京都市交響楽団が2020年度の定期演奏会ラインナップと新体制を発表

サー・サイモン・ラトルが若い頃に首席指揮者として徹底的にアンサンブル能力を鍛え上げて世界的に有名になり、また2018/19シーズンから山田和樹さんが首席客演指揮者に就任したことで日本にとっても身近になった英国のメジャーオケの1つ、バーミンガム市交響楽団は City of Birmingham Symphony Orchestra, 略称CBSO・・・なのですが、そうした欧州での名付けに倣うようにしたのかどうか、我らが京都市交響楽団は2020年4月から英語表記を

“City of Kyoto Symphony Orchestra”


に変えて、下記のような新体制で臨むそうです。

第13代常任指揮者兼芸術顧問:広上淳一
首席客演指揮者:ジョン・アクセルロッド
特別名誉友情コンサートマスター:豊嶋泰嗣
特別客演コンサートマスター:石田泰尚、会田莉凡
特別首席チェロ奏者:山本裕康

(※内容を順次、追加更新します)

京響の公式リリースPDF版はこちらをクリック


◆第644回定期
2020年4月24日(金)19:00
指揮:大友直人
◇ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 Op.26
〔Vn 荒井里桜〕
◇エルガー:交響曲第2番 変ホ長調 Op.63

◆◆第645回定期◆◆
2020年5月16日(土)14:30
2020年5月17日(日)14:30
指揮:クリスティアン・アルミンク
◇モーツァルト:歌劇『ドン・ジョヴァンニ』 K.527〜序曲
◇モーツァルト:ピアノ協奏曲第10番(2台のピアノのための協奏曲) 変ホ長調 K.365(316a)
〔Pf フェルハン・エンダー&フェルザン・エンダー〕
◇チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 Op.64

◆第646回定期
2020年6月26日(金)19:00
指揮:広上淳一
◇ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 WAB 108[ハース版]

◆◆第647回定期◆◆
2020年7月25日(土)14:30
2020年7月26日(日)14:30
指揮:パスカル・ロフェ
◇ラヴェル:スペイン狂詩曲
◇ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調
〔Pf ロジェ・ムラロ〕
◇デュティユー:メタボール
◇ラヴェル:バレエ『ダフニスとクロエ』第2組曲

◆第648回定期
2020年8月29日(土)14:30
指揮:阪 哲朗
◇廣瀬量平:祝典序曲
◇モーツァルト:交響曲第36番 ハ長調 K.425『リンツ』
◇リヒャルト・シュトラウス:交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』Op.28
◇リヒャルト・シュトラウス:歌劇『ばらの騎士』 Op.59〜 ※選曲

◆◆第649回定期◆◆
2020年9月12日(土)14:30
2020年9月13日(日)14:30
指揮:ジョン・アクセルロッド
◇マーラー:交響曲第2番 ハ短調
〔S テオドラ・ゲオルギュー、 Ms ウォリス・ジュンタ、 cho 京響コーラス〕

◆第650回定期
2020年10月9日(金)19:00
指揮:ゲルゲイ・マダラシュ沼尻竜典
◇リスト:ハンガリー狂詩曲第2番 ニ短調 S.359/2
◇コダーイ:ガランタ舞曲
◇モーツァルト:オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲 変ホ長調 K.297b
◇ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調『英雄』 Op.55

◆◆第651回定期◆◆
2020年11月28日(土)14:30
2020年11月29日(日)14:30
指揮:サッシャ・ゲッツェル
◇グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16
〔Pf アレクセイ・ヴォロディン〕
◇リヒャルト・シュトラウス:アルプス交響曲 Op.64

◆◆第652回定期◆◆
2021年1月23日(土)14:30
2021年1月24日(日)14:30
指揮:アレクサンドル・スラドコフスキー
◇チャイコフスキー:幻想序曲『ロメオとジュリエット』
◇チャイコフスキー:祝典序曲『1812年』 変ホ長調 Op.49
◇ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 Op.47

