ハイドン:交響曲全集/アダム・フィッシャー&オーストリア=ハンガリー・ハイドン管弦楽団

NMLの今日の新着タイトルの中にNimbusレーベルのフィッシャー盤ハイドン全集があって、なぜ今頃?と思ってよく見ると、通常のCDフォーマットではなくMP3ディスクだったんですね。道理で値段が安くて枚数が少ないわけです。もっとも、こうしてネット配信で聴いてるかぎりでは音質は同じですし、100曲以上のものが一纏まりになったおかげで通して聴きたい場合に手間が省けるというものですが(笑)。

アダム・フィッシャーと彼が創設したオーストリア=ハンガリー・ハイドン管弦楽団[http://www.haydnphil.org/]によるハイドン・ツィクルスの演奏に関しては今さら何も言うことはありません。そもそもこの臨時オケ自体が

・ハイドンの作品を作曲家自身が生活し、活動した場所で演奏すること
・ハイドンの頃の伝統を伝える、オーストリアとハンガリーの音楽家を集め、一つのアンサンブルを奏でること

の2つの目的でウィーン・フィルやウィーン響、ハンガリー国立響など2ヶ国の名門オケに属する楽団員を有志で集めて結成されたアンサンブルであり、そこにオペラとシンフォニーコンサート両方で豊富な経験と知見を持つアダム・フィッシャーがまとめ役としてタクトを振るわけですから、長きにわたる口承による伝統をベースにしながら現代の様々な古楽器オケによる数多くの新たな視点と成果の中から真に必要なものを適度にブレンドした解釈と演奏は、いわば“古くて新しいもの”を感じさせてくれます。ハイドンのシンフォニーをスタンダード的なもので聴く際には絶対に外せない演奏だと思います。

私も早速BGM代わりに1番から番号順に聴いているのですが、こうした聴き方も肩がこらずにリラックスできる感じで、なかなかオツなものですね。機会があればぜひどうぞ。

ちなみに、このオケのサイト(名目上はファンサイトですが、ほとんど準公式みたいなものですねw)を作っているのは日本人ファンのこの方[http://blog.livedoor.jp/haydnphil/]です。本当にご苦労様です。

 

