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ヴァンハル:交響曲集 1〜4 /ケヴィン・マロン&トロント室内管弦楽団、他

一昨日採り上げたウィーン古典派の作曲家ヨハン・バプティスト・ヴァンハルが書き残した交響曲、一説によれば70は超えるそうですが、その内の何分の一になるんでしょうかね、NAXOSレーベルがリリースした4枚のディスクを一通り聴いてみました。

1と2と3・4集では録音年代も演奏団体もバラバラなのがもったいない気もしますが、演奏水準では主にバロック音楽のピリオド演奏で確固たるキャリアを持つケヴィン・マロンのタクトの下でトロントの精鋭ミュージシャンたちが揃って演奏した3・4集の方が瑞々しくてやや一日の長があるかな、という印象でしたけど、ともあれヴァンハルの数々の交響曲の、古典派らしい形式美の中に様々な‘彩(いろ)’を織り込んだ表情豊かな作品の素晴らしさは充分伝わってきました。

モーツァルトより二回りほど上の年代、フランツ・ヨーゼフとヨハン・ミヒャエルのハイドン兄弟とほぼ同世代に、今日では交響曲の父と称されるハイドン兄のライバルと言っていいほど比肩する実力を持った作曲家が存在していて、その彼ヴァンハルは同じくウィーンで活躍したハイドンやモーツァルトとは正反対に後年は楽譜もあらかた散逸して歴史の忘却の彼方に追いやられてしまった・・・この違いって巡りあわせた運とかツキの在る無し・・・なんですかねぇ・・・???芸術の女神は時に無慈悲で残酷でもある・・・ような気がしなくもないとヴァンハルの交響曲を聴いていて楽しみながらもふとそんな感想を抱きました。

 

ヴァンハル:交響曲集 1 /ウーヴェ・グロット&ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア【NAXOS】

ヨハン・バプティスト・ヴァンハル
・交響曲 イ長調 Bryan A9
・交響曲 ハ長調 Bryan C3
・交響曲 ニ長調 Bryan D17
・交響曲 ハ長調 「イル・コミスタ」 Bryan C11

指揮:ウーヴェ・グロット
管弦楽:ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア

録音時期:1998年2月25-28日
録音場所:ブダペスト、フェニックス・スタジオ

http://ml.naxos.jp/album/8.554341

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ヴァンハル:交響曲集 2 /アンドリュー・ワトキンソン&シティ・オブ・ロンドン・シンフォニア【NAXOS】

ヨハン・バプティスト・ヴァンハル
・交響曲 変ロ長調 Bryan Bb3
・交響曲 ニ短調 Bryan d2
・交響曲 ト長調 Bryan G11

指揮:アンドリュー・ワトキンソン
管弦楽:シティ・オブ・ロンドン・シンフォニア

録音時期:1997年9月16-17日
録音場所:ロンドン、ハムステッド、ロスリン・ヒル教会

http://ml.naxos.jp/album/8.554138

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ヴァンハル:交響曲集 3 /ケヴィン・マロン&トロント・カメラータ【NAXOS】

ヨハン・バプティスト・ヴァンハル
・交響曲 ニ長調 Bryan D2
・交響曲 ハ短調 Bryan c2
・交響曲 変イ長調 Bryan Ab1
・交響曲 ト長調 Bryan G6

指揮:ケヴィン・マロン
管弦楽:トロント・カメラータ

録音時期:2004年1月2-4日
録音場所:トロント、グレース教会

http://ml.naxos.jp/album/8.557483

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ヴァンハル:交響曲集 4 /ケヴィン・マロン&トロント室内管弦楽団【NAXOS】

ヨハン・バプティスト・ヴァンハル
・交響曲 ホ短調 Bryan e3
・交響曲 ハ長調 Bryan C1
・交響曲 ハ長調 Bryan C17
・交響曲 変ホ長調 Bryan Eb1

