KEEPING SCORE~アイヴズ&コープランド/ティルソン=トーマス&サンフランシスコ響

NMLのラインナップの中に、マイケル・ティルソン=トーマスとサンフランシスコ交響楽団が運営する自主レーベル『SFS Media』も遂に仲間入りしたそうです。ファンにはとても喜ばしいかぎりですが、早速1枚採り上げてみることにします。

KEEPING SCORE~アイヴズ&コープランド
 /ティルソン=トーマス&サンフランシスコ響【SFS Media】

《収録曲》
・チャールズ・アイヴズ ホリデイ・シンフォニー『ニューイングランドの祝祭日』
 (録音時期:2007年11月30日-12月3日)
・アーロン・コープランド バレエ『アパラチアの春』
 (録音時期:2005年9月17日)

マイケル・ティルソン=トーマス指揮
サンフランシスコ交響楽団

※いずれもサンフランシスコのデイヴィス・シンフォニー・ホールにてライヴ収録

http://ml.naxos.jp/album/82193600342

82193600342

ついにNMLのライブラリーにサンフランシスコ交響楽団[http://www.sfsymphony.org/]の自主レーベルが加わることになりましたが、音楽監督のマイケル・ティルソン=トーマスとのコンビで本レーベルからリリースしている録音といえば、まずはなんと言っても今年のグラミー賞3冠を獲得した8番を筆頭としたマーラー・ツィクルスが代表に挙げられます。でも今回最初に採り上げるのはアイヴズのホリデイ・シンフォニーとコープランド『アパラチアの春』がカップリングされたCDです。

なぜわざわざこれを選んだのかというと、1つは“KEEPING SCORE”シリーズだから、もう1つはアイヴズとコープランドという米国を代表する作曲家の作品を、米国を代表する指揮者と米国を代表するオケが演奏した、米国尽くしのライヴ録音だからです。

KEEPING SCORE[http://www.keepingscore.org/](わざわざ別途に独自ドメインまで取ってるところが凄い!)、詳しい紹介は潮博恵さんの
『【続・徹底研究】ティルソン・トーマス&サンフランシスコ交響楽団』[http://www.sfs.ushiog.com/]

というサイトで丁寧に紹介されていますので、ぜひそちらをご覧いただきたいのですが、要はティルソン=トーマスとサンフランシスコ響がクラシック音楽をあらゆる人々に親しんでもらおうと取り組んでいる一大プロジェクトです。ただ、よくありがちな教育普及活動に“KEEPING SCORE”がとどまらないのは、明確なコンセプトをベースとして綿密に構想と戦略を練った上で、演奏会活動とCD・DVD・BDのリリースに限らず、テレビ・ラジオといった放送メディアやインターネットも最大限活用してプロジェクトが展開されているからではないでしょうか。

YouTubeにあるサンフランシスコ響の専門チャンネルにも“KEEPING SCORE”シリーズの動画が数多くアップされていますが、それを見ると地元にこうしたオケが存在するサンフランシスコが本当に羨ましくなります。われらが京響も市民に親しまれるオケを目指して近年とみに活動の幅を増やしていますが、より一層努力を重ねてサンフランシスコ響の域まで少しでも近づいてくれるといいですね。


↓こちらはコンサート映像の撮影手法を紹介したものですね。


もう1つ↓教育プログラムの映像です。


さて、内外で積極的に自国の作品を採りあげているこのコンビですが、中でもアイヴズはティルソン=トーマスが熱心に支持している作曲家ですね。ホリデイ・シンフォニーは作曲年代の異なる4曲を1つにまとめたものですが、時期的には彼の交響曲の3番と4番の間に位置するでしょうか。

・Washington’s Birthday(ワシントン誕生日)
・Decoration Day(戦没将兵記念日)
・Fourth of July(独立記念日)
・Thanksgiving and Forefathers’ Day(感謝祭)

ゆったりした感じと賑やかな部分が交互に入れ替わり、どこかで耳にしたような馴染みやすいメロディーが現れては消え、たくさんのコラージュが次々と目の前を過ぎ去っていく・・・ように、一見は聴こえるのですが、これがバラバラでなくどこかしら統一感があるように思えてしまうのは、アイヴズを自家薬籠中の物としているティルソン=トーマスの手腕の賜物なのでしょう。手兵ともどもアイヴズに対する愛情と理解度の深さが伝わってくるだけでなく、これまでアイヴズを知らなかった人でも彼の世界に引き込めるだけの説得力を持った演奏です。

2曲目の『アパラチアの春』は初版の13人編成による演奏です。田舎ののどかな春の風景を思わせる音楽ですが、少人数の室内楽編成による演奏ということもあってオケのレベルの高さが窺われ、各奏者、特に管楽器の名人芸を楽しめるのではないでしょうか。

今年で創立100周年を迎えたサンフランシスコ交響楽団の自主レーベル、SFS Media[http://www.sfsymphony.org/projects/]。2009年の8番のリリースをもって遂に完成したマーラー・ツィクルスと、それから“KEEPING SCORE”がカタログの2本柱を形成しています。

マーラー・ツィクルスの方はグラミー賞など数々の賞を受賞した演奏の中身もさることながら、ライヴ収録にもかかわらず録音が大変優秀なのと全曲ハイブリッドSACDでのリリースという点においても注目を浴びています。世に数多く出されているマーラー全集の中でも最高の部類の1つに挙げられるのではないでしょうか。