京都市交響楽団 第553回定期演奏会(指揮:ロベルト・ベンツィ)

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JR京都駅の伊勢丹7階の美術館で明後日まで「生誕250年記念展 北斎の富士 冨嶽三十六景と富嶽百景」というのをやってるようですが、今回の定期を振られるロベルト・ベンツィ[http://www.robertobenzi.com/]さんも時間の合間をぬって見に行かれたそうです。いいタイミングで北斎の展覧会が開かれていたものですね。

そしてプレトークでは北斎展を見に行ったことの他に、ドイツのオケだとフランス音楽はなかなか理解されにくいが、日本はフランスの文化と似ている部分もあって演奏もしやすい、みたいなことを仰ってました。社交辞令半分なのでしょうけど、さてさて京響がベンツィさんの期待に応えられたのかどうか・・・?

 

京都市交響楽団 第553回定期演奏会
2012年1月20日(金)19時開演@京都コンサートホール

◆E.ラロ 歌劇「イスの王様」序曲
◆C.サン=サーンス ピアノ協奏曲第2番ト短調 op.22
 (ピアノ・ソロ・アンコール)
 ◇C.ドビュッシー 前奏曲集 第1巻〜第6曲:雪の上の足跡
(休憩)
◆C.ドビュッシー(アンリ・ビュッセル編曲) 小組曲
◆C.ドビュッシー 交響詩『海』(管弦楽のための3つの交響的素描)

指揮:ロベルト・ベンツィ
ピアノ:リーズ・ドゥ・ラ・サール

 

パンフに書かれてたベンツィさんのプロフィールのページには、1937年生まれで両親がイタリア人でマルセイユ出身で、10歳になる前からクリュイタンスに指揮を学んで・・・云々とありました。結構なお爺ちゃんだけどクリュイタンスのお弟子さんかぁ・・・と思いながら、プレトークを聞いてました(余談ですけどスタッフに仏語のできる人いなかったんですかね?団員にフランス人も抱えてるオケなのに、なんかフランス人に英語で質問するのがマエストロに対して失礼に思えたのですが・・・)。

ありそうであまりない京響のオール・フランス・プログラムなので私も楽しみにしてたんですが、こういう時にかぎって一昨日あたりから酷い頭痛という・・・(苦笑)。今夜も開始時間に合わせてロキソニン飲んでようやく少し収まったかな?程度な体調だったんですが、それはともかく、1曲目はラロの曲。予習するの忘れてたんでこの定期で初めて聴いたのですが、かなり大きな編成の曲だったんですね。あんなに管楽器が乗ってるのは予想してなくてちょっとビックリでしたが、まずは好発進の印象。11月のノイホルトさんの時とはやっぱり響きが違う感じですね。

2曲目、サン=サーンスのコンチェルト。ステージに出てきたソリストのリーズ・ドゥ・ラ・サール[http://www.lisedelasalle.com/]さんは写真で想像するよりもずっと高い鼻立ちのお嬢さんでしたが、ピアノの方も1つ1つの音から演奏から鼻立ち通りにキリッとしたもの、美にも情にも溺るところがなくクリアでいて、さりとて繊細さとエスプリにも欠けることなく、とても楽しく聴けました。終楽章の最後の一音が鳴り止んだところでベンツィさんが指揮台を指揮棒でトントンと叩いてましたね(笑)。アンコールもよかったです(というか右手の人差し指にテーピングしてたように3階からは見えたんですが・・・気のせいですかね?)。

後半はドビュッシー。前半と違って指揮台が除かれていたので、さすが師匠譲りで自信あるのかと予想してたんですが、小組曲からして違いましたね(笑)。随所に隠し味みたいな仕掛けをサラっと混ぜ込んだりするものだから、あんなに新鮮な感じで聴けるとは思ってませんでした。フォルムを崩さないままでやれるんだから自家薬籠中ってところなんでしょうかね。

そしてラストの『海』。出てくる音の響きが思ったよりも全然カラフルじゃなくてグレーがかってるように聴こえて、はじめは「あれれ?」って感じだったんですが、あぁそうか、ドーバー海峡の辺りとかそっちの方のイメージでいいのかな?と自分の中で思いはじめてからは、いろいろと納得したり感心したりしながら聴かせてもらいました。もっと色彩感と洗練さを前面に押し出すのかと(私が勝手に)予想してたんですが、良い意味で裏切られて一筋縄ではいかない、いろいろと得るところの多い演奏でした(ちなみに第3楽章の練習番号59のTpとHnのユニゾンは無し)。

暗譜なだけでなく気合の入り具合も更に上げてきたような指揮ぶりに見えましたが、オケもよく応えていたように思います。記憶違いでなければカーテンコールで一番最初にチェロを、次にヴィオラを立たせていたはずですが、あの辺りにもベンツィさんのこだわりがあったように思えました。今回の共演で京響と京都の街を気に入ってもらえたのなら、ぜひ再演をお願いしてほしいところですね。ラヴェルとかどうなるんだろうと想像するといろいろ興味深かったりしますし。

あまり期待しないでNMLを検索してみたら、かつての手兵だったアーネム(アルンヘム)・フィルとのフランクの作品集がありました。よろしければどうぞ。私はまず交響曲だけ聴いてみましたが、かなり腰の座った印象の演奏でした。

★フランク:交響曲 ニ短調、他/ベンツィ&アルンヘム・フィル【Naxos】
http://ml.naxos.jp/album/8.553631
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ところで、パンフの中に紹介記事がなかったのでウッカリ見落とすところでしたが、これまで空席だった首席ポストのうち、ヴィオラと打楽器に「◎」で御名前が入ってましたね。

ヴィオラの新首席は小峰航一さん、1982年生まれで東京芸大→パリ音楽院を卒業、昨年6月まで札響のヴィオラ首席を務められてた方です。

打楽器の新首席は中山航介さん、東京芸大大学院修士課程の出身で、昨年も何度か京響の定期に客演されてる方ですね。

優秀な若手の方々に来ていただけて有難いかぎりです。首席ポストが空白のままというのは見てる方もなんだが落ち着かないですし、オケの響きがどういったものであっても屋台骨はしっかりしていてほしいですしね。あとはセコバイだけかな?あ〜、上村さんも定年近そうなんでしたっけ?(もう何年か先には清水さんも・・・でしたか、たしか桐朋の高校で大植さんか大友さんと学年が一緒らしいし)私の見ている印象では近年は世代交代がうまくいってる印象ですので、こちらのポジションの代替わりもうまくいけばいいなぁと願ってます。