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京都市交響楽団が2019年度の定期演奏会ラインナップを発表

私、AmazonのFire TV Stickをパソコン用フルHDモニタに接続して使ってて、Prime Video以外にも今夏から契約しているDAZNなんかを観たりしてるのですが、これを書きながら偶々観ていた、YouTubeにアップされてるhr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)の定期演奏会ライヴ動画、コンサートの始まりで楽員さんが全員一斉に舞台に出てきて観客が拍手で迎えるシーンがあって、あらま今の京響と同じやん、みたいな・・・。欧州各国や米国のオーケストラ事情を細かいところまで把握してはいないので、こういう始まりがドイツのスタンダードなのかはわかりませんが、フランクフルトでやってるのなら京都でやったってエエやんというわけで、次からは私も遠慮がちでなくもっと堂々と楽団員さんたちの入場を拍手で迎えることにしようと思いました。

 

さて、今上陛下の天皇譲位が控える2019年度の京都市交響楽団の定期演奏会ラインナップ、こうして書いてて気づいたのですが、ブラームスが1個もありません!珍しい!個人的には大して好きな作曲家でもないのでブラームスの名前を見るたびに少し辟易していたところもあったのですが、定期にブラームスが無い1年というのは新鮮でいいですね。遡って調べたら10年ぶりでした。年11回しかない定期で京響に採り上げてほしい作曲家は他に山ほどあるので、その次の年もブラームスは無しでいいです。それよりかはブルックナーの2・3・6番を誰か振ってくれへんかな?

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ハイドンの『天地創造』は本来であれば8月ではなく新年の初め1月に演奏するのが相応しいのですが、こういうスタンダードのオラトリオを採り上げる機会が極端に少ない日本では贅沢も言っれられません。世界最高峰の合唱団と名高いスウェーデン放送合唱団のシェフを10年務めた合唱指揮のスペシャリスト、ペーター・ダイクストラが京響と手がける『天地創造』、大いに楽しみです。

来年の高関さんと下野さんの担当回、なんかコレジャナイ感がするのは気のせいでしょうか?(苦笑)
交響曲第6番、ブルックナーだってドヴォルザークだって良いの書いてるんだけどなーベートーヴェンでなくてもなー(ぶつぶつ)

 


 

◆第633回定期
2019年4月12日(金)19:00
指揮:井上道義
◇プロコフィエフ:交響組曲『キージェ中尉』 Op.60
◇プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 Op.26
〔Pf イリヤ・ラシュコフスキー〕
◇プロコフィエフ:バレエ『ロメオとジュリエット』 Op.64~井上道義セレクション

◆◆第634回定期◆◆
2019年5月18日(土)14:30
2019年5月19日(日)14:30
指揮:カーチュン・ウォン
◇吉松 隆:鳥は静かに… Op.72
◇シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47
〔Vn ラグンヒル・ヘムシング〕
◇フランク:交響曲ニ短調

◆第635回定期
2019年6月21日(金)19:00
指揮:広上淳一
◇ヴェルディ:『シチリア島の夕べの祈り』〜序曲
◇コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
〔Vn 五嶋 龍〕
◇ラフマニノフ:交響的舞曲 Op.45

◆◆第636回定期◆◆
2019年7月27日(土)14:30
2019年7月28日(日)14:30
指揮:高関 健
◇スメタナ:連作交響詩『わが祖国』(6作全曲)

◆第637回定期
2019年8月25日(日)14:30
指揮:ペーター・ダイクストラ
◇ハイドン:オラトリオ『天地創造』 Hob. XXI-2
〔S 盛田麻央、 T 櫻田 亮、 B 青山 貴、 cho 京響コーラス〕

◆◆第638回定期◆◆
2019年9月21日(土)14:30
2019年9月22日(日・祝)14:30
指揮:下野竜也
◇ブルックナー(スクロヴァチェフスキ編曲):弦楽五重奏曲 ヘ長調 WAB 112〜第3楽章「アダージョ」
◇モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491
〔Pf ヤン・リシエツキ〕
◇ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調『田園』 Op.68