◆第653回定期
2021年2月19日(金)19:00
指揮:小泉和裕
◇ワーグナー:歌劇『リエンツィ』〜序曲
◇グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.82
〔Vn クララ=ジュミ・カン〕
◇ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68

◆◆第654回定期◆◆
2021年3月27日(土)14:30
2021年3月28日(日)14:30
指揮:広上淳一
◇エルガー:ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 Op.61
〔Vn ダニエル・ホープ〕
◇ドヴォルザーク:交響曲第7番 ニ短調 Op.70, B.141

◆◆第九コンサート◆◆
2020年12月27日(土)18:00
2020年12月28日(日)14:30
指揮:広上淳一
◇シベリウス:組曲『恋人』 Op.14
◇ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125
〔S 砂川涼子、Ms 谷口睦美、T ジョン・健・ヌッツォ、Br 甲斐栄次郎、cho 京響コーラス〕

◆ニューイヤー・コンサート
2021年1月10日(日)14:30
指揮:井上道義
◇伊福部昭:管絃楽のための『日本組曲』〜第4曲「佞武多(ねぶた)」
◇伊福部昭:二十絃箏協奏曲『二十絃箏とオーケストラのための交響的エグログ』
〔箏 LEO(今野玲央)〕
◇池辺晋一郎:井上道義委嘱作品[※世界初演]
◇武満徹:3つの映画音楽〜第3曲 – 映画『他人の顔』よりワルツ
◇ドリーブ:バレエ『コッペリア』〜ワルツ
◇ハチャトゥリアン:組曲『仮面舞踏会』〜第1曲「ワルツ」
◇チャイコフスキー:バレエ『眠れる森の美女』 Op.66〜村人の大ワルツ

[※以上、場所はすべて 京都コンサートホール・大ホール です]

※※追記:COVID-19感染拡大防止のため、第644回・第645回・第646回定期は開催中止、第647回・第648回・第649回は内容を変更して部分的開催。第650回は指揮者を変更しプログラム前半の曲目を差替。



リスト:ピアノ作品集(+『ドッペルゲンガー』〜リスト:シューベルト歌曲編曲集)/ドラ・デリイスカ(ピアノ)

チェルカスキーのディスクを紹介した際に私が20年前にライヴで聴いたリストによる『タンホイザー』序曲のピアノ編曲版のことをお話ししましたが、せっかくなのでその曲を探して聴いてみようと思いNMLで検索したら、さすがにチェルカスキーが録音したのはありませんでしたけど、1980年生まれのブルガリア人ピアニスト、ドラ・デリイスカ[http://www.doradeliyska.net/]が録音した演奏を聴いてみて、ちょっと興味を惹かれたのでググったりしてみて採り上げようと考えた次第です。ちなみにアルバムをリリースしたのは現在彼女が拠点としているウィーンのGramola[https://www.gramola.at/]という新興レーベルです。

 

リスト:ピアノ作品集/ドラ・デリイスカ(ピアノ)【Gramola】

フランツ・リスト
・ピアノソナタ ロ短調 S.178
フランツ・シューベルト[※リスト編曲]
・歌曲集『白鳥の歌』〜セレナード S.560(原曲はD.957-4)
・シューベルトの12の歌曲〜第2曲:水の上で歌う S.558-2(原曲はD.774,Op.72)
フランツ・リスト
・パガニーニによる大練習曲 S.141
リヒャルト・ワーグナー[※リスト編曲]
・歌劇『タンホイザー』序曲 S.442

ピアノ:ドラ・デリイスカ

http://ml.naxos.jp/album/Gramola98853

Gramola98853

 

日本語でそのまま「ドラ・デリイスカ」でググると、上記のではなく日本国内仕様で『リストなのか、シューベルトなのか~ピアノで弾く「歌曲王」の世界~』としてリリースされているアルバムについて賞賛している記事が目につきます。シューベルトの歌曲をリストがピアノ独奏用にアレンジした作品ばかりを全14曲並べたディスクですが、彼女の技巧の冴えはもちろんのこと、原曲となっているシューベルトの歌曲を歌手が歌うようなイメージでピアノを弾いて、リストのアレンジからシューベルトの歌を上手く表現している、といった感じです。

