ブルックナー:ミサ曲第3番/マレク・ヤノフスキ&スイス・ロマンド管、他

録音の良さで定評のあるオランダの新興レーベルPentaTone[http://www.pentatonemusic.com/]から先月下旬にリリースされたディスクです。マレク・ヤノフスキが昨シーズンまで7シーズンにわたって音楽監督を務めていたスイス・ロマンド管弦楽団[http://www.osr.ch/]と録音したブルックナーはシンフォニーの1・3・5・6・7・8・9番が既にリリースされていて、各曲とも奇をてらうことのない質実剛健な演奏で高い評価を受けているものばかりですが、今回の新録音はシンフォニーではなく演奏機会の少ないミサ曲の3番という珍しいものです。

 

ブルックナー:ミサ曲第3番/マレク・ヤノフスキ&スイス・ロマンド管、他【PentaTone】[Hybrid SACD]

アントン・ブルックナー
・ミサ曲第3番ヘ短調 WAB.28

指揮:マレク・ヤノフスキ
管弦楽:スイス・ロマンド管弦楽団
合唱:ベルリン放送合唱団
ソプラノ:レネケ・ルイテン
メゾ・ソプラノ:イリス・フェルミリオン
テノール:ショーン・マシー
バス:フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ

録音時期:2012年6月(DSDレコーディング)
録音場所:ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール

http://ml.naxos.jp/album/PTC5186501

Ptc5186501

 

ブルックナーの書いた宗教合唱曲は『テ・デウム』が傑作としてつとに知られ演奏機会も多いですが、ミサ曲の、それも3番となると採り上げられる機会も欧州以外ではあまりないようで、これまで残された録音もシンフォニーの有名どころに比べるとずっと少ないですし、私自身もブルヲタを名乗るほどブルックナーを聴くわけではなく(このエントリーを書くためにググってて生前の朝比奈さんが今から30年前にライヴ録音していたことを初めて知ったレベル)、また宗教音楽ジャンルを熱心に聴く方ではないものですから、この演奏で初めてブルックナーのミサ曲第3番を聴きました。

この曲、書かれたのは1番シンフォニーと2番シンフォニーの間の時期、そして最後の改訂となる第3稿が7番シンフォニーの作曲に着手しはじめる1881年。「グローリア」や「クレド」での弦のユニゾンとか「クレド」や「ベネディクトゥス」でのブラスセクションの響かせ方とか実にブルックナーらしいと思いながら聴いてたのですが、ラストの第6曲「アニュス・デイ」でスゥーっと静かに幕を下ろすように音楽が閉じられた時には、まるで9番シンフォニーの第3楽章を聴き終えた時のような、何とも言いようのない美しさに酔うだけでなく信仰心的な崇高さを感じずにはいられませんでした。

演奏もとても素晴らしいと思います。オケも合唱も演奏水準が高く、ヤノフスキの指揮も作為的なものが全然無くオケと合唱の響きが上手くブレンドされて大変に熟れた印象を受けました。これまでオペラや合唱曲も数多く手がけたベテランらしい手綱さばきではないでしょうか(来月にはベルリン放送響とのワーグナー・プロジェクトの最新作『ラインの黄金』ライヴ録音のリリースが予定されているようです)。この録音のような大曲の良質な演奏はネット配信でチマチマ聴くよりも、可能ならばオーディオ環境の整ったSACDの音質で是非とも聴いてみたいところですね。ビンボーなしとらすさんには無理な相談ですが・・・orz