◆第639回定期
2019年10月11日(金)19:00
指揮:ラルフ・ワイケルト
◇モーツァルト:交響曲第35番 ニ長調 K.385『ハフナー』
◇ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調『ロマンティック』 WAB 104[ノヴァーク版第2稿]

◆◆第640回定期◆◆
2019年11月16日(土)14:30
2019年11月17日(日)14:30
指揮:シルヴァン・カンブルラン
◇武満 徹:夢の時
◇ハイドン:交響曲第104番 ニ長調『ロンドン』 Hob. I:104
◇ストラヴィンスキー:バレエ『春の祭典』

◆◆第641回定期◆◆
2020年1月18日(土)14:30
2020年1月19日(日)14:30
指揮:ジョン・アクセルロッド
◇ベートーヴェン:劇付随音楽『アテネの廃墟』 Op.113〜序曲
◇バーンスタイン:ハリル ― 独奏フルート、弦楽オーケストラと打楽器のためのノクターン
〔Fl アンドレアス・ブラウ〕
◇ショスタコーヴィチ:交響曲第7番 ハ長調『レニングラード』 Op.60

◆第642回定期
2020年2月14日(金)19:00
指揮:リオ・クォクマン(廖國敏)
◇ラロ:スペイン交響曲 Op.21
〔Vn スヴェトリン・ルセフ〕
◇プロコフィエフ:交響曲第5番 変ロ長調 Op.100

◆◆第643回定期◆◆
2020年3月28日(土)14:30
2020年3月29日(日)14:30
指揮:広上淳一
◇シューベルト:交響曲第5番 変ロ長調 D.485
◇マーラー:交響曲第4番 ト長調
〔S 森谷真理〕

 

◆◆第九コンサート◆◆
2019年12月27日(金)19:00
2019年12月28日(土)14:30
指揮:ユベール・スダーン
◇メンデルスゾーン:序曲「静かな海と楽しい航海」 Op.27
◇ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125
〔S 吉田珠代、Ms 八木寿子、T 清水徹太郎、Br 近藤 圭、cho 京響コーラス〕

◆ニューイヤー・コンサート
2020年1月12日(日)14:30
指揮:クレメンス・シュルト
◇シューマン:歌劇『ゲノヴェーヴァ』 Op.81〜序曲
◇シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
〔Pf 岡田 奏〕
◇シューマン:交響曲第3番 変ホ長調『ライン』 Op.97

 

[※以上、場所はすべて 京都コンサートホール・大ホール です]

 


 

2年続けての登場になるリオ・クォクマン(http://www.liokuokman.com/)と、今回が初登場となる1986年シンガポール生まれの新鋭カーチュン・ウォン(http://www.kahchunwong.com/)、華人系の俊英指揮者が台頭してきて、1年に2人も京響定期に登場するというのは時代の流れですかねぇ〜。そのカーチュン・ウォンは今シーズンから独バイエルン州ニュルンベルク市(あのワーグナー『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のニュルンベルクはここ)の第2のオーケストラであるニュルンベルク交響楽団[Nürnberger Symphoniker https://www.nuernbergersymphoniker.de/]で首席指揮者を務めていますが、では第1はというとニュルンベルク州立歌劇場[Staatstheater Nürnberg https://www.staatstheater-nuernberg.de/]の座付きにあたるニュルンベルク州立フィルハーモニーで、こちらも今シーズンからGMDにヨアナ・マルヴィッツ(Joana Mallwitz http://joanamallwitz.com/)がマルクス・ボッシュの後釜として就任しました。彼女とカーチュン・ウォンは2人とも1986年生まれですから、若手同士で切磋琢磨しつつ成長していってくれるといいですね。


 

ちなみに、カーチュン・ウォンが採り上げるフランクの交響曲と、リオ・クォクマンが採り上げるラロのスペイン交響曲は、2曲とも京響定期では9年ぶりの演奏となります。

シルヴァン・カンブルランが昨秋に読響を率いて滋賀びわ湖ホールでメシアンの『アッシジの聖フランチェスコ』を上演したの、とても行きたかったんですけど、都合がつかずに行けなかったんですよね。ですので、京響に客演で来てくれるの嬉しいです。読響の常任は今年度いっぱいで退任するそうですが、京響とはどんな化学反応を起こしてくれるのでしょう?

