京響シニアマネージャー・新井浄さんの記事

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この記事を見かけたのはホントに偶然でした。なにをググってて見つけたのか、もうあっさりと忘れたほどで(笑)。昨年度から京響の音楽主幹をされていて今はシニアマネージャーの肩書きとなっている新井浄さんの記事なんですが、群馬の地方版じゃあ京都住まいの網にかからないわけだわ(苦笑)。

・・・つーか、京都新聞も取材しろよ・・・

それはともかく、新井さんって群響からのスカウトだったんですね。レセプションでの自己紹介でも触れてなかったと思うし、そこまで存じ上げませんでした。1度なにかの折に質問させていただいたことがあるだけで物腰の柔らかい人という印象しかなかったんですが、実はなかなかに頼れる方のようで、今年度から京響の運営形態が変わった激動の中で、事務方に新井さんのようなベテランがいることはとてもありがたいですね(引っこ抜いてきた人GJ!)。厳しい状況ですが、京響で存分に腕を振るっていただきたいと思います。
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[朝日新聞より↑右がシニアマネージャー・新井浄さん、左はファゴット首席奏者・中野陽一朗さん]

上州それから(2)群響の経験 京都に【朝日新聞 2009年1月3日】

 高崎市職員で群馬交響楽団の元事業局長でもあった新井浄は08年の春、スカウトされて京都市交響楽団の音楽主幹に転身した。「同じ交響楽団、仕事にさほど違いはないはず」と着任したが、思わぬ危機が待ち受けていた。京都市の財政赤字問題だ。隣の大阪府では、大阪センチュリー交響楽団を運営する大阪府文化振興財団に対する補助金全額廃止案も打ち出された。
 「先手必勝で対策を立てなければ、京響はいずれオーケストラとしての演奏ができなくなってしまう」
 群響の経験を生かし、新井は動き出した。

 群馬交響楽団の事業局長を4年にわたって務めた新井浄(56)がスカウトされて、高崎市役所職員から京都市交響楽団の音楽主幹に転じたのは08年の春のこと。新しい職場にもすっかり慣れた新井はいま、「毎日が修業ですよ」と冗談めかして笑う。
 50代半ばにして踏み切った転身は成功と呼んでも良さそうだが、転職には厳しい時代だ。人材紹介大手「リクルートエージェント」の鶴巻百合子は「このジャンルだったらだれにも負けないという専門性がないと、仕事を変えることは難しい」と指摘。さらに「年齢が上がれば上がるほど、求められる専門性は高くなる」と付け加える。
 その点、新井には確たる強みがあった。市役所生活30年のうち17年を群響で過ごし、オーケストラのマネジメントのうまさは全国の交響楽団関係者の間にとどろいていた。

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 それなのに、07年3月、群響を離れて高崎市役所に戻った。というよりも戻らざるを得なかった。それは、一般職の地方公務員の長期間の出向を禁じる法律ができたからにほかならない。
 京響は京都市の直営。新井ら楽団員の身分は嘱託ながら職員として保障されているので、定年まで思う存分腕をふるえる。就任した音楽主幹は、京響の音楽的な方向性を常任指揮者とともに決めるのが仕事。楽団員の相談にも乗るし、市役所本体との調整にもあたる。
 歴代の音楽主幹は音楽家が多かった。それだけに、「市役所の人たちから『やっと、市役所の言葉が分かる音楽主幹が来た』との評価もいただいた」と新井は苦笑する。
 転職を成功させるうえで「大事なことがもう一つある。人間的な魅力だ」とリクルートエージェントの鶴巻。この点でも新井は基準を満たす。指揮者や演奏者ら群響時代に人間関係を培った人たちが、一献傾けようと京都にやってくる。
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 順風満帆に似た新井の前にいま、着任前には思いもよらなかった問題が立ちはだかる。財政難と文化振興の折り合いを自治体がどうつけるかという問題だ。
 隣の大阪府では08年、橋下徹知事が、大阪センチュリー交響楽団を運営する大阪府文化振興財団への補助金の大幅削減案を打ち出した。京都市も11年度までに964億円の財源不足が見込まれており、すでに職員の給料カットなどを決めている。
 調べてみると、いろいろな課題が浮かび上がった。群響が年間1億円近くもらっている文化庁からの補助金が、京響はゼロ。企業や法人からの賛助金収入なども群響の年間約5千万円に対し、京響は実質ゼロだった。市の直営が災いして、寄付を受け取る仕組みがなかった。
 交響楽団の「顔」である定期演奏会の平均入場者数にしても、京響は群響を下回る。「圧倒的に高崎の方が温かい雰囲気で、熱心なファンが多いことが分かる」と新井。

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 一方で京響には他の楽団に負けない優れた面も少なくない。まず、団員のサービス精神。笑顔で客に応対する様子は見ていて気持ちがいい。ジュニアオーケストラも4年目に入り、常任指揮者や団員らが直接、子どもたちを指導している。
 さらに、京響がこれから大事にしようとしているのが「アウトリーチ活動」だ。オーケストラの団員が学校などに出向いて演奏会への来場を呼びかける活動を指す。
 「不況が深刻化し、自治体の財政が厳しくなるなか、全国どこのオーケストラでも、今まで通りの運営はできない。従来のクラシックファンだけではなく、どれだけ、広範囲の人の応援を得られるようになるか。それがオーケストラの将来の展望を開く」
 この年末年始は、久しぶりに高崎で過ごしている。群響の団員らにも、こうした思いはきっちりと伝えた。=敬称略  (稲田博一)

《メモ》大阪センチュリー交響楽団への補助金を削減する理由について橋下徹知事は、お笑いに比べると府民に根付いていないと説明。その上で「総事業費の半分は公演などの収入、4分の1は府民らの寄付で賄い、4分の1を国からの補助も含めた公的助成で」と主張している。
 一方、知事が示したこの方針に反対し、交響楽団の存続を求めて約11万人の署名が集まった。「そもそもオーケストラは他の文化事業と違い、活動にコストがかかり、行政の金をもらわないと継続できないものだ」。大阪市在住の推理小説作家でクラシック音楽に造詣(ぞう・けい)が深い有栖川有栖はこう話し、11万人のひとりとして名を連ねた。
 そのうえで「芸術は、都市が多様性と活力を保つための力の源。クラシックは西洋伝来の伝統芸能だが、いまや我が国にもなくてはならない存在になっていることを忘れてはならない」と力説する。