バッハ:ヴァイオリン協奏曲集/ヴィクトリア・ムローヴァ(ヴァイオリン)、オッターヴィオ・ダントーネ&アカデミア・ビザンティーナ

今日付でNMLに登録された録音。2005年の発足したイギリスのOnyx[http://www.onyxclassics.com/]レーベルから今年の春にリリースされたディスクで、今やOnyxレーベルの看板アーティストとなっているヴァイオリニストのヴィクトリア・ムローヴァが、イタリアのラヴェンナを本拠に活動している古楽アンサンブルのアカデミア・ビザンティーナ[http://www.accademiabizantina.it/]をバックに演奏したバッハの協奏曲集で、彼女自身によるハッハの協奏曲集は1995年以来となる新録音なのだそうです。

 

J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
 /ヴィクトリア・ムローヴァ(ヴァイオリン)、オッターヴィオ・ダントーネ&アカデミア・ビザンティーナ
【Onyx】

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
・ヴァイオリン協奏曲 ホ長調 BWV1042
・チェンバロ協奏曲 第2番 ホ長調 BWV1053
 [※オッターヴィオ・ダントーネ編曲によるヴァイオリンと管弦楽編]
・ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 BWV1041
・2台のチェンバロのための協奏曲 第1番 ハ短調 BWV1060
 [※オッターヴィオ・ダントーネ編曲によるヴァイオリンと管弦楽編]

ヴァイオリン:ヴィクトリア・ムローヴァ
指揮、チェンバロ:オッターヴィオ・ダントーネ
合奏:アカデミア・ビザンティーナ

録音時期:2012年12月1-5日
録音場所:ラヴェンナ、バニャカヴァッロ、聖フランシスコ修道院サラ・オリアーニ

http://ml.naxos.jp/album/ONYX4114

Onyx4114

 

寡聞にして私はフィリップス・レーベルに録音した旧版の方は聴いたことがありません。ムローヴァの演奏に触れるのも比較的最近になってからで、モダン・スタイルでキャリアをはじめた彼女が古楽界の名匠たちとの邂逅を経てガット弦・ピリオド弓の仕様ならびにピリオド・アプローチの研究を続けてきた現在のムローヴァしか知りません。

ですので、比較云々ではなく単純な第一印象しか持ってないのですが、敢えて言うならとても落ち着いた“大人の女性”といった趣きの演奏に思えました。ただ単に歳の数だけ経験値を重ねただけでなく、モダンとピリオドの両方をある程度極めた上での、2つのスタイルの枠の違いを超越したような洗練された落ち着きと美しさを感じます。とかく先鋭的に走りがちなピリオド演奏である種の不要な棘を丁寧に取り去りつつも、決してダレることのない、悠然とした音の流れをダントーネとアカデミア・ビザンティーナとの共同作業で素晴らしいまでに表現しているのではないでしょうか。

それと、ユニークだったのが、元々チェンバロ協奏曲として書かれたものをオッターヴィオ・ダントーネがヴァイオリン・コンチェルトとしてアレジした2曲。全くと言っていほど違和感がありませんでした。彼曰く、バロック時代の「編曲」はその時々の置かれた状況で演奏者や楽器に合わせて普通に行われていたのだそうで、実際バッハとヴィヴァルディについてWikiで調べ物していた時に、ヴィヴァルディがヴァイオリン協奏曲として書いたものをバッハがチェンバロ協奏曲に書き換えた例がいくつもあるのに気づいて、現代とは随分と感覚が違うんだなと歴史の差に改めて驚かされました。著作権なるものが幅を利かせてる現代では下手するとお縄にかけられてしまいますが(苦笑)、当時は良い物ならば使い回して広めたってエエやんという良くも悪くもおおらかな趣向があったみたいですね。

 


 

さて、ムローヴァはOnyxレーベルとの契約後はヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集を皮切りに何枚かディスクを録音制作しています。その中でも代表的な2作を下記に挙げておこうと思います。

 

ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集/ムローヴァ&イル・ジャルディーノ・アルモニコ【Onyx】

アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディ
・ヴァイオリン協奏曲 ニ長調『グロッソ・モグール』RV.208
・4つのヴァイオリンのための協奏曲 ロ短調 Op.3-10, RV.580
・ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 RV.187
・ヴァイオリン協奏曲 ニ長調『不安』RV.234
・ヴァイオリン協奏曲 ホ短調『お気に入り』RV.277