N響、東響、新日フィルと東京のオケには何度か客演されてるラルフ・ワイケルト、初めての京都でブルックナーを振ってくれるのは良いのですが、なぜ京響はいつもいつもオーダーが4番ばかりなのでしょう?2・3・6・7番じゃダメなん?なんかすげーモッタイナイ感が・・・。

翌年1月、アクセルロッド回で共演するアンドレアス・ブラウは定年の2015年までエマニュエル・パユとともにベルリン・フィルの首席フルート奏者を務めていた人。土日2日公演での登場ですので、部活動で吹奏楽をやっている中高生さんたちには仲間連れでぜひとも聴きに来てほしいですね。

あと、定期ではないですがニューイヤー・コンサートを振るクレメンス・シュルト(http://www.clemensschuldt.de/)、京響ニューイヤーのプログラムでこんなチャレンジする指揮者は山田和樹さん以来ではないでしょうか?個人的にシューマンは好みじゃないけど、こういうプログラムを組む心意気が興味深いので、都合がつけば行ってみたいですね。

 

 


京都市交響楽団が2018年度の定期演奏会ラインナップを発表

先日の定期演奏会のレセプションで下野さんが「また下野こんなのやりやがって」というプログラムです、みたいなことを仰っていたので、『ハルモニーレーレ』並のものだろうかとワクワクドキドキしてたら、メインはブル1・・・ナンダゼンゼンフツーやん、と思った私は感覚が麻痺しているのでしょうか?www あーでも、前半に尾高惇忠さんのピアノ協奏曲を持ってきたり、第九との付け合わせがシェーンベルクの『ワルシャワの生き残り』だったりで、やっぱり捻りは入れてるのね。ブル1は下野さんはこれまでずっとウィーン稿だったらしい(私はあいにく未体験)のですが、今回はリンツ稿ハース版とのこと。さてさて・・・。

ちなみに、シューマンの『天使の主題による変奏曲(Geistervariationen)』は1854年2月作曲のピアノ独奏曲で、作品番号が付与されていない、事実上シューマン最後の作品らしいです。この主題の部分を野本洋介(読売日本交響楽団打楽器奏者、洗足学園音楽大学講師)編曲で今年の広島交響楽団の定期演奏会にアンコールピースとして演奏したようですね。

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第623回の広上さんのプログラム、今年がブラームスの3・1番だったので来年は2・4番だろうとタカを括ってたらまさかのバーンスタイン。バーンスタインのカッチリした曲なんて『エレミア』以来随分と久しぶりで、急にどうしたんだろう?と・・・そうですね、来年は彼の生誕100周年でした。

8月の合唱回は高関さんの指揮でブリテンの戦争レクイエム―――第一次世界大戦終結100周年を意識してでしょうか?―――、ラザレフさんはグラズノフの『四季』!!!!(個人的に大好きで特別な思い入れもある曲)とボロディンの2番交響曲を引っさげての再登場。いやはや、今年度に比べて来年度は攻めの傾向が見て取れるラインナップになって大いに満足です。最低限これくらいはやってもらわないと。

 


 

◆第622回定期
 2018年4月13日(金)19:00
 指揮:ダミアン・イオリオ
◇レスピーギ:交響詩『ローマの噴水』
◇レスピーギ:交響詩『ローマの松』
◇レスピーギ:交響詩『ローマの祭』

◆◆第623回定期◆◆
 2018年5月19日(土)14:30
 2018年5月20日(日)14:30
 指揮:広上淳一
◇バーンスタイン:交響組曲『波止場』
◇ショスタコーヴィチ:交響曲第9番 変ホ長調 Op.70
◇バーンスタイン:交響曲第2番『不安の時代』
 〔Pf 河村尚子〕

◆第624回定期
 2018年6月15日(金)19:00
 指揮:廖國敏(リオ・クォクマン)
◇ジェニファー・ヒグドン:ブルー・カセドラル ※日本初演
◇ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.36,B.108
 〔Vn ヨゼフ・シュパチェク〕
◇チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調『悲愴』 Op.74

