺めて最初に気づいたのが『惑星』に付くはずの女声合唱の名前が無かったこと。その時は単なる印刷漏れかとしか思わなかったのですが、実はここがクセモノでしたという・・・さすが広上さん、こういうプログラムでも一筋縄ではいきません(笑)。

 

第16回 京都の秋 音楽祭 開会記念コンサート
2012年9月16日(日)14時開演@京都コンサートホール

◆J.ウィリアムズ オリンピックファンファーレとテーマ
◆J.ハイドン 交響曲第104番ニ長調「ロンドン」Hob.I-104 
(休憩)
◆G.ホルスト 組曲『惑星』 Op.32
(アンコール)
◇W.ウォルトン 戴冠式行進曲『王冠』

指揮:広上淳一
管弦楽:京都市交響楽団
コンサートマスター:渡邊 穣

 

定期の時みたいにメンバー表はないし自分の席だとステージを見上げる位置になるので舞台上の様子がわかりにくかったのですが、コンマスの泉原さんとフルート首席の清水さんは降り番のようでした(渡邊さんの隣はアシコンの尾崎さん)。2ndVnの客演首席は以前にも見た顔だと思うのですが名前が出てこない・・・あとは定期の時よりもトラが多かったような?

門川市長の挨拶の後にお馴染みのオリンピックファンファーレ。ブラスセクションがいいとやはりき聴き映えしますね〜。掴みは上々、ビギナーにも京響のストロングポイントが刻み込まれたのではないでしょうか。

2曲めの『ロンドン』は4年前の広上さんの常任就任後初の定期の時にも採り上げられた、彼お得意の曲です。自分の座席の位置が悪かったからか過去に1度は聴いてるからか、最初の3楽章は思ったよりも大人しめに感じられたのですが(音響の良い席で聴いていればスケール感を得られたと思う)、終楽章で快速テンポでハッチャケてましたね。

後半、メインの『惑星』。これには良い意味で意表を突かれました。今の京響ならいくらでもスペクタクルにブイブイいわすことができるはずなのに、最初の「火星」からして敢えてスペクタクルさを排除したような感じで、それぞれの音を丁寧に紡いでいくのに専念した印象。「木星」でもそれは顕著で、大見得切ることよりも民謡的なフレーズを大切に弾かせていたりとか。全曲通してそんな感じの演奏でした。そしてなんと、ラストの「海王星」・・・ホンマに女声合唱が聴こえてこない!どうもオルガンで代用していた様子です。曲の締めくくりは楽譜通りなら本来は女声合唱だけになるので、そこがオルガンに変わっているのが誰の目にも明らかになるのですが、ディミヌエンドで少しずつ消えていく音の、その素朴なオルガンの音色を聴いて思わず声を上げそうになりました。

パイプオルガン、京コンに設置されたクラスの楽器であれば、いくつか音色を選べるはずです。その中で、街の小さな教会にありそうなオルガンのような純朴な音色をなぜ選んで使ってきたのか・・・広上さんご本人に直接確認していないので私の勝手な憶測なのですが、神秘性をも敢えて際立たせたくなかったから、ではないでしょうか。そしてホルストの本領発揮は『惑星』のように宇宙的・占星術的な神秘性や神話性を打ち出したようなところにあるのではない、という考えがあったからではないでしょうか。

ホルスト自身も『惑星』ばかりが独り歩きして自分の他の作品があまり顧みられないことに不満があったそうですが、彼が音楽教師として務めていたセント・ポール女学校のために書かれたセントポール組曲や、吹奏楽ファンならよく知っているであろう作品28の組曲、これらを聴くと、『惑星』はホルストの本流からはむしろややズレたところにあるという印象を持つことと思います。「火星」や「木星」を単独で演奏するなら、客受けにスペクタクルにやるのかもしれませんが、今回は全曲の演奏です。なので、ホルストはこういう作風の作曲家だと言いたくて、女声合唱の代わりにパイプオルガンの、あの音色を使ってきたのではないでしょうか。

・・・もし単なる大人の事情で京響コーラスを使わなかったというのなら、もう私の知ったこっちゃないのですけどね(苦笑)。

アンコールは音楽だけでもゴージャスな気分を、といった趣旨の広上さんの挨拶の後にウォルトンがジョージ6世の戴冠のために書いた戴冠式行進曲『王冠』が演奏されました。こちらもアンコールピースには勿体ないくらいの素晴らしい出来の演奏で、ほぼ満員の会場から盛んに大きな拍手が送られてました。個人的にも定期レベルの充実した演奏が聴けてとても満足でした。だって、今回たった1,000円しか払ってないんだもんwww(学生券だったし)。

 


 

下記のディスクはChandosからリリースされているハイブリッドSACDでのホルストの管弦楽作品集です。NMLでも聴くことができますので、よろしければ参考までにどうぞ。

ホルスト:管弦楽作品集 1/ヒコックス&BBCウェールズ・ナショナル管【Chandos】

http://ml.naxos.jp/album/CHSA5069

Chsa5069

 

ホルスト:管弦楽作品集 2/アンドリュー・デイヴィス&BBCフィル【Chandos】

http://ml.naxos.jp/album/CHSA5086

Chsa5086