八坂神社・『翁』の奉納

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『翁』は能の中でも非常に特殊なものだそうで、なるほど、能は古典といえど一種の“演劇”であり、あるストーリーを持って演じられる“芝居”なわけですが、『翁』は天下泰平・国土安穏・五穀豊穣を神様に祈祷する“儀式”というべきもので、ですからよく
「能にして能にあらず」
と言われるそうです。一説には平安期にすでに存在していたというものもあって、世阿弥の頃(室町時代)にはすでに神聖な演目として代々受け継がれていたようです。演じる前にはいろいろと身を清める作法をするらしいのですが、見ているだけの私達も実際いつも身が引き締まる思いがします。

『翁』は各地の神社や能楽堂で新年に行われていますが、八坂神社[http://web.kyoto-inet.or.jp/org/yasaka/]では毎年1月3日に金剛流で行われます。タダで見れる反面、野外だから寒いのなんの。

翁:金剛永謹 
三番三:茂山千三郎 
千歳:茂山宗彦
笛:杉新太朗 
小鼓:成田達志・曽和尚靖・竹村英敏 
大鼓:石井保彦

はじめに「とうとうたらり・・・・・・」と歌があった後に露払いみたいな感じで千歳の舞があって、それから翁の舞、三番三の舞、と続きます。神聖な儀式で写真をパチパチ撮るなんて本当は罰当たりもいいところなんですが、野外なのと普段あまり能を観ない人が多く詰め掛けるせいか、ほっといてもみんな写真を撮りまくるので、心の中で「神様ごめんなさい」しながら私も撮っちゃいました(苦笑)。隣にいた外国人の女性の方が真剣に御覧になっていたので、邪魔にならないようにと焦って撮ったらブレたものばかりになってしまいましたけど・・・。

金剛永謹さんの翁の舞。『翁』では面は舞台の上で見ている人の前で付けます(他の能の演目ではあらかじめ「鏡の間」=舞台裏で面を付けてから舞台に登場します)。ゆったりした動きの中に何か張り詰めたような厳かさを感じます。
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茂山千三郎さんの三番三(さんばそう)の舞の前半部分で面を付けずに演じられる“揉の段”。焦って撮ったのでブレてしまってますが(苦笑)。
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先程の翁の舞とは一変して非常に動きの激しいものです。見てる分には迫力がありますが、やってる方は大変そうです。まぁでも千三郎さんも自分のラジオの番組でお腹を気にするようなトークをされることもあるので、神様の前で三番三をやったら少しはお腹が凹んでくれるでしょう(笑)。

↓は“揉の段”の後、面を付けて千歳の茂山宗彦さんから鈴を受け取るところ。
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三番三の舞の後半部分の“鈴の段”といわれる舞。これを観る度に、たま~にこの舞の動きが農作業の仕草にオーバーラップすることがあるのですが、私の気のせいですよね・・・?
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ここまで来たからにはお参りも。八坂神社の参拝客はさすがに多いですね。
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