◆◆第625回定期◆◆
 2018年7月21日(土)14:30
 2018年7月22日(日)14:30
 指揮:下野竜也
◇シューマン[野本洋介 編曲]:「天使の主題による変奏曲」~テーマ
◇尾高惇忠:ピアノ協奏曲
 〔Pf 野田清隆〕
◇ブルックナー:交響曲第1番 ハ短調 WAB 101[リンツ稿・ハース版]

◆第626回定期
 2018年8月26日(日)14:30
 指揮:高関 健
◇ブリテン:戦争レクイエム Op.66
 〔S 木下美穂子、T 小原啓楼、Br 大西宇宙、cho 京響コーラス&京都市少年合唱団〕

◆◆第627回定期◆◆
 2018年9月22日(土)14:30
 2018年9月23日(日・祝)14:30
 指揮:準・メルクル
◇ワーグナー:歌劇『タンホイザー』〜序曲・バッカナール(ヴェヌスベルクの音楽)
◇グリーグ:『ペール・ギュント』第1組曲 Op.46
◇ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98

◆第628回定期
 2018年10月12日(金)19:00
 指揮:ヨエル・レヴィ
◇モーツァルト:交響曲第32番 ト長調 K.318
◇ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77
 〔Vn ヴィヴィアン・ハーグナー〕
◇バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116

◆◆第629回定期◆◆
 2018年11月17日(土)14:30
 2018年11月18日(日)14:30
 指揮:アレクサンドル・ラザレフ
◇グラズノフ:バレエ『四季』Op.67
◇ボロディン:交響曲第2番 ロ短調

◆◆第630回定期◆◆
 2019年1月19日(土)14:30
 2019年1月20日(日)14:30
 指揮:マルク・アンドレーエ
◇ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 Op.15
 〔Pf ゲルハルト・オピッツ〕
◇ムソルグスキー[ラヴェル管弦楽編曲]:組曲『展覧会の絵』

◆第631回定期
 2019年2月15日(金)19:00
 指揮:秋山和慶
◇ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18
 〔Pf 小山実稚恵〕
◇ラフマニノフ:交響曲第3番 イ短調 Op.44

◆◆第632回定期◆◆
 2019年3月16日(土)14:30
 2019年3月17日(日)14:30
 指揮:広上淳一
◇マーラー:交響曲第7番 ホ短調

 

◆◆第九コンサート◆◆
 2018年12月27日(木)19:00
 2018年12月28日(金)19:00
 指揮:下野竜也
◇シェーンベルク:ワルシャワの生き残り Op.46
 〔ナレーター 宮本益光、cho 京響コーラス〕
◇ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125
 〔S 菅 英三子、Ms 林 美智子、T 笛田博昭、B ジョン・ハオ、cho 京響コーラス〕

◆ニューイヤー・コンサート
 2019年1月13日(日)14:30
 指揮:高関 健
◇J.シュトラウス2世:喜歌劇『くるまば草』〜序曲
◇J.シュトラウス2世:ペルシャ行進曲 Op.289
◇ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・マズルカ『おしゃべり女』Op.144
◇J.シュトラウス2世:歌劇『騎士パズマン』〜チャルダッシュ Op.441
◇J.シュトラウス2世:アンネン・ポルカ Op.117
◇J.シュトラウス2世:ワルツ『親しい仲』Op.367
◇J.シュトラウス2世:ワルツ『美しく青きドナウ』Op.314
 〔cho 京都市少年合唱団〕
◇J.シュトラウス2世:芸術家のカドリーユ Op.201
◇J.シュトラウス2世:チクタク・ポルカ Op.365
◇J.シュトラウス2世:ワルツ『ウィーンの森の物語』Op.325
◇J.シュトラウス2世:ポルカ『ハンガリー万歳!』Op.289

 

[※以上、場所はすべて 京都コンサートホール・大ホール です]

 


 

第622回定期の指揮者ダミアン・イオリオはロンドン生まれでイタリア人とイギリス人のハーフだそうですが、NAXOSレーベルにカゼッラやピツェッティといった20世紀前半のイタリア純管弦楽作品をいくつか録音しています。そのカゼッラやマリピエロ、ピツェッティ達のようなイタリアのいわゆる「80年世代」の代表格がレスピーギで、「80年世代」作品の録音で好評を得ているダミアン・イオリオの経験が京響との共演でどのように反映されるか、が敷いて言えば注目でしょうか。『ローマ三部作』を一気にやってくれるのは華やかでいいという反面、同じレスピーギでも『教会のステンドグラス』をチョイスして、他にカゼッラら「80年世代」の作品を織り交ぜたプログラムにしてほしかったとも強く思っています。今度の客演が成功して再演の縁が得られるのなら、次はそのようなプログラムを望みたいですね。