ハイドン:交響曲全集/アダム・フィッシャー&オーストリア=ハンガリー・ハイドン管【Nimbus】

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
・交響曲第1番 ニ長調 Hob.I:1
・交響曲第2番 ハ長調 Hob.I:2
・交響曲第3番 ト長調 Hob.I:3
・交響曲第4番 ニ長調 Hob.I:4
・交響曲第5番 イ長調 Hob.I:5
・交響曲第6番 ニ長調「朝」Hob.I:6
・交響曲第7番 ハ長調「昼」Hob.I:7
・交響曲第8番 ト長調「晩」Hob.I:8
・交響曲第9番 ハ長調 Hob.I:9
・交響曲第10番 ニ長調 Hob.I:10
・交響曲第11番 変ホ長調 Hob.I:11
・交響曲第12番 ホ長調 Hob.I:12
・交響曲第13番 ニ長調 Hob.I:13
・交響曲第14番 イ長調 Hob.I:14
・交響曲第15番 ニ長調 Hob.I:15
・交響曲第16番 変ロ長調 Hob.I:16
・交響曲第17番 ヘ長調 Hob.I:17
・交響曲第18番 ト長調 Hob.I:18
・交響曲第19番 ニ長調 Hob.I:19
・交響曲第20番 ハ長調 Hob.I:20
・交響曲第21番 イ長調 Hob.I:21
・交響曲第22番 変ホ長調「哲学者」Hob.I:22
・交響曲第23番 ト長調 Hob.I:23
・交響曲第24番 ニ長調 Hob.I:24
・交響曲第25番 ハ長調 Hob.I:25
・交響曲第26番 ニ短調「悲しみ」Hob.I:26
・交響曲第27番 ト長調 Hob.I:27
・交響曲第28番 イ長調 Hob.I:28
・交響曲第29番 ホ長調 Hob.I:29
・交響曲第30番 ハ長調「アレルヤ」Hob.I:30
・交響曲第31番 ニ長調「ホルン信号」Hob.I:31
・交響曲第32番 ハ長調 Hob.I:32
・交響曲第33番 ハ長調 Hob.I:33
・交響曲第34番 ニ短調 Hob.I:34
・交響曲第35番 変ロ長調 Hob.I:35
・交響曲第36番 変ホ長調 Hob.I:36
・交響曲第37番 ハ長調 Hob.I:37
・交響曲第38番 ハ長調「エコー」Hob.I:38
・交響曲第39番 ト短調 Hob.I:39
・交響曲第40番 ヘ長調 Hob.I:40
・交響曲第41番 ハ長調 Hob.I:41
・交響曲第42番 ニ長調 Hob.I:42
・交響曲第43番 変ホ長調「マーキュリー」Hob.I:43
・交響曲第44番 ホ短調「悲しみ」Hob.I:44
・交響曲第45番 嬰ヘ短調「告別」Hob.I:45
・交響曲第46番 ロ長調 Hob.I:46
・交響曲第47番 ト長調「パリンドローム」Hob.I:47
・交響曲第48番 ハ長調「マリア・テレジア」 Hob.I:48
・交響曲第49番 ヘ短調 「受難」 Hob.I:49
・交響曲第50番 ハ長調 Hob.I:50
・交響曲第51番 変ロ長調 Hob.I:51
・交響曲第52番 ハ短調 Hob.I:52
・交響曲第53番 ニ長調「帝国」Hob.I:53
・交響曲第54番 ト長調 Hob.I:54
・交響曲第55番 変ホ長調「校長先生」Hob.I:55
・交響曲第56番 ハ長調 Hob.I:56
・交響曲第57番 ニ長調 Hob.I:57
・交響曲第58番 ヘ長調 Hob.I:58
・交響曲第59番 イ長調「火事」Hob.I:59
・交響曲第60番 ハ長調「うかつ者」Hob.I:60
・交響曲第61番 ニ長調 Hob.I:61
・交響曲第62番 ニ長調 Hob.I:62
・交響曲第63番 ハ長調「ラ・ロクスラーヌ」Hob.I:63
・交響曲第64番 イ長調「時の移ろい」Hob.I:64
・交響曲第65番 イ長調 Hob.I:65
・交響曲第66番 変ロ長調 Hob.I:66
・交響曲第67番 ヘ長調 Hob.I:67
・交響曲第68番 変ロ長調 Hob.I:68
・交響曲第69番 ハ長調「ラウドン将軍」Hob.I:69
・交響曲第70番 ニ長調 Hob.I:70
・交響曲第71番 変ロ長調 Hob.I:71
・交響曲第72番 ニ長調 Hob.I:72
・交響曲第73番 ニ長調「狩り」Hob.I:73
・交響曲第74番 変ホ長調 Hob.I:74
・交響曲第75番 ニ長調 Hob.I:75
・交響曲第76番 変ホ長調 Hob.I:76
・交響曲第77番 変ロ長調 Hob.I:77
・交響曲第78番 ハ短調 Hob.I:78
・交響曲第79番 ヘ長調 Hob.I:79
・交響曲第80番 ニ短調 Hob.I:80
・交響曲第81番 ト長調 Hob.I:81
・交響曲第82番 ハ長調「熊」Hob.I:82
・交響曲第83番 ト短調「めんどり」Hob.I:83
・交響曲第84番 変ホ長調 Hob.I:84
・交響曲第85番 変ロ長調「王妃」Hob.I:85
・交響曲第86番 ニ長調 Hob.I:86
・交響曲第87番 イ長調 Hob.I:87
・交響曲第88番 ト長調「V字」Hob.I:88
・交響曲第89番 ヘ長調 Hob.I:89
・交響曲第90番 ハ長調 Hob.I:90
・交響曲第91番 変ホ長調 Hob.I:91
・交響曲第92番 ト長調「オックスフォード」Hob.I:92
・交響曲第93番 ニ長調 Hob.I:93
・交響曲第94番 ト長調「驚愕」Hob.I:94
・交響曲第95番 ハ短調 Hob.I:95
・交響曲第96番 ニ長調「奇蹟」Hob.I:96
・交響曲第97番 ハ長調 Hob.I:97
・交響曲第98番 変ロ長調 Hob.I:98
・交響曲第99番 変ホ長調 Hob.I:99
・交響曲第100番 ト長調「軍隊」Hob.I:100
・交響曲第101番 ニ長調「時計」Hob.I:101
・交響曲第102番 変ロ長調 Hob.I:102
・交響曲第103番 変ホ長調「太鼓連打」Hob.I:103
・交響曲第104番 ニ長調「ロンドン」Hob.I:104
・交響曲 A 変ロ長調(第107番)Hob.I:107
・交響曲 B 変ロ長調(第108番)Hob.I:108
・協奏交響曲 変ロ長調 Hob.I:105, Op.84
・ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 Hob.VIIa:1
・ヴァイオリン協奏曲 ト長調 Hob.VIIa:4
・シンフォニア 変ロ長調(歌劇『真の貞節』序曲の改作)Hob.Ia:15
・歌劇『勘違いの不貞』Hob.XXVIII:5〜序曲
・行進曲 変ホ長調「王立音楽家協会のための行進曲」Hob.VIII:3bis

