ラフマニノフ:合唱交響曲『鐘』、交響的舞曲/サイモン・ラトル&ベルリン・フィル、他

欧州EMIというか正確にはEMI傘下のParlophoneレーベル・グループがユニバーサルではなくワーナーに譲渡されたのは周知のことですが、今回リリースされたラトルとベルリン・フィルの新譜も今までの赤いEMIロゴではなくワーナーのものになってたのを目にした人も多いのではないでしょうか。

しかししかし、私がここで言いたいのはそれではなく、自分でディスク買ったり来日公演行ったりしないかぎり一生聴けないであろうラトル&ベルリン・フィルのコンビを、まさかNMLで簡単に聴けるようになるとは思ってもみませんでした。いやぁ〜、クラシック業界も一寸先は闇ですねぇ・・・。今日付でNMLに登録され、更には「今週の一枚」でもピックアップされた今回の新譜を100%興味本位で聴いてみました。

ファンというわけではない私がこのコンビの演奏を聴くのは実にドキュメンタリー映画『ベルリン・フィルと子どもたち』を観た時以来で、ラトルの指揮での演奏も随分遡って、高校時代にバーミンガム市響とのマーラーの1番を、何時かは忘れましたがウィーン・フィルとのベートーヴェン・ツィクルス?を、それぞれFM放送で聴いたくらいしか記憶にありません。ウィーン・フィルとのベト2を聴いた時には、「何この微分化されたベートーヴェンは?!」と驚いたものでした(彼の解釈もですが、それに応えたウィーン・フィルにもビックリというか)。

 

ラフマニノフ:合唱交響曲『鐘』、交響的舞曲/サイモン・ラトル&ベルリン・フィル、他【Warner Classics】

セルゲイ・ラフマニノフ
・合唱交響曲『鐘』 Op.35
・交響的舞曲 Op.45

指揮:サー・サイモン・ラトル
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
合唱:ベルリン放送合唱団(合唱指揮:サイモン・ハルジー)
ソプラノ:リューバ・オルゴナソヴァ
テノール:ドミトリー・ポポフ
バス:ミハイル・ペトレンコ

録音時期:2012年11月8-11日(鐘)、2010年11月4-5日(交響的舞曲) ※2曲ともライヴ録音
録音場所:ベルリン、フィルハーモニー(鐘);シンガポール、エスプラナード劇場(交響的舞曲)

http://ml.naxos.jp/album/5099998452255

5099998452255

 

ラトル時代になってからはもちろんですが、アバド時代のベルリン・フィルも私はほとんど知りません。好きでも嫌いでもなく積極的に聴こうとは思わなかった単純さが理由というか金を払ってまでの必然性を感じなかったというだけです。政治学者の丸山眞男さんの影響でフルトヴェングラーは高校生の頃からよく好んで聴いてますし(若い頃は特に・・・最近はそうでもないですが)、私の住む右京区には区の庁舎内に右京中央図書館という立派な施設があって、本の蔵書だけでなくCDやDVDといったマルチメディアの所蔵もわりと充実していて無料で利用できるおかげで、タダでカラヤンのディスクも借りて聴いたりしてます。全盛期と言われる70年代の録音を聴いて今までの認識を遅ればせながら改めたりしてるのですが、そうしてフルトヴェングラー時代はもちろん、前任者のカラーを払拭するのに懸命だったらしいカラヤンの時代とも、ベルリン・フィルのカラーはまた随分と様変わりしたものだと痛感したのがラトルとベルリン・フィルのラフマニノフを聴いた印象でした。ちょっと『ガールズ&パンツァー』っぽい例えをするなら、カラヤンの頃にはまだかろうじてティーガーの雰囲気を残していたのが、今じゃすっかりパットンシリーズ(ここでシャーマンと言わないのがミソw)一色に染まってしまっている、という感じでしょうか。

ベルリン・フィル、昔も今も世界ナンバーワンを競ってるオケの1つだけあって上手いことはたしかに上手いです。特にエドガー・アラン・ポーの詩のロシア語訳をテキストに使っている作品35の合唱交響曲『鐘』は、ラフマニノフの曲の中では演奏機会に恵まれない方であろう作品に敢えてチャレンジした熱意が伝わってくる気がしなくもないです。でもですねぇ・・・生粋のベルリンっ子からオーストリア人→ミラノっ子→英国人とシェフが代替わりするにつれてティーガー戦車のテの字も感じられないようなカラーになってしまっては、同国の放送局オケやアメオケとの差異をいったいどこでつけるのだろう・・・?・・・などと思ってみるのは単なる個人のわがままでしょうか・・・。

そういえば、ラトルの任期は2018年まででしたよね。後任は誰になるんでしょう・・・そろそろ独墺系に戻すのか、インターナショナルとも無国籍主義とも言えるカラーを今後も貫くのか・・・。