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ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲集/エンリコ・ディンド、ジャナンドレア・ノセダ&デンマーク国立響;ディミートリイ・マスレンニコフ、クリストフ・エッシェンバッハ&北ドイツ放送響

今週末の京響定期は前半にショスタコーヴィチのチェロ協奏曲の2番を採り上げています。ソリストはイタリア人チェリストのエンリコ・ディンド[http://www.enricodindo.com/]。1965年3月16日のトリノ生まれで、22歳の時から11年にわたってミラノ・スカラ座の首席チェロ奏者だったとか。昨年2月のN響定期で同じ曲を演奏して好評だったようですが、そのベテラン・チェリストがショスタコーヴィチを得意とする京響と組んで、このなんとも渋くて内省的かつアイロニーに満ちた音楽をどのように聴かせてくれるのか、とても楽しみです。

ショスタコーヴィチの2曲あるチェロ協奏曲は個人的にこれまで積極的な触手が伸びなかった曲なので、予習がてら・・・と思ってNMLのリストを見たら、当の本人がChandos[http://www.chandos.net/]レーベルで近年録音したのがあったんですね。指揮はジャナンドレア・ノセダ、オケはデンマーク国立交響楽団(対外的に「ナショナル」を名乗っていますがデンマーク内ではDR放送交響楽団というデンマーク放送専属の第1オケという位置付け)。若い頃にスカラ座で首席張ってただけあって、デンマークでも一二を争う実力オケ相手に堂々としたもので、難曲をものともせず表現の幅とスケール感が広くかつ深いですね。心に染みいる音色も印象的で、ノセダとのコンビネーションも良く合ってると思いました。ディスクとしてみてもChandosの好録音でハイブリッドSACDというのがミソですが、ともあれこれは生で聴くのがとても楽しみになってきました。

せっかくの機会なのでと比較対象に探して聴いてみたのがPhoenix Edition[http://www.phoenixedition.com/]レーベルからリリースされていたディスク。こちらは1980年生まれの若いロシアのチェリスト、ディミートリイ・マスレンニコフがソロを務め、バックはエッシェンバッハ指揮の北ドイツ放送響。宣伝文句に曰くエッシェンバッハ自ら目をかけているチェロ奏者だそうで、20代半ばにして録音したショスタコーヴィチの2つの協奏曲でもその片鱗を見せてはいますが、こちらはいかんせん伴奏のオケが強力すぎ(苦笑)。特にチェロとホルンのドッペル・コンチェルトと言っても差し支えない1番協奏曲では、ホルンソロを務めているイェンス・プリュッカーJens Plücker, http://www.jenspluecker.de/)にやや押され気味なところが無きにしもあらずな部分もありました。まぁ相手が8歳年上で、しかもドイツでもトップクラスのオケでソロ首席を張ってるくらいですし・・・ただ、まだまだこれから伸びしろが大きい年頃での録音ですから、あれからどれくらい成長しているのか見てみたい将来豊かなプレイヤーではあると思います。

 

ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲集
 /エンリコ・ディンド(チェロ)、ジャナンドレア・ノセダ&デンマーク国立響
【Chandos】[Hybrid SACD]

ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
・チェロ協奏曲 第1番 変ホ長調 Op.107
・チェロ協奏曲 第2番 ト長調 Op.126

チェロ:エンリコ・ディンド
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
管弦楽:デンマーク国立交響楽団(DR放送交響楽団)

録音時期:2010年4月9-10日[第1番]、2011年4月18-20日[第2番]
録音場所:コペンハーゲン、デンマーク放送コンサートホール

http://ml.naxos.jp/album/CHSA5093

Chsa5093

 


 

 

ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲集
 /ディミートリイ・マスレンニコフ(チェロ)、クリストフ・エッシェンバッハ&北ドイツ放送響
【Phoenix Edition】

ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
・チェロ協奏曲 第1番 変ホ長調 Op.107
・チェロ協奏曲 第2番 ト長調 Op.126

チェロ:ディミートリイ・マスレンニコフ
指揮:クリストフ・エッシェンバッハ
管弦楽:北ドイツ放送交響楽団
ホルン:イェンス・プリュッカー[第1番]

