フィビヒ:交響曲全集/ネーメ・ヤルヴィ&デトロイト交響楽団

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今日付でNMLに登録されたChandos[http://www.chandos.net/]レーベルの旧譜。フィビヒというチェコの作曲家は初めて目にしたのですが、スメタナやドヴォルザークより若く、ヤナーチェクと同世代のようですね。今回登録されたのは2番と3番のシンフォニーでしたが、2週間ほど前に1番交響曲の録音も登録されてたみたいで、またディスクも交響曲3曲まとまったのが2枚組廉価盤でリリースされてますので、ここでもそちらの方で扱うことにしました。

 

フィビヒ:交響曲全集/ネーメ・ヤルヴィ&デトロイト交響楽団(2枚組)【Chandos】

ズデニェク・フィビヒ
・交響曲第1番 ヘ長調 Op.17
・交響曲第2番 変ホ長調 Op.38
・交響曲第3番 ホ短調 Op.53

指揮:ネーメ・ヤルヴィ
管弦楽:デトロイト交響楽団

録音時期:1993年1月28-29日(第1番)、1994年5月22-23日
録音場所:デトロイト、オーケストラ・ホール

http://ml.naxos.jp/album/CHAN9328[2番、3番]
http://ml.naxos.jp/album/CHAN9230[1番+スメタナ『わが祖国』より「高い城」「モルダウ」]

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フィビヒの作品はまったくの初見だったのですが、3つの交響曲を聴いた感想としては、ドヴォルザーク(ボヘミア)やヤナーチェク(モラヴィア)のようにチェコの民謡や民族舞曲のリズムを採り入れつつも、作品の構成としてはドヴォルザークと比較するとずっとドイツ・ロマン派の延長線上にあるような印象を受けました。彼の経歴を見ると母親がウィーン出身だったり彼本人もライプツィヒやマンハイムで本格的な音楽教育を受けたりしていたようなので、その影響かもしれませんね。1番こそまだ若書きの域を脱しきれてないものの、2番・3番はドイツ系っぽいカチッとした構造の見える、しっかりした交響曲作品でなかなか聴き応えがありました。チェコの民族色がドヴォルザークほど濃くなく、かと言ってドイツ・ロマン派系として見るなら他の大勢のライバルが居並ぶ中では埋もれがちになりそうでもありで、それがなかなかスポットライトが当たりづらい事情に繋がっているのでしょうか?

ヤルヴィパパとデトロイト交響楽団[http://dso.org/]はフィビヒの交響曲の特徴を捉えた安定感ある演奏を見せています。作風を考慮するとチェコのオケでなくニュートラルながらも明るめのトーンでアンサンブルのしっかりしたアメオケを起用しているのが却って功を奏しているようにも思えました。2番の終楽章や3番の後半2楽章で見せる爆発的な燃焼力にはヤルヴィパパらしさが表れていて、なかなかにエキサイティングな雰囲気を出していました。

デトロイトといえば先週に破産(連邦倒産法第9章適用の申請)の報せがあったばかりですが、財政破綻だけでなく治安の悪さでも全米の大都市の中でワースト1に挙げられるほどのようです。高止まりの失業率と貧困の拡大が犯罪発生の温床となるという悪循環を繰り返しているこの大都市の中で、かつてポール・パレーとアンタル・ドラティの時代に黄金期を築き、その後もギュンター・ヘルビッヒ、ネーメ・ヤルヴィ、レナード・スラットキンとオーケストラビルダーとしても名高い優れた指揮者を続けて音楽監督に迎えてドラティ時代からの輝きを失わずにいるデトロイト響が今後どうなっていくのか・・・メジャーオケといえどフィラデルフィア管の例もありますし、今から20年ほど前に録音されたフィビヒの交響曲集を聴きながら、なんとかこのまま踏みとどまって頑張ってほしいと願わずにはいられませんでした。