シマノフスキ:スターバト・マーテル、ハルナシェ/エドワード・ガードナー&BBC交響楽団、他

本日NMLに大量に登録されたディスクの中から私が個人的にピックアップするのはこれが最後です(笑)。

Chandos[http://www.chandos.net/]レーベルからリリースされた新譜の1枚なのですが、まずこれを聴いてみる気になったのは収録されている曲が2曲ともわりとレア(スターバト・マーテルはまだ比較的数が多いですがバレエ『ハルナシェ』はかなり限られるのではないでしょうか?)なのと、指揮者がエドワード・ガードナー、1974年生まれの英国人で2007年シーズンからイングリッシュ・ナショナル・オペラ[http://www.eno.org/]の音楽監督を務めていて、かの地では最も旬な指揮者の1人として目されているとネット上でチラ見していたからです。

 

シマノフスキ:スターバト・マーテル、ハルナシェ/ガードナー&BBC響、他【Chandos】[Hybrid SACD]

カロル・シマノフスキ
・スターバト・マーテル Op.53
・バレエ・パントマイム『ハルナシェ』 Op.55

指揮:エドワード・ガードナー
管弦楽:BBC交響楽団
合唱:BBCシンフォニー・コーラス
ソプラノ:ルーシー・クロウ[スターバト・マーテル]
メゾ・ソプラノ:パメラ・ヘレン・ステフェン[スターバト・マーテル]
バリトン:ガボール・ブレッツ[スターバト・マーテル]
テノール:ロバート・マレイ[ハルナシェ]

録音時期:2013年1月5-6日
録音場所:クロイドン・ロンドン特別区、フェアフィールド・ホール

http://ml.naxos.jp/album/CHSA5123

Chsa5123

 

まず曲について。スターバト・マーテルは古今問わず数多くの作曲家が音楽を付けていることもあって、それこそ十人十色みたいなところがありますので、同じラテン語のテキストを用いていても出来上がってくる音楽は作曲家により様々なカラーや個性を発しているのが当然といえばそうなのですが、シマノフスキのそれはラテン語の原典をわざわざポーランド語に翻訳したものをテキストに用いています。ですので、ただでさえラテン語とスラヴ語系では語感というか音の違いというのが(非欧州人で更に外国語に疎い私でも)耳に入ってきますし、それに管弦楽のオーケストレーションが加わるのですから、他の作曲家の手によるスターバト・マーテルとはある種で別の一線を画しているように思えるのは尚の事でしょう。音楽自体はわりとスタンダードっぽい形式美をベースにシマノフスキの個性を加味したようなところがあって、そこに初見者でも魅力を味わうことができると思います。ただ、やはりラテン語とポーランド語の違いが音の部分においても微妙なニュアンスを生んでいるところがあり、またそうした差異が加わるのが不思議な感じで面白いところではあります。

そして2曲目の『ハルナシェ』。愛国者の農夫を主人公にしたバレエ・パントマイムに音楽を付けた曲だそうで、随所に民俗音楽っぽいフレーズが散りばめられていて、一言で言うなら‘オモロイ’(笑)。主役が一農夫というところからして難しくてメンドクサイ部分があるようには思えないのですが、そのような元々の理解しやすそうなストーリー性に加えてオーケストラだけでなくコーラスも付くので、なかなかに愉快で華やかな音楽です。今の京響に生演奏させたらさぞかし賑やかに聴こえるでしょうけど、京都はもちろん日本でやるにはテキストがポーランド語という点がネックになりそうですね・・・。

演奏に関してはオケが地味にレベルの高いBBC交響楽団であることを考慮しても、ガードナーは只者ではないと思わせるに充分な出来だと思います。スコアを吟味した上でBBC響を掌握し巧みにドライヴさせていると見受けられました。あと、英国人指揮者がポーランドものを振るにしては(オペラ指揮者とはいえ)えらくこなれたような印象を持ったのですが、NMLのリストで確認したらChandosレーベルにBBC響を指揮して録音したルトスワフスキの作品集が何枚もあって、シマノフスキのディスクもこれが2作目なんですね。納得です。30代半ばでイングリッシュ・ナショナル・オペラの音楽監督を任されたガードナーがこれからどのような成長を見せるのか、先が楽しみです。

