ブラームス:弦楽五重奏曲第1番・第2番(+ベルワルド:ピアノ五重奏曲集)/ウプサラ・チェンバー・ソロイスツ

次に紹介するのはスウェーデンのウプサラ・チェンバー・ソロイスツ(ウップランド地方の音楽事情を紹介するサイト「MUSIK I UPPLAND [http://www.miu.se/]」の中にこのアンサンブル―現地では Uppsala Kammarsolister となっています―の紹介ページがあります)という1978年設立のアンサンブル団体によるブラームスの2曲の弦楽五重奏曲を収録したアルバムです。レーベルはスウェーデンのDaphne[http://www.daphne.se/]、かつてスウェーデン放送交響楽団のオーボエ奏者を30年以上務めたビョーン・ウッデーンが1998年に創設し、スウェーデンの作曲家の作品を中心にリリースしているのだそうです。

 

ブラームス:弦楽五重奏曲第1番・第2番/ウプサラ・チェンバー・ソロイスツ【Daphne】

ヨハネス・ブラームス
・弦楽五重奏曲第1番 ヘ長調 Op.88
・弦楽五重奏曲第2番 ト長調 Op.111

演奏:ウプサラ・チェンバー・ソロイスツ

録音時期:2012年6月4-5日(第1番)、2011年9月9-11日(第2番)
録音場所:スウェーデン、ストックホルム県ヤーナ、Kulturhuset i Ytterjärna
(※この場所、敢えて和訳するならヤーナ郊外文化会館といった感じになるのでしょうけど、実はこの建物を含めた周囲一帯がシュタイナー教育のムーブメントの中心地として発展したオルターナティヴなコミュニティヴィレッジなのだそうで、シュタイナー思想に基づいた学校や病院などの施設やバイオダイナミック農法という有機農業を実践する農地もあります。ちなみにカルチャーハウスはエリック・アスムッセンがシュタイナーの思想を具体化すべく設計した建物だそうで、このコミュニティヴィレッジの中心施設として知る人ぞ知る存在のようです。)

http://ml.naxos.jp/album/DAPHNE1045

Daphne1045

 

こんなこと言うとブラームスファンに怒られそうですが、私の持ってるブラームスの音楽のイメージってどこかしらに必ず後ろ暗い陰が潜んでいるような印象があって(だから余程気が向いた時にしか聴かないというか10代・20代の頃に比べたらアラフォー世代の今ではブラームスの音楽を随分すんなり受け入れられるようになりはしましたけど)、この2曲の弦楽五重奏曲、実は初めて聴いたんですけど、こんなに爽やかで美しく親しみやすい音楽だとは思いませんで、ビックリしてクレジット見直したほどです(爆)。ブラームスは2曲ともオーストリアの保養地バート・イシュルで完成させたそうですが、保養地でリラックスしてる気分が音楽にそのまま表れたのかな、という気がしました。

ウプサラ・チェンバー・ソロイスツ、スウェーデンでは最もよく知られた室内楽団体の1つだそうですが、当地で長いこと活動しているだけあって技巧は確かですし、北欧の夏を思わせるようなクールかつウッディで清らかな響きが印象的です。彼らの演奏に良くも悪くもドイツっぽさを感じなかったのは音色が主因なのでしょうけど、それが良い方向に作用しているように私には感じられました。ジャケット絵が明るくて涼しげな水の街を描いたような風景画ですが、中に込められている音楽の印象にピッタリのように思えます。

 


 

ウプサラ・チェンバー・ソロイスツは上記のアルバムの他にも、いくつかのレーベルでモーツァルトやドヴォルザークなどの室内楽作品を録音していますが、スウェーデンのお国モノを取り上げた中にはピアノにベンクト=オーシェ・ルンディンを起用してのベルワルドのピアノ五重奏曲集のアルバムがあります。

 

ベルワルド:ピアノ五重奏曲集/ルンディン(ピアノ)、ウプサラ・チェンバー・ソロイスツ【Naxos】

フランツ・アドルフ・ベルワルド
・ピアノ五重奏曲第1番 ハ短調
・ピアノ五重奏曲第2番 イ長調
・ピアノ五重奏のための2つの楽章 イ長調

ピアノ:ベンクト=オーシェ・ルンディン
弦楽:ウプサラ・チェンバー・ソロイスツ

録音時期:1996年7月11-13日
録音場所:ウプサラ、アルヴェーンサーレン

http://ml.naxos.jp/album/8.553970

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3曲のうち第2番は1857年に完成されフランツ・リストに献呈したそうですが、リストはこの作品を好意的に評価した一方で
「あなたの生前には理解されないでしょう」
と語った、というエピソードがあるそうです。

で、ザックリと一聴した私の印象は、そんなに小難しそうには思えないんだけど、なんで?という感じです。B級グルメ的な作品だなんて言ったら天国にいる作曲者から怒られそうですけど(笑)、華美なヴィルトゥオーソが鼻を突くような激情的なものがなく、程よい華やかさと温もりを湛えた聴きやすい音楽に仕上がっていると思います。肩肘張らずにピアノと弦のアンサンブルの美しさを堪能する軽い気持ちで楽しめばいいのではないでしょうか。演奏自体もニュートラルで変に出しゃばらない感じが好印象です。