ヴァイオリン:ヴィクトリア・ムローヴァ
指揮:ジョヴァンニ・アントニーニ
合奏:イル・ジャルディーノ・アルモニコ

http://ml.naxos.jp/album/ONYX4001

Onyx4001

 


 

 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全集/ヴィクトリア・ムローヴァ (2CD)【Onyx】

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
・無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ト短調 BWV1001
・無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第1番 ロ短調 BWV1002
・無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第2番 イ短調 BWV1003
・無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004
・無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005
・無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006

ヴァイオリン:ヴィクトリア・ムローヴァ

録音時期:2007年3月18-19日、2008年10月20-22日
録音場所:イタリア、ボルツァーノ

http://ml.naxos.jp/album/ONYX4040

Onyx4040

 



ヴィヴァルディ:ファゴット協奏曲集/アルベルト・グラッツィ(ファゴット)、アンサンブル・ゼフィーロ

今日のNMLのお知らせに

NMLに「Arcana」が新たに参加しました。

というのがあり、どんなレーベルなのか一応目を通してみると

ASTRÉEレーベルのミシェル・ベルンステインが立ち上げたレーベル。エンリコ・ガッティ、アレサンドリーニ、レツボール、バドゥラ=スコダ、フェステティチ弦楽四重奏団などを起用し、古楽、古楽器による録音を中心にリリースしている。

と書かれてありました。いつもなら、あっ、そ、で済ますのですが、登録されたディスクの中にアンサンブル・ゼフィーロ(あってないようなサイトが一応存在はします→http://www.ensemblezefiro.it/)の名前があったからには無視するわけにはいきません。私が京都に越してきて間もない頃ですから10年ほど前でしょうか、来日公演で素晴らしい演奏を聴いた印象が残っている、管楽器だけの古楽グループ。AmbroisieレーベルなどからCDリリースもあったはずなのですがNMLに未だ登録されず、まさかこんなところでお目にかかれるとは思いませんでした。

 

ヴィヴァルディ:ファゴット協奏曲集/アルベルト・グラッツィ(ファゴット)、アンサンブル・ゼフィーロ【Arcana】

アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディ
・ファゴット協奏曲 変ホ長調 RV.483
・ファゴット協奏曲 ハ短調 RV.480
・ファゴット協奏曲 卜長調 RV.494
・ファゴット協奏曲 イ短調 RV.500
・ファゴット協奏曲 変ホ長調 RV.483
・ファゴット協奏曲 ハ長調 RV.474
・ファゴット協奏曲 ニ短調 RV.481
・ファゴット協奏曲 ハ長調 RV.472

ファゴット:アルベルト・グラッツィ
合奏:アンサンブル・ゼフィーロ

録音時期:2010年12月11-14日
録音場所:イタリア・ピエモンテ州、モンドヴィ、サーラ・ギスリエーリ

http://ml.naxos.jp/album/A365

[※↓画像をクリックするとタワーレコードの商品ページにリンクします]
A365

 

生演奏を聴いた印象が木管楽器メインの古楽器グループというのがまず珍しかったのと、あとはとにかく巧いというのと彼らの奏でる音楽が明るくて楽しい雰囲気に包まれたものだった、というアンサンブル・ゼフィーロ。一昨年1月にも来日していたそうなので、その際に東京や大阪で聴いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。残念ながら私は諸々の事情で行けませんでしたけど。

ともかく、そうした懐かしさもあって、ソリストよりもバックで演奏している方に目がいってしまいましたが、想い出が色褪せることはなく、ファゴット協奏曲という珍しいジャンルの曲を楽しく聴かせてもらいました。ただ何と言うか彼らも運の巡り合わせが微妙なのかどうか知りませんが、このディスクをリリースしたフランスのARCANAレーベルは2006年に創設者のベルンステインが録音セッション中に急死するアクシデントに遭い、更には彼の死後に権利関係でゴタゴタが生じて活動休止に追い込まれたことが一時期あったそうです。3年後にイタリアの会社に買収されたことで復活したとのことで、このディスクの録音時期から考えても新生ARCANAレーベルの下での録音と見ていいでしょうね。せっかくイタリアが誇る腕利き集団、今度は契約会社に恵まれるといいですが・・・。

それはさておき、百聞は一見に如かず、幸いアンサンブル・ゼフィーロ自身がYouTubeに動画をアップしていましたので、参考までにぜひ視聴してみてください。









 



