京都市交響楽団が2018年度の定期演奏会ラインナップを発表

先日の定期演奏会のレセプションで下野さんが「また下野こんなのやりやがって」というプログラムです、みたいなことを仰っていたので、『ハルモニーレーレ』並のものだろうかとワクワクドキドキしてたら、メインはブル1・・・ナンダゼンゼンフツーやん、と思った私は感覚が麻痺しているのでしょうか?www あーでも、前半に尾高惇忠さんのピアノ協奏曲を持ってきたり、第九との付け合わせがシェーンベルクの『ワルシャワの生き残り』だったりで、やっぱり捻りは入れてるのね。ブル1は下野さんはこれまでずっとウィーン稿だったらしい(私はあいにく未体験)のですが、今回はリンツ稿ハース版とのこと。さてさて・・・。

ちなみに、シューマンの『天使の主題による変奏曲(Geistervariationen)』は1854年2月作曲のピアノ独奏曲で、作品番号が付与されていない、事実上シューマン最後の作品らしいです。この主題の部分を野本洋介(読売日本交響楽団打楽器奏者、洗足学園音楽大学講師)編曲で今年の広島交響楽団の定期演奏会にアンコールピースとして演奏したようですね。

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第623回の広上さんのプログラム、今年がブラームスの3・1番だったので来年は2・4番だろうとタカを括ってたらまさかのバーンスタイン。バーンスタインのカッチリした曲なんて『エレミア』以来随分と久しぶりで、急にどうしたんだろう?と・・・そうですね、来年は彼の生誕100周年でした。

8月の合唱回は高関さんの指揮でブリテンの戦争レクイエム―――第一次世界大戦終結100周年を意識してでしょうか?―――、ラザレフさんはグラズノフの『四季』!!!!(個人的に大好きで特別な思い入れもある曲)とボロディンの2番交響曲を引っさげての再登場。いやはや、今年度に比べて来年度は攻めの傾向が見て取れるラインナップになって大いに満足です。最低限これくらいはやってもらわないと。

 


 

◆第622回定期
 2018年4月13日(金)19:00
 指揮:ダミアン・イオリオ
◇レスピーギ:交響詩『ローマの噴水』
◇レスピーギ:交響詩『ローマの松』
◇レスピーギ:交響詩『ローマの祭』

◆◆第623回定期◆◆
 2018年5月19日(土)14:30
 2018年5月20日(日)14:30
 指揮:広上淳一
◇バーンスタイン:交響組曲『波止場』
◇ショスタコーヴィチ:交響曲第9番 変ホ長調 Op.70
◇バーンスタイン:交響曲第2番『不安の時代』
 〔Pf 河村尚子〕

◆第624回定期
 2018年6月15日(金)19:00
 指揮:廖國敏(リオ・クォクマン)
◇ジェニファー・ヒグドン:ブルー・カセドラル ※日本初演
◇ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.36,B.108
 〔Vn ヨゼフ・シュパチェク〕
◇チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調『悲愴』 Op.74

◆◆第625回定期◆◆
 2018年7月21日(土)14:30
 2018年7月22日(日)14:30
 指揮:下野竜也
◇シューマン[野本洋介 編曲]:「天使の主題による変奏曲」~テーマ
◇尾高惇忠:ピアノ協奏曲
 〔Pf 野田清隆〕
◇ブルックナー:交響曲第1番 ハ短調 WAB 101[リンツ稿・ハース版]

◆第626回定期
 2018年8月26日(日)14:30
 指揮:高関 健
◇ブリテン:戦争レクイエム Op.66
 〔S 木下美穂子、T 小原啓楼、Br 大西宇宙、cho 京響コーラス&京都市少年合唱団〕

◆◆第627回定期◆◆
 2018年9月22日(土)14:30
 2018年9月23日(日・祝)14:30
 指揮:準・メルクル
◇ワーグナー:歌劇『タンホイザー』〜序曲・バッカナール(ヴェヌスベルクの音楽)
◇グリーグ:『ペール・ギュント』第1組曲 Op.46
◇ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98

◆第628回定期
 2018年10月12日(金)19:00
 指揮:ヨエル・レヴィ
◇モーツァルト:交響曲第32番 ト長調 K.318
◇ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77
 〔Vn ヴィヴィアン・ハーグナー〕
◇バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116

◆◆第629回定期◆◆
 2018年11月17日(土)14:30
 2018年11月18日(日)14:30
 指揮:アレクサンドル・ラザレフ
◇グラズノフ:バレエ『四季』Op.67
◇ボロディン:交響曲第2番 ロ短調

