モーツァルト:クラリネット協奏曲、グリエール:ハープ協奏曲、コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲/バイエルン放送響、セバスチャン・マンツ(クラリネット)、エマニュエル・セソン(ハープ)、パク・ヘユン(ヴァイオリン)

コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲を聴くのに何故このディスクを選んだかというと、リリースしたレーベルがバイエルン放送交響楽団[http://www.br.de/radio/br-klassik/symphonieorchester/](以下BRSO)の自主レーベルなのと、2008年と2009年のミュンヘン国際音楽コンクール優勝者たちによる「若き芽のコンサート」をライヴ収録したというユニークで(これからより大きく羽ばたいていくかもしれない若い演奏者たちの巣立ちを見守ってほしいという心が垣間見えるような)ある意味で粋な企画に思えたからです。

もっとも、演奏が酷かったら当然のごとく採り上げないところですが、ここに記録された3人の若手がそれぞれに巧いという以上のキラっと光るものを、まだ小さなものとはいえ感じさせてくれましたからね。

 

モーツァルト:クラリネット協奏曲、グリエール:ハープ協奏曲、コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲
 /セバスチャン・マンツ(クラリネット)、エマニュエル・セソン(ハープ)、パク・ヘユン(ヴァイオリン)、
 コルネリウス・マイスター&ロランス・レーヌ(指揮)、バイエルン放送交響楽団
【BR KLASSIK】

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
・クラリネット協奏曲 イ長調 K.622
レインゴリト・グリエール
・ハープ協奏曲 Op.74
エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト
・ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35

クラリネット:セバスチャン・マンツ
ハープ:エマニュエル・セソン
ヴァイオリン:パク・ヘユン
指揮:コルネリウス・マイスター(モーツァルト)、ロランス・レーヌ(グリエール、コルンゴルト)
管弦楽:バイエルン放送交響楽団

録音時期:2008年9月19日(モーツァルト)、2009年9月19日(グリエール、コルンゴルト)
録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール

http://ml.naxos.jp/album/900106

900106

 

クラリネット奏者のセバスチャン・マンツ[http://www.sebastianmanz.com/]は当時22歳、ミュンヘン国際音楽コンクールのクラリネット部門で第1位が出たのは40年ぶりとかで、この演奏でも特に中高音域でとても伸びやかで通る音色と演奏が印象的です。低音でも一切の濁りなくしっかりとした音が出ているのもいいですね。ザビーネ・マイヤーとライナー・ヴェーレに師事していたそうで、2010/11シーズンからシュトゥットガルト放送響の首席ソロ奏者に就任しています(オケ公式サイトのプロフィールはココ)。

ハープ奏者のエマニュエル・セソン[http://www.emmanuelceysson.com/]は1984年生まれで、2006年からパリ国立オペラ座管弦楽団の首席ソロ奏者を務めていて、現在では他にロンドンの王立アカデミーの客員教授も兼任するほどのフランスが誇る逸材だそうです。ここでは父親がドイツ人で母親がポーランド人というウクライナ生まれのグリエールの珍しい曲を採り上げていますが、私は初めて聴いた曲ですけど終楽章のメルヘンティックで親しみやすいところなど、なかなかに面白い作品でした。ハープはそれほど大きな音量を出せる楽器ではないのでフル編成オケの中だとともすれば埋もれがちになるところですが、セソンの煌びやかな音色は世界でもトップ10に入るBRSOを向こうに回して一歩も引けを取ることなく、しっかりと自己主張しながら作品の魅力を大いに引き出した熱演を披露しています。しとらす的にはここに収録された3曲の中では演奏機会の稀少な作品ということも相まって最も印象深い演奏でした。

ちなみに、NAXOSレーベルが近年完成させた準・メルクルとリヨン国立管によるドビュッシー・ツィクルスの中にもセソンがソリストとして参加している曲(2つの舞曲「神聖な踊りと世俗の踊り」)がありますので、手元にある方は改めて聴いてみてください。

3曲目のコルンゴルトのヴァイオリン・コンチェルト、ソリストは当時若干17歳で第1位となったパク・ヘユン。審査基準が非常に厳しく滅多に第1位を出すことのなかったミュンヘン国際音楽コンクールも近年では基準を緩める傾向にあるそうで、ヴァイオリン部門で1位をゲットしたという結果値だけでどうこう言うのは早計にすぎるでしょうが、少なくともここでの彼女の演奏は己の技巧をひけらかすだけに終わらないプラスアルファを持った貫禄ある好演となっています。現時点でも20歳かな?まだ充分に若い彼女が周囲の状況に流されることなく研鑽を重ねて、中高年になった頃にはその才能に円熟味を加えた良い演奏家になってくれることを期待したいですね(若手はビジュアルとテクニックで誤魔化しが効きますが年の取り方を間違えるとそうもいかず業界で飯が食えなくなりますからね・苦笑)。