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マーク=アンソニー・タネジ:残骸から、スペランツァ/ダニエル・ハーディング&ロンドン響

今日付でNMLに登録されたディスクから注目のものをいくつか。

その3、これで最後です。

ロンドン交響楽団[http://lso.co.uk/]の自主レーベルからリリースされる新譜なのですが、初めて見る名前の作曲家でした。マーク=アンソニー・タネジ(Mark-Anthony Turnage:ターネイジもしくはターネジと表記されることもあるようです)、1960年生まれのイギリスの作曲家だそうですが、日本とも縁の深いハーディングの指揮ということもあって試しに聴いてみたしだいです。

 

タネジ:残骸から、スペランツァ/ハーディング&ロンドン響【LSO Live】[Hybrid SACD]

マーク=アンソニー・タネジ
・残骸から
・スペランツァ

指揮:ダニエル・ハーディング
管弦楽:ロンドン交響楽団
トランペット:ホーカン・ハーデンベルガー[残骸から]

録音時期:2013年2月5日[残骸から]、2月7日[スペランツァ]
録音場所:ロンドン、バービカン・ホール(ライヴ)

http://ml.naxos.jp/album/LSO0744

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Lso0744

 

2曲とも聴いていてコンテンポラリーとモダンの中間みたいなジャズをモダンオケで演奏しているような不思議な印象を持ちました。タネジはストラヴィンスキー、ブリテン、ヘンツェに私淑しながらマイルス・デイヴィスに傾倒してモダン・ジャズに強く影響され、「本物のモダン・ジャズ」を作曲することのできる数少ないクラシック作曲家として有名なのだそうです。

1曲目の『残骸から』は1961年スウェーデン生まれのトランペット奏者ホーカン・ハーデンベルガーのために2005年に作曲されたトランペット協奏曲だそうです。トランペット・ソロが入ることもあって一時期のマイルス・デイヴィスを彷彿させるような感じがします。このライヴ録音でもハーデンベルガー自身がソロを務めていますが、まぁ巧いしリズム感は良いしで、さすがといったところです。
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そして2曲目の『スペランツァ』は2012年に作曲された、4つの部分から構成される曲。『スペランツァ』とは「希望」を意味するイタリア語ですけど、曲の内容はセーヌ川で自殺したルーマニア系ユダヤ人作家パウル・ツェランの文学を背景にしているのだとか。ただ、予備知識無しで聴いてもジャズ感覚なノリと映画音楽っぽいところがあって色彩感豊かな一面もあるので、はじめのうちは聴き手が自由にイメージを膨らませてもいいのではないかと思います。

オケはさすがロンドン響なだけあって独特の風変わりなリズム感覚にもしっかり付いていってますし、ここでのハーディングのタクトさばきもノリの良さが伝わってきます。そしてなにより、エリザベス2世女王を名誉総裁に戴く“女王陛下のオーケストラ”が、こうしたバリバリの最先端的な音楽をも演奏会でしっかり採り上げているところに懐の深さというか羨ましさすら感じます。

やっぱり自国の作曲家の作品は良いものなら積極的に定期公演等で採り上げて紹介すべきですよねぇ〜(しみじみ)。それが自国の文化を誇示することでもあるのでしょうし。