◆◆第630回定期◆◆
 2019年1月19日(土)14:30
 2019年1月20日(日)14:30
 指揮:マルク・アンドレーエ
◇ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 Op.15
 〔Pf ゲルハルト・オピッツ〕
◇ムソルグスキー[ラヴェル管弦楽編曲]:組曲『展覧会の絵』

◆第631回定期
 2019年2月15日(金)19:00
 指揮:秋山和慶
◇ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18
 〔Pf 小山実稚恵〕
◇ラフマニノフ:交響曲第3番 イ短調 Op.44

◆◆第632回定期◆◆
 2019年3月16日(土)14:30
 2019年3月17日(日)14:30
 指揮:広上淳一
◇マーラー:交響曲第7番 ホ短調

 

◆◆第九コンサート◆◆
 2018年12月27日(木)19:00
 2018年12月28日(金)19:00
 指揮:下野竜也
◇シェーンベルク:ワルシャワの生き残り Op.46
 〔ナレーター 宮本益光、cho 京響コーラス〕
◇ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125
 〔S 菅 英三子、Ms 林 美智子、T 笛田博昭、B ジョン・ハオ、cho 京響コーラス〕

◆ニューイヤー・コンサート
 2019年1月13日(日)14:30
 指揮:高関 健
◇J.シュトラウス2世:喜歌劇『くるまば草』〜序曲
◇J.シュトラウス2世:ペルシャ行進曲 Op.289
◇ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・マズルカ『おしゃべり女』Op.144
◇J.シュトラウス2世:歌劇『騎士パズマン』〜チャルダッシュ Op.441
◇J.シュトラウス2世:アンネン・ポルカ Op.117
◇J.シュトラウス2世:ワルツ『親しい仲』Op.367
◇J.シュトラウス2世:ワルツ『美しく青きドナウ』Op.314
 〔cho 京都市少年合唱団〕
◇J.シュトラウス2世:芸術家のカドリーユ Op.201
◇J.シュトラウス2世:チクタク・ポルカ Op.365
◇J.シュトラウス2世:ワルツ『ウィーンの森の物語』Op.325
◇J.シュトラウス2世:ポルカ『ハンガリー万歳!』Op.289

 

[※以上、場所はすべて 京都コンサートホール・大ホール です]

 


 

第622回定期の指揮者ダミアン・イオリオはロンドン生まれでイタリア人とイギリス人のハーフだそうですが、NAXOSレーベルにカゼッラやピツェッティといった20世紀前半のイタリア純管弦楽作品をいくつか録音しています。そのカゼッラやマリピエロ、ピツェッティ達のようなイタリアのいわゆる「80年世代」の代表格がレスピーギで、「80年世代」作品の録音で好評を得ているダミアン・イオリオの経験が京響との共演でどのように反映されるか、が敷いて言えば注目でしょうか。『ローマ三部作』を一気にやってくれるのは華やかでいいという反面、同じレスピーギでも『教会のステンドグラス』をチョイスして、他にカゼッラら「80年世代」の作品を織り交ぜたプログラムにしてほしかったとも強く思っています。今度の客演が成功して再演の縁が得られるのなら、次はそのようなプログラムを望みたいですね。

第624回定期に登場するリオ・クォクマン(廖國敏)は2014年のスヴェトラーノフ指揮者コンクールで優勝したマカオ出身の若手指揮者です。今年5月のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017にシンフォニア・ヴァルソヴィアを指揮して何度も登場してましたし、9月の関西フィルの演奏会に急遽ピンチヒッターで登場したり、先月初旬のN響の3回の地方公演を担当したりしてましたので、名前を耳にしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。昨季までフィラデルフィア管弦楽団のアシスタント・コンダクターだったようですが、そのフィラデルフィア管弦楽団と縁の深い米国の現代作曲家ジェニファー・ヒグドンの『ブルー・カセドラル』を1曲目に持ってきたのに注目です。この曲、早速ナクソス・ミュージック・ライブラリで探して聴いてみましたが、彼女の兄弟アンドリュー・ブルー・ヒグドンが病死(“メラノーマ”という悪性の皮膚がん、悪性黒色腫)したのをキッカケに書いたらしい作品、死者を弔うというよりも闘病生活を送っていた兄弟との大切な想い出を音楽という形にしたという印象を受けました。美しく温かみのある良曲です。ドヴォルザークのVn協奏曲とチャイ6はお手並み拝見といったところですね。