私はシューベルトに、しかも歌曲にはほとんどと言っていいほど馴染みがないので、このアルバムにも入っているシューベルトのアレンジものではよくわからなかったのですが、『タンホイザー』を聴いていると、彼女の表現力を褒める人の気持ちが理解できるような気がしました。ワーグナーのこのオペラ、正式には『タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦』、タンホイザー伝説とヴァルトブルクの歌合戦の伝説の2つの伝説を下敷きに作曲されました。その2つのうち歌合戦の方をかなり強く意識してデリイスカが弾いているように感じたのです。ミュージシャンの感覚としてはかなり難題だと思うのですが(歌には旋律を奏でるだけでなく言語感覚というか発音や言意その他諸々が付き纏いますから)、彼女の場合は母親がオペラ歌手で自身も小さい頃から歌うのが好きだったそうなので、そのあたりの感覚も家庭の環境で育まれたものなのでしょうね。ワーグナーの作風にあるダイナミズムもピアノでしっかり構築しながらも、その中に内在する‘歌’が聴き手にも自然に感じられるように演奏しているような印象を受けました。

ルックスは見ての通りの美人さんですが(笑)、腕前だけでしっかりアピールできるだけの実力を持ってるピアニストだと思います。ただし私の第一印象では演奏する作品によって得手・不得手がハッキリ分かれるタイプのようにも感じましたが、年齢的にそろそろアラサーからアラフォーにさしかかる頃で、自身の音楽性をどのように熟成させていくのか楽しみではないでしょうか。

 


 

ところで、先に挙げた『ドッペルゲンガー』(影法師)と題されたアルバムの方ですが、Gramolaレーベルのサイト内にプロモーションビデオっぽい動画がありましたので、興味のある方はご覧になってください。

 

『ドッペルゲンガー』〜リスト:シューベルト歌曲編曲集/ドラ・デリイスカ(ピアノ)【Gramola】
[※日本での輸入代理店マーキュリーでは『リストなのか、シューベルトなのか~ピアノで弾く「歌曲王」の世界~』というお題をつけて日本語版ライナーノート添付の国内盤仕様で出してるそうです]

フランツ・シューベルト作、フランツ・リスト編曲
・シューベルトの12の歌曲〜第8曲:糸を紡ぐグレートヒェン S.558-8(原曲はD.118)
・涙の讃美 S.557(原曲はD.711,Op.13-2)
・シューベルトの12の歌曲〜第9曲:セレナード(きけ、きけ、ひばり) S.558-9(原曲はD.889)
・シューベルトの12の歌曲〜第3曲:君はわが憩い S.558-3(原曲はD.776)
・シューベルト:歌曲集『白鳥の歌』〜セレナード S.560-7(原曲はD.957-4)
・6つのシューベルトの歌曲〜ます S.563-6(原曲はD.550,Op.32)
・シューベルト:歌曲集『美しき水車小屋の娘』〜水車職人と小川 S.565bis-2(原曲はD.795-19)
・シューベルト:歌曲集『白鳥の歌』〜仕事を終えて S.560-3(原曲はD.957-5)
・シューベルトの4つの宗教歌曲集〜万霊節のための連梼 S.562-1(原曲はD.343)
・シューベルト:歌曲集『白鳥の歌』〜春の憧れ S.560-9(原曲はD.957-3)
・シューベルト:歌曲集『冬の旅』〜辻音楽師 S.561-8(原曲はD.911-24)
・シューベルトの12の歌曲〜第11曲:さすらい人 S.558-11(原曲はD.489)
・シューベルト:歌曲集『白鳥の歌』〜影法師 S.560-12(原曲はD.957-13)
・シューベルトの12の歌曲〜第4曲:魔王 S.558-4(原曲はD.328)