ヴィヴァルディ:ドレスデンの管弦楽団のための協奏曲 Vol.1 /アレクシス・コッセンコ&レ・ザンバサドゥール、他

今日付でNMLに登録された、しとらす的な注目盤はこれがラスト(笑)。Alphaレーベルからリリースされる新譜ですが、ヴィヴァルディとドレスデンという組み合わせがどうにも引っかかって聴いてみた次第です。

 

ヴィヴァルディ:ドレスデンの管弦楽団のための協奏曲 Vol.1 /コッセンコ&レ・ザンバサドゥール、他【Alpha】

アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディ
・ヴァイオリン、2つのオーボエ、ファゴットと2つのホルンのための協奏曲 ヘ長調 RV.569
・協奏曲 ヘ長調 RV.568
・ヴァイオリン、2本のオーボエと2本のホルンのための協奏曲 ニ長調『聖ロレンツォの祝日のために』 RV.562
・協奏曲 ヘ長調 RV.571
・協奏曲 ヘ長調 RV.574
・協奏曲 ヘ長調 RV.568〜第2楽章:グラーヴェ[※オーボエとオルガン編]

指揮:アレクシス・コッセンコ
管弦楽:レ・ザンバサドゥール
ソロ・ヴァイオリン:ゼフィーラ・ヴァローヴァ
オーボエ:アンナ・シュタール、マルクス・ミュラー
ホルン:アネーケ・スコット、ジョゼフ・ウォルターズ
オルガン:アラン・ラムスッセン

録音時期:2012年7月7-9日
録音場所:ワルシャワ、ポーランド放送局、ルトスワフスキ・スタジオ

http://ml.naxos.jp/album/ALPHA190

Alpha190

 

レ・ザンバサドゥール(Les Ambassadeurs) [http://www.les-ambassadeurs.com/]という名前はこれで初めて知ったのですが、公式サイトを見た感じですとかなり実績を重ねた古楽器アンサンブルのようですし、実際にこうして演奏を聴いていてもレベルが高くて上手いなと思わされました。

それはさておき、ヴィヴァルディとドレスデンの関係性ですが、Wikiとかでチラッと見たかぎりではヴィヴァルディ晩年の1740年に当時ヴェネツィアを訪問中だったザクセン選帝侯のために曲を作ってくれとピエタ慈善院から依頼があって、協奏曲を3つほど作曲したことがあったようなのですが、それらの曲はこのディスクには収録されていませんし、このディスクのジャケット裏やレ・ザンバサドゥールの公式サイトを見ると『Vol.1』という表記がされていますので、当然プロジェクトとして続編があるということでしょうね。ということは、ザクセン選帝侯なり侯の宮廷楽団(現在のシュターツカペレ・ドレスデン)なりのために作曲したものが他にもまだまだ存在するということでしょうか?

私が一聴した印象では明るいんだけどそれほどイタリアンカラーっぽくないというか、レ・ザンバサドゥールの響きと演奏がそうさせてるのかもしれませんが、木質感がちょっとドイツ・バロックっぽいような気も少ししました。8年前に兵庫県立美術館で『ドレスデン国立美術館展』が開催された際に私も神戸まで足を運んで見に行きまして、歴代のザクセン選帝侯やザクセン王がコレクションした数々の美術品を鑑賞したのですが、その中に画家の名前は覚えてないのですがドイツ系だったかしら、その人たちの描いた風景画の雰囲気が印象深かったものでしたが、音楽を聴きながらその時の想い出がふと頭をよぎりました。

『Vol.1』と銘打ってるからには2や3とか出す予定っていうことでしょうね。続編が大いに楽しみです。

 



Disc 8

・ヴィヴァルディ:歌劇『オリンピア』序曲
・ヴィヴァルディ:弦楽のためのシンフォニア RV.158
・ヴィヴァルディ:協奏曲 Op.3-10
・J.S.バッハ:管弦楽組曲第4番 BWV.1069
・J.S.バッハ:3つのヴァイオリンのための協奏曲 BWV.1064
・J.S.バッハ:カンタータ第42番~シンフォニア

 トーマス・ヘンゲルブロック(指揮&Vn)
 フライブルク・バロック・オーケストラ

[HMV解説より]バッハの管弦楽組曲4番は初版の(トランペット&ティンパニ無し版)を使用しての演奏。通奏低音群の「音楽の喜び」を感じる演奏が、彼らの演奏を支えているのです。
【録音】 1992年9月 (原盤:05472772892)