第624回定期に登場するリオ・クォクマン(廖國敏)は2014年のスヴェトラーノフ指揮者コンクールで優勝したマカオ出身の若手指揮者です。今年5月のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017にシンフォニア・ヴァルソヴィアを指揮して何度も登場してましたし、9月の関西フィルの演奏会に急遽ピンチヒッターで登場したり、先月初旬のN響の3回の地方公演を担当したりしてましたので、名前を耳にしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。昨季までフィラデルフィア管弦楽団のアシスタント・コンダクターだったようですが、そのフィラデルフィア管弦楽団と縁の深い米国の現代作曲家ジェニファー・ヒグドンの『ブルー・カセドラル』を1曲目に持ってきたのに注目です。この曲、早速ナクソス・ミュージック・ライブラリで探して聴いてみましたが、彼女の兄弟アンドリュー・ブルー・ヒグドンが病死(“メラノーマ”という悪性の皮膚がん、悪性黒色腫)したのをキッカケに書いたらしい作品、死者を弔うというよりも闘病生活を送っていた兄弟との大切な想い出を音楽という形にしたという印象を受けました。美しく温かみのある良曲です。ドヴォルザークのVn協奏曲とチャイ6はお手並み拝見といったところですね。

そのドヴォルザークで共演するヴァイオリニストのヨゼフ・シュパチェクは2011年にチェコ・フィルのコンマスに楽団史上最年少となる24歳で就任した、1986年生まれのチェコの俊英。使用楽器は1855年製ジャン=バプティスト・ヴィヨーム。米国カーティス音楽院を卒業後、ジュリアード音楽院でイツァーク・パールマンに師事した経歴の持ち主で、コンクール受賞歴云々だけならともかく、あのチェコ・フィルが青田買いした点においては期待を寄せてもいいでしょう。

第627回の準・メルクル、ここ数年9月定期は営業的?に敬老向けで名曲選になる傾向があって仕方ないとはいえ、彼のレパートリーの広さからするとちょっともったいない気がします。

第629回のラザレフさん、前回いらした時は名曲選なプログラムでモッタイネーなー思いましたが、再演にいらしてくれたこと、そして今回は通好みな2曲を引っさげての登場には素直に喜びたいです。しかも1つはグラズノフの『四季』ですからね。吹奏楽編曲の「秋」を私が10代の時にコンクールで演奏した、個人的に思い入れの深い曲なのですが、全曲を生で、しかも京響で、聴くことのできる日が来るなんて、もう夢みたいです!ラザレフさん、おおきにです!!!!

第630回のマルク・アンドレーエは20世紀前半にチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の音楽監督を長らく務めていて作曲活動も行っていたフォルクマール・アンドレーエのお孫さん。来月の新日フィルの第九演奏会で来日する予定ですが、以前にもN響や読響への客演で何度か来日されていたようです。せっかくだからプログラムのアクセントにお祖父さんの作品を挟み込んでもよかったのですけど(笑)。

以下、自前のサイトを持ってる客演指揮者やソリストの情報を載せておきます。

 

ダミアン・イオリオ→http://www.damianiorio.com/

廖國敏(リオ・クォクマン、Lio Kuokman)→http://www.liokuokman.com/

ヨゼフ・シュパチェク:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターhttp://www.josefspacek.com/

マルク・アンドレーエ→http://www.marcandreae.ch/

 

 


京都市交響楽団 第618回定期演奏会(指揮:下野竜也)