そのドヴォルザークで共演するヴァイオリニストのヨゼフ・シュパチェクは2011年にチェコ・フィルのコンマスに楽団史上最年少となる24歳で就任した、1986年生まれのチェコの俊英。使用楽器は1855年製ジャン=バプティスト・ヴィヨーム。米国カーティス音楽院を卒業後、ジュリアード音楽院でイツァーク・パールマンに師事した経歴の持ち主で、コンクール受賞歴云々だけならともかく、あのチェコ・フィルが青田買いした点においては期待を寄せてもいいでしょう。

第627回の準・メルクル、ここ数年9月定期は営業的?に敬老向けで名曲選になる傾向があって仕方ないとはいえ、彼のレパートリーの広さからするとちょっともったいない気がします。

第629回のラザレフさん、前回いらした時は名曲選なプログラムでモッタイネーなー思いましたが、再演にいらしてくれたこと、そして今回は通好みな2曲を引っさげての登場には素直に喜びたいです。しかも1つはグラズノフの『四季』ですからね。吹奏楽編曲の「秋」を私が10代の時にコンクールで演奏した、個人的に思い入れの深い曲なのですが、全曲を生で、しかも京響で、聴くことのできる日が来るなんて、もう夢みたいです!ラザレフさん、おおきにです!!!!

第630回のマルク・アンドレーエは20世紀前半にチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の音楽監督を長らく務めていて作曲活動も行っていたフォルクマール・アンドレーエのお孫さん。来月の新日フィルの第九演奏会で来日する予定ですが、以前にもN響や読響への客演で何度か来日されていたようです。せっかくだからプログラムのアクセントにお祖父さんの作品を挟み込んでもよかったのですけど(笑)。

以下、自前のサイトを持ってる客演指揮者やソリストの情報を載せておきます。

 

ダミアン・イオリオ→http://www.damianiorio.com/

廖國敏(リオ・クォクマン、Lio Kuokman)→http://www.liokuokman.com/

ヨゼフ・シュパチェク:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターhttp://www.josefspacek.com/

マルク・アンドレーエ→http://www.marcandreae.ch/

 

 


武満徹:『波の盆』『乱』、細川俊夫:記憶の海へ、尾高惇忠:オルガンと管弦楽のための幻想曲/尾高忠明&札幌交響楽団

NMLに
『夏休み特集 – 「海」を聴く』
と題したプレイリストのページができてまして、どうせドビュッシーの『海』の聴き比べだろうとタカを括って見てみたところ、大勢の作曲家による“海”を題材にした作品が並べられていて驚きました。このリストには日本を代表する現役の作曲家の細川俊夫さんの作品が2つ入ってまして、逆引きみたいな感じでこのプレイリストにはない細川作品をNMLで検索していたところ、Chandos[http://www.chandos.net/]レーベルに尾高忠明さんと札幌交響楽団[http://www.sso.or.jp/]のコンビが録音した邦人作曲家の作品集のディスクを見つけ、聴いてみた次第です。

 

武満徹:『波の盆』『乱』、細川俊夫:記憶の海へ、尾高惇忠:オルガンとオーケストラのための幻想曲
 /尾高忠明&札幌交響楽団
【Chandos】

尾高惇忠
・オルガンとオーケストラのための幻想曲[※世界初録音]
武満徹
・波の盆
・乱
細川俊夫
・記憶の海へ〜ヒロシマ・シンフォニー〜[※世界初録音]

指揮:尾高忠明
管弦楽:札幌交響楽団
オルガン:ブライアン・アシュレー

録音時期:2000年5月8-11日
録音場所:札幌コンサートホールKitara

http://ml.naxos.jp/album/CHAN9876

Chan9876

 

日本屈指の音響を誇る札幌コンサートホールKitara[http://www.kitara-sapporo.or.jp/]でのセッション録音という点を割り引いても、地方オケを侮るなかれ、札響は巧いと素直に感心しましたし、武満さんを筆頭とする邦人作曲家の作品の演奏にも慣れている印象を受けました。シェフが岩城さん、秋山さん、尾高さんと続いて彼らの薫陶を受けたからでしょうね。(ウェールズ時代からの尾高さんとの付き合いというだけで無しに)Chandosレーベルのスタッフが札幌まで出向いてきただけのことはあるように思いました。しかも世界初録音が2曲というオマケ付き(笑)。

その世界初録音の1つ、尾高惇忠さんの作品はオルガンの大伽藍サウンドにまずは圧倒されますが、聴いていくうちにサン=サーンスの3番シンフォニーのような色の重ね塗りのような響きではなく、彩色違いの絹糸を何本も撚りあわせた線画で描いたような独特のファンタスティックな音楽であることに気付かされます。こういったところは日本人ならではの感性なんでしょうか。

