ショスタコーヴィチ:交響曲第7番『レニングラード』/ヴァシリー・ペトレンコ&ロイヤル・リヴァプール・フィル

ヴァシリー・ペトレンコとロイヤル・リヴァプール・フィル[http://www.liverpoolphil.com/]がNAXOSレーベルに録音しているショスタコーヴィチ・ツィクルスも8作目まできました。今日付でNMLに登録されたディスク、7番シンフォニーです。これで残るは4番、13番、14番の3曲となります(よりによって曰く付きの大曲ばっかし・苦笑)。

 

ショスタコーヴィチ:交響曲第7番/ヴァシリー・ペトレンコ&ロイヤル・リヴァプール・フィル【NAXOS】

ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
・交響曲第7番ハ長調 Op.60『レニングラード』

指揮:ヴァシリー・ペトレンコ
管弦楽:ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団

録音時期:2012年6月1-3日
録音場所:リヴァプール、フィルハーモニック・ホール

http://ml.naxos.jp/album/8.573057

8573057

 

『レニングラード』という通称を持つショスタコーヴィチの7番シンフォニー、彼の交響曲の中では5番に次いで演奏機会や録音が多い作品だと思いますが、旧レニングラード=サンクトペテルブルク出身でこの曲を録音した指揮者だけでもムラヴィンスキーを筆頭にフェドセーエフ、マクシム・ショスタコーヴィチ、キタエンコ、ビシュコフら片手で足りないほどいて、ヴァシリー・ペトレンコもサンクトペテルブルクで生まれ育った指揮者の1人です。ただ、先人たちと決定的に違うのは、彼がサンクトペテルブルク音楽院で教育を受けた頃にはペレストロイカとグラスノスチを経て旧ソ連はとうに崩壊していたということ。聴いていてどことなく現代っ子っぽい部分を感じたのはヴァシリーの年齢とオケがリヴァプール(ビートルズ誕生の地!)というのもある・・・のかな?

演奏の質、完成度はとても高いです。録音も良好。そしてヴァシリーなりの試行錯誤というか工夫の跡が、例えば第1楽章の展開部、ラヴェルの『ボレロ』の影響とされる「戦争の主題」でのテンポ設定など、所々に窺える部分があります。ただ、古今東西に名盤がひしめく『レニングラード』において、これはセッション録音だからかもしれませんが、彼のタクトは良くも悪くも若干お行儀がよすぎるかもな、という気がしなくもなかったです。作曲の完成度の観点からはわりと“隙”のあるこの曲においては、もう少し激しい自己主張を通してもよかったかもしれません。ディスクとして直近でリリースされたゲルギエフ&マリインスキー劇場管のコンビでの演奏に比べるとインパクトは若干薄いように感じますし。

・・・ただ、一言断っておくと、9年前に大植&大フィル(近年みたく師バーンスタインの悪い真似のような劣化する前の上り調子だった当時)の定期、7年前にキタエンコ&京響の定期と、濃い目の熱演を2回聴いてるもので、それでこの録音に少し物足りなさを感じるだけかもしれません。ただし、繰り返し聴いてみると新たな発見がいろいろあって、スコア片手に聴くのなら楽しみが増えそうですし、その意味ではやっぱりよく練られた質の良い高得点をあげられる演奏なのかな、と思います(2回聴いた実演のうち後者はともかく前者は録音で聞き直したらアラが目について飽きて放り投げたくなるだろうし・苦笑)。

さて、ヴァシリー・ペトレンコ&ロイヤル・リヴァプール・フィルによるツィクルスも、あとは4・13・14番と難物ばかりですが、彼らがどんな演奏を聴かせてくれるのか、大いに楽しみです。