パンフの解説を見てビックリしたのだけど、ジョン・アダムズの『ハルモニーレーレ』は1986年に日本初演(下野さん曰くケント・ナガノと新日フィル?だったかな)されて以来、一昨年に下野さんが読響の定期で採り上げるまで30年近く日本では誰も何処も演奏してなかったそうな。数ある在京オケがどこかしらやってそうに思ってたけど、そうでもないのんな・・・もちろん、西日本では今回の京響定期が初めて。欧米での知名度や評価、演奏頻度と日本の事情とのギャップはこういうところでもあるんですね。つべでも作曲者自身がベルリン・フィルを振ったのとか拾えるのにね。

プレトークは『ハルモニーレーレ』にちなんで和声に関するちょっとした豆知識的なお話。作曲家がある特定の(◯長調や◯短調といった)調に何かしら特別の意味合いを持たせることがあるということでモーツァルトやベートーヴェンを引き合いに出しながらお話しされて、ベートーヴェンは“変ホ長調”を交響曲第3番『英雄』と今回演奏するピアノ協奏曲第5番『皇帝』で用いてて(帰宅してググったら作品番号1-1のピアノ三重奏曲第1番にはじまり、弦楽四重奏曲第10番・第12番、七重奏曲、ヴァイオリンソナタ第3番、ピアノ三重奏曲第6番、ピアノソナタ第4番・第26番『告別』、エロイカ変奏曲、等々たくさんあるのな)、実は『ハルモニーレーレ』も変ホ長調で終わる、のだそうな。あとはミニマル・ミュージックには馴染みが無いだろうけど(そりゃまぁ京響の客層でフィリップ・グラスとか知ってる人は超レアでしょ)、でもその元祖はベートーヴェンの『運命』=交響曲第5番だと思ってて、今でこそ誰もが知ってるクラシックの名曲だけど、(200年前の当時)初めて聴いた人は驚いたはず。だから『ハルモニーレーレ』も100年後には普通に演奏されるようになるかもしれないという、“感じ”て聴いて欲しいと『ハルモニーレーレ』推しみたいな熱っぽいトークの締めでした。

 

京都市交響楽団 第618回定期演奏会
2017年11月25日(土)14時30分開演@京都コンサートホール

◆L.v.ベートーヴェン ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 Op.73
 (ピアノソロ・アンコール)
 ◇L.v.ベートーヴェン ピアノソナタ 第14番 嬰ハ短調 Op.27-2〜第3楽章
(休憩)
◆ジョン・クーリッジ・アダムズ ハルモニーレーレ(和声学)

指揮:下野竜也
ピアノ:アンナ・フェドロヴァ
コンサートマスター:西江辰郎

 

今回のコンサートマスターは新日フィルのコンマス西江さん。隣が泉原さんで年齢の近い人同士のコンビ。

今日は個人的な都合で朝が早かったのと、元々お目当ての『ハルモニーレーレ』に集中したいがため、前半は遠慮なく爆睡してましたw アンコールに『月光』ソナタの終楽章というサービスっぷりでしたけど、可もなく不可もなく、といった印象。

そして今年一番の楽しみだった『ハルモニーレーレ』。ナクソス・ミュージック・ライブラリにマイケル・ティルソン=トーマスとサンフランシスコ交響楽団によるライヴ録音のディスクが登録されてて、私はずっとそれで聴いてて馴染んでいたのだけど、あれは32年前に世界初演を任されただけでなく、現音楽監督のティルソン=トーマスがジョン・アダムズ含めて自国モノを積極的に採り上げてオーケストラも慣れてるからこそ、難曲と思わせないほどスムーズに聴ける、ということを大いに痛感しました。

上から見ると下野さんのめくる総譜は付箋と思しきものがカラフルにいっぱい付けてあって、パート1で見られた光景だと、オーボエ首席の高山さんが三拍子に合わせて上半身を三角形を描くように揺すったり、フルート首席の上野さんが時々足でリズムをとったりとか、明らかにタテを合わせるためだけのアマチュアっぽい動作がどのパートにも目立ってて、ミス無く通すためだけで京響があんなに苦労してるの、私は初めて見たように思います。演奏終了後の疲労困憊の度が過ぎて、下野さんや団員の方々がレセプションに顔出すのが遅くなったというオチがあったほどで。それでも音楽評論家の東条碩夫さんが
「京響の優秀さは今に始まったことではなく、今やN響、読響とともに国内オケのベスト3に数えられる存在、と言っても過言ではないかもしれない。」
と称賛する
程度には、素晴らしい好演でした。