ピアノ:ドラ・デリイスカ(使用楽器:ベーゼンドルファー)

録音時期:2011年10月

http://ml.naxos.jp/album/Gramola98931

Gramola98931

 



ハイドン:ピアノ・ソナタ第34番、ヒンデミット:ピアノ・ソナタ第3番、他/シューラ・チェルカスキー(ピアノ)

ふとしたことでというか大袈裟に言うと風の便りというか、チェルカスキーの名前を思い出して、たしかNimbusレーベルに録音してたはずだからNMLで聴けるだろうと思って検索かけたら、Wigmore Hall Live[http://www.wigmore-hall.org.uk/live]レーベルに彼のライヴ録音があったので昔を思い出しながら聴いてみた次第です。

シューラ・チェルカスキー、1909年生まれで1995年に亡くなられた、ウクライナ出身のユダヤ系ピアニスト。晩年は毎年のように来日公演が催され、私も仙台にまだ住んでた頃の1993年に弘前までレンタカー借りてリサイタルに行ったものでした。公演後に楽屋までサインもらいに行って、その貴重なパンフレットが数度の引越しの荷物に紛れてどこにあるのかわからないので(アホ)、グーグルさんで探しながら記憶を辿りました。その年は単独リサイタルが東京と大阪以外では弘前しかなくて、王子ホールのはチケットが取れず、サントリーホールはピアノソロだと音響的にキツイだろうと思って避けて、消去法で弘前まで行ったんでしたっけ。観光もしないで夜は車の中で仮眠を取りながらトンボ帰りという無茶なことをしましたけど(苦笑)。

当時のかすかな記憶と『Tokyo Classic』というサイトにあったデータから、私が聴いたプログラムはAプロで下記の通り(アンコールはショパンだったっけ・・・憶えてない、演奏は素晴らしかったのですが)。

 ・ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第13番 変ホ長調作品27の1
 ・シューマン: クライスレリアーナ 作品16
 ・ショパン: ポロネーズ 嬰ヘ短調 作品44
 ・ラフマニノフ: 舟歌 ト短調 作品10の3
 ・ラフマニノフ: 前奏曲 嬰ト短調 作品32の12
 ・ラフマニノフ: V.R.のポルカ
 ・ワーグナー~リスト: 「タンホイザー」序曲によるパラフレーズ

あの時は確か前半はエンジンのかかりが遅かったようでポロネーズあたりから少しずつ調子が出てきた印象でした。そして圧巻はラストの『タンホイザー』序曲、リストがピアノ版に編曲したものですが、この曲を聴いてるうちに目の前にセピア調のサイレント映画のような光景がパァーッと広がったような、なんとも不思議な感覚に囚われた強烈なイメージが浮かび上がってきたんです。タイムスリップと一言で片付けるのが安直すぎて勿体ないほどで・・・19世紀的ロマン派ピアニストの真髄というか生き証人ということなんでしょうかね?これまで大いに心を揺さぶられる感動的な生演奏には音楽のジャンルを問わず何度となく体験させてもらってますけど、あの感覚を得られたのは私のアラフォーな人生の中で後にも先にもチェルカスキーのリサイタルの後半ラストからアンコールにかけてだけです。

 

ウィグモア・ホール・ライヴ、ピアノ曲集/シューラ・チェルカスキー(ピアノ)【Wigmore Hall Live】

ジャン=フィリップ・ラモー
・新しいクラブサン曲集:組曲 イ短調〜ガヴォットと変奏
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
・ピアノ・ソナタ第34番ホ短調Hob.XVI:34(※旧53番)
パウル・ヒンデミット
・ピアノ・ソナタ第3番 変ロ調
フレデリック・ショパン
・バラード第3番変イ長調 Op.47
・夜想曲 第14番嬰ヘ短調 Op.48-2
・マズルカ第38番嬰ヘ短調 Op.59-3
・マズルカ第42番ト長調 Op.67-1
・マズルカ第43番ト短調 Op.67-2
レノックス・バークリー
・6つの前奏曲 Op.23〜第5番、第6番
・ポルカ Op.5/1a
フランツ・リスト
・ハンガリー狂詩曲第2番嬰ハ短調 S.244-1
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
・『四季』-12の性格的描写〜10月「秋の歌」