指揮:アダム・フィッシャー
   イヴァン・ディミトロフ(シンフォニア 変ロ長調)
   ヴェルナー・ヒンク(『勘違いの不貞』序曲)
   エーリッヒ・ビンダー(王立音楽家協会のための行進曲)
管弦楽:オーストリア・ハンガリー・ハイドンフィルハーモニー
ヴァイオリン:ライナー・キュッヒル(ヴァイオリン協奏曲、協奏交響曲)
オーボエ:ゲルハルト・トレチェック(協奏交響曲)
ファゴット:ミヒャエル・ヴェルバ(協奏交響曲)
チェロ:ヴォルフガング・ヘルツァー(協奏交響曲)

http://ml.naxos.jp/album/NI1722

 

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ショパン:ピアノ作品集/ヴラド・ペルルミュテール(ピアノ)

本日付けでNMLに登録された、Nimbusレーベルによるペルルミュテールの6枚組BOXのショパン集。元々はそれぞれ分配されてたのを後にセットとして再発されたものですが、こうしてNMLにも別途登録されたことですし、採り上げてみることにしました。

 

フレデリック・ショパン:ピアノ作品集/ヴラド・ペルルミュテール (6CD)【Nimbus】

CD1
・夜想曲第3番 ロ長調 Op.9-3
・夜想曲第4番 ヘ長調 Op.15-1
・夜想曲第5番 嬰ヘ長調 Op.15-2
・夜想曲第6番 ト短調 Op.15-3
・夜想曲第7番 嬰ハ短調 Op.27-1
・夜想曲第8番 変ニ長調 Op.27-2
・夜想曲第13番 ハ短調 Op.48-1
・夜想曲第14番 嬰ヘ短調 Op.48-2
・夜想曲第16番 変ホ長調 Op.55-2
・夜想曲第17番 ロ長調 Op.62-1

CD2
・ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
・ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
・舟歌 嬰ヘ長調 Op.60

CD3
・24の前奏曲 Op.28
・前奏曲 嬰ハ短調 Op.45
・幻想曲 ヘ短調 Op.49
・子守歌 変ニ長調 Op.57

CD4
・12の練習曲 Op.10
・12の練習曲 Op.25
・3つの新練習曲 『モシェレスのメトードのための』

CD5
・バラード第1番 ト短調 Op.23
・バラード第2番 ヘ長調 Op.38
・バラード第3番 変イ長調 Op.47
・バラード第4番 ヘ短調 Op.52
・ポロネーズ第5番 嬰ヘ短調 Op.44
・幻想ポロネーズ Op.61

CD6
・スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
・マズルカ第36番 イ短調 Op.59-1
・マズルカ第37番 変イ長調 Op.59-2
・マズルカ第38番 嬰ヘ短調 Op.59-3
・マズルカ第39番 ロ長調 Op.63-1
・マズルカ第40番 ヘ短調 Op.63-2
・マズルカ第41番 嬰ハ短調 Op.63-3
・マズルカ第15番 ハ長調 Op.24-2
・マズルカ第25番 ロ短調 Op.33-4
・マズルカ第27番 ホ短調 Op.41-1
・マズルカ第29番 変イ長調 Op.41-3
・マズルカ第34番 ハ長調 Op.56-2
・マズルカ第35番 ハ短調 Op.56-3
・マズルカ第49番 ヘ短調 Op.68-4
・マズルカ第13番 イ短調 Op.17-4
・マズルカ第21番 嬰ハ短調 Op.30-4
・マズルカ第32番 嬰ハ短調 Op.50-3
・タランテラ 変イ長調 Op. 43

ピアノ:ヴラド・ペルルミュテール

http://ml.naxos.jp/album/NI1764

Ni1764

 

上記のうち2つのソナタとバルカロールの素晴らしい演奏に関しては以前にこのサイトでも書かせてもらいましたが、しとらす的にはペルルミュテールはラヴェル弾きという以上にショパン弾きだったのではないかと思います。彼の演奏で具現化される構築感に優れた様式美は2つのソナタと作品28の前奏曲集に、そして(コルトーら過去の巨匠が持っていた前時代的な)ロマンティシズムと幻想的な美しさとが絶妙なバランスでスコアに内在する深みを表現しているのがバルカロールや幻想ポロネーズに表れているのではないでしょうか。