録音時期:2006年6月29日-7月1日
録音場所:ハンブルク、北ドイツ放送ロルフ=リーバーマン・シュトゥディオ

http://ml.naxos.jp/album/Phoenix128

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Phoenix128

 



プロコフィエフ:交響曲全集/ドミトリー・キタエンコ&ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団

明日に迫った京響定期ですが、後半メインはプロコフィエフの書いた最後の交響曲、7番シンフォニーです。彼の交響曲全集の録音も優に二桁あるようですが、ネットでググってみるとキタエンコとケルン・ギュルツェニヒ管が2005年から2007年にかけてライヴ録音したものをベスト盤に挙げる方が多いように見受けられました。惜しむらくはこのディスクの入手が非常に困難な状況にあるということなんですが、こういう時のNMLというのは本当にありがたいものです(笑)。

 

プロコフィエフ:交響曲全集/キタエンコ&ケルン・ギュルツェニヒ管(5CD)【Phoenix Edition】

セルゲイ・プロコフィエフ:交響曲全集

CD1
・交響曲第1番ニ長調 Op.25『古典交響曲』
・交響曲第7番嬰ハ短調 Op.131
CD2
・交響曲第2番ニ短調 Op.40
・交響曲第3番ハ短調 Op.44
CD3
・交響曲第4番ハ長調 Op.47[1930年原典版]
・交響曲第4番ハ長調 Op.112[1947年改訂版]
CD4
・交響曲第5番変ロ長調 Op.100
CD5
・交響曲第6番変ホ短調 Op.111

指揮:ドミトリー・キタエンコ
管弦楽:ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団
録音:2005-2007年(ライヴ)

http://ml.naxos.jp/album/Phoenix135

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このCDを出しているPhoenix Edition[http://www.phoenixedition.com/]は独CAPRICCIOレーベルのディレクターを務めていたヨハネス・ケルンマイヤーという人が2008年5月にウィーンで設立したレーベルで、財政難で活動停止したCAPRICCIOの音源も引き継いだそうなのですが、現在ではこのレーベルも一昨年辺りから新譜のリリースが止まってるらしいという・・・こういったところにもリーマン・ショック以降のユーロ圏の経済状況が伺えるのでしょうか。ギリシャだ、イタリアだ、スペインだ・・・云々というのが収まリかけた頃に、最近ではキプロスでしたっけ?日本の状況も東日本大震災と政治の悪手が追い打ちをかけて更に悲惨になった感じですけど、あちらもあちらで苦労が絶えないようで・・・。

閑話休題。

同じコンビでショスタコーヴィチのツィクルスも出していますけど、一聴した印象ではプロコフィエフの方が曲ごとのバラツキもなく全体のクオリティが高いように感じました。しとらす的にはプロコフィエフとはあまり相性が良くないというか好んで聴く方ではない(彼の作品にそれなりの理論的構築性があるようにも思えず、かといって感性なり感覚なりが私に合うかといえばそうでもない)のですが、そんな私でも多くの人がベスト盤に挙げるだけの価値はあるなと思わせるだけの説得力がありました。キタエンコの明晰な解釈とギュルツェニヒ管のキレのよい高水準のアンサンブルが功を奏してか、プロコフィエフ独特の旋律美や諧謔性とかいろんな要素がごった煮的に詰め込まれた音楽を、ただゴチャゴチャした状態ではなく「これは元々こういうものなんだ」とプロコフィエフなりに整理した作風なんだと納得させられるだけの、良い部分をしっかり汲み取ってアピールしているように感じました。そうなるとこれまで縁の薄かった作曲家の作品もそれなりに面白く聴けるのですから不思議なものです。

あと、音楽の中身以外のストロングポイントといえば、4番シンフォニーの初版と改訂版を1枚のCDに両方収録して比較しながら聴けることでしょうか。ちなみに7番シンフォニーの終楽章は弱奏のピチカートで消えるように終わる方を採用しています。明日の京響定期では広上さんはどちらを採用するんでしょうかねぇ〜?