ピアノ:シューラ・チェルカスキー

録音時期:1993年10月29日(ライヴ、BBCによる録音)
録音場所:ロンドン、ウィグモア・ホール

http://ml.naxos.jp/album/whlive0014

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・・・えぇ〜、何と言いますか、こうして収録されたプログラムを見ていると、古くはラモーからハイドン、新しいところではヒンデミットからバークリーと200年以上をまたいでの幅広い選曲で、チェルカスキーが亡くなるまで新たなレパートリーの探求をやめなかったというエピソードの裏付けを見る思いです(つーか化物じゃないの?この爺ちゃんwww)。

生演奏でなくこうして録音化されたものをスピーカー越しに聴くと此方も聴衆としての共空間・共時間を経ていない冷静さがあるので、年齢からくる衰えを少し感じてしまうのも事実ですが(この録音は私が弘前で聴いたリサイタルから9ヶ月近く後なんですよね)、それでもやはり彼が偉大な資質を持った即興演奏派のエンターテイナー・タイプなピアニストだったということを改めて認識させられましたし、音楽ってこんなに楽しくて美しくて、そして自由なものなんだという素晴らしい奇跡のような存在であること、それを聴き手にわかりやすく提示してくれた、かけがえのない記録であることもまた真実という演奏だと思います。

20年前の冬、レンタカーで東北自動車道を走りながら弘前まで行くという若さ故の無茶(今はとてもそんな事できません・苦笑)をしてまでチェルカスキーのリサイタルを聴いておいて本当に良かったと心から思いながら、このライヴ録音をしみじみ聴いてたしとらすさんでしたとさ(笑)。

 



リスト:『巡礼の年』全曲/ベルトラン・シャマユ(ピアノ)

フランスはナンスを発祥とするクラシックの一大イベント『ラ・フォル・ジュルネ』。日本でも2005年の東京を皮切りにいくつかの都市で開催されるようになりましたが、日本では開催時期がゴールデンウィークに設定されているので、すっかり春の風物詩となった感がありますね。今年の専用サイトも開設され、NMLでも一昨日3月11日から「聴けるプログラム」として特集ページが組まれています。

 →ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン<熱狂の日>音楽祭 http://www.lfj.jp/lfj_2013/

 

さて、今年のテーマは満を持しての盛大なフランスお国自慢「パリ、至福の時」だそうで、日本語版公式サイトに書かれてあった由来には

タイトルの「至福の時」L’heure exquise(ルール・エクスキーズ)は、19世紀後半のパリを代表する詩人ポール・ヴェルレーヌの詩「白い月」の最後のフレーズから、ルネ・マルタンが引用したものです。作曲家のフォーレやアーンはこの詩に音楽を付け、歌曲にもなっています。
19世紀から20世紀にかけて、パリは世界の芸術の首都としてさまざまなジャンルの芸術家が集い、交流し、素晴らしい作品の数々が生まれましたが、L’heure exquiseという言葉をテーマタイトルに引用することによって、ルネ・マルタンは芸術家たちにとって至福の時代であった頃のパリを再現しようとしたのです。

とありました。おそらくは「19世紀から20世紀にかけて、パリは世界の芸術の首都としてさまざまなジャンルの芸術家が集い」とあるのがミソで、フランスの作曲家だけでなくパリで活動していた時期もあったスペインの作曲家のアルベニスやファリャまで引っ張り出しています。道理で出演者の中に村治佳織さんや荘村清志さん、大萩康司さんに鈴木大介さんといったギタリストの名前が多いと思ったら、そういうことだったので、と。それにしてもスペインのアルベニスとファリャを巻き込むとは図々しい(苦笑)というか、まるで「ワシが育てた」とでも言いたげな感じでフランスの悪い面(一種の傲慢さ)が垣間見えるというか・・・(以下略)。