 下野竜也(京響常任首席客演指揮者)が指揮するジョン・アダムズの「ハルモニーレーレ」は、一昨年、読響との演奏を聴き、すこぶる気持のいい思いをした記憶がある。今回は文化庁・芸術文化振興基金の事後調査の仕事を兼ね、もう一度聴きに来た次第。

 プログラムの前半では、ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第5番《皇帝》」が、アンナ・フェドロヴァをソリストに迎えて演奏された。「ハルモニーレーレ」との組み合わせとしては意表を衝いたものだったが、これは曲の最後が変ホ長調で終ることと、「皇帝」が変ホ長調の曲であることを関連づけたためのようである。さすが下野竜也だ。
 今日のコンサートマスターは西江辰郎。

 フェドロヴァのピアノは細身の音だが、一つ一つの音に清澄な粒立ちがあり、音色が美しい。カデンツァなど、普通なら一気に均等に進んで行く音の流れの中で、時に強いアクセントを使って流れに変化を生じさせる弾き方が個性的だ。本来は豪壮な曲想の「皇帝」が、不思議に神経質な美しさを感じさせたのはそのためだろう。
 ただし下野と京響の演奏は、それをがっしりと支えるような、堂々たる風格のものであった。
 フェドロヴァはソロ・アンコールに、ベートーヴェンの「月光ソナタ」の終楽章を演奏したが、これも同じ特徴を持ったものだ。

 「ハルモニーレーレ」は、聴いた位置(1階15列中央)のためかもしれないが、以前サントリーホールで聴いた時と違い、オーケストラの内声部がリアルに聴き取れ、曲の面白さを倍加させてくれた。
 下野の指揮も相変わらず巧いものだと思うが、京響の張り切った力感と安定感、音色の多彩さにも舌を巻く。京響の優秀さは今に始まったことではなく、今やN響、読響とともに国内オケのベスト3に数えられる存在、と言っても過言ではないかもしれない。

 しかもカーテンコールの際に、客席に顔を向けた楽員たちの明るい表情と、笑顔の素晴らしさ。国内オケの中には、客席に一切顔を向けない団体とか、向けたとしても「そんなに拍手するほど良かったですかねェ」と言わんばかりの仏頂面をしている団体が多いのに比べ、これだけ聴衆との温かい交流を感じさせる京響の楽員は見上げたものと言わなければならない。

聴く方にとってはさほど身構える必要がなく楽しめると思うんですよ。私なんかはあのパット・メセニーが持てる才能を全振りしてクラシック音楽の曲を書いたらこういうのできるかも?みたいな感覚でいましたので、生演奏特有の三次元空間に大人数のステージから響いて反射する音が彩りキラキラ満載でとても素敵な印象を持ちましたけど(あの独特の良さがわからない人にはトコトン合わないのか途中で席を立つ人が散見されたけど実にモッタイナイ)、演奏する側にとっては変拍子が多い上にミニマル・ミュージック独特の進行がリズム感とかいろいろ狂わされるみたいで、暗闇の中トラップだらけの地雷原を歩いて進むような感覚だったかもと同情します。でもこうして1度本番を無事に終えられたので、2日目の明日は少し余裕が出てくるのではないでしょうか。明日26日に行く方は大いに期待していいと思います。

生で聴いて実感できたことですが、ジョン・アダムズは『ハルモニーレーレ』でミニマル・ミュージックだけでなく他にもいろんなギミックをつぎ込んでいて、それで尚かつ聴き手に敷居の高さを感じさせなくて面白い・楽しい・エキサイティング・綺麗・美しいと場面々々で多様なイメージを持たせてくれる、実に凄いことをやってのけているのではないですか。私の個人的印象では、ジャンルが異なりますけど、’80年代〜’90年代初頭のパット・メセニー・グループの音楽に初めて接した時の、それに少し近いような感じがしましたが、ともあれ傑作には間違いないでしょう。京響のカラーにもよく合うし、数年内での再演を、次はライヴ収録込みで強く希望します。

ジョン・アダムズ:ハルモニーレーレ/マイケル・ティルソン=トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団[SACD]
82193600532