もう1つの世界初録音の細川作品は広島交響楽団[http://hirokyo.or.jp/]のプロ化25周年記念に作曲されて世界初演も広響が行ったそうですが、細川さんの生まれ故郷でもある広島の名がサブタイトルに付せられているとはいえ、『ヒロシマ・声なき声』(ヒロシマ・レクィエム)のような原爆を関連付けたものではないそうですし、実際に出てくる音楽からもそうした暗さとは無縁のように感じました。全体的に茫洋とした雰囲気ですが、微細に見ていくと1つ1つの音がとても繊細で緻密に織りあわせてあるような印象です。札響が慣れていると思ったのはこうしたところをしっかりと表現できている事にも表れています(随分前に大野さんが大フィルの定期に初客演した際に前半で細川作品を採り上げていましたが、あの時はオケ側が曲にも大野さんの棒にもついていけてないのが丸わかりでしたっけ・・・苦笑)。

そして2曲の世界初録音作品に挟まれた武満さんの曲は『波の盆』が30年前に放映された同名のテレビドラマの主題曲で、もう1つは黒澤映画『乱』の音楽から組曲化された作品です。武満さんの代表作として『ノヴェンバー・ステップス』がよく挙げられますが、現代音楽が苦手な人、もしくはクラシック音楽自体にあまり縁のない人が武満作品に手を付けるなら、有名な『ノヴェンバー・ステップス』よりも『波の盆』の方がずっと入りやすく、かつ武満世界の一端に馴染みやすいのではないでしょうか。日本のテレビドラマの主題曲らしい日本人への親しみやすさを持ちながらも、そこには武満さん独特の世界観もしっかりと刻み込まれてます。涙腺の弛い状態で聴いたら、ちょっと泣けてくるかもです。『乱』は黒澤明監督と武満さんが以後決定的に袂を分かった曰く付きの作品ですが、対立点の1つが音楽をどのオケに演奏させるかだったそうで、ロンドン響の起用を主張した黒澤監督に対して武満さんが反対して、彼と盟友の岩城さんが当時音楽監督を務めていた札響が演奏を担当することになり、はじめは無名のオケに不満タラタラだったらしい黒澤監督も実際に演奏を聴いてからは深々と頭を下げる他なかったというエピソードがあるそうです。いわば札響の誇りでもある『乱』の演奏は映画公開から15年経ってもDNAがしっかり受け継がれていることを証明した素晴らしいものとなっているように感じました。

 



京都市交響楽団 第546回定期演奏会(指揮:広上淳一)

メモ書きしたのがPCの中かネットの海の中か流れ去ったっぽいので(苦笑)、ツイッターから記憶をサルベージした簡単なのを。

本日は尾高惇忠さんがいらしてました。プレトークだけでなくレセプションでもマイク渡されててお気の毒というか・・・。

 

京都市交響楽団 第546回定期演奏会
2011年5月21日(土)14時30分開演@京都コンサートホール

◆尾高惇忠 オーケストラのための「肖像」
◆A.グラズノフ ヴァイオリン協奏曲イ短調 op.82
 (ヴァイオリン・ソロ・アンコール)
 ◇N.パガニーニ(ゲザ編) カプリースによる即興演奏
(休憩)
◆S.ラフマニノフ 交響曲第2番ホ短調 op.27

指揮:広上淳一
ヴァイオリン:ゲザ・ホッス=レゴツキ

 

ラフ2第3楽章での小谷口さんのソロがもう絶品!!!カーテンコールで広上さんが立たせたのは小谷口さんだけで、レセプションでも名前を挙げて絶賛してましたけど、それほどというか。

もちろんオケ全体も、前半も良かったけど、後半のラフ2は特に弦も管も凄まじいほど鳴ってたんだ、実際に体感として、パワー的にじゃなく響きが豊穣な印象。そして内容的にもほぼ完璧。この曲は演奏に約1時間かかるしメロディーがきれいな所も途中でダレやすい箇所も両方多いけど、今回の演奏に限ってはアッという間の1時間だった。ロシアというよりも結構ハリウッドっぽい印象だったけど、広上さんと京響の勢いに聴き手もすっかり飲まれた感じで目の前の音楽に無意識で集中できた。あれだけ1つ1つの音を響かせ鳴らしても全然音楽が停滞しないし、感情面も余す所なく表現してて、熱演度でも完成度でも広上&京響コンビではこれまでのベストだったと思う。これをCDでリリースすればいいのにねぇ・・・FM放送用での録音はしてたそうだけど、それだけではなんかもったいない・・・。