まぁせっかくNMLでも特集ページが組まれましたし、私自身もフランス音楽は好きな方なので(というかクラシックに嵌るキッカケがラヴェルだった)、今回の東京での公演に出演する演奏者や採り上げられる作曲家など、NMLのカタログの中で適当に目星をつけたディスクをチョイスして時々採り上げてみることにしました。

まずは、5月3・4日にオケとの共演やソロリサイタルで出演する1981年トゥールーズ生まれのフランス人ピアニスト、ベルトラン・シャマユ(Bertrand Chamayou)がNaïve[http://www.naive.fr/]レーベルに録音した現時点での最新盤から。

 

リスト:『巡礼の年』全曲/ベルトラン・シャマユ(ピアノ)(3CD)【Naïve】

CD1
フランツ・リスト
・巡礼の年 第1年『スイス』 S.160
 ウィリアム・テルの聖堂
 ワレンシュタット湖畔で
 田園曲
 泉のほとりで
 夕立
 オーベルマンの谷
 牧歌
 郷愁
 ジュネーヴの鐘

CD2
フランツ・リスト
・巡礼の年 第2年『イタリア』 S.161
 婚礼
 物思いに沈む人
 サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ
 ペトラルカのソネット第47番
 ペトラルカのソネット第104番
 ペトラルカのソネット第123番
 ソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」
・巡礼の年 第2年補遺『ヴェネツィアとナポリ』 S.162
 ゴンドラを漕ぐ女
 カンツォーネ
 タランテッラ

CD3
フランツ・リスト
・巡礼の年 第3年 S.163
 アンジェルス!守護天使への祈り
 エステ荘の糸杉にI:哀歌
 エステ荘の糸杉にII:哀歌
 エステ荘の噴水
 ものみな涙あり−ハンガリー風に
 葬送行進曲
 心を高めよ

ピアノ:ベルトラン・シャマユ

録音時期:2011年3月、6月、7月
録音場所:フランス、ポワティエ

http://ml.naxos.jp/album/V5260

V5260

 

このアルバムが録音されたのはリストの生誕200周年アニヴァーサリー・イヤーであると同時に演奏者自身も30歳という節目の年を迎えた時期ですけど、己の持てる技術と音の品質を全て洗練された自然美の構築と描写に注ぎ込んだ感のある演奏で、個々の曲の作曲年代がバラバラで作風の傾向も異なる『巡礼の年』3集を、まるで元から1巻の絵巻物として存在していたかのように作り上げたかのようです。各曲の個性を消すのではなくそれぞれ細部まで丁寧な表現を見せながらも全曲を一通り聴くとまことに流麗で一切の不自然さを感じさせない見事さです。

例えば「ソナタ風幻想曲『ダンテを読んで』」。ヴィルトゥオーソ的要素を発揮させがちなこの曲において力みがまるで無く軽々と弾いているようにすら見えますが、スケール感とダイナミズムはそのままにフォルテの音色が透明でかつズシッと質感もあり、それが前後の曲から浮き出ることなく迫力と存在感を誇示することに成功していると思われます。「エステ荘の噴水」においても美しい音色で印象派のような幻想的な情景を描き出していますし、他の曲についても語りだすとキリがないのでしょうが、それでも全曲でCD3枚分ある『巡礼の年』を時間の経過を忘れてしまうほど明瞭でスムーズな流れで(聴き手に疲労感を与えることなく)聴き通せてしまうのはまことに不思議です。

今回の東京でのラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンではサン=サーンスやドビュッシーなどを採り上げるようですが、時間とお金に余裕のあるピアノ好きの方は、ぜひ行かれてみてはいかがでしょうか?

 

東京国際フォーラム%%http://maps.google.co.jp/maps?q=35.676840,139.763553+(%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A0)&hl=ja&ie=UTF8&z=15%%35.676840%%139.763553%%15