サロン的な甘美さを適度に漂わせた夜想曲、ある種の女性的な旋律の中にも鋼のような凄みや力強さを随所にさり気なく感じさせてくれるバラードや5番ポロネーズ・・・などなど、ペルルミュテールの奏でるショパンには彼ならではの素晴らしさがあります。変なクセやアクの強さが見られず安心してショパンの音楽に身を委ねながら聴けるのも利点ですね。

ショパン好きにはもちろん、これからショパンを聴いてみようという人にも、ぜひ聴いてもらいたい録音です。特にペルルミュテールのバルカロール(作品60の舟歌)はこれ以上のものは存在し得ないだろうというベストな演奏だと思います。

 



ラヴェル:ピアノ作品集/ヴラド・ペルルミュテール(ピアノ)

今日が誕生日ということで先ほど挙げたペルルミュテールのショパンですが、それだけではやはり片手落ちという気がしなくもないので、定評のあるラヴェルの録音も紹介しておきましょう。

 

ラヴェル:ピアノ作品集/ヴラド・ペルルミュテール【Nimbus】

モーリス・ラヴェル
・鏡
・水の戯れ
・亡き王女のためのパヴァーヌ
・夜のガスパール
・ソナチネ
・高雅で感傷的なワルツ
・クープランの墓
・前奏曲
・ボロディン風に
・シャブリエ風に
・古風なメヌエット
・ハイドンの名によるメヌエット

ピアノ:ヴラド・ペルルミュテール

Ni771314

http://ml.naxos.jp/album/NI7713-14

 

ラヴェルのピアノ録音は彼のデモーニッシュな一面を極限まで引き出しながらも精密さを失っていないサンソン・フランソワの演奏が個人的にはベストだと思うのですが、よりスタンダードであり、繊細で色彩感豊かな美しさに叙情的な側面も持ち合わせているペルルミュテールのラヴェルも、やはりとてもいいと思います。

1920年代後半にラヴェルに直接師事していたことから、よく“ラヴェル直伝”という紋切り型のキャッチフレーズが付きますけど、“スイスの時計職人”とまで言われるほど精緻な作風のラヴェルの音楽は、教わる方に素養がないと本人が直接指導したところで弾けるシロモノではないですし、ラヴェル弾きと言われるだけの技術と感性を元から持ち合わせていたからでしょう。

ペルルミュテールは何度か来日したことがあるそうですが、私と彼の歳の差が違いすぎて生で聴くことが叶わなかったのは残念です。こればかりは仕方ないですけどね・・・。

 



ショパン:ピアノ・ソナタ第2番・第3番、舟歌/ヴラド・ペルルミュテール(ピアノ)

1904年5月26日生まれのヴラド・ペルルミュテール、私が最も敬愛するピアニストの1人である彼の、108回目の誕生日にあたります。最晩年に英Nimbusレーベルに多数の録音を残したペルルミュテールのディスクから、とりわけ気に入っているものを挙げてみたいと思います。

 

ショパン:ピアノ・ソナタ第2番・第3番、舟歌/ヴラド・ペルルミュテール【Nimbus】

フレデリック・ショパン
・ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35
・ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58
・舟歌 嬰ヘ長調 Op.60

ピアノ:ヴラド・ペルルミュテール

Ni5038

http://ml.naxos.jp/album/NI5038

 

構築美を保ちながらもロマンティックで味わい深い3番のソナタも素晴らしい演奏なのですが、何と言ってもバルカロールが大変に素晴らしい!私がこれまで録音なり生演奏なりで接したショパンの演奏の中で、これ以上のものは無いし今後出会うことも無いだろうと言い切ってしまっても良いほどです。

かつてアドリア海の女王と称される栄華を誇った水の都ヴェネツィア、彼の地の運河で静かにたゆたうゴンドラの映像がセピア色でパァ~っと目の前に浮かぶような、そんな演奏です。古いスタイルの演奏だと言うなら言わせておこう、しかしこの演奏のように、濃厚なロマンテッィク漂う雰囲気をスコアの構造を崩すことなく海の波間のような弾き方で表現できることは、名手であっても困難でしょう。

一般にはラヴェルの解釈で評価されるペルルミュテールですが、私は彼のショパンがラヴェルよりもずっと好きです(というか大人になってフランス国籍を取得したとはいえペルルミュテールは元々ポーランド系ユダヤ人だそうなので)。そしてその中でも、バルカロールは特別の存在です。作品60番前後以降のショパンは作曲家として一際高い境地に上っていると感じることがありますが、ペルルミュテールのバルカロールはそのことを最も証明してくれる演奏だと思います。