そういえば、何年か前に来日して在京オケ(N響?)を振ってるようではあるのですが、感想が見当たらないので余計に気になるという・・・(をい)。ともあれ、今後も注目していきたい指揮者ですね。

ところで、YouTubeで検索したらこういった映像が見つかりました。1つはどこかのオケでラフマニノフのシンフォニックダンス(全曲)を振ってるライヴを収録したもの、もう1つは英ガーディアン紙の主宰でアントニオ・パッパーノ(コヴェント・ガーデンの音楽監督)とエドワード・ガードナー、ウラディーミル・ユロフスキ(今年までグラインドボーン音楽祭の音楽監督)の3人のオペラ指揮者が対談した番組です。対談の方は英語のヒアリングに自信のある方はぜひどうぞ。

 



シマノフスキ:交響曲第1番、第2番/ヴァレリー・ゲルギエフ&ロンドン響

NMLに今日付で登録されたロンドン交響楽団[http://lso.co.uk/]の自主レーベル LSO Live の新譜なのですが、これを見た時に心の中で思わず

ゲルギエフの旦那ァ、こうきやしたか・・・

と呟いたものでした(笑)。ポーランドの作曲家カロル・シマノフスキの初期の作品2曲です。

 

シマノフスキ:交響曲第1番、第2番/ヴァレリー・ゲルギエフ&ロンドン響【LSO Live】[Hybrid SACD]

カロル・マチエイ・シマノフスキ
・交響曲第1番 ヘ短調 Op.15
・交響曲第2番 変ロ長調 Op.19

指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ
管弦楽:ロンドン交響楽団

録音時期:2012年9月22日・10月11日(第1番)、2012年9月23日・10月13日(第2番)
録音場所:ロンドン、バービカン・ホール(ライヴ、DSD)

http://ml.naxos.jp/album/LSO0731

[※↓画像をクリックするとタワーレコードの商品ページにリンクします]
Lso0731

 

今回収録されているシマノフスキの交響曲第1・2番は私も初めて聴いたのですが、彼の作品の中でもワーグナーやリヒャルト・シュトラウス、マックス・レーガーの影響を色濃く受けた創作第1期と呼ばれる時期の作品で、あまりポーランドっぽくないというかスラヴ系の色が付いてなくて、ドイツ系の後期ロマン派の系統に連なる音楽のような印象を受けました。

2曲とも形式的にはかなり個性的な交響曲で、随所に対位法的な展開が見られる他、2番ではソナタ形式→変奏曲→フーガという構成を採っているのですが、ゲルギエフはオケの技量を活かして複雑な難曲を明晰に解きほぐすような演奏を引き出しています。実際の演奏会ではブラームスとのカップリングでのプログラムだったようですが、なぜシマノフスキの交響曲に彼がチャレンジしたのか心中は推し量れませんけど、ともあれ入念な準備を整えた上で臨んだことが伺える、自信に満ちた印象を受けました。

上演機会が少なく録音もレアな両曲を、こうしてすぐれた演奏で聴けるのは有難いことですね。

 


 

なお、ゲルギエフとロンドン交響楽団は2012-13年シーズンにシマノフスキとブラームスの交響曲を演奏会で対比上演していたそうで、シマノフスキの残りの交響曲2曲にスターバト・マーテルをカップリングしたライヴ録音のディスクも来月にはリリースされるようです。NMLに登録されることになったら私も聴いてみようと思います。

・・・というか、演奏会で一緒に採り上げたらしいブラームスも、いずれはリリースされるのでしょうか?大いに気になるところです。

 

シマノフスキ:交響曲第3・4番、スターバト・マーテル/ゲルギエフ&ロンドン響【LSO Live】[Hybrid SACD]

カロル・マチエイ・シマノフスキ
・交響曲第3番『夜の歌』 Op.27
・交響曲第4番 (協奏交響曲) Op.60
・スターバト・マーテル Op.53

指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ
管弦楽:ロンドン交響楽団
合唱:ロンドン交響合唱団
ピアノ:デニス・マツーエフ[第4番]
ソプラノ:サリー・マシューズ
メゾ・ソプラノ:エカテリーナ・グバノワ
テノール:トビー・スペンス
バリトン:コスタス・スモリギナス

録音時期:2012年12月、2013年3月
録音場所:ロンドン、バービカン・ホール(ライヴ、DSD)

[※↓画像をクリックするとタワーレコードの商品ページにリンクします]
822231173922