指揮:ケヴィン・マロン
管弦楽:トロント室内管弦楽団

録音時期:2006年7月15-17日
録音場所:トロント、セント・アン教会

http://ml.naxos.jp/album/8.570280

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ヴァンハル:クラリネット・ソナタ集/エルンスト・シュラーダー(クラリネット)、ヴォルフガング・ブルンナー(フォルテピアノ)

昨日の記事で少し触れたウィーンの新興レーベルGramola[https://www.gramola.at/]からリリースされた新譜が今日付で登録されました。このレーベルはウィーンやザルツブルクなどで教育を受けた若手の音楽家を積極的に起用しているそうで、このディスクはクラリネットとフォルテピアノという組み合わせが珍しいという理由だけで食いついたのですが、聴いてみたらなかなかの良曲・好演揃いで、作曲家のヴァンハルについてちょっとググってみたら思いもかけない事実に気付いて、今回採り上げてみた次第です。

 

ヴァンハル:クラリネット・ソナタ集/シュラーダー(クラリネット)&ブルンナー(フォルテピアノ)【Gramola】

ヨハン・バプティスト・ヴァンハル
・クラリネット・ソナタ 変ホ長調
・ヴァイオリン・ソナタ ト長調[※クラリネットとピアノ編]
・クラリネット・ソナタ 変ロ長調
・クラリネット・ソナタ ハ長調
・ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調[※クラリネットとピアノ編]

クラリネット:エルンスト・シュラーダー
フォルテピアノ:ヴォルフガング・ブルンナー

録音時期:2012年5月9-11日
録音場所:オーストリア、オーバーエスターライヒ州クレムスミュンスター、クレムゼック城・楽器博物館

http://ml.naxos.jp/album/Gramola98988

Gramola98988

 

まずは作曲者のヨハン・バプティスト・ヴァンハル(ボヘミア出身なので本来はチェコ語でヤン・クシュチテル・ヴァニュハルと言うらしいのですが、ウィーンで名を馳せたのでドイツ語読みのほうが広まったそうな)、系統としてはウィーン古典派で作曲だけで名声を博し生計を立てることのできた、おそらくは最初の作曲家だそうで、他にも音楽活動として教師やったり、ハイドンやモーツァルト、ディッタースドルフとと組んで弦楽四重奏を演奏したりとかもしていたそうです。交響曲や室内楽曲など膨大な量の曲を書いて一時は大成功したものの、40代の頃に金銭トラブルなどの不幸が元で鬱病になって断筆した経験もあるとか・・・このエピソード、個人的にものすごくシンパシー感じます(私は彼みたいな才能持ちではない一凡人ですけど・苦笑)。

なにはともあれ、聴いてみてまず思ったのが、モーツァルトよりも先にクラリネットの特性を活かした傑作を書いた作曲家がいたということ(5曲のうち2曲はヴァイオリン・ソナタからのアレンジですが3曲はれっきとしたクラリネット・ソナタですからね)。ウィーン古典派らしいカッチリとした形式感と調和の中にキラリと光る部分を数多く見て取ることができます。NAXOSレーベルに交響曲の録音が何枚かあるみたいなので、時間を見つけて聴いてみようと思います。

また、演奏に関しても、クラリネットのエルンスト・シュラーダーとフォルテピアノのヴォルフガング・ブルンナーの両者ともに欧州の古楽界で一流どころとして名前を売ってるだけあって、ピッタリと息のあった躍動感ある華やかな素晴らしいハーモニーを軽やかに奏でています。そして気になったのがクラリネットの音色というか音の雰囲気。現代のモダンオケで使われているものと違うとは感じましたが、シャリュモーやバセット・ホルンなどのピリオド楽器系までは遡らないものの、どうやら19世紀初頭にウィーンとドレスデンで製作された2器のモデルを使ってるようです。道理でなぁ〜(バリバリのモダンなモデルなら京都というか京響には小谷口さんという日本でも指折りの名手が首席でいますんでw・・・彼女は2・3年前に文化庁派遣芸術家在外研修員としてウィーン国立音楽大学に1